呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
知識より知恵
知識があっても、それを生かす技術がなければ役には立たない。知識を生かす術を知恵という。我々の愛したシミュレーションボードゲームを駆逐した、てーぶるとーくろーるぷれいんぐげーむ。のインテリジェンスが知識で、ウィズダムが知恵である。
結局のところ、人間は絶対に知識よりも、知恵が必要なのだ。ということなのだ。
いや、何が言いたいのかというと某ゲームの話である。その名を『CANDY TOYS』という。
18禁なのだが、以下、18禁内容には触れずに、そのシナリオ、演出のみを抽出して話をしたい。
しかし、結構あるのだよな。全年齢を標榜している割には『呆冗記』の18禁ネタ。文章内容は18禁じゃないが、一応区別した方が良かろうかなどと思ったりするのだが・・・。
それはさておき、もう、設定だけ見ると頭悪い莫迦一である。金持ちの主人公の家に金で買われた少女が一人。さあ、皆さん、声を上げて笑いましょう。である。うぇーははははは。。わははははははは。手垢ででろでろの設定なのだが、単純にそうならば武田も持ってこないだろうし、私もここで評価したりしないのだ。
なんというか、その手垢の付いた設定をそう思わせないキャラクターの設定と物語の演出が一気呵成にプレイヤーを物語世界にぶち込むのである。
『いやあ、参考になるなあ』(by 刑事貴族3)
なのだ。
主人公は若くして財をなしたプログラマ。実はいろいろと裏家業にも手を染めていて・・・。で、休暇もかねて裏家業の筋から金で何とかなる女の子を一人、用立ててもらうのだ。しかし、本人、至って人間とのコミュニケーションが成立していないのである。もう、そのあたり笑っちゃうほど擦れていないのである。で、女の子の方もおばあちゃん子で、家の町工場の家事を一手に引き受けるほどの家事の達人ながら、それゆえに擦れていない。
擦れていない(実は童貞)の主人公と、擦れていない(当然処女)の物語。
だいたいが、この種の調教ものというのは、擦れていないヒロインと擦れまくった主人公の間の交流が王道なのだが、この擦れていない同士の物語は、言っちゃ悪いが調教ものにはなりえないのである。いや、こうはいえる。ヒロインによる主人公の『逆調教』。
なにせ主人公は山のような知識は持っている。しかし、人間とのコミュニケーションが足りない彼の知識は知識でしかない。しかし、ヒロインの数少ない知識は現実社会においてしっかり知恵として生かされている。勝負は戦う前からついているのだ。
なんといっても「こういうものだ」と思うことほど恐ろしいことはない。そこには批判も反省も存在しないのだが、この二人の間にはそれがプラスに働いている。お互い初心者。で、女の子の方が、主人公の孤独を「可愛そう」と思った時点で、もう、物語のキャスティングボードはヒロインがしっかり握ってしまうのだ。はっきり言って主人公、太刀打ちできるはずがない。
以後、ラブラブの物語が展開する。主人公の知識は単なる知識でしかないし、ヒロインの方は知識すらなく「こういうものだ」と思っている。しかも、母性本能ばりばりである。こうなっては調教などではなく、ラブラブ物語しか成立しようがないのだ。
しかも、主人公は不用意である。自分の女性経験のなさをぽろっとヒロインに言ってしまったり(この瞬間のヒロインの表情等、演出は本作品屈指の代物である)駄目駄目なのだ。
で、このまま平穏無事にラストまでと思えば、波風が立ったりする。
もう一人の攻略可能ヒロインの登場である。過去に仕事仲間であった名家の出身であり、故に家族と疎遠になっている彼女は、行き違いから主人公に捨てられたと思って主人公を憎んでいる。主人公も主人公で捨てられたと勘違いしている。このあたりの人間関係は人間関係の経験値の低い二人にとっては難題であっても、大家族で育ち、人間関係豊富なヒロインにとってはお茶の子でしかない。ここで、サブヒロインに対しても母性本能全開になるヒロイン。こうなっては、もう諍いは存在しない。もう、阿呆みたいなラブラブでエンディングまで突っ走るのだ。
一応、どっちつかずのハーレムエンドがトゥルーで、おまけシナリオもあるのだが(ちなみにサブヒロイン本妻、ヒロイン内縁両方子供エンドもある)個人的にトゥルーはヒロインエンドだと思う。
「おまえ、はめたろう。
いや、はめたのは俺だが、
やっぱりおまえはめたろう。
全部解ってたな」(意訳)
は主人公の幸せな降伏(幸福)宣言に他ならない。
「浮気はするぞ」
「覚悟してます。サブヒロインだけでしょう」(意訳)
すでに、サブヒロインすらその母性は包み込む。男の理想みたいな所故に、少々某ゲームのヒロインより熱狂度が低くなったが、しかし、萌えは変わらぬ恐ろしいゲームであった。
しかし、男をはめた女が、突然この世界から消えてしまったら。はめられた男はどうすればいいのだろうか。
物語の中の幸せに水を差す気はないのだが。(03,7,20)