呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


復活宣言

 いやはや、いくら頑張ったところとて、相手にそれを受け止める考えがなければ、何にもならない。結構、今年も頑張ったつもりだが、どうやら、職場はそうではないらしい。職場の雰囲気がそう告げる。
 まあ、私は10年選手でも、どうせ外様だし、前社長の引きで入ったところもあるし、前専務には可愛がられたし、とまあ、現社長や現専務には煙たい人間なのだ。はっきり言って、やめてもらいたい人間ナンバーワン。
 それでも、直接手を出せないのはひとえに、特殊技能を持っているからに他ならない。その技能を持っていて入ってきた新人さんはなぜか、ばたばたとやめていく。一説によると私が保身のためにあの手この手で邪魔をして潰しているというのだが。まじめに、そんな暇はないのである。逆に言えば、変わってくれるなら即変わりたいのだ。いや、辞めてしまってもいい。ただ、そうなると、ごく少数の世話になった方々に迷惑がかかるので、代わりが育つまで耐えている。そういった感じなのである。
 幸いに女房子供もいないことだし、辞めても一人で食っていくなら何とかなるだろう。そこまでは思い詰めているのだ。(まあ、本当に駄目になったら、世話も何も、ヘチマもなしに辞職願い郵送するであろうから、まだ余裕はあるのだが)
 ともかく、その雰囲気を思い知ったのは、今年も来ました、予算の会議。昨年、私が無礼を働いたとされる会議である。
 今年は経費節約のため一律カット。これはいい。
 しかし、我が部署の予算の一部は全社的なことに使用している。故にそこは別枠でその他の部分を一律カットでお願いしたい。
 これは私が言うのではない。立場が言わせるのだ。
 しかし、議長役のスコップの君の冷笑で報いられた。
 「この予算でそういう事するのは予算のだまし取りじゃないんですか」
 「そうだですよ、それは見過ごせないだまし取りですよ」
 花形部署の主査氏が尻馬に乗る。
 まじめに怒ると血は下がるのだな。そう思った。
 今、思い出しても血が足の方へ下がっていく。『だまし取り』とはなんだ。
 しかし、
 『この上杉の忠誠を疑いになるのか! 10年にわたって我が社の業務の根底の一部を支えてきたこの上杉の忠誠を疑われるというのか!』
 などと佐藤大輔氏のキャラクターの言葉が過ぎったのだから、私も余裕があったのかもしれない。
 言わせてもらえば、
 『貴様らが、入る前からそういう取り決めになっているんだぞ。ごらあ』
 ということである。
 しかし、一合戦やろうにも、今回のこの『だまし取り』という薄汚い言葉に対して、誰も何も言わない。昨年はああいうことになったというのにである。
 そういうことか。なのだ。
 すなわち、ここに、この連中に、私より若く、主査なんてになっている、上司の覚えめでたい連中に、味方は一人もいないということなのだ。専務の薫陶、ここまで来たか。なのだ。
 私はため息をつくと、席に着いた。ここで殴り合いの大喧嘩してもいいが、そうすると、世話になった人たちに迷惑がかかる。辞めるとしても迷惑はかけられない。

 ま、そんなこんなで、職場の本心をしってしまったのである。
 向こうがそうならば、こちらもそう出るのだ。古い教科書ではないが
 『可愛いと、思えばポチもまた。
 憎いと、思えばタマもまた』
 なのだ。
 というわけで、好きなことして暮らしていこう。それで馘首になったらなったとき。
 なんだか、心の底まで晴れ晴れとしてしまったのだった。
 さあて、小説でも書いてみようか。(03,5,13)


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