ちょっとした架空 その2
さて、20世紀のうちに宿題を片付けておかねばならない。前回の続きである。
いよいよ、時代が動く。日清日露戦争である。
結局の所、日清日露という戦いはバッファゾーンを得る戦いではなかったのかと私は認識している。大陸の勢力から日本という国を守るためには親日のバッファゾーンが不可避である。なぜならば小さな島国である日本が直接大陸から侵攻された場合、取りうる防御作戦はほとんどない。都市を焼き後退をかさねて敵の補給を困難にして最後に逆襲すると言った作戦は大陸国家だからこそできるのであって日本では不可能だ。
島国にやれることといったら外交で完全に攻められない状況を作るか、大陸で迎え撃つために逆に侵攻する。これしかないのだ。しかし、日本は長きに渡る鎖国とその国民性によって極度の外交下手である。充分な外交など得ることは出来ない。結局口でかなわないから武力を行使してしまったというのが現実の日本なのだ。
国家保安のためにはバッファゾーンは不可欠である。しかし、攻められる方にとっては侵略戦争以外の何ものでもないわけだ。
このあたりあんまりやるとまたまた生臭くなるのでおいておく。
というわけで、このあたりをクリアする一番いいのは朝鮮半島に親日の国家が継続していると言う奴だが、そこまで歴史の改変は難しい。白村江の戦い以来ずっと日本は朝鮮半島に親日政権を維持することができたか? かなり難しいと言うか不可能と言うしかないだろう。
では、どうしたらいいのか。ここで、少し状況をひねろう。本当ならば鎖国などしないで日本人町をガンガン東南アジアや中国各地にに作ってしまえばいいのだが、そこまでの改変もどうかと思う。そこで、日本を割るのだ。まず、徳川幕府は組織的に北上、蝦夷地に渡る。強力な幕府海軍をそっくり持っていけば兵力も充分だ。当然開陽丸を沈めてはならないし、出来れば甲鉄艦奪取も成功させたいところである。その中心人物はやっぱり榎本武揚か?この人の評価も分かれるところだが、ここではもう少し出来物としておく。ここに幕府の連中を集める。
更に、西南の役を琉球まで拡大させ、西郷隆盛を琉球に脱出させる。
ここに琉球王国+西郷隆盛を首班とした琉球国と、旧幕軍+アイヌの方々の蝦夷共和国が日本国とならんで成立することになる。そして、日本は幕軍、官軍両方の不平士族を分離することに成功するわけだ。真の国防軍の誕生である。同時に北方との間に蝦夷共和国というバッファゾーンを得ることでロシアに対するヒステリックな恐怖から一時、逃れることが出来るだろう。
だいたい、江戸時代まで蝦夷地は日本という感覚がほとんどないのだから。そこをバッファゾーンとすることにためらいはあるまい。
逆に蝦夷共和国としては必死に外交でその国家の維持を図らねばならない。これまた御大の設定(『オペレーション・レインボウ』になってしまうが、ハワイと結ぶ蝦夷共和国というのもありだ。
逆に琉球王国は中国よりになるだろう。それしか成立する方策がたたない。ここに日本は現実には存在しなかった2枚のカードを得ることに成功する。日本国はこの衛星国2つを利用しかなりのフリーハンドを得ることが出来るだろう。
しかし、残念ながら、そこまでしても、日清戦争は不可避であると判断するしかない。
前回も言ったが、中華思想に染まった宗家とその一番純粋な兄弟子が、破門寸前の弟弟子の言うことなど聞くはずがないのである。その目を覚ますために、日本が何とかその国を保つためには、その偏見をうち砕くしかない。
大陸のバッファゾーンがなければ。ロシアの太平洋の凍らぬ港を得ようとする動きに対応できないのだ。
しかし、日清戦争は辛勝でいい。あとあと恨みを生みかねない領土割譲なぞ愚の骨頂。百万両の賠償金もいらない。大村式重火器装備陸軍ならば、あそこまでの悲惨な肉弾戦は行われまい。いい加減なところで手打ちだ。
どうもあの莫大な賠償金に日本は味をしめてしまったような気がする。戦争は金になる。こんな思想では後日の落日は確定である。戦費ぶんだけいただければ充分。
しかし、自由貿易の最恵国待遇だけはいただきたい。
そして、政府はそう言う方向に国民を誘導したいのだが・・・。アジア蔑視の思想家などはさっさと死んでいただくに限る。やっぱり、「脱亜入欧」を叫ぶ某氏には大村益次郎の代わりに死んでいただこう。(しかし、その人物を高額紙幣に使う日本国って、アジアの国々と仲良くする気があるのだろうか? 夏目漱石も中国にいい印象はもっていないようだし・・・)
で、日露戦争の話になるのだが・・・。また、紙数が足りない。なんてこったい。以下次回である。
まじめに今年中に終わるのか? このネタ。(00,12,16)