呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。

やっぱり女は強かった

 先日、『Yカメラ』で、とんでもないものを見てしまった。
 友人Tと2人。『Yカメラ』2Fに行ったときの話である。Tに引きずられるようにゲーム売り場の一番はじ、ピンクやら赤やらのゲームパッケージの置かれている場所へ行ったのだが・・・。
 そこにそぐわないお姉さんが二人いたのである。
 年の頃なら20代前半と思われる。
 そのお姉さんが、驚くべき事かないことか、そこに存在するゲームの品定めをしているではないか?
 「これね、アリスのゲームだから結構面白いよ」
 「ふうん、そうなんだ。あ、これ、結構面白かったよ」
 「何ニャ! それはマニアの間でも結構ハードなゲームニャ!」
 Tが思わず呟く。
 「でもさあ、美少女じゃなくて美少年を飼育できるゲームがあると面白いよね」
 云々・・・。彼女たちはそれまで、男の聖域だと信じていた場所を蹂躙し、あろうことかあるまいことか、いくつかのパッケージを持って去っていったのだった。
 「なんだか・・・ニャ」
 Tが呟いた・・・。
 「なんだかニャ! 猛烈に腹が立つニャ!」
 しかし、そんなに拳を握りしめることか? T。
 「そうにゃ、これらのゲームは男のロマンニャ。男のロマンなのニャ。女にわかってたまるかニャ」
 しかし、それってセクハラであろう。それに、作品の表現を高めるためにあえて18禁として発売するメーカーもあることを教えてくれたのはT、貴様であったはずだ。良い作品には性別は関係ない。そうではないのか?
 「そ、それはそうニャ・・・。でも、なんだか不条理ニャ」

 ま、これ以上どうにかするとこのサイトが某指定を受けかねないので場所を変える。
 地下街は『A書店』。そういえば、最近は『K屋』にはあまり行っていない私である。
 「ぎゃああああああああ」
 しかし、行ってみてTが奇声をあげる。
 恥ずかしいからよせというのだ。
 「ないニャ。ないニャ。あれだけあったゲームノベライズコーナーが消滅しているニャ・・・」
 なになに・・・あ・・・。
 私も思わず呆気にとられた。
 『A書店』地下二階には結構充実したそれ系のノベライズコーナーと、それ系の文庫・新書コーナーが存在した。しかし・・・我々の目前にあるものは・・・。
 「耽美小説」
 そう書かれた札と、そこに平積みされた書籍の独特の表紙が、その場所の空気を異様なものにしていた。
 そして、それ系の作品は小さな棚に押し込められているではないか。
 なんじゃ、こりゃあ・・・。
 私も思わず禁断の言葉を口にした。許せN。しかし、それほどの衝撃だったのだ。ああ、おそらくは売上がこの下克上をもたらしたのだろう。恐るべきは婦女子の経済力・・・。
 いや、それだけではあるまい。
 衝撃に打ちのめされながら私は呟く。
 シーフォートは悩んでばかりだけど、ハリントンは颯爽としているものなあ。
 時代の趨勢なのかも知れない。
 たしか、ヒロイニック・ファンタジーというとんでもない表現に初めて触れたのは嵩峰龍二氏の著作だったっけ。あの人も最近はご無沙汰だなあ。まだ作家で喰っているんだろうか? そういえば古神陸さんも、最近出さないな・・・。
 「大丈夫かニャ?」
 Tが私をのぞき込む。
 大丈夫ではないな。
 「それはいけないニャ。こういう時は景気づけに呑むニャ。ここからなら狸小路の『ライオン』が近いニャ」
 結局、私はその提案に同意した。『ライオン』のビールはその日、なんとなく苦かった。真面目な話。一つの時代が終わろうとしているのだろうか?大げさかも知れないがそう思えた。

 しかし、友人Sよ。おまえいつの間に4回目のビアグルメ達成していたのだ?(00,11,10)


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