【その8】
噂の真相 〜 GTTS 閉鎖? 〜
噂の真相 〜 GTTS 閉鎖? 〜
車旅行でGlacierに訪れる者にとっての一番の見所は何と言っても GTTS こと Going-To-The-Sun Road。 公園内唯一の、 大陸大分水嶺を東西に貫く舗装路であることで有名だ。 が、 ここ最近、 複数のソースから Going-To-The-Sun Road 閉鎖の噂が耳に入ってきている。 と言っても別に冬期閉鎖(毎年 10月中旬〜6月中旬)の話ではなく、 2, 3年後に何と Going-To-The-Sun Road が数年にわたって閉鎖されてしまうという噂。 Montana だか Idaho の新聞のローカル欄に載っていたという話、 知人からの伝え聞き、 そして、 Glacier旅行中にそういう噂を耳にしたとのメールも戴いたりした。
最近GTTSの老朽化も目立ってきており、 抜本的な改修がそろそろ必要との噂もきくし、 年々増え続ける年間入場者数(延べ約200万人)から、 特にGTTS沿いの自然環境への 影響も懸念され始めているとの話もきく。 Yellowstoneでも同じく道路閉鎖の噂を聞くし (あそこは既に危機遺産リストに載るほど自然環境が深刻なダメージを受けているらしい)、 Grand Canyonなどもとうとう一般車乗り入れ禁止の方向で動き始めた(※注)。 Glacierはこれらの国立公園と比べればまだまだ来訪者数も少ないはずだが、 何せその分キャパシティも小さいため、 そろそろ似たような処置が取られてもなんら不思議ではない。
そこで今回、 よい機会なのでこの件に関してVisitor Centerに問い合わせてみた。 問い合わせた質問は以下の六つ。
- GTTS閉鎖の噂は本当か?
- 本当なら閉鎖時期はいつか? (西暦何年何月から何年間?)
- 閉鎖理由は何か? (道路改修、環境保護、他?)
- どの部分が閉鎖されるのか? (一部、全部?)
- 閉鎖中には車だけでなく、ハイカーや自転車も乗り入れ制限されるのか?
- 公式文書の所在は?
そして、 これがこの質問に対する返答。
There are currently no plans to close the Going-to-the-Sun Road. That option was suggested during the planning porocess for the park's recently completed General Management Plan. It was not adopted. There will be much further study to determine what the best coarse of action is to address repairs on the park roads.
The General Management Plan is available online in the planning documents section of the website. Find it in the What's New section.
日本語訳:
今のところ GTTS 閉鎖の予定はありません。
最近完成したパーク管理計画(General Management Plan)の審議中に
そのような案も出ましたが、結局のところ否決されました。
(GTTSに限らず)公園内の道路の改修計画については、
どういう方法が最良かをまだまだ調査検討する必要があります。
なお、パーク管理計画については、 Glacier Park Website のWhat's New セクションから、 Planning Documents をご参照下さい。
ということで、 噂は決してガセではなく、 実際に議題に登っている内容だったようだが、 結局のところ噂のような閉鎖計画は今のところやる予定はないとのこと。
実は問い合わせをする前に、 今回教えてもらった Planning Documents (←【編注】既にデッドリンク(10/1/2005)) も参照はしたのだが、 なにぶん長いのでキーワード検索をかけて軽く斜め読みしただけだったのだ。 その範囲内では 「GTTS閉鎖」 の話を発見できなかったのだが、 そうか、 否決されてたんならそりゃそうだ。
噂では2001年頃から数年間、 とかいう話だったので、 「ああ、もう僕は日本に帰ってる頃だから大した影響はないな。 存分にGTTSを閉鎖して、 しっかり改修したり環境保全にいそしんでくれ給へ。」 とか思ったりもしてたんだけど(笑)。
ましかし、 数年してまた計画書を見直す際、 「閉鎖しましょう」ということになる可能性は十分有り得る話だが (※注)、 とりあえず向こう数年内に旅行しようと考えてる人は、 安心してもよいだろう。
この件に関してトリガを下さった、 9月に旅行で Glacier を訪れて、メールをいただいた飯村さんに感謝いたします。 ありがとうございました。
【注(10/1/2005)】
Grand Canyon の日帰りマイカー完全規制を伴う大改修計画は、
1995年に提起されてからのち、 着々と進んできたかに思われたが、
最近になってどうも国家予算の関係で思うようには進んでいないらしい。
当初、2000年秋の完成が予定されていたこともあったようだが、
その後結局2004年完成を目指し着工、
しかし、 あの戦争好きのアホブッシュが大統領になってからというもの、
2001年9月の同時多発テロの関係もあり、
国防予算が優先され、 いまだ完成を見ないどころか、
計画そのものが現在ストップ中とのこと。
ただ工事が進んでいない理由は戦争の影だけではなく、
新システムの工事費用がべらぼうに高くなるという試算(見積り$115M〜$252M)
に対し、 新たな対案を検討中という事情もあるらしい。
現在新たに提案されているコストを抑えたプラン(見積り$46M)は、
当初計画されていた日帰りマイカー100%規制ではなく、
15-25%の交通量軽減を狙ったもののようだ。
【最新状況アップデート(10/1/2005)】
2003年11月に承認されたGTTS
改修プランによると、
GTTS工事は基本的には閉鎖を
せずに行い、 片側交互通行規制などを使いながら行う、
完了までに7〜8年という計画のようで、
全面閉鎖または週末以外閉鎖などを含む他の提案に対し、
自然環境へのインパクト・工事費用・周辺地域の経済への影響・訪問者への影響・
工事期間と日々のメンテナンス等々の観点から最もバランスの良いプランとし
て承諾された模様。
詳しくは、Glacier National Park Website Visitor Center から、
Going To The Sun
Road Information & Updatesを参照のこと。
改修プランの詳細文書も公開されている(けど、354ページもある)。