ウォーフの様子がおかしい。勤務時間になっても現れず、ブリッジからの呼びかけにも応答がない。ライカーたちが部屋まで様子を見に行くが、呼び鈴を鳴らしてもドアを開けようとしない。仕方なくライカーは緊急コードで強制的に部屋の中へ入った。部屋の中は薄暗く、香の煙で真っ白だ。部屋の隅から呪文のようなものを唱えているウォーフの声が聞こえる。ライカーが近づいて声を掛けると、ウォーフは視点の定まらないような目を向けた。
ピカードはウォーフの部屋を訪れた。ベッドに横になっていたウォーフはゆっくりと身を起こした。ピカードは「きちんと起立しろ」と命じ、ウォーフは慌ててベッドから立ち上がる。「なぜ勤務時間に遅れるようなものをしたのか」と質問されたウォーフは、「私は若者たちにクリンゴンの魂を教えようとしたが、何か空しいもの感じていた。だからクリンゴンの伝説の神、カーレスを実際に復活させようとしていた」と説明する。「でも無駄だった。ストボコーを、自分の宗教の対象が真実であるのか、わからなくなってしまった。」と力なく続けるウォーフ。話を聞いたピカードは「規則を破ったのはまずいが、気持ちはわかる。艦を離れて、自分の心理を追求してみてはどうか」と言い、ウォーフに「どこかいい場所はないのか」と尋ねた。クリンゴン人の聖地ボレス。その星では僧侶たちがカーレスの復活を祈り続けているとウォーフは答える。ピカードはウォーフに休暇を許可した。そして「求めるものが見つかるといいな」と言い残し、部屋から出ていった。
ボレスに到着したウォーフは炎を見つめ、一心に祈り続けていた。突然、近くにいた若いクリンゴン人が「カーレスだ」と叫ぶ。彼なりの神を見つけたのだろうか?彼は僧侶たちに抱きかかえられ、奥に連れていかれた。様子を見ていたウォーフの顔に焦りと落胆が広がる。
部屋に戻ったウォーフはいらいらした様子で持ち物を机の上に放り出し、ため息をついた。「あせらないことだ」と部屋にいた高僧コロスが声を掛ける。「これ以上ここにいても無駄だ」と答えるウォーフ。高僧コロスは「ここは答えを見つける場所ではなく、心の疑問を晴らす場所なのだ。自らの心をカーレスに開いてみよ。それでも何もみつからなかったら艦にもどるがよい」と言い、立ち去った。
ウォーフは再び炎を見ながら祈りはじめた。やがて辺りが明るくなったかと思うと、炎の向こう側に一人のクリンゴン人の姿が現れた。「カーレスが見えたぞ」と嬉しそうにつぶやくウォーフ。カーレスはウォーフの方へ歩み寄り、手を差し伸べた。その手に触れようとしたウォーフは息を呑む。カーレスは「私はカーレス。私は蘇ったのだ」と話し出した。
神殿の祭壇にカーレスと僧侶たちが入ってきた。カーレスは祭壇の前の玉座へ進み、飾られていたバトラフを手に取る。そこへ高僧コロスが入ってきて「何をしているのだ」とどなる。カーレスは「戻ってきた」と言い、バトラフが出来た由来を語る。高僧コロスは驚きながらも、カーレスが本物であると認めた。カーレスは「我が民をもう一度導くために戻ってきた」と言い放つ。高僧コロス、僧たちはカーレスの前に跪ち、祈りはじめる。だがウォーフだけは腕を組んだまま、カーレスをじっと見つめていた。
ウォーフは自室に戻り、探し物をしていた。そこへカーレスが何をやっているのか尋ねた。ウォーフが「トリコーダーでカーレスが本物であるか確かめたい」と答えると、カーレスは笑いながらそれを許した。スキャンの結果、少なくともクリンゴン人であることは間違いないようだ。「お前は猜疑心が強いな」と言うカーレス。ウォーフはカーレスが自分の名前を知っていることに驚く。カーレスはウォーフが子供の頃に見たカーレスの幻について話し出す。それでもウォーフはまだ信じきることが出来ないず、「信じたいとは思いますが」と答えた。「それが第一歩だ」と笑うカーレス。
三日が経った。夕食が始まろうとしている席で、ウォーフはじっとカーレスを見つめ続けている。ここ、ボレスにクリンゴンの宰相ガウロンが向かっているらしいとの報告を受けたカーレスは「心配はない」と高僧コロスに告げる。ウォーフの視線に気がついたカーレスは、「まだモーグの息子は真の指導者を認める気にならないらしいな」と声を掛ける。ウォーフは毅然とした態度で「信じるに値する指導者なら戦う」と怒鳴る。二人はバトラフを持ち、決闘を始めた。だが、決着の着かないまま、カーレスは突然笑い出し、「我々は心を高めあうために戦うのだ」と演説を始める。あっけにとられるウォーフ以外のものは高揚し、カーレスと共に「クリンゴン万歳!!」と叫びはじめた。
エンタープライズはボレスに向かい、ウォーフたちを回収した。観察ラウンジではウォーフが上級士官たちに今回の事件を説明している。当然ながら皆カーレスが本物であるとはなかなか信じられない。もちろんウォーフも完全に信じているわけではなかったが、カーレスがクリンゴンにとっての救世主になりうるのではないかと考えはじめていた。ピカードは余計な詮索はせず、ゲストとしてカーレスを丁重にもてなすよう命じ、話し合いを終えた。皆が去った後、デイタは「証拠もないのになぜカーレスが本物と考えられるのだ?」とウォーフに質問する。それに対し、ウォーフは「信念です」と答える。ただデイタから「カーレスについてどう思っている?」と聞かれてもうまく答えることはできなかった。
エンタープライズにクリンゴン宰相ガウロンたちがやってきた。ガウロンはカーレスが本物だとは信じていないようだ。ただ、「部下たちに対する彼の影響力を恐れたため、直接ボレスに向かうことは避けた」のだとピカードに説明する。彼のいうとおり、せっかく新体制の元でまとまりつつあるクリンゴン帝国がふたたび崩壊する可能性があることは否定できない。
ピカードはカーレス、そして神殿の僧たちにカーレスのDNA検査を行いたいと申し出た。元になるDNAは「ケロンの剣」と呼ばれるナイフ。僧たちは聖物が持ち出されたことに怒り出すが、カーレスはその検査を受けることを認めた。
医務室で皆の見守る中、DNA検査が行われた。結果は完全に一致している。驚くガウロン。そしてウォーフは目を輝かせ、「間違いない。カーレスが蘇ったんだ」とつぶやいた。
カーレスの部屋ではウォーフとカーレスが飲み交わしている。ウォーフはカーレスにシトボコー、つまり「死の世界」について質問するが、カーレスは答えようとせず、話題を変えた。カーレスは「クリンゴン人たちが誇りを回復し、あたらに団結するまで右腕として働いてくれ」とウォーフに命じた。
ガウロンの部屋。「栄光の時がまた戻って来る」と興奮したウォーフは語る。ガウロンはウォーフをなだめようとするが、ウォーフはカーレスのことを信じきっていた。ガウロンは高僧のコロスが今回の復活の影役者だと考えていた。ガウロンの恐れている内戦の勃発は避けられないだろう。ガウロンは「昔のように一緒に戦わないか」とウォーフを誘う。だがウォーフは「まだわからないのか。魂の高揚にカーレスの存在は不可欠なんだ」とガウロンに答えた。
ホロデッキにはクリンゴンの神殿が再現されていた。ガウロンはずかずかと中に入っていき、コロスに食って掛かる。そこへカーレスがやってきた。カーレスは玉座に座り、昔話を交えながら「愚か者は死ぬことになるのだぞ」とガウロンに言う。ガウロンは平然とカーレスの語った逸話に関する質問をすると、ガーレスは「前世のことなど良く覚えていない。重要なのはクリンゴン人が誇りと栄光を私がもたらすことだ」と答えた。ガウロンはカーレスに決闘を申し込む。間に入ろうとしたコロスをウォーフが引き止め、決闘が始まった。最初は互角かカーレス優勢かと思われたが、ガウロンはカーレスのナイフを叩き落とし、カーレスを殴り倒してしまった。興奮したガウロンはとどめをさそうとするが、ウォーフがあわててやめさせた。ガウロンは高笑いしてホロデッキから出ていった。ウォーフは床に倒れうなだれるカーレスを何も言わず、じっと見下ろしていた。
カーレスの部屋にカーレスとコロスたち、そしてウォーフが入ってきた。必死にカーレスを慰めようとするコロスたち。だがウォーフは「栄光の帝国なんて嘘っぱちだ」と怒鳴る。いくつかの証拠を挙げ、「ガウロンのいうとおり、あなたは偽者だ」とカーレスに告げた。「誰の企みか白状しなければ俺が殺してやるぞ」というウォーフの剣幕に恐れをなしたのか、コロスは「記憶までは再現できなかった」とつぶやく。カーレスは「どういう意味だ?」とコロスを睨みつける。コロスは組織サンプルを元にカーレスのクローンを作ったのだ。カーレスは何も知らなかった。記憶もコロスたちが神経に書き込まれたものだった。コロスは「彼は遺伝学的にはカーレスだ。これが復活ではないとどうして言える?」とウォーフに言う。ウォーフが「馬鹿なことをいうな。茶番だ」と言い捨て出て行こうとすると、コロスは後を追い、「もしお前がこの事をガウロンに言えば、彼は消されてしまうのだぞ。そして最後の望みも消えてしまう」と言う。ウォーフは窓を外を見つめているガウロンの後ろ姿を一瞥し、部屋から出た。
ホロデッキ。ガウロンの部下のクリンゴン人たちが祈り続けている。ウォーフが真実を知ったと察したデイタは「まだカーレスが復活すると信じているのか?それとも、ボレスを訪れる前よりも迷いが深まったのか」とウォーフに尋ねる。「わからない」とウォーフが答えると、デイタは「自分にも同じようなことがあったから理解できる。私も昔オミクロン・セータで教育されていた頃、自分が人間かアンドロイドかわからずにいた。でも自分が人間だ信じることにした。信念が理論に打ち勝ったんだ」と話す。デイタの言葉を聞いたウォーフの表情が明るくなった。
観察ラウンジ。ガウロン、そしてカーレスたちが集まっていた。ウォーフは「カーレスを殺す必要はない。彼は本物ではなかったが、心の中では本物の神になりうる。我々には信じる者が必要だ。信仰は論理に打ち勝つのだ。」とガウロンに言う。ウォーフはすべて真実を明かし、カーレスを皇帝として崇めるよう提案した。カーレスは提案を受け入れ、コロスやウォーフ、そしてガウロンもカーレスに跪いた。
転送室。「虚無感でいっぱいだ」。表情の暗いウォーフが打ち明ける。「カーレスの復活の真偽は問題ではない。彼の教えは彼の存在に優る」とカーレスは言う。カーレスの言葉は的を得ていたようだ。ウォーフは「カプラ!カーレス」と言い、カーレスを見送った。