
◆タイトル てぶくろを買いに
◆制作 棚橋プロジェクト
◆サイト simple text
◆ジャンル サウンドノベル
◆対象 全年齢(一桁から)
◆ツール 吉里吉里2/KAG3
■→男性可?
昨今の世知辛い世の中にツンとくる、新美南吉の名作ノベル化作品でございます
絵本好きな方は皆知ってる、興味のない方も「ごんぎつね」と同作者と言えばピンとくるのではないでしょうか
ただしこちらは「ごんきつね」のように悲劇ではありませんので、その辺が苦手な方も安心して読むことができます
かくゆう私も日本三代トラウマ絵本が「ごんぎつね」「安寿と厨子王」「泣いた赤鬼」なものですから(笑)
←大人物は結構展開でも割りと平気で読むが、子供(特に女子)や動物、非人間が可哀想な目にあうのは耐性が低い
この「てぶくろを買いに」を手に取った当初は新美南吉作の作者名に「そりゃないよ展開」を恐れ、何年も読むことがありませんでした
ある先輩に「これは可哀想な展開じゃないよ」と教えられ恐る恐る読んだのは、なんと20代に入ってから!
以来、気に入り自分で本を買ってしまったくらい、大好きなお話です
短編だし、あらすじ等は語らない方が良いかと…
(あえていうならタイトルまんま、小きつねが「てぶくろを買いに」いく話です 笑)
「てぶくろを買いに」は新美南吉が生涯をかけて追求したテーマ「生存種族を異にするものの魂の流通共鳴」の代表作もいえる作品で、ラストのきつねのお母さんの人への呟きは、人間である読み手にこそ「どうなのかな…」と考えさせられる永遠の課題です
〜と、小難しいことを抜いても、その情景描写(自然に存在する美しさ、感情を自然に描写することがいかに難しいか…けして大げさではなく、そこにあるものをあるままに拾い上げる表現力の巧みさ+場面展開の上手さ)、きつねの親子の可愛らしさには何度読んでも感嘆と締まらないニヤけ顔が止まりません
ふーっ…何度読んでもほっくりするわ。もっかい読もう(笑)
さて、絵本は同じ文章で異なる挿絵が楽しみの一つですが、この作品も黒地に線画のスクラッチ画のような味のある挿絵です。
一緒にオリジナル画像に差し替えられる「開発環境版」が頒布されていますので、絵心のある方、絵を描くことが好きな小さいお子さんをお持ちの方は、ぜひ「自挿絵版」を製作なさってみてはいかがでしょうか
2011/08/27