
◆タイトル 雨ではなく、雪でなく
◆制作/サイト やまいぬワークス
◆対象 全年齢
◆ツール LiveMaker
従兄妹同士の悲恋とまではいえない所が却って切ない、「未恋」話
ハッピーエンドでは有りませんので、その辺が苦手な方は注意
絵(効果含む)も文章も上手く、適度にリアル、かつ情景描写はどこか詩的
詩的といっても、決してもって回った言い方等ではなく「ああ、そうそう」と素直に頷けるような例えや表現の語りです
流れ(あるいは転換や繋がり)がいいというのかな?
一場面の切り替えに突っかかる印象がない
「兄貴分」という盾で自分の気持ちを収めて(逃げて)いる主人公。対して昔からヒロインを「女」として見つめる主人公の兄。どうにもならないと解っていても、あがくヒロイン
絡まりつつも、三人三様永遠に続いていればそれなりのラインに留まれたんでしょうが、それも許さない田舎という環境
←主人公は都会に出ています
舞台自体冬ですが、登場人物達が東北出身という設定がどこか切なく、うすら寒い
多分、この田舎アイテムは都会(あるいは南)に生まれ住んだ方の方が郷愁や叙事として、素直に入ってくると思います
リアルに(登場人物の出身地より)北の田舎に生まれ育った自分には心境が解りすぎて身につまされて…読み進めているうちに段々キツく…あだだだ(笑)
孤独の真珠の美しさは、常に人が出入りする田舎者にしか解らないさ。ふっ(近い正月を思い、軽く眩暈)
この話の従兄妹同士という繋がりと障害も、都会なら遺伝子関係とその気になるかならないか(異性として見られるか否か)かの心持ちは別として、しがらみ云々は大して問題にもならないのかもしれない
本来、日本の法律では認められている範囲なんだし、個人の問題だもの
←遺伝的には、代を重ねて近親婚を繰り返しているのでなければ、そんなに危くは無いらしいです
親戚付き合い自体、少なさそうだし(あ、今の一人っ子世代の次代は、いとこ婚も無くなるのか)
「口は出すけど、金は出さない親戚縁者」が存在してこそ障害になりうるのかも
ラストの主人公の行動も、男ではないので、そこで動いたのだとしたら到底共感の及ぶ所はないですが、環境が一物絡んだのだとしたら、なんとなく…ああしかできないよなあ、と納得できます
ヒロインも後がないことが解っているからなかなか引かないのだし
男女の波を総て未消化に終えてしまっているこの二人には、どのみち発展はないのかもしれないけれども。は〜切な〜
「ハッピーエンドではないけれど、良質な苦さ」を美味く頂ける方にお奨めします
さてさて「いとこ同士は鴨の味」とは、かの聖徳太子の御言葉だそうですが、戦後の今、実際従兄妹婚って実際にあるのかな?と親に聞いてみましたら…いました(さすが田舎! 笑)
そのうち一件は、お裾分けをしあってる極近所の娘さんでした
しかもなんと幼馴染!昔から仲良かったそうですよ。何時の少女漫画?!(笑)
いとこ婚の聞いた分、見た分では以下の共通傾向が
・夫婦仲が良い(正に鴨の味?)
・旦那が(妻に)優しい
これはやはり、婚姻に到るまでになんらかの一山をもう越しているからでしょうね
ちなみに近所の娘さん夫婦は子供を作らない条件で親に許して貰ったそうです
それでも良いと言われたら、確かに女冥利に尽きる。納得
2009/12/19