西大道(城前町上大道・西大道町前田) MENU

馬頭観音:舟形高42cm 三面六臂 坐像 持物(輪宝・鉞斧・宝珠・独鈷杵)

   
【左】城前町上大道の馬頭観音             【右】祠の全景     .

城前の交差点のすぐ南,現在の瀬戸街道と旧道の分れ目の小さな祠に,馬頭観音が座っています(ガイドマップの「馬頭観音」)。大正時代に新道が造られた時に,この場所に据えられたものでしょうか。基壇には文字が刻まれていますが,残念ながら読み取れませんでした。大正に作られたものだとすると,そう古いものではないことになりますが,花などのお供えが絶えることはありません。近所の方たちが馬頭観音を大切にする気持ちは,現代も息づいているのです。

この祠は壁はコンクリート製ですが,屋根は木造トタン葺きという組み合わせです。尾張旭で見られる路傍の祠の多くが,全木製か全コンクリート製ですから,ちょっと珍しい感じがしました。馬頭観音としてはとぼけた表情が特徴的です。脇の手も,なぜか踊っているように見えてくるから不思議です。この像も筋向かいの城前町の馬頭観音(三面八臂立像の方)同様,三面の宝冠すべてに馬頭がついています。

ところで,この馬頭観音の所在地は「上大道」です。「上大道」の地名は「瀬戸街道の北側」を示すもの。つまり旧瀬戸街道を境として,「上大道」と「下大道」が分かれていたことが判ります。今は瀬戸街道の南に位置するようになっても,地名は昔のままに残っているのです。

   聖観音でしょうか,それとも阿弥陀如来?
さて,城前の交差点から旧街道を東へ進むと,いったん新道に接した後,横断歩道橋のたもとから東南東へと向かっていきます。そして左手に医院がある辺りに,右手への分岐が現れます。ここにも祠に入った道標仏らしい石仏が鎮座しています(ガイドマップの「道標仏」)。左の道は近世に開かれた比較的(あくまでも比較のうえで!)新しい道で,三郷方面へと向かいます。いっぽう,右への道は中世あるいは古代からの旧い道と考えられ,南原山町の「追分」へと続いています。

よだれかけを幾重にもされているため,体を見ることができず,種類が分かりません。とても小さな石仏です。地元ではお地蔵さまと呼んでいるようですが,頭の形を見ると盛り上がりがあります。これが肉髻(にっけい)だとすると,阿弥陀如来か薬師如来のようにも思えるのですが…どうなんでしょう。この地域も,聖観音の石像が多いようなので,これもその一つかもしれませんね。

手前の大きな鉢の中には,お賽銭が入れられていました。昔は、このお地蔵さん(?)にお願いすると「お乳がよく出るようになる」と言われていたため,近所でお参りする人が多かったとか…,地元の方にうかがったお話です。