佐倉市立美術館 体感する美術2002 耳をひらいて Open your ears
風鈴プロジェクト(IFSによるワークショップ)
風鈴屋台繁盛記その8
6月29日(土) 第1回屋台制作
美術館正面玄関にむかって左手にあるスペースで、風鈴屋台の制作が開始された。
かなづちや電動のこぎりのけたたましい音、指示を交わし合う大きな声。およそ美術館の静けさとは無縁の激しい音が周囲に響く。
「なにをやってらっしゃるの?」
「風鈴屋さんの屋台をつくっています!ユーカリが丘と城址公園と甚大寺に風鈴屋さんが現れますのでぜひ遊びに来てくださいね!」
通りに面したスペースのシャッターを開けて作業をした。だから、路行く人が不思議がってつぎからつぎに声をかけてくる。
「竹はね、砂で磨くとピカピカになるんだよ。まぁ、手っ取り早いのは縄に油をつけて磨くこったね。」近所のオジイサンがやって来て、あれやこれやレクチャーしてくださる。
また、小さな女の子も遊びに来て簡単な作業を手伝ってくれる。
美術館にオデカケにいらしたご婦人までもが騒然とした製作現場に興味津々である。あ、そんなに近づくとせっかくのお洋服が汚れてしまいますよ。屋台の制作場所については喧々諤々の議論があったのだが、けがの功名というべきか、美術館の通りに面した場所をオープンにすることで草の根レベルで地域とのコミュニケーションがうまれた。加えて、「風鈴プロジェクト」の制作プロセスをいくらか公開することができた。
屋台制作は綱渡りで進んでいる。平日、中央工学校の生徒さんは授業があるし、IFSのメンバーにはそれぞれの仕事、生活がある。可能な限りスケジュールを調整して、作業をおこなっている。明日は完成させるつもりで臨まないといけない。
6月30日(日) 第2回屋台制作今日も美術館の開館と同時に作業場ではかなづちの音が響く。
昨日、裁断した資材を組み立てていく作業。また、木目が剥き出しの木材に白のペンキを塗っていく。
今日はIFSメンバー総出であった。
山本さん(IFSでは貴重なオトウサンメンバー)は終日、力仕事を買って出てくださる。若い人間が集まった現場のなかに経験を重ねた方がひとりいてくださるだけで、雰囲気に落ち着きが出る。また、他のメンバーは各自が来ることのできる時間に来てくださる。制作風景の記録や差し入れをわんさか届けてくださる。後方支援、ありがたい。各人が可能なかたちでの関わりを重ねる共同作業だ。屋台制作と並行して周辺商店街の商店、一軒一軒にお伺いし、「風鈴プロジェクト」への協力をお願いする。依頼の内容とは、店の方に絵付けをしていただき各店オリジナルの風鈴を店先に下げていただく。同時に音のエクセサイズにも答えていただき、それを美術館に展示する、というもの。商店街回りは先週から漸進的にすすめてきた作業で今日は永山さんと井澤さんが奔走。
地域へのアプローチのスタイルは多様に存在するだろうし、それを模索する必要があると思う。今回、僕たちは各商店と対話するかたちで意思の疎通を図った。そこからは、好意的な返答ばかりを得られるわけではなく、「商売の邪魔をしないで」だとか、地域エゴ剥き出しの返答もあった。それらの返答は当然のことだろうし、だからこそ対話というスタイルをとったのだ。骨が折れる作業ではあるがつづけようと思う。
屋台制作が進むなか、折りしも横浜国立競技場ではワールドカップ決勝戦、ブラジル対ドイツの試合がおこなわれていた。よって、本日ははやめに帰りましょう、それでビール片手にテレビ観戦しましょう、と予定を立てていたのだが、そううまくことが運ぶはずもなかった。みな「決勝戦見たい!」などとはおくびにも出さず耐え忍んで作業をつづけた。
けれども、屋台完成はみず。7月3日に完成を期して今日は解散。
7月3日(水) 第3回屋台制作ついに屋台がその姿を明らかにする!
一同歓声をあげる。これを短期間で仕上げたとは思えないでき。
中央工学校のみなさん、どうもありがとう。石野君、大川君、倉田君、高梨君、中込君のその職人的な仕事にはかなり驚かされた。桜井委員長氏は口だけ動く人かと思ったが、手も動いていましたねぇ。スバラシイ。遊馬さん、椎名さん、間明田さんは僕の遅々として進まない竹の細工をともに作業してくれた。たいへん助かった。ありがとう。そして、一番の功労者はコーディネートなさった中村先生と永山さんだろう。お二人の仕事っぷりをこれまで拝見させていただいてたいへん勉強になった。僕も将来はあれだけのイイ仕事がしたい。今日も屋台制作と平行して商店街まわりをおこなう。再びIFSメンバー総出。IFSと中央工学校生が共同で進めてきた作業が今日、屋台というかたちになって結実した。
さて、あとは実施を残すのみである。土曜日が待ちどおしい!
屋台制作風景の様子はこちらでもご覧いただけます。