佐倉市立美術館 体感する美術2002 耳をひらいて Open your ears
風鈴プロジェクト(IFSによるワークショップ)
風鈴屋台繁昌記
文:深田 耕一郎
イラスト:波多野 勤子
僕は関西の出身だ。
関西といっても広いが大阪や神戸といった華やかなまちではなく、田んぼと山が広がる片田舎である。関西弁で(もしかしたら僕の田舎だけかもしれないのだが)「いちびる」という言葉がある。それは「子供が調子づいて騒ぐ。喜んでふざける。」といった意味だ。また、その行為者を指して「いちびり」という。
僕は幼いころ、大人を喜ばせようとしょうもないことをして母親に「いちびりっ!」とよくいわれた。考えるに、この「いちびり」の精神が現在の僕にも流れている。「いちびり」の精神と関西人特有のshynessが混じり合って現在の僕をかたちづくっていると思う。
そんな関西出身の僕が東京に出てきてから2年目、東京の郊外、佐倉というまちに出会った。そのまちの美術館で「体感する美術」という企画に参加し、そのなかで「風鈴プロジェクト」なる試みを実施した。