佐倉市立美術館 体感する美術2002 耳をひらいて Open your ears
風鈴プロジェクト(IFSによるワークショップ)
風鈴屋台繁盛記その1
4月4日(木) 佐倉まち歩き
今日、僕は佐倉デビューを果たした。
「風鈴をさげてもらってもいいですか?」と、京成佐倉駅から美術館までのびる商店街を一軒一軒、尋ね歩いて回ったのである。まず、率直な感想を。
ひとと会うのってこんなにも疲れるものなのか、というのが第一のそれだ。
お店のオッチャン、オバチャンはそれぞれによく喋る、よく喋る。
とくにオバチャンの喋りっぷりったらない。
僕「あのぉ、すみません風鈴を…」
オバチャン「なに?風鈴?そうねぇ、ここねぇ風が強いのよ。ビル風。そこにビルがあるでしょ。あれができてからね、風が強くってたいへんなのよウチ。こないだなんて、ウインドウが割れちゃって。それでね向かいのオクサンがね…」
と、ここを出発点におよそ風鈴とは関係のない話題が小一時間つづく。
それがつづいた後、結論らしきものにようやくたどり着く。
その間、僕は「ハァ、そうですか!ホゥ、それはタイヘンでしたねぇ。」などと適当な相槌を繰り返していた。
このやり取りが僕を疲れさせたと思うのだが、決して無駄ではない大切な会話なのだろうとも思う。風鈴と、あるいは音とは関係のない話題であっても、どこかに「風鈴プロジェクト」にとって有益なヒントが隠れているのではないか。また、日常的な会話を重ねながら、音に関わるエッセンスを引き出すことができるのではないか。
そうやって、仲良くなってしまおう。そんな思いでオッチャン、オバチャンと接した。今日は13軒のお店をまわった。
"まち"と"風鈴"の相性はどんなものかと確かめたわけだが、うち9軒は「風鈴をさげてもOK」というこたえだった。これは予想以上の好反応だ。あとは、商店街の方々とどうやってつながりをつくっていくかである。
今日はその端緒がいくらかつかめたように思う。
僕のような佐倉とは無縁のストレンジャーにこそ見えてくるものがあるのではないか、そう思えた今日は僕にとって佐倉デビューと呼ぶに相応しい一日だった。
また、商店街にうかがったあと、ミーティングをおこなった。
まちに出たのはいいものの実は"風鈴プロジェクト"というタイトルと"まちに風鈴をズラッと"しか決まっていなかった。今日のミーティングで次の案が可決された。「風鈴屋台がまちに出て市内各所に"音の種=風鈴"を蒔こう。でもって、風鈴屋のアンチャンは深田で。」というわけだ。なんと、風鈴屋台である。これは面白くなってきたぞ「風鈴プロジェクト」。いっちょパァッとやりましょうか。