1通目のメールが来た
 
親愛なる○○○○様

 突然のメールをご容赦いただきたい。
 以前、当サイトのアンケートにご協力いただいたスペシャルゲスト限定でこのメールは配信している。

 弊社ギャンブル研究社では、このたび、あるギャンブルの必勝法を開発した。
 貴重な情報であるため、本当に興味のある方、情報の価値を理解する方にのみご提供したい。
 お金をもうけることに興味のない方は、直ちにこのメールは削除していただいて結構。
 そうでない方は、我々の検証結果をご覧いただきたい。

 弊社の開発した必勝法を手法Aとしよう。
 他のライバル3社の開発した必勝法をそれぞれ、手法B,手法C,手法Dとする。
 さて、これらの必勝法のうち、一番もうかるのはどれなのか。
 論より証拠。
 実際にこれらの手法を実施してみて、その結果のありのままをここにご覧に入れる。
 結果をご覧いただき、本物かどうかをご自身でご判断いただきたい。

 これら4種類の手法をそれぞれ1000人のギャンブラーに1000回繰り返して確かめてもらった。
 最終的に一番儲かるのはどの手法か。
 結果をズバリごらんに入れよう。
 その手法を実行した人のうち、最終的に手元資金がプラスになった人数を示したものが下のグラフだ。
 さて、あなたが同じギャンブルに参加するとしたら、どの手法を採用したいと思うだろうか。
 


手法A 手法B 手法C 手法D
410人 171人 50人 10人

 余計な解説は必要ない。一目瞭然である。
 誰が見ても手法Aであろう。
 1000人の人が手法Aを1000回試して、400人以上の人が最終的にプラスだったのである。
 勝率40%。
 他と比べて圧倒的な好成績である。
 第2位の手法Bに比べて2倍以上の差をつけて堂々の1位だ。
 これほど勝率の高い手法はめったにあるものではない。
 正直なところ、私どもも検証結果を見て驚いている。
 今回の手法は優れているという確信はあったが、これほどはっきりした結果が出るとは思っていなかった。

 4割しかプラスになっていないことを心配する人もいるだろう。
 しかし、ギャンブルを少しでもやったことのある人ならすでにおわかりのはず。
 スッカラカンになってしまう人が多いギャンブルにおいて、4割がプラスというのは驚異的なのである。
 従来なら、手法Bや手法Cぐらいの成績でも、好成績であった。
 それらと比べて、弊社の手法Aの優秀さを実感していただきたい。

 しかも、これは1000人がそれぞれ1000回繰り返した結果だ。
 1人や2人がやってみて、たまたまの偶然でこうなったというものではまったくない。
 だれが検証してもこの結果以外出ようがないことを保証する。
 
 ところで、手法Dの成績のひどさは目に余る。
 プラスになる可能性が僅かに1%。
 ほぼ確実に失敗する手法と言っていい。
 このような手法を堂々と売っている業者がいるのだ。
 くれぐれもこのような業者に惑わされぬよう警告申し上げる。

 
 さて、弊社の必勝法は、とっておきの秘術のため、この段階ではすべてを公表できないのが残念である。
 興味のある方には、追って、さらに詳しい情報を提供しよう。
 よろしくご検討のほどを願う。


                                                         ギャンブル研究社

 いかがでしょうか。
 いかにも怪しげなメールですね。
 普通ならこんなのはスパムメールとして削除ですが、ここでは少し待ってください。
 このメールに書かれていることに、ウソはないことを前提に考えていきましょう。

 この段階では、ギャンブルというのはなんのギャンブルなのかわかりません。
 手法A、B、C、Dというのも、どんな方法なのかもわかりません。
 でも、4割の人が儲かる手法ということであれば、そんなに悪いものでもなさそうです。
 しかも、手法B,C,Dに比べた時、その違いが歴然と出ています。
 これを見る限り、手法Aはとびっきり優秀な手法のようです。
 でも、ここまで結果がはっきり出ていると、却ってあやしく思えてきます。
 「何か裏があるんじゃないの?」
 そんな気がしてきます。

 いったい、何のギャンブルで、どんな賭け方をするのでしょう。
 競馬? パチンコ? スロットマシン?
 分からないことが多すぎて、まだ判断できません。

 と、いろいろ考えていると、2通目のメールが飛び込んできました。
 あなたは、ここで次のメールを読んでみますか。






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