HDD&DVDレコーダーの賢い選び方と使い方

HDD内臓のDVDレコーダーを購入しました。 機種は東芝のRD-XS46モデルで ハードディスク容量250GB
2番組同時録画機能 BSアナログチューナー(NHK衛星放送第1&2録画可)を装備し 購入価格は\73,000で
した。 このページでは 実際に購入し利用してみた体験から DVDレコーダーについて 私見を述べます。

1.DVDレコーダーの種類と特色

DVDレコーダーと言えば 一般的には ハードデイスク(HDD)内臓のDVDレコーダーを意味し HDDとDVD
それぞれに録画と再生の機能を持ちます。 カタログなどには正確を期すために HDD&DVDレコーダーと
表示され HDD内臓なしの機種を DVD単体レコーダーと表示することがあります。 

DVDレコーダーの種類を広義に解釈し整理すると 以下の如くなります。

         (1) HDD+DVD : HDD内臓DVDレコーダー
         (2) HDD+DVD+VHS : HDD内臓VHS一体型DVDレコーダー(3in1タイプ)
         (3) DVD : DVD単体レコーダー(HDDなし)
         (4) DVD+VHS : VHS一体型DVDレコーダー(HDDなし)
         (5) HDD : HDD単体レコーダー(DVDなし)
         (6) DVD : DVD単体プレーヤー(HDDなし 録画機能なく再生機能のみ)

DVDレコーダーの主流は  (1)のHDD内臓DVDレコーダーで HDDとDVDの両方を装備しているので 
HDD&DVDハイブリッドレコーダーとも呼ばれます。 HDD&DVDハイブリッドレコーダーは HDD単体
レコーダーとDVD単体レコーダーのそれぞれに 録画機能と再生機能を持ちます。 

(3)と(6)の違いは 録画機能の有無で 共にHDD内蔵なしです。 (4)もHDD内臓なしの機種ですが DVDと
VHSそれぞれに 録画・再生機能があります。 (5)と(6)はDVDレコーダーと呼べません。 (5)はDVDなしの
HDD単体レコーダーで 録画・再生機能を持ちます。 (6)は再生機能だけのHDDなしのDVD単体プレーヤー
です。

HDDもDVDもVHSも全て使いたい方には (2)の3in1タイプと呼ばれるHDD内臓VHS一体型DVDレコーダー
があり 当然ながら 値段の一番高い機種です。 私は(1)のHDD内臓DVDレコーダーを購入し 従来から
使っていたVHSビデオテープレコーダーも繋ぐことで 実質的に(1)を(2)の如く使っています。 私が行った
このやり方は テレビ・DVDレコーダー・VHSビデオテープレコーダーの3つを接続する方法が少し複雑に
なります。

以下 この頁でDVDレコーダーと書く場合は 基本的にHDD&DVDレコーダーを意味します。

私のHDD&DVDレコーダー仕様
(東芝 RD-XS46)

HDD 250GB
HDD録画時間 SPモード 113時間
2番組同時録画(W録)チューナー
BSアナログチューナー
DVDマルチドライブ
EPG(電子番組ガイド)ADAMS
購入価格 \73,000

テレビ台の中 上段DVDレコーダー
下段VHSビデオテープレコーダー


テレビ画面に映っているのは
ADAMS方式のテレビ番組表



2.DVDレコーダーに求められる機能

DVDレコーダーは VHSビデオテープレコーダーでは不可能だった様々な便利機能と 全く新しい使い勝手
を実現させています。 今まで使っていたVHSビデオテープレコーダーの「テープ」の代わりに DVDレコーダー
の「DVD」を使うのであれば DVDレコーダーを買うメリットは余りありません。 DVDレコーダーの最大メリット
は VHSビデオレコーダーでは絶対に不可能だったことを DVDレコーダーの内蔵HDDが可能にした  HDD
レコーダーとしての録画機能と再生機能にあります。

VHSビデオテープレコーダーで不可能なことが HDDレコーダーでは何が可能なのかを 簡単にまとめると
以下です。

   HDDレコーダーで可能なこと:

    (1) ビデオテープやDVDディスクの出し入れなしに 本体内臓のHDDに長時間(HDD容量250GB
       なら113時間)録画し再生できる。
    (2) 録画・再生中でも録画予約でき 録画中でも再生できる。
    (3)  2番組同時録画(二つの番組を内臓HDDに同時録画)ができる。
    (4) 電子番組表で簡単に録画予約し 録画内容の番組名表示から見る番組の選択が容易。 
    (5) HDDはビデオテープより「早送りと早戻し」を短い時間で行なえる。 録画の消去も瞬時に可能。
    (6) 録画途中の番組でも前に戻って始めから見られる(追っかけ再生)。

広義に解釈して6種類のDVDレコーダーがある中で どの種類を選ぶかは ユーザーの使い方で決まります。
私のDVDレコーダー利用方法は 「HDDに録って見て消す」がほとんどで 「DVDに録って見て消す」ことは
めったにありません。 私のこの利用方法だと DVDのないHDD単体レコーダーを購入すれば足りる
のですが 偶にはDVD映画ビデオを借りて見ることもあるので HDD &DVDハイブリッドレコーダーを 私は
選びました。

購入するDVD レコーダーに求められる機能は何かというと これもユーザーの使い方次第です。 私は
DVDレコーダーを選ぶのに 「2番組同時録画」「BSアナログ放送録画」「HDD容量250GB」の3つを必要条件
としたところ 数ある機種の中で東芝製品にほぼ絞られ 価格も考え東芝のRD-XS46に決めました。

「2番組同時録画」のことを 東芝は「W録」と呼び セールスポイントにしていますが 是非ほしい機能です。
W録には 地上アナログチューナー2ケの装備となります。 「BSアナログ放送録画」(NHK衛星放送 BS7
BS11)をするなら BSアナログチューナー搭載が必要です。

HDD容量によりHDD録画時間が異なり 標準画質(SPモード)で録画すると 250GBの HDDは113時間 
160GB のHDDは70時間 録画可能です。

DVDディスクには DVD-RAM DVD-R DVD-RWの3種類があります。 3種類のディスク(メディア)全てを
利用できるのは 「DVDマルチドライブ」機能を持つ機種であり 予算が許すならマルチドライブがお勧めです。

電子番組表(EPG)は 便利な機能で DVDレコーダーの標準機能として定着しつつあります。 地上アナログ
放送と一緒に送られてくる電子番組表には ADAMS-EPGとGガイドの2種類があり 広告掲載のない
ADAMSの方が番組内容を見易いです。

ところで 同時に録画予約できる件数(番組数)には 限度があることを 購入後暫く経ってから知りビックリ
しました。 東芝のRD-XS46は 32件(番組数)が同時に録画予約できる限度です。 既に32番組が録画予約
されているときは どれか予約番組を取り消してからでないと録画予約できません。

同時に録画予約できる件数に限度があるという説明は カタログにも取扱説明書(準備・簡単操作編)にも
全くなく 取扱説明書(操作編)にある[「Gコード予約」の中で 「お知らせ」として説明されています。
この情報は 購入者にとって重要な情報であり HDD容量250GB 最大録画スペース約445時間を必要と
するかどうかの判断に影響します。 カタログ等に明確な説明が何故されないのか 東芝に問合せたところ
「配慮が乏しく迷惑をかけた」
というだけの回答でした。

3.売れ筋ランキング

2004年度のDVDレコーダー出荷台数は403万台と 前年度の192万台から110%増しとなり 2005年度には
540万台になると予測されています。 日本国内の世帯復旧率は推定で14%強に達しています。 
DVDレコーダー購入者層の中心は 「新しいもの好きで比較的ITリテラシーの高い消費者」(MM総研の調査)
だそうです。

出荷単価は 2003年 \72900  2004年 \54100 の如く 価格下落が続いています。 メーカー別シェアは
1位から順に 松下電器 28.3% ソニー 22.1% 東芝 16.4% パイオニア 10.2% シャープ 7.4% です。 6位の
三菱電機が低価格攻勢でシェアを伸ばしており 新規参入メーカーの増加で 4強が全体に占める2004年度
の割合は 77%に落ちました。

DVDレコーダー機種の売れ筋ランキングは 「日経ベストPC+デジタル」の平成17年4月号記事によると
以下です。(注:GfK JAPANによる2005年1月22日〜2月20日の集計結果) 

                      (DVDレコーダー売れ筋ランキング)           
順位 メーカー 機種 HDD容量 実売価格 発売時期
1位 ソニー RDR-HX50 160GB \44800 2004年11月
2位 松下電器 DMR-E87H 160GB \35800 2004年10月
3位 東芝 RD-XS36 160GB \64800 2004年11月
4位 ソニー RDR-HX70 250GB \63800 2004年11月
5位 パイオニア DVR-525H-S 160GB \49800 2004年11月
6位 日本ビクター DR-MX3 160GB \81800 2004年11月
7位 松下電器 DMR-E250V 160GB \77800 2004年9月
8位 三菱電機 DVR-S300 なし \38800 2004年6月
9位 松下電器 DMR-E220H 160GB \80800 2004年10月
10位 日本ビクター DR-MX5 250GB \91800 2004年11月
 
8位の三菱電機DVR-S300は HDDを内臓しないVHS一体型DVDレコーダーです。 私がDVDレコーダーに
求めた 「2番組同時録画」「BSアナログ放送録画」 という2つの条件を満たす機種は 売れ筋ランキング
10位内では 3位の東芝 RD-XS36(HDD容量160GB) のみでした。 私はHDD容量に余裕のある250GB
を望んだので 同じ東芝の上位機RD-XS46(HDD容量250GB)を 選びました。

4.賢い選び方と使い方

DVDレコーダーを選ぶ重要なポイントとして 「使いやすさ」「画質」「機能」の3つありますが 2番組同時録画
やBSアナログ放送録画など 自分の求める機能の装備が 最も重要です。 どの程度のHDD容量にする
かは 購入価格差も考えると 難しい判断です。 使い方から考え 160GBでも充分ですが 予算が許すなら
余裕のある250GBがお勧めです。

DVDレコーダーの機種を選び購入した後で HDD&DVDレコーダーを実際にどう使っているかとなると 私を
含め ほとんどのユーザーは 内臓HDDに「録って見て消す」という専らの使い方になり DVDディスクに
「録って見て消す」という使い方は ほとんどしない筈です。

このような使い方になることが初めから分かっているなら HDD&DVDハイブリッドレコーダーではなく HDD
単体レコーダー(DVDなし)を初めから選ぶ選択肢もあります。 既にHDD&DVDレコーダーを1台持っている
なら 2台目はHDD単体レコーダーを選び 1台目と接続させれば2台共DVDを利用できます。 HDD単体
レコーダーとして 東芝はHDD容量250GBの機種RD-HIを 3万円ほどの実売価格で通信販売しています

HDDレコーダーを使った面白いビジネスモデル(商売)として 米国のティーボ社があります。 

1997年に創業したティーボ社は テレビ番組の自動録画サービスを手がけています。 同社は 米国でDVD
レコーダーを1台100ドルで販売し 利用者はHDDレコーダーを操作して見たいテレビ番組をティーボ社に
インターネット経由で伝え 録画(コマーシャルなしも可能)してもらいます。 ティーボ社は 米国でこの
サービスを 月額料金13ドルで提供し 300万人の利用者を獲得しており 日本市場にも参入する計画中
です。 しかし 日本で現在売られているHDD&DVDレコーダーは ティーボ社のサービスを頼まなくても 
同様の機能を既に持っているので ティーボ社が日本市場で成功できるか 私は疑問です。

ライブドアの堀江社長は フジテレビの大株主である日本放送の過半数株を取得し インターネットとラジオと
テレビを融合した 新たなビジネスモデルを展開させる3社の業務提携を求めました。 堀江社長の思惑
どおりの決着となったのかは 良く分かりませんが 米国のティーボ社のビジネスモデルやHDDレコーダーは
テレビのあり方そのものを 大きく変える可能性があり 堀江社長の意図する方向は 時代の流れとして
正しいのだと思います。

テレビ局は 広告(CM・コマーシャル)に依存するビジネスモデルです。 CMをスキップした1週間分の
全局テレビ番組を録り貯めできる大容量のHDDレコーダーが 近い将来に普及すれば  「見たい時に
見たい番組をCM抜きで見る」ことが可能となるので 民放テレビ局のビジネスモデルは崩壊します。 
米国では HDDレコーダーを利用している人の9割が テレビのCMをスキップしているという調査結果があり
ます。 日本でも同様に HDDレコーダーが普及し フジテレビを含めたテレビ番組をCM抜きで見るように
なるなら 広告収入に依存する民放テレビ局の経営は成り立たなくなります。

1週間分の全局テレビ番組を CM抜きで録画できる大容量HDDレコーダーが 早急に普及するとは考えられ
ないので こうした心配は杞憂に過ぎないと思うかも知れませんが 大容量でない80GB程度のHDD容量でも
「追っかけ再生機能」を使えば 録画を続けながら 録画中の番組をCM抜きで冒頭から見ることができます。
賢いHDD&DVDレコーダーの使い方として 例えば 2時間の民放テレビ番組に30分のCMが含まれるなら  
番組開始の30分後に「追っかけ再生機能」を使い CM抜きの録画を冒頭から見始めれば 番組終了と
同時に見終えることができます。 

こうした賢い(?)使い方が 将来は増えるであろうと考えると 広告に依存した民放テレビ局のビジネス
モデルを転換させる必要があり ホリエモンに言われるまでもなく インターネットと融合した収益源の多角化
が求められます。 収益源の多角化とは テレビに双方向を持たせることであり オープンな仕組みの
インターネットの潜在力を活かして ホームページからラジオ放送を聴いたりテレビ番組を見たりできる 
新しいビジネスモデルで顧客を囲い込み 物販から金融までの幅広いビジネスチャンスにつなぐことです。 

5.HDDの断片化が進むことによるトラブル

重宝して使っていたところ 購入してから約1年後に HDDの録画や再生時等に パソコンのフリーズと似た
現象が起きました。 電源を強制的に切ることにより 一時的に解決するのですが 同じトラブルが続くので
東芝に電話して対応策を聞きました。

東芝の回答は HDDの断片化が著しく進むと起き勝ちなトラブルで 解決策はHDDの初期化であり 初期化
しても HDD&DVDレコーダーの設定は変わらないが HDDに録画した番組は消えてなくなるということでした。

HDDに録画した番組をDVD-RAMに移した後で HDDを初期化したところ HDDは完全に壊れてしまいました。
修理を東芝に依頼したところ 保証期間(1年)を2カ月過ぎていましたが HDDを無償で交換してくれました。

修理を待てないので 同じ機種のupgrade版であるRD-XS48(HDD300GB 購入価格\56800)を購入しました。
旧機種のRD-XS46(HDD250GB 購入価格\73000)に比べ HDD容量を除き基本仕様がほぼ同じものを
選んだのは 使い慣れた機種に似たものの方が再設定などの面倒が少ないと思ったからです。

HDDは壊れても DVDだけを使い文字どうりのDVDレコーダーとして使えば不都合ないのですが HDDの
使えないDVDレコーダーは利用価値がありません。

6.まとめ

結論は何か このページ全体をまとめます。 

HDD&DVDレコーダーが 比較的短期間のうちに急速に普及したのは テープがDVDに替わったことによる
のではなく VHSビデオテープレコーダーとは異なる全く新しい使い勝手を提供できた為です。 その最大の
功労者は HDDの特性を生かした機能で 内臓HDDに専ら「録って見て消す」という 従来の
テープレコーダーには無い 便利な使い方をもたらしました。 

電子番組表を使い 簡単に録画できるので HDD&DVDレコーダーを利用したテレビとの付き合い方は 
VHSビデオテープレコーダーとは異なるものとなります。 具体的には 録画が簡単なので 面白そうな番組
をHDDにドンドン録り チョット見てつまらなければドンドン消し CM抜きの録画を見ることになります。

HDDレコーダーの普及でCM抜きの録画を見ることが定着すると 広告収入に依存する民放テレビ局の経営
は難しくなります。 民放テレビ局としては そうなっては困るので HDDレコーダーに録画しなくても 
インターネットのポータルサイト(ホームページ)から 「見たい時に見たい(放送済み)テレビ番組を見て
貰える」 対抗策が必要となります。

この対抗策は 各民放テレビと各ポータルサイト(ソフトバンク ライブドア 楽天 民放テレビ局など)の
双方にとって Win-Winの関係となります。 各ポータルサイトは ブロードバンド化が進む中で  
動画コンテンツ(即ちテレビ番組)を多く確保する必要があり ネットとテレビの業務提携は望むところです。 
また 各民放テレビ局にとっても HDDレコーダーに録画して「CM抜きでテレビを見る」流れを止めるだけ
でなく 収益源の多角化を図れることにもなります。 著作権など派生する諸問題は大きな障害とはならず
解決できる筈です。 

HDD&DVDレコーダーは 「テレビの見方だけでなく 民放テレビ局のビジネスモデルも大きく変える」 
というのが 私の結論です。

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