カーナビの功罪

平成の「三種の神器」とは何か 皆さん ご存知でしょうか?  正解はカーナビ 携帯電話 パソコン
の三つだそうです。

カーナビ(Car Navigation System)を買うべきか迷いましたが 新車(トヨタのカリーナ)購入を機に
トヨタの純正カーナビ(松下電器製)を装着しました。 このページではカーナビゲーションを自分で実際
に使って見た体験から その功罪について評価します。 今後カーナビ購入を検討される方の参考と
なれば幸いです。

装着した機種は 「ワイドマルチAVステーションU」 というオーディオ機能を一体化したものです。 
CD-ROM 5.8インチのTVモニター DGPS対応 ボイスナビゲーション FM多重放送表示などの機能
付きで 車のセンターコンソールの中に設置(オンダッシュでなくインダッシュ式)されています。 
購入価格はメーカー希望小売価格20万円に対し5万円引きでした。 本題である功罪評価に入る前に
カーナビの仕組みや原理について少し触れますが 既にご存知の方は飛ばして下さい。 
カーナビの各機能を使いこなすには 原理について基礎知識が必要です。


T。 カーナビとは?

カーナビは 人工衛星から発信される電波を受信して 自車の位置をモニター(ディスプレイ画面)の
デジタル地図上に表示し 目的地までドライバーを道に迷わないよう誘導するシステムが基本です。
自車の位置はGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)という 地球上空2万1千kmに
打ち上げられた軍事衛星27ケの内3ケからの電波を受信し 三角測量の原理で自車の経度と緯度が
測定されます。 経度と緯度に加え高度も測定する場合には衛星4ケを使います。

GPSはもともと米国が軍事目的に開発したもので 一部が民間に開放されています。 悪用されること
を回避する為に意図的に精度が落とされており 精度は数m〜数十mの誤差で 常に変動しています。
この誤差を約10分の1に補正するシステムがDGPS又はD-GPS(Differential GPS)で 誤差を含んだ
GPS衛星電波を各地の基準局で受信し その誤差を測定し 補正データをFM多重放送からカーナビに
送信し測位精度を補正します。 DGPSはFM多重放送を受信できる状態で機能するので オーディオが
OFFであったり AMやテレビ(音声)放送受信中だと機能しません。 (注: 平成12年5月2日より意図的
にGPSの精度を意図的に落とす処理を止めています。 従い既にDGPSは必要なくなっています)

カーナビは電波を利用する特性上 ビルの谷間やトンネル 高架下などでは測位できないという問題が
あります。 この問題を解決する為に 車速パルス(信号)とジャイロセンサーを使用した自律航法
(自航法と書く説明書もありますが誤りでは?)が利用されています。 車速パルスから移動距離を
検出できますが カーブしている場所ではジャイロセンサー(重力がかかる方向を検出し車が曲がった
方向を知る計器)併用により自車位置を測定します。 GPSと自律航法を併用し精度を上げる方法を
ハイブリッド方式と呼びます。 これ以外にマップマッチングにより 自車位置を地図の道路上に強制的
に表示させ 海岸道路をドライブしているのに 自車が海の上に表示されるようなことを避けさせて
います。 マップマッチングは表示されている自車位置と実際に走行している場所のズレが少ない場合
に限り 実際に走行している道路上に自車位置を補正し表示するもので ズレが大きい場合には補正
されません。  こうしたことにより 実際の位置と表示される位置の誤差はほとんどゼロ(厳密には
数mの精度)となっていますが 高さの精度は3Dセンサーを利用しても未だ課題として残っています。

目的地の設定は「検索」と呼ぶ目的地を探す機能によります。 電話番号 住所 郵便番号 施設の
名前 業種などが検索データベースとして用意されており 各データに位置情報(経度・緯度)が付加
されています。  目的地を検索データの中から選択すると 目的地の経度・緯度がデジタル地図上に
プロットされます。 検索データの内容は各社それぞれで 検索データにない目的地は 表示された目的
地近辺のデジタル地図を使い ワンタッチでどこにでも設定可能です。

「ルート探索」 別名「自動ルート探索」は 自車の位置から目的地までの適正ルートを計算して探し
出し ルートガイド(目的地までの道案内)する機能です。 どの地図データを使い どの道のどの
交差点を曲がるかといったことは 各社のプログラム(アルゴリズムという計算式)により差がでてき
ます。  ルート探索には 道幅 距離優先 高速道路使用 迂回したい場所(通過点)などの条件を
加えた カスタマイズ機能があります。 探索されたルートを変えたい場合には 別ルートを探索させる
ことも出来ます。 「オートリルート」 別名「自動ルート再探索」は 当初のルートガイドから外れて
ドライブした場合に 目的地までのルートを改めて自動的に探索する便利な機能です。 「音声ガイド」
別名「ボイスナビゲーション」があれば 節目となる曲がるべき交差点に近づくと 「およそ○○m先 
右方向です」 の如く 音声によりガイドされます。

カーナビには VICS(Vehicle Information & Communication System)という 道路交通情報通信
システムをオプション設定できます。 警察が収集した一般路の情報と 道路公団が収集した高速道路
の情報がVICSセンターに送られ 編集された情報がFM多重放送 電波ビーコン 光ビーコンにより
発信され カーナビに受信され モニターに表示されます。 VICS情報は渋滞情報(渋滞の区間と距離)
が主ですが 現在地からの所要時間 交通規制 速度規制 チェーン規制 駐車場情報 地震・津波
などの緊急情報も入ります。 FM多重放送(NHKのFMを利用した広域通信方法) 電波ビーコン
(主に高速道路に設置された通信方法) 光ビーコン(赤外線を利用した通信方法で主要一般道路に
設置) という3つの情報送信方法それぞれに異なる受信機が必要となります。  FM多重放送の
受信機が初めから内臓されている機種もありますが 光・電波ビーコンの受信機はほとんど別売です。
光・電波ビーコンの受信機がないと DRG(DynamicRoute Guidance) という渋滞回避ルートの探索は
出来ません。  VICS情報は 文字表示 簡易図形表示 地図表示 の3方法により表示されますが 
受信方法により内容の密度が異なります。 (注: 私のカーナビはFM多重放送の表示がされますが 
FM多重放送を使ったVICS情報を得るには VICSユニットというアンテナと専用受信機を3万円程で
別途に購入することが必要です) 

カーナビのメーカーには ソニー 松下通信工業(パナソニック) 松下電器 パイオニア ケンウッド 
富士通テン クラリオン 住友電気工業 デンソー マスプロ電工 カシオ計算機 三菱電機 シャープ
アルパイン ザナビーなど数多くあり 現在50超機種のモデルが販売されています。 1999年の
カーナビ出荷台数は日本国内で66万台でした。 メーカー別シェアは 松下通信工業(21.9%)
パイオニア(21.7%)  アルパイン(15.5%) クラリオン(15.4%) ソニー(6.1%) その他(19.4) でした。
私のカーナビ仕様:
5.8型モニター CD-ROM  D-GPS対応
ハイブリッド方式 目的地検索 
ルート探索 再ルート探索 
オートリルート 音声ガイド
TV放送受信 FM多重放送表示
オーディオ(AM・FMラジオ カセット CD)
 

(装備されてない機能:)
DVD-ROM VICS対応 
ボイスコントロール
携帯電話での情報通信システム
インターネット接続


U。 カーナビ進化の歴史

カーナビはパソコン同様 機能と性能の変化・改善スピードが速く ほぼ半年毎に新機種が登場し 
せっかく購入した新機種がすぐ型落ちになってしまいます。 新しいソフトを旧機種に載せバージョン
アップは可能ですが ハードを変えぬ限り新機種と同等の機能と性能は期待できません。

カーナビが進化してきた歴史は以下です。

1987年   出発位置と車速と方向地磁気で自車位置を推定(精度が悪く実用にほど遠かった)
1990年   GPSを採用したカーナビが初登場
1992年   CD-ROM利用によるデジタル地図の登場
1993年   GPSと自律航法を併用したハイブリッド方式の登場
1994年   目的地を指定しルート探索可能なシステム(道案内機能)が登場
1995年   脱着が容易なポータブルカーナビの登場
1996年   VICSサービス開始
1997年   GPSの精度を高めるD−GPSの採用(自車位置のズレがほぼ解消)
         CD−ROMに代わるDVDカーナビの登場
1998年   携帯電話(自動車電話)を使った通信情報システム採用のカーナビ登場
         インターネット対応のカーナビ登場
1999年   携帯ナビの登場
2000年    有料道路の自動料金徴収システム(ETC)の導入 
20XX年?  車の自動走行(AHS) 居眠り運転の防止などITSの本格稼動(予定)

CD-ROMに代わるDVDカーナビは CD-ROMに比べ容量が7.5倍(2層DVDだと13倍) 読み取り
速度も9倍のスピードという利点に対し 価格が5万円以上高くなります。

カーナビに携帯電話機能を組み込み 車内に居ながら外部から様々な情報を得る機能を
「テレマティクス」サービスと呼びます。 テレマティクスは telecommunication(通信)とinformatics
(情報科学)を合成した造語です。 トヨタは子会社 トヨタメディアステーション(株)が提供している
サービスとして「MONET」がありましたが 平成14年10月に「G-BOOK」という名称に変えました。 
G-BOOKは常時接続に特色があり 固定料金制(月額1380円)で 運転支援情報(駐車場検索 
交通情報 飲食店検索) エンターテインメント(カラオケ BGM ショッピング) 安全・防犯情報
(メインテナンス情報 事故・故障時のロードサービス 駐車中の異常を通報) コミュニケーション
(電子メールの自動読み上げ G-BOOKを搭載した仲間の車の位置情報) オペレーターによるサービス
(ナビゲーションの目的地設定 ホテル・レストラン予約)などのサービスを提供しています。

他社のテレマティクスサービスは常時接続(固定料金制)ではなく 日産は「カーウィングス」
ホンダは「インターナビ・プレミアムクラブ」と呼んでいます。

自動車メーカー各社がテレマティックスに力を注いでいるのは 新車販売後のユーザーとの接点である
アフターマケットの開拓に有効なツールとなるからです。 トヨタの固定料金はユーザーが使えば使うほど
トヨタは赤字となる仕組みですが パソコンがダイアルアップ接続から固定料金制であるADSLの常時
接続に変わったように 長期的な視野から ハイブリッド車と同様に トヨタにはG-BOOKを業界の
デファクトスタンダーにしたいという意図があります。

ITS( Intelligent Transport System)は次世代の高度道路交通システムで 完全自動制御による
道路運転システムを目指しています。。 21世紀初頭の実用化を目標に 日米欧の官民が協力して
自動車の安全(事故回避) 渋滞問題 環境破壊などの多用な問題を 通信やエレクトロニックスの
技術を駆使して解決すべく力を注いでいるプロジェクトです。 VICSはITSの一部分として実用化が
先行したものです。 ITSとして開発された技術が国際標準として採用されれば自動車・通信産業に
かかわる巨大な市場の指導権を握ることになります。 

カーナビが今後どう進化していくのか予測困難ですが ITSの中に取り込まれたシステムとして 益々
重要な存在になると私は見ています。 カーナビの進化は 地図から道案内 更にはエンターテイン
メントと 未来の自動ドライブシステムに繋がる情報通信機器 への広がりにあります。 エンターテイン
メントと情報通信 何れの機能を将来 重要視するかにより カーナビに要求される機能は変わります。
 

V。 カーナビの良いところ(功績) 

1.  ハイテクのおもちゃとして 新し物好きな人の好奇心を十二分に満足させてくれますし 何よりも
    車を運転する楽しみが増えます。
2.  自車の位置が地図のどこにあるか かなり正確に表示されるので道に迷う頻度が減ります。
    日本の道路事情ではカーナビなしに地図を見て自車の位置を知ることはかなり困難です。 
3.  ルート探索により 目的地を設定するだけで 目的地までドライバーを道に迷わぬよう誘導
    (ルートガイド)して貰えます。 誘導された道から外れても オートリルートにより改めて目的地
    までのルートが示されます。 夜間 道に迷ったような時には特に便利な機能です。
4.  目的地の検索だけでなく 近くにあるガソリンスタンド レストラン コンビニ 駅 駐車場 警察 
    病院 銀行 ホテル みどころ などの各種情報を簡単に検索できます。
5.  VICSにより 渋滞情報 道路規制 所要時間 駐車場情報などの便利な情報が得られ 渋滞を
    回避した迂回ルートを知ることもできます。
6.  音声ガイド(音声による道案内)により モニター画面表示に視線を移すことなく より安全に
    運転できます。 ボイスコントロール(音声によるカーナビ操作)という 目的地の設定指示など
    を音声で行える高性能機もでてきています。
7.  同乗者に地図を見て貰い 道を間違え喧嘩となることがなくなります。 ドライブ途中 同乗者は
    カーナビの画面を見るだけで楽しく ナビソフト(カラオケやゲームなど)があれば遊べるので
    飽きません。
8.  携帯電話を使った情報通信システムやインターネットを使い CD-ROMやDVDにない ニュース 
    天気予報などの最新情報を得られます。 必要な装置を載せればTV放送を見ることも可能です
9.  時代の最先端をいくハイテク機器を使っているという自己満足を得られます。


W。 カーナビの悪いところ(罪過)

1.  カーナビの性能と機能はパソコン同様 日進月歩であり 最新の機能を得ようとすると ソフトを
    変えるだけでは無理で カーナビそのものを買い換える必要があります。 パソコンとカーナビ
    の違いは 汎用機VS専用機 にあり 専用機の寿命の方が長いですが カーナビを3年も使えば
    パソコン同様に骨董品に近いものになる恐れがあります。
2。  購入価格が最低15万円と高く 諸機能を全て揃えようとすると信じられないほど高価になり
    ます。 購入後 半年もすると更に高機能の新製品がもっと安い価格で出てきますので 悔しい
    思いをします。
3.  走行中にカーナビを見勝ちであり 事故に繋がる恐れがあります。
4.  カーナビの設置場所(特にオンデッキ)によっては 衝突やエアバッグ作動時に凶器と化す恐れ
    もあります。
5.  GPSを補正するDGPSは オーディオをOFFにしていたり AMラジオを聞いていると機能しません。
    言い変えると FMラジオかカセットテープを聞ける状態(ON)にしてないと DGPSは使えません。
    また DGPS情報を受信できない地域もあります。
6.   VICSは必要な受信装置付きでないと使えません。 道路や地域によってはVICS情報を得られ
    ません。  VICSの渋滞回避ルート探索(DRG)はビーコンを受信する装置が必要で 信頼度は
    未だ高くありません。 渋滞情報から他の道を選んでも そちらの方がもっと渋滞していることが
    あります。
7.  目的地を設定しルート探索を行えるのは 基本的に道幅5.5m以上の市町村道路であり 狭い
    道では目的地を設定できません。 目的地を ○丁目○番○号 のレベルまでピンポイント設定
    できる機種は 細街路を示す詳細地図を持つ一部のDVDカーナビを除きありません。 目的地
    として 周辺地域を指定できても 個人の家がある場所をピンポントで設定するのは困難です。
8.  ルート探索によるガイドは 交通規制(例えば右折れ)と異なる指示や 無理な指示 (例えば
    交差点でのUターンや一方通行の逆走)が出される場合もあり ルートガイドの過信は禁物です。
    高速道路と平行して一般道路があるような場所や 並走している道路では GPSによる測位が
    ビルの谷間などで不正確となると 並走している道路に自車が表示され 誤ったルートガイドと
    なることも(例外的に)あります。
9.  渋滞などの微走行時(即ちのろのろ運転時)に突如として自車位置の表示がズレ 位置して
    いない道路からルートガイドされることがあります。 こうしたことがあるということを 取扱書も
    認めています。
10. ルート探索は幹線道路を使う傾向が強く 目的地までの最短ルートでは必ずしもありません。
    ルート探索を信用すると 思わぬ遠回りとなることがあります。
11.  オートリルートの過信も禁物です。 ルートガイドの経路に通過点を設定し 通過点を過ぎた後に
    ルートガイドから車が外れ オートリルートが示された場合に オートリルートは目的地でなく
    通過点に戻る案内となることがあります。 
12. 高層ビル 立体交差路 トンネルが多いところや山間部などでは GPSの受信が難しく 
    自律航法を頼りにするので 測位の精度が悪くなります。
13. 音声ガイドは便利であり 一般道路の分岐点でどの方向に曲がるのか音声ガイドしますが
    (首都)高速道路では 「300m先に分岐点がります」 の如き音声ガイドとなり どちらに曲がる
    のか指示が(少なくても私のカーナビでは)出ないので当惑することがあります。
14. カーナビを買いオモチャとして楽しめても 使う人によっては実用価値が余りありません。
    知らない道は日常ほとんど走らないなら 又は 必要な時には助手席に地図を片手に持った
    人に居てもらえるなら カーナビの効用はほとんど無くなります。 また走行中にカーナビを見
    たり 諸設定の変更をするのは危険で難しく 助手席の人に頼めるなら 地図一冊あれば十分
    です。
15. 自動車メーカーの純正カーナビ(工場装着)は最高級グレードの車にのみオプション設定され
    ていることが多く 高い買い物になります。 市販のカーナビは後付けとなる面倒がある上に 
    コンソールやダッシュボード内に格納できないので見栄えが悪くなります。 純正カーナビに無い
    機能(例えばVICS)を後付けしようとしても市販カーナビではないので カーナビ専門店では扱え
    ず 正規ディーラーに頼むことが必要です。
16.。 カーナビに頼るので道を覚えなくなります。 カーナビがあれば道路地図(本)は要らないという
    のは幻想で 目的地近辺の道路地図(本)は細部を調べるのに必要です。  遠方にある目的地
    を設定しルートガイドを的確にさせるには 経路として通過点の設定をしますが 通過点を
    どこにするか決めるのに 道路地図(本)を欠かせません。


X。 カーナビの功罪まとめ

さて 私の結論です。 カーナビが無くても車の運転は出来ますが 有ればとても便利です。
恐らく一度でもカーナビ付きの車を持つと カーナビ無しの車は淋しくて我慢できなくなると思います。
資金に余裕があれば カーナビを買って後で後悔することは先ずありません。

日本の道路事情はカーナビの機能をフルに発揮させます。 日本では車を運転中に止め 道路地図
を見て自車の位置を知ることは難しいですし 道路標識や案内標識も不充分なので 目的地に向かう
道を探すのに苦労します。 こうした日本の状況でカーナビはその機能を十二分に発揮しますが 欧米
の如く どの道路を走っているか道路表示から簡単に分かり 道路沿いの建物のアドレスを見れば
自車の位置も分かるといった状況では カーナビなしに地図一冊だけあればほとんど道に迷うことは
ありません。  カーナビの開発と普及が欧米より日本で著しく進んでいるのはこうした事情からです。

カーナビは未だ完成された商品ではなく発展途上にあります。 もっと待てば性能も使い勝手も更に
良くなるでしょうが 既に充分実用の域に達しています。 色々と充実したオプション機能が用意
されていますので その用途や意味合いを充分理解して購入すべきです。 いくら高性能の各種機能
でも 使いこなせなければ無駄な投資となります。

カーナビが今後 更に大容量で多機能の商品となるのは 必然の流れと思いますが どんどん高価格
となり 操作が複雑で難しくなっていくのは困ったことです。 カーナビに求められる最低限の 基本的
な機能のみに単純化し 操作を簡単にし 価格を5万円ほどに出来れば カーナビ需要は爆発的に
伸びると思います。

何が本当に必要な機能かは 使う人によって異なるでしょうが 道に迷わず早くスムースに目的地に
到達する為に 自分の車は今どの場所を走っているのか 目的地までどの道を通ればよいのか
この二つがカーナビに求められている一番基本となる機能です。 そうした中で一番重要なのは
優れた測位性能です。 自車の位置を正確に特定できなければ 他の機能がどんなに優れていても
カーナビとして役立ちません。 自車が位置していない一本離れた道路からルートガイドされるなら
無いほうがましです。 従い カーナビを選ぶなら測位性能に最もこだわるべきです。

CD-ROM DVD-ROM 何れを選ぶかは難しい判断です。 違いは主として処理時間と情報量ですが
ルート探索やルートガイドなどの基本機能と性能にはほとんど差がありません。 全国津々浦々の
詳細地図や凝った地図描写はほとんど使わない普通の方には  CD-ROM機の方がシンプルで使い
やすく バリューフォーマネーとも言えます。 将来はDVD-ROMが主流となるでしょうが CD-ROMに
ある地図(1万分の1)を使った目的地の設定とルートガイドで ほとんどの方は 満足できる筈です。。

結論として 限られた予算では 自分の目的 使い方にあった機能のみ持つカーナビを選ぶべきです。
私の目的と使い方にあった機能を持つカーナビを改めて選ぶなら 正確な測位(DGPS機能付きの
ハイブリッド方式) ルート探索 オートリルート 音声ガイド 大型のモニター画面 の機能だけを
満たすカーナビで十分です。 CD-ROM又はDVD-ROM どちらかを選択は 予算が許すなら
DVD-ROMの方が便利な機能があり お勧めです。

VICS  ボイスコントロール 通信情報システム テレビ放送受信 インターネット機能などは 私自身 
ほとんど必要のない機能であり なくても特に不自由を感じません。 私が取得したトヨタの
純正カーナビは 結果的に TV放送受信を除けば 全て必要な機能でしたので満足です。

要はコストパーフォーマンスを考え 本当に必要な機能のみ選び 支払う額を決めるべきです。
個々の人それぞれが 必要な機能のみ選ぶということになると 自動車メーカーの純正カーナビ
(工場装着)は万人向けで無難であり見栄えも良いですが 市販のカーナビの方が広い選択肢があり
ます。 

市販されている多くのカーナビの中から 自分の使い方に最も合った一台を選ぶには カタログを
集めて読み比べるのも一方法ですが カーグラフィックを発行している二玄社の「カーナビの達人'99」
(1300円)を買うと便利です。 DVDナビ CD-ROMナビ合計12機種のテスト評価は参考となります。

最後に少し脱線します。 嘗て 米軍(NATO)がユーゴを空爆した際に誤爆があり 民間人に多数の
死傷者を出しましたが それでも命中率は99.6%という正確さだったそうです。 ユーゴ空爆では GPSを
使い ミサイルや爆弾を攻撃目標に誘導しました。 その正確さを例えると 野球場ではなく一塁ベース
を目標にピンポイントで正確に攻撃できたそうです。 カーナビではなく ミサイルナビとして軍事に使わ
れたということです。 GPSを利用したカーナビと同じ技術が 今では RMA(Revolution in Military
Affairs)革命と呼ばれているそうですが 戦争そのものを ハイテクを駆使したデジタルゲームのように変
えています。 映画「プライベートライアン」で見たような戦争シーンは もう再現しないのではないで
しょうか。

このページを読まれた皆さんから感想やご意見をメールで聞かせていただければ幸甚です。
カーナビについて 私自信 未だ気づかぬ点も多いと思いますので 皆さんからのご意見をこのページ
に反映させ より充実した内容にしたく願っています。 

私のカーナビは 平成16年1月に車をトヨタ・プリウスに買い替えた時点で 「DVD-ROM VICS対応」
となりました。 CD-ROMよりDVD-ROMの方が便利であるのは自明です。


尚 このページは 神奈川ゼロックス(株)の情報誌「クロスロード Xroad」(平成15年10月)に紹介
されました。

このページについて ご意見ご感想を 下記アドレス迄いただければ幸いです。

Eメールアドレス*123hakuzouszk@kha.biglobe.ne.jp (注意*正しいアドレスは数字123を除く)
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