トヨタの新車をWWWで買う功罪

このページでは パソコンを使い インターネット(WWW)でトヨタの新車購入を試みた体験を披露します。
最近 話題となっているインターネット上の電子商取引 又は ネット仲介の販売システムを利用して
新車の見積り依頼や購入を試みると どうなるかということです。 これから新車を買う方の参考と
なれば幸いです。  関係者に若干の波紋を呼ぶ内容かも知れませんが 問題提起として載せること
にしました。  
 
電子商取引(英語でElectronic Commerce 略してEC)という インターネットを利用した新車購入の
形態は メーカー主導で販売店セールスマンによる訪問販売(door to door sales)を主体としていた
日本の自動車流通に一石を投じつつあります。 私は保有していたトヨタのカリーナEDを愚息に譲り
更に1台新車を購入することになったので この機会にインターネットでの購入を試み インターネット
が既存の日本の自動車流通システムをどう変えつつあるのか考察してみることにしました。

米国での状況を先ず簡単に説明しますと 1999年に新車を購入した内の40%が何らかの形で
インターネットを利用し 2000年末には65%となりそうというのがJD Power & Associatesの発表
です。 米国ではインターネットで契約ディーラーに顧客を紹介するメーカーや系列ディーラーに属さ
ない 販売仲介サービスが急成長しています。 このサービスを利用する顧客の年齢は平均35歳
裕福層が中心で 本気で新車を買おうと思っている人が多く 販売成約率も高く ディーラーとしては
魅力的なセグメントにあります。 

米国の販売仲介最大手のオートバイテル・ドット・コム(カリフォルニア州)は1999年第3四半期に59万
件の新車見積り依頼を受け その内28%が成約したそうです。 同期間の売上高は1060万ドル
純損失は630万ドルでした。 AutoByTel 以外には AutoVantage  CarPoint  CarSmart  AutoWeb
CarSmart などが米国では良く知られており JD Power & Associates によると 1999年第一4半期
のインターネットを利用した新車販売は全体の2.7%でした。
 
オートバイテル社の新車販売仲介サービスの特色は以下です。

  1. 新車購入を希望する顧客が インターネット(オンライン)で 希望する車(車型と仕様)
      の価格見積りをオートバイテル社に依頼。
  2. オートバイテル社は契約しているメーカー系列の販売店(以下 正規ディーラーと略称)
     に顧客を紹介し 正規ディーラーが見積り価格を顧客に直接伝える。
  3. オートバイテル社は顧客との取引には全くタッチせず ディーラーの紹介のみ行う。
     商談はディーラーと顧客間で行う。 従いオートバイテル社と契約デーラーは競合しない。
  4. オートバイテル社の収入は契約している販売店(3000店)から得る会費であり 顧客
     には費用請求しない。 販売店から得る会費は紹介した件数や販売成約台数には関係
     なく 年間の固定料金のみ。
  5. 加盟ディーラーは専従のマネージャーとスタッフを置き オートバイテル社による研修を
     受ける。
  6. 顧客からの見積り依頼は オートバイテル社のホームページで受ける。  

ちなみに 同社のホームページ(http://www.autobytel.com/)のタイトルは:  
     Autobytel - We are changing the way America buys cars.   です。

この新車販売仲介サービス方式を以下の文章では オートバイテル方式 と略称します。
米国で何故この方式が普及したか その理由は オートバイテル方式が顧客と販売店の両方に
歓迎されているからです。 この仕組みを利用した方がメリット大と評価した正規ディーラーの多くが
オートバイテル社との契約に加わっています。 (注: 最新情報によると 米国ではネット販売会社
carOrder.co; http://www.carorder.com/  が販売店の仕入価格であるディーラー・ネットでの
新車販売を始めたそうです。 ディーラー・ネットで売っても割賦手数料や保険料収入が入るので採算
に合うという経営方針だそうですが 詳しくはURLで調べてください。 確かに order a new car
online at invoice price という説明になっており ディーラー・ネットで売るようです)

日本では こうした新車販売仲介サービスを利用することについて メーカーもメーカー系列の販売店
正規ディーラー)も未だ消極的であり ほとんど普及していません。  米国では この方式を評価
している正規デ-ィーラが多いのに 何故 日本では評価されないのか (メーカーが系列ディーラーに
このサービスを利用しないよう指導しているとは考えられず???) この点がポイントです。 日本で
も徐々にオートバイテル方式が米国並に普及するのは 時代の趨勢なのか 日本の風土では将来も
受け入れられないものなのか 注目されます。  

どのメーカーの車を選ぶかということになると トヨタ以外は当然ながら考えられず 私は価格見積りを
依頼する車種として家内も運転するので 一応カリーナ・セダン(車型はGグレードのオートマテイック
カーナビ付き メーカー希望小売価格219万円)としました。

既存の自動車メーカーや正規ディーラーに属さずに インターネットを使って新車の価格見積りや販売
を手がけている 販売仲介サービス会社 として下記の12社を選び見積りを依頼しました。 
アイテム11のGazooは 販売仲介サービス会社ではなく トヨタ自動車が顧客に開発したシステム
です。

  1. イサイズカーライフ         http://www.isize.com/carlife/
  2. Yahoo!自動車            http://autos.yahoo.co.jp  
  3. ネットディーラーズ          http://www.netdealers.co.jp/
  4. CAR@NICE(廃業)         
  5. クリエイティブハウス(レオ)    (平成12年6月2日に倒産)
  6. カー24                 http://www.car24co.jp/
  7. クイック                (平成15年2月に倒産) 
  8. Drivers Net(旧カーズプライス) http://www.driversnet.ne.jp/dealer/md0001s.cfm
  9. イーセカイ               http://www.e-sekai.com/car/ 
 10. autoBankインターネットサービス http://www.autobank.co.jp (旧イーカーネット)
 11. Gazoo                 http://gazoo.tns.ne.jp 
 12. オートバイテル・ジャパン     http://www.autobytel-japan.com/index.cfm
 13. カービュー(旧カーポイント)    http://www.carpoint.ne.jp
 14. can-get                http://www.can-get.com/              

メーカー希望のカリーナ車両本体価格 \2,190,000 に対し 上記12社の内5社から見積りを取れま
した。 値引き額の提示は金額順に 22万円 25万円 31万円 32万円 37万円で 
22〜37万円
の幅がありました。

イサイズカーライフ はリクルート社が運営しているポータルサイトにあります。 顧客に見積りを出す
販売店として 平成11年6月4日現在 313店が加盟しており独フォルクスワーゲン(VW) プジョー 
BMW傘下の各店を含みます。  加盟店は国産車 外車 各メーカー系列の販売店(正規
ディーラー)と非正規ディーラーです。  指定した車種と購入地域が加盟店の担当でないと見積りを
出せないこともあります。 トヨタの正規ディーラーで加盟しているのは皆無で 国際トヨペットという
東京トヨペットのサブディーラーが加わっています。 少し前に調べた時には トヨタビスタ東茨城 
トヨタカローラ岐阜 ネッツトヨタ岐阜 岐阜トヨタ 岐阜トヨペット ネッツトヨタ大阪 の6店が加盟して
いたのに全て脱会したのにはビックリしました。 見積りを依頼する販売店として 正規ディーラー 
正規ディーラーに拘らない 何れかの選択をします。 私の場合 正規ディーラーを選択したところ 
加盟ディラーが無く見積り不可というレスポンスだったので 仕方なく 正規ディーラーに拘らないを
選択しました。 そうしたところ オートフリーク社(川崎市) マイティーエンジニアリング社
(名古屋市) 何れかの選択をせよということになったので 自宅から近いオートフリーク社を選択しま
した。 オートフリーク社からのFAXによる見積り価格は A万円の値引き提示でした。 オートフリーク
(http://www.autofreak.co.jp)は正規デーラーから新車を仕入れて販売し アフターサービスは正規
ディーラーにさせるとのことでした。 イサイズカーライフは提携しているオートバイテル・ジャパンの
加盟ディーラーから見積りも取れます。

Yahoo!自動車 はヤフーが運営するポータルサイトにあります。 Yahoo!自動車で車を選択すると
価格見積りは ネットディ−ラーズ 又は クイック に委ねられていましたが 平成11年11月11日
より クイック と メンバーズ に移管されました。 (カーポイントの株8%をヤフーが取得した為か
現在では価格見積りのサービスをしていません) 

ネットディーラーズ は平成11年11月11日から事業をカーポイントに譲渡しました。 
ネットディーラーズは1999年2月15日にスタートし 米国のシステムを良く研究しており 加盟店を
正規ディーラーのみに限定し 経営陣に有能な方を固めているので 今後のやり方次第では期待
できるベンチャー企業と思っていましたが 残念ながら消滅しました。 親会社ネットエイジは譲渡
から得たキャピタルゲインに大満足の様です。

CAR@NICE (ネットインフォメーションセンター) は1998年に設立されました。 私の居住地は
浦安市でカリーナを扱う担当地域の正規ディーラーは千葉トヨタ浦安営業所です。 私の見積り依頼に
対しネットインフォーメーションセンターが紹介した正規ディーラーは浦安営業所ではなく 同じ千葉トヨタ
のX営業所でした。 自宅にX営業所の担当から電話があり 値引きはB万円 浦安営業所ではなく 
X営業所から車を売り 納入後のサービスも行うということでした。 (その後 廃業し現在このサイトは
ありません)

クリエイティブハウス(レオ) は正規ディーラーからの見積りに限定していました。 私は トヨタの
加盟デーラーが無いという理由で見積りを断られました。 NHKの「クローズアップ現代」で放映される
など 一時は脚光を浴び 平成11年3月期の売上は20億円に達しましたが値引き競争に勝てず
平成12年6月に倒産しました。 

カー24 はアスキーイーシーとの共同運営です。  私の居住地域を管轄する千葉トヨタではなく
正規ディーラーであるY県のYトヨタから FAXで価格見積りが入りましたが 「諸般の事情により大幅な
値引き金額表記は支障がありできません。 電話で値引き額をお伝えします」 という内容でした。
諸般の事情とは具体的に何なのか興味深いですが Yトヨタの某営業所から電話で提示された値引き
はC万円でした。 Yトヨタが納車し アフターサービスは千葉トヨタが行うとのことでした。 Yトヨタの
説明では 県をまたがる販売は通常できないが 業者紹介の販売と親類縁者への販売は例外として
認められているので Yトヨタが千葉トヨタのテリトリー内で販売して構わないということです。

クイック  は顧客から見積り依頼を受けると 提示価格に陸送費 登録料などを加えて回答し 
成約すれば 業販というルートから車両を仕入れ顧客に販売します。 正規ディーラーを紹介するので
はなく 直接販売するところに特色があり毎月40-100台ほど売っています。 日本では昔から業販と
いう正規ディーラーが新車を街の整備工場などに卸すルートがあり クイックはこのルート(52の
業販店)から仕入れています。 クイックから得た見積りはD万円の値引きでした。 資本金
2億1900万円の内 丸紅が29.4%保有しています。

Drivers Netカーズプライス) の特徴は顧客の代理人としてデーラーとの交渉を代行するところ
にあります。 顧客個人の情報は契約締結までデーラーに伝えません。 契約が成立するとディーラー
は台当たり2〜3万円をDrivers Netに払います。 私の見積り依頼を受理しただけで 見積りを出せ
ない結果となりました。

イーセカイ はアスキーが平成11年9月1日にスタートさせた各種オンラインショッピングのサイトで
新車の見積りをカー24に委託しています。 イーセカイ は イーカーネット と同じ組織により運営さ
れています。 私の見積り依頼に対し E万円の値引き提示でした。 (その後 価格見積りをCar24
に一本化し イーセカイでの新車見積りサービスは無くなりました)

autoBankインターネットサービス このサイトは イーカーネットという名称でしたが平成12年7月に
変更されました。 中古車のTVオークション最大手である(株)オークネットが運営しており イーセカイ
も同じ組織です。 株主はオークネット(67%) 三井物産(15%) TBS(10%) 伊藤忠(8%) です。 
提携している新車ディーラーに見積りと納車を依頼します。 私は既にイーセカイから見積りを出したと
いう理由で 見積りを貰えませんでした。 (その後 このサイトは中古車の価格見積りのみの
サービスとなり 新車は扱っていません)

オートバイテル・ジャパン は米国オートバイテル 伊藤忠商事  オリエントコーポレーション
リクルート インテック トランス・コスモス イーソリューションズ 7社の合弁で設立((資本金15
億円)され 平成11年11月に事業を開始しました。 米国オートバイテル社が最大株主として1/3を
保有しますが 社長はイーソリューションの佐々木経世氏です。 同社は個別の正規ディーラーと契約
販売店が支払う経費は初期費用として加盟料300万円 紹介された見積り依頼1件につき千円〜
五千円だそうです。 提携関係にあるイサイズカーライフの正規ディーラーから見積りを取れることも
あります。 私は私の住む地域にあるトヨタのディーラーが加盟していないという理由で 見積りを得ら
れませんでした。 提携している販売店は420社 平成12年の年間見積もりは約20万件 成約率
6.9%だそうです・

カービュー(旧カーポイント)
 の資本金は8億4千万円 出資比率はソフトバンク450% ヤフー8%
マイクロソフト37% セブンイレブン10% です。 カーポントは個別の販売店とは契約せず 自動車
メーカーとの包括契約により 契約したメーカー系列の正規ディーラーと車種を網羅する戦略で 日産
三菱 スバル フォード BMW  シトロエンが加わっています。正規ディーラーから得る紹介手数料は
1件当たり3000〜5000円で 加盟料はありません。 私の見積り依頼に対し トヨタの正規ディーラーの
加盟はないものの千葉トヨタからから見積りを出すというレスポンスでしたが 結局 見積りを得られま
せんでした。 提携している販売店は800社 平成12年の年間見積もり33万件 成約率は不明です。

car-get は平成12年7月から営業を始めたサイトです。 会社名はエムペック 資本金は2億円 
株主は中古車情報誌「Goo」を発行し ヤフー自動車に新車データベースを提供しているプロトコーポ
レーション(60%)と三井物産(40%)です。 Car@nifty の「新車コーナー」にも出店しています。
既に新車(カリーナ)を購入済みなので 見積もり依頼はしませんでした。
  
Gazoo はトヨタ自動車が運営しているウェッブサイトで 色々な情報を入手できますが 価格見積り
のサービスが無く トヨタの正規ディーラーとの商談予約をオンラインで出来ます。 何故 見積価格を
正規ディーラーからオンラインで出すシステムにしないのか 色々な事情があるにせよ解せません。
これとは別に トヨタ自動車のHP内に「ご購入のお手伝い」http://www.toyota.co.jp/Sales という
ページがあり オンライン見積り カタログ請求 販売店の紹介を受け付けています。 オンライン見積
りというのは メーカー希望の店頭渡現金価格(参考価格)であり 実売価格ではないので意味ありま
せんが 最近になって 販売店からの価格見積りを車種を限定し東京都内に限り出せるようにしてい
ます。 「ご購入のお手伝い」にはヴィッツの特別限定仕様車などについて メーカーが直接注文を受
け付け 価格 納期などの詳細は販売店からするシステムがあります。

独立系の新車販売仲介サービスを使って トヨタの新車購入を試みた結果は以上です。
(平成13年8月3日の時点で 上記サイトを改めて個別チェックしたところ廃業したり 見積りサービスを
止めたところが多くありました。 ネットバブル崩壊もあり このビジネスは当初期待したほど成長して
いない様です)

総括として こうした状況で新車購入時にインターネット利用をどう評価すべきか 私見を以下まとめ
ました。

1. 新車販売仲介サービスの見積り値引き幅は 22万円から37万円であり この程度の値引き幅
であれば 居住地域にある正規ディーラーと上手く交渉し 同等以上の値引き額を得られる可能性は
あります。 あなたの腕次第ですが 販売仲介サービスの見積り価格を示せば メーカーを問わず 
どの正規ディ−ラーでも 恐らく 同じ値引きに応じるのではないでしょうか。 もし正規ディーラーが
応じないなら 販売仲介サービスが売る車の素性(長期在庫車 新古車 在庫中の事故車 
ショウルーム展示車 フルモデルチェンジ前の在庫一掃車両など)について注意が必要です。 上記の
値引き幅は車両本体価格に対するものですが 手続き代行費 販売諸費用 消費税など 納車に
かかわる追加コストに差がないかも 留意すべきです。

2. オートバイテル方式が米国で広く受け入れられている一因として 正規ディーラーのみ価格見積り
に応じていることがあります。 日本では正規ディーラーの加盟が少なく 非正規ディーラーによる価格
見積りという場合が多くあります。 非正規ディーラーの価格見積りでは 顧客にとって信頼して良いか
不安があり 値引き幅も限られ 日本でこのシステムは余り普及できません。 オートバイテル方式が
日本で普及するには 正規ディーラーの多数加盟が不可欠です。

3. 日本で正規ディーラーの加盟は今後も増えないのかは 予想困難ですが 新車販売の流通
システムを消費者の視点から再構築し 正規ディーラーの販売効率を高めコストを下げる上で
オートバイテル方式が評価されるかどうかによります。。 オートバイテル方式は正規ディーラーと競合
関係にあるのではなく 補完する存在として正規ディーラーに認識されるかも重要です。 
正規ディーラーの加盟が増えないと 非正規ディーラーは 正規ディーラーから内密の委託販売を受け
オートバイテル方式を普及させる上で中心的存在となる可能性もあります。 正規ディーラーは こうし
た問題やYトヨタのケースについて状況を正しく認識すべきです。

4. トヨタの正規ディーラーによる加盟が極端に少ないです。 1999年6月頃に私が調べた時点で
加盟していたトヨタディーラーの全てが その後 脱会したということをどう解釈すべきか 私には
トヨタと傘下ディーラーの強い意思が感じられます。 トヨタの正規ディーラーの加入数は 現時点で確か
に少ないですが オートバイテル方式の良さが評価されるように将来なれば状況は変わるかも知れま
せん。 千葉トヨタのX営業所やYトヨタが見積りを出した如く 正規ディーラーとして加盟店の公表名簿
に入ってなくても 隠れて見積りに参加しているケースは結構多いようです。 
(日経ビジネス 平成12年5月22日号記事によると トヨタのディーラーで加盟しているのは 
カーポイントに4社 オートバイテルに5社だそうです。 該当サイトを見ても確認できませんが・・・)

5. 日本の正規ディーラーはテリトリー制度という業界秩序に守られています。 メーカーから割り当て
られた地域以外では販売せず 過当な価格競争とならないようにしている自主規制です。 
このテリトリー制度には抜け穴があり 正規ディーラーが「業販」 即ち 二次卸として業者に売る場合
には適用されません。 クイック社はこの業販をいわば悪用(?)した賢いビジネスをしており クイック
に業販ルートで新車を卸している正規デーラーはテリトリー制に拘束されず 日本全国を商圏として
いるので 業界秩序を破壊しつつあります。 業販についてメーカーや正規ディーラーが規制を強める
方向に 今後 動くのか注目されます。 

6. 顧客から正規ディーラーに見積りを直接依頼するシステムを メーカー主導で作り 
オートバイテル方式に対抗するのも 確かに一方法ですが 既に膨大な設備投資をした既存の流通
システムの中で メーカー主導で 消費者の視点に立って 公平な情報を提供するシステムを考える
のは容易でありません。 メーカー主導でインターネットを使った直接販売方式に切り替え 正規
ディーラーの役割を単なる納車とアフターサービスに限定できれば画期的でしょうが 既存の流通網を
抱えているので 切り替えは至難です。 他の業界の例になりますが 米国のデルコンピューター社は
パソコンの直接販売をインターネットで行い急成長していますが 既存の流通網をほとんど持っていな
かったので出来たことです。 東芝は同じようにインターネットを使い パソコンの直接販売をホーム
ページ「Jだいれくと」 で開始していますが 量販店からの反発を避けるために インターネッで
直接販売する価格を量販店の店頭実売価格より高めに設定しています。 こうした配慮はメーカー
主導の考え方で 消費者の視点に立ったものとは言えず 消費者から評価を得られず 直接販売も
機能しません。

7. メーカーとしてオートバイテル方式に真っ向から対抗するなら 顧客からの見積り依頼に対し
正規デイーラーが直接回答するシステムを早急に構築すべきです。 トヨタ自動車はGazooを使い 
商談予約ではなく 見積り価格を正規デーラーから出せるようにすべきです。 メーカー主導で作られ
たシステムで 販売仲介サービスによる価格見積りが既にあるなら それより安い価格見積りを正規
デーラーから出せるように メーカーも支援すれば 販売仲介サービスは存続困難となるのではないで
しょうか。 

8. ネットディーラーズが設定していた料金体系は ディーラーの初期加盟費用 10万円 システム
利用料 月額3万円 1車種毎に郵便番号上3桁で地域割当(セル)された1セル毎に毎月1000円
でした。 この料金体系はカーポイントに事業が引き継がれ大幅に変更されています。

9. オートバイテルを含めた新車販売仲介サービスが儲かるビジネスかどうかは未だはっきりしま
せん。 オートバイテル社の1999年7月〜9月の決算実績として 売上高1060万ドルに対し630万
ドルもの赤字が発表されています。 自動車メーカー独自によるネット販売との競合 独立系の
新車販売仲介という業態に対する懐疑論などもあり 株価は株式公開した1999年3月時点の58ドル
から12ドル(平成12年1月時点)にまで下落しています。 

10. 私のこのページにアイデアを得た(?)のか 日経トレンディー臨時増刊号(平成11年10月
号)はネット販売仲介サービス5社から見積り価格を取った比較をしています。 ホンダのステップ
ワゴン(メーカー希望小売価格196万円)に対し最大の値引き額は25万円でしたが ホンダの
正規ディーラーからも25万円という値引き提示を得ており ネット販売仲介サービスは 正規
ディーラーより安く売るという結果には (ある意味では当然なのですが) なっておりませんでした。
何故 当然かというとネット販売仲介サービスの仕組みにあります。 ネット販売仲介サービスは 
正規ディーラーを紹介するか 正規ディーラーから独自に仕入れて販売するかの何れかであり 正規
ディーラーと消費者の間のブローカー的な存在です。 自動車メーカーから直接仕入れることが出来
ない その仕組みから 正規ディーラーより安く売るのは困難です。

11。 結論として 新車を買うなら 居住する地域の正規ディーラーと価格交渉をし ネット販売
仲介サービスの提示価格より安く買うべきです。 ネット販売仲介サービスの見積り価格を
正規ディーラーとの交渉時に示せればかなり有利となります。 オートバイテル方式が日本で普及
するには 正規ディーラーがこぞって加入するようになることが不可欠であり 非正規ディーラーに価格
見積りをさせるのは 必要悪とは言え 望ましい形態ではありません。 オートバイテル方式が日本で
普及できるかどうか 鍵を握っているのは 正規ディーラーが販売効率を高めコストを削減する上で 
オートバイテル方式を評価できるかどうかということと メーカー主導でオートバイテル方式に真っ向
から対抗できるシステムを構築できるかです。 日本の正規ディーラーは固いテリトリー制度に
守られており オートバイテル方式
には影響を受けない という見方もあると思いますが 
インターネットの影響力を甘くみた こうした安易な考え方は危険です。 米国では評価されていても 
日本では評価できないというのであれば 何故なのか 明確な理由があってしかるべきです。 
インターネット利用を普及させるインフラの整備が米国に比べ 日本は遅れており インターネット
利用者は1400万人 電子商取引の市場規模は昨年度 2000億円に留まっています。 インフラの
整備(特に Flat Rateの電話料金制度)が米国と同じように進めば 日本でのオートバイテル方式の
普及は いずれ 米国並みになる可能性もあります。

日本の自動車流通システムはGMを手本とし 各メーカーが複数の流通チャンネルを持っています。
この方法は量販量産によるコスト削減効果をもたらし 市場が右肩上がりに成長していた時代には
有効でしたが 現在の飽和した市場の中では消費者の奪い合いになり 制度疲労を起こしています。
セールスマン一人当たりの販売台数が月平均4台と低く 販売店の多くが赤字経営にあり 膨大な
販売奨励金を出さざるを得ないメーカの多くも苦境にある という状況を脱するには 市場構造を変え
つつあるインターネット販売に目をつぶるのではなく メーカー主導の方式 又は オートバイテル方式
何れであれ インターネット販売をもっと有効に活用し 既存の流通システムを抜本的に変革すべきで
はないでしょうか。

米国の自動車メーカー GM は独自に開発した新車のインターネット販売システム「GM BuyPower」
を1999年3月に発表しました。 詳細は別ページにある 「GMによる新車のインターネット販売」 
をご覧ください。 日経ビジネス(平成11年12月6日号)によるとGMはGM BuyPowerをトヨタの
Gazooに採用できないか話し合いを進めているそうです。

  
追記: このページは平成11年4月14日 ヤフーに登録され 4月15日のヤフー新着情報「今日の
オススメ」にも紹介されました。 ヤフー登録カテゴリーは 趣味とスポーツ:自動車:購入ガイド です。
「今日のオススメ」の紹介文は以下でした:

「ネットで車を買う時代はくるか。 続々と登場するインターネット上の自動車販売仲介サービス。
ディーラー巡りをしなくてもさまざまな車種を比較検討できる利点がある一方 まだ始まったばかりと
いうこともあり 値段やサービスに不安があるのも確か。 ちょっと体験談を聞いてみよう」

このページは雑誌「インターネット・スタート」の12月号(平成11年) 自動車雑誌「RVマガジン」3月号
(平成12年)に紹介されました。

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