湯上がりには、伯父坊主が惚れる。
解釈:女の湯上り姿は艶めかしく、誰しも心を惹かれるということ。
類義:一人子持ちは伯父も惚れる。湯上がりには親でも惚れる。
唯我独尊(ゆいがどくそん)。
解釈:天上天下(てんじょう天下)唯我独尊の略。また、世の中で自分一人
だけが優れていると重い上がること。独りよがり。
勇者は懼(おそ)れず。
解釈:本当の勇者は、事に当たって恐れることがないという意。この場合の
勇者とは、道徳上の勇者、正義の勇者のこと。
有終の美。
解釈:物事を終わりまで立派にやり遂げること。
用例:有終の美を飾る。
勇将(ゆうしょう)の下(もと)に弱卒(じゃくそつ)なし。
解釈:大将に勇気があれば、部下も自ずと勇気に富み、弱い兵はいないと
いう意。
類義:強将の下に弱卒なし。
融通無碍(ゆうずうむげ)。Adaptability.
解釈:何事にも捉われず、自由で伸び伸びとした行動や考え事。「融通」
は、滞りなく通じること。「無碍」けは、障害のないことで、無礙とも書く。
活用⇒何事にも捉われない。In all things, free.
類義:融通自在。
夕立は馬の背を分ける。
解釈:夕立は局地的に降るものであって、馬の背の右側は濡れ、反対側の左
側は濡れないというふうに、降り方が違うこと。
類義:夏雨牛背を分く。
雄弁は銀、沈黙は金。
解釈:流暢(りゅうちょう)に話すことは大切だが、それ以上に沈黙を守る
ことを心得ていることは、もっと大切であるというたとえ。沈黙は雄弁に勝る
ということ。
類義:多言は一黙に如(し)かず。
参考:Speech is silver, silence is gold.の訳語。
幽明(ゆうめい)境を異にす。
解釈:死別して一人は幽界(ゆうかい。あの世)、一方は明界(めいかい。
この世)に留まって、現世では再び会うことができないという意。
類義:幽明、相隔てる。
夕焼けに鎌を砥げ。
解釈:夕焼けになると、明日は晴れるから、鎌を砥いで用意をしておけとい
うこと。
類義:秋の夕焼けは鎌を砥いで待て。
幽霊の正体見たり枯尾花(かれおばな)。
類義:疑心暗鬼(ぎしんあんき)を生ず。
歪(ゆが)み八石、直ぐ九石(くこく)。
解釈:苗の植え方を真っ直ぐにすると、曲がって植えたのに比べて収穫が多
くなるということ。
行きがけの駄賃(だちん)。
解釈:事の序でに他の事をするたとえ。馬子が問屋へ荷物を取りに空馬を引
いて行く途中、別の人に頼まれた荷物を馬に付けて運び、その運賃を自分のも
のとすることからいう。
類義:朝駆けの駄賃。行きがけの駄賃。
行き大名、帰り乞食。
解釈:行きには贅沢にして、帰りには金(かね)が足りなくなって、入用な
費用まで払えなくなること。無計画な金の使い方をすると後で動きが取れなく
なることのたとえ。
雪という字を墨で書く。
解釈:白い雪を字で書くには、黒い墨を用いる。一見矛盾しているようでも、
そうではないことのたとえ。
雪と墨。
解釈:正反対なことのたとえ。全く違っていることをいう。
類義:提灯に釣鐘。月と鼈(すっぽん)。天と地。
雪の上に霜。
解釈:既に有って十分なところへ、更に増やすことのたとえ。余計な努力の
こと。
類義:雪上に霜を加う。
雪の降る夜は寒くこそあれ。
解釈:煩悩は中々断ち切れないこと。「世を捨てて身は無きものとおもへども 雪の降る日は寒くこそあれ」(西行)。
類義:花の散る日は浮かれこそすれ。
雪は豊年の瑞(しるし)。
解釈:雪が多く降ることは、豊作の前兆であるという意。
類義:雪は五穀(ごこく)の精。雪は豊年の貢ぎ物。
反義:大雪に凶作。
雪や氷も元は水。
解釈:元は同じ物でも、その後の環境の違いで別の物になるということ。
類義:湯は水より出でて、水ならず。
行く馬に鞭。
類義:駆け馬に鞭。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。The water of
the river flows consistently and is always new.
解釈:鴨長明(かものちょうめい)の言。
行くに径(こみち)に由(よ)らず。(論語)
解釈:何時も正道を行き、邪(よこしま)な行為はしないというたとえ。
行く水に数(かず)書く。
解釈:儚(はかな)いこと。また、詰まらないことをすることのたとえ。
柚子(ゆず)が色附くと、医者が青くなる。
解釈:柚子の実が熟す頃は気候がよく、病人が少ないので、医者が稼げず青
くなるということ。
類義:柿が赤くなれば、医者は青くなる。
柚子(ゆず)の木に裸で登る。
解釈:棘の多い柚子の木に裸で登るということから、非常に困難なこと。ま
た、無茶をすることのたとえ。
類義:裸で薔薇背負う。柚子の木裸(はだか)。
油断大敵(ゆだんたいてき)。Carelessness is our greatest enemy.
解釈:油断は物事の失敗の原因となるから、大きな敵であるという意。油断
してはいけないという戒め。
類義:まだ早いが遅くなる。油断は怪我の基(もと)。油断は不覚の基(も
とい)。
参考:Security is the greatest enemy.(油断は最大の敵である)
湯に入りて、湯に入らざれ。
解釈:入浴は健康によいが、度が過ぎるとかえって害になるということ。
湯に辞儀(じぎ)は水になる。
解釈:入浴のとき、遠慮して譲り合っていると、折角沸した湯が冷めて水に
なってしまう。遠慮深いのも時と場合により、ほどほどにしなければならない
という意。
湯の山の道連れ。
解釈:まともな者がいないというたとえ。昔は温泉へ入湯に行く者は皆病人
で、道連れになる者には屈強な者などいなかったから。
類義:有馬(ありま)の道連れ。
湯は水より出でて、水ならず。
解釈:家柄や血筋は平凡でも、修行によっては非凡な人になれるということ。
類義:雪や氷も元は水。
湯腹(ゆばら)も一時(いっとき)、松の木柱も三年。
類義:茶腹も一時。
指一本も指させない。
解釈:他人から非難や干渉をされるようなことは少しもしないということ。
指汚しとて切られもせず。
解釈:肉親に悪い者がいても、簡単に処分できないたとえ。
指を惜しんで、掌(てのひら)を失う。
解釈:僅かな損を惜しんで大損害を招くこと。
類義:一文吝(お)しみの百失い。
指を以て河を測る。
解釈:指で川の広さや深さを測ろうとするように、桁違いであることを知ら
ない愚かさをたとえていう。
弓折れ矢尽く。
解釈:戦いに敗れ、ひどい有り様になること。また、力尽きてどうすること
もできないさまをいう。
類義:刀折れ、矢尽く。
弓と弦。
解釈:湾曲した物と真っ直ぐな物とのたとえ。遠回りと近道との違いをいう。
類義:弓と弦との違い。
夢のまた夢。A dream within a dream.
解釈:夢の中で見る夢ということで、極めて儚(はかな)いことのたとえ。
活用⇒儚い夢物語。Fleeting dream. A vain dreamlike story.
類義:夢に夢見る心持。夢の夢。
夢は五臓(ごぞう)の煩い(わずらい)。
解釈:夢を見るのは、五臓が疲労するためだという漢方の説。「五臓」は肺
臓、腎臓、肝臓、心臓、脾臓を指す。
夢は逆夢(さかゆめ)。
解釈:夢は事実と反対になって現れたりするから、悪い夢を見ても気にする
ことはない。悪い夢を見たとき、気休めに言う言葉。
類義:八卦(はっけ)の裏返り。夢は嘘。
反義:夢は正夢(まさゆめ)。
夢枕に立つ。
解釈:夢の中で神仏などが現れて、あることを告げられること。
揺るぐ杙(くい)は抜かれる。
解釈:しっかりしないでぐらついている者は、成功しないというたとえ。
湯を沸して、水にする。
解釈:折角苦心して仕上げたことを無駄にしてしまうことのたとえ。
類義:湯を沸して、水へ入れる。
|