富貴(ふうき)は天にあり。 解釈:人が富んだり尊くなるのは、天命によるものだから、運に恵まれなけ れば、人の力ではどうすることもできないという意。 類義:運は天にあり。 風樹(ふうじゅ)の歎(たん)。 解釈:親孝行をしようと思ったときには親は既に死んでしまっていて、孝行 がしたくてもできないという嘆き。 類義:木静かならんと欲すれども、風止まず。孝行したい時分に親はなし。 風する馬牛(ばぎゅう)の相及ばず。 解釈:人と人とが互いに無関係であること、物事に無関係なことのたとえ。 盛りの憑いた馬や牛の雌雄は、互いに遠く離れていても誘い合うが、それがで きないほど離れているということから。「風」とは、盛りが憑くこと。 類義:風馬(ふうば)。風馬牛。 風声鶴唳(ふうせいかくれい)。 解釈:僅かな事に驚き恐れることのたとえ。中国東晋(とうしん)との肥 (三水+肥)水(ひすい)の戦いに敗れた前秦(ぜんしん)の苻堅(ふけん) の兵が、風の音や鶴の鳴き声を敵軍の襲来と思い違えて逃亡したという故事に よる。 類義:水鳥(みずとり)の羽音(はおと)に驚く。 風前の塵。 解釈:人生や物事の儚(はかな)いことのたとえ。 類義:風の前の塵。風前の灯(ともしび)。 風前の灯(ともしび)。 解釈:風に晒されている火のように、非常に心許ないことをいう。物事が危 険に晒されている様。 類義:魚(うお)の釜中(ふちゅう)に遊ぶが如し。風前の塵。 風馬牛(ふうばぎゅう)。 類義:風する馬牛(ばぎゅう)の相及ばず。 夫婦喧嘩と北風は、夜凪(よなぎ)がする。 解釈:夕方になると凪いで北風が収まるように、夫婦喧嘩も夕方には収まる。 類義:秋風と夫婦喧嘩は日が入りゃ止む。西風と夫婦喧嘩は夕限り。 夫婦喧嘩は犬も食わぬ。 解釈:夫婦間の諍(いさか)いは一時的だから、放っておけば自然と仲直り するので、他人は下手に仲裁などに入るものではないということのたとえ。 類義:夫婦喧嘩と夏の餅は犬も食わぬ。 夫婦喧嘩は貧乏の種蒔き。 解釈:夫婦の間柄が上手くいっていない家庭は貧乏になるというたとえ。 類義:夫婦喧嘩は貧の元。 夫婦喧嘩も無いから起こる。 解釈:暮らし向きが悪いと、夫婦喧嘩が起きやすいということ。 夫婦は合せ物、離れ物。 解釈:夫婦は元々他人が一緒になったものだから、別れることがあってもお かしくないということ。 類義:合せ物は離れ物。夫婦は他人の集まり。 夫婦は従兄弟(いとこ)ほど似る。 解釈:一緒に暮らしていると、夫婦は性質、仕草が互いに似てくるというこ と。 類義:連れれば似付く。似た者夫婦。 夫婦は他人の集まり。 類義:夫婦は合せ物、離れ物。 夫婦は二世(にせ)。 解釈:夫婦の関係はこの世だけのものではなく、あの世まで続くという仏説。 類義:夫婦に二世の契り。 参考:親子は一世、夫婦は二世、主従は三世。 笛に寄る鹿は妻を恋う。 類義:秋の鹿は笛に寄る。 笛吹けども踊らず。 解釈:準備を整え、煽(おだ)てたりしても、人がこれに応じて動き出さな いことのたとえ。 付会(ふかい)。 解釈:脈略のない物を無理に繋ぎ合わせること。こじつけ。 用例:牽強付会(けんきょうふかい)の説をなす。 深い川は静かに流れる。 解釈:深い川は豊かに物音静かに流れることから、思慮深い人は沈着冷静で あるというたとえ。 参考:空樽は音が高い。痩犬は吠える。 不可能という言葉は、我が辞書にはあらず。 解釈:どんな事でもできないということはない。ナポレオンが言ったという 言葉。 俯仰(ふぎょう)天地に愧(はじ)ず。 解釈:自分に疚(やま)しいところが一点もなく、天の神に対しても地上の 人々に対しても恥じることはないということ。 類義:仰いで天に愧ず。 福因福果(ふくいんふくか)。 解釈:日頃よい行いをするよう心がければ、必ず幸せがやって来るということ。 類義:善因善果(ぜんいんぜんか)。 吹く風、枝を鳴らさず。 解釈:世の中が平穏な様子。 類義:雨、土塊(つちくれ)を破らず。五風十雨(ごふうじゅうう)。 河豚(ふぐ)食う無分別、食わぬ無分別。 解釈:猛毒のある河豚を平気で食う者は、愚かな者であるが、食べようによ れば美味しい河豚を、最初から毒を恐れて食べないというのも愚かといえると ということ。 類義:河豚食う馬鹿、食わぬ馬鹿。 覆車の戒め。 解釈:人の失敗を参考にして、同じ失敗を繰り返さないようにすること。 類義:前車の覆(くつがえ)るは、後車の戒め。覆車の轍を履む(ふむ)。 河豚汁(ふぐじる)や、鯛もあるのに無分別。(川柳) 解釈:他に美味しい物があるのに、毒のある河豚を構わず食べるのは愚かな ことである。河豚は、それほど美味しいということ。 腹心(ふくしん)。 解釈:腹となり胸となる者という意から、心から信頼できる人のこと。 類義:腹心の部下。 覆水、盆に返らず。 解釈:一度したことは、取り返しがつかないというたとえ。中国周(しゅう) の太公望呂尚(たいこうぼうりょしょう)が若い頃、貧乏なのに読書に耽(ふ け)ってばかりいたので、妻は離縁を求めて去った。後に出世してから妻が再 縁を願った際、盆の水を零(こぼ)し、その水を元に戻すことができたら願い を聞こう、と言って断ったという故事による。別れた夫婦は、元通りになら ないということ。 類義:落花枝に還らず、破鏡再び照らさず。 参考:It is no use crying over spilt milk.(零れたミルクを嘆いてもし かたがない) 不倶戴天(ふぐたいてん)。 解釈:一緒にこの世に生きていないということで、恨みの深い仇敵(きゅう てき)を、必ず報復しなければいられないほど恨むこと。 類義:倶(とも)に天を戴かず。 用例:不倶戴天の敵。 覆轍(ふくてつ)。 解釈:前の車がひっくり返った車輪の跡。前の人が失敗した後。失敗の前例。 河豚(ふぐ)にも中(あた)れば、鯛にも中る。 解釈:何時どんな場合でも災難は起こり得るというたとえ。河豚ばかりが中 毒を起こす元ではなく、時には鯛でも中毒することがある。 河豚は食いたし、命は惜しし。 解釈:快楽の後の祟りを考えて、快楽を躊躇ってしまうことのたとえ。 類義:蜜は甘いが、蜜蜂は刺す。 参考:There is no rose without a thorn.(棘のない薔薇はない) 不幸な子が可愛い。 解釈:親というものは、出来の悪い子ほど心を配り、愛情厚く育てるもので ある。 類義:子の不幸は親の嘆き。馬鹿な子ほど可愛い。 不幸は単独では来ない。 類義:泣き面(つら)に蜂。 無沙汰は無事の便り。 解釈:何か変わったことが起これば便りがある筈だから、連絡がないのは無 事の証拠で心配するには及ばないということ。 巫山(ふざん)の夢。 解釈:男女の情の繊細なこと。中国楚(そ)の懐王(かいおう)が高唐(こ うとう)に遊んだとき、昼寝の夢に巫山の神女と契りを結び、その神女が巫山 の峰に住んで、朝は雲に夕暮れは雨になると言ったという故事による。 類義:巫山の雨。巫山の雲雨。巫山の雲。 武士に二言(にごん)なし。 解釈:武士は、一度口にしたことを翻したりせず、信義を重んじることのた とえ。 類義:君子二言なし。武士の一言(いちごん)、金鉄(きんてつ)の如し。 富士の山ほど願って、蟻塚ほど叶う。 解釈:大きな希望を持っても、実現するのは小さいことのたとえ。 類義:富士の山ほど願って、擂鉢ほど叶う。富士の山ほど願っても、桃の実 ほど叶う。棒ほど願って針ほど叶う。 富士の山を蟻がせせる。 解釈:全く歯が立たないこと。弱者が無理して大きな仕事をしようとするこ と。「せせる」とは、突(つつ)いて掘ること。 類義:大黒柱を蟻がせせる。 武士は相見互い(あいみたがい)。 解釈:武士同士は同じ立場にあるのだから、互いに思いやり助け合わなけれ ばならないということ。 類義:侍は相互(あいたがい)。武士は相互。 武士は食わねど高楊枝(たかようじ)。 解釈:武士は貧しくて食事ができなくても、満腹したように悠々と楊枝を使 うということ。貧しさや困難にぶつかっても、気位(きぐらい)を高く持つと いう意。 参考:Eagle eats no carrion.(鷹は飢えても穂をつまず) 武士は渡り者。 解釈:武士も奉公人であるから、二君に仕えずなどと堅苦しく考えないで、 主人を替えても構わないという意。 不惜身命(ふしゃくしんみょう)。 解釈:身も心も捧げて労を惜しまないで行動すること。仏道で、修行に身を 捧げる心構えや態度のこと。 活用⇒誠心誠意行動する。It acts with heartfelt sincerity. 不肖(ふしょう)。 解釈:父に肖(に)ていない愚かな者のこと。また、自分のことを謙(へり くだ)って言う言葉。 夫唱婦随(ふしょうふずい)。 解釈:何事も夫が言い出し、妻がそれに従うのが、夫婦和合(ふうふわごう) の道であるということ。 無精者の一時(いっとき)働き。 解釈:何時も怠けている者は、突然に馬鹿働きをするが、長くは続かない。 急に慌てて仕事を始める者を嘲(あざけ)る言葉。 無精者の隣働き。 解釈:自分の家では何もしない怠け者が、他所の事になると、精を出して働 くこと。 負薪(ふしん)の憂い。 解釈:自分の病気の謙譲語。病気になって薪を背負えなくなるということ。 また、薪を負った疲れで病気になるという説もある。 類義:采薪(さいしん)の憂い。 不世出(ふせいしゅつ)。 解釈:滅多に世に出現しないほど優れていること。 用例:不世出の天才。 浮生(ふせい)夢の如し。 解釈:人生は儚(はかな)く、夢のようなものだということ。 符節(ふせつ)を合す如し。 解釈:ぴたりと一致すること。「符節を合するが如し」ともいう。 類義:符を合わせたる如し。 布施(ふせ)ない経には、袈裟(けさ)を落とす。 解釈:人間というものは、報酬が少ないと、労力を出し惜しみするものだと いうこと。 類義:布施だけの経を読む。布施ない経は読まぬ。布施見て経読む。仏事供 養も布施次第。 伏せる牛に芥(あくた)。 解釈:寝ている牛に塵(ごみ)を掛けるように、死者や弱い者に罪をなすり 付けること。 類義:寝た牛に芥掛ける。 扶桑(ふそう)。 解釈:中国の伝説で、東海の日の出る所にある神木。また、東海の日の出る 所の土地の意から、日本のことをいう。 腐草(ふそう)化して蛍となる。 解釈:草が腐って蛍になるということで、あり得ない事が起こることのたと え。 類義:山の芋が鰻(うなぎ)になる。 不足奉公は、双方の損。 解釈:奉公人が不満を抱いていると、奉公人にとっても主人にとっても不利 益になるということ。 類義:述懐(じゅっかい)奉公身を持たず。 |