死なぬ子三人、皆孝行。 解釈:これ以上の幸福は無いことのたとえ。子供が三人ともすくすく育って 親孝行をしてくれる。こんな幸せなことは無いという意。 類義:何時も三月、夜の月。使って減らぬ金百両。女房十八、我れ二十。 死なぬものなら子一人、減らぬものなら百両。 解釈:生まれた子が大きくなっても死なないと分かっていれば、一人でいい。 お金も減らないならば百両あれば十分だ。 類義:思うようなら子と三人。死なぬ子一人。 死なば四八月(しはちがつ)。 解釈:どうせ死ぬなら気候のよい四月、八月(陰暦)がよい。何事にも適切 な時期があるということのたとえ。 類義:死なば三四月花の頃。死なば十月中(なか)十日。死なば八月十五日。 死なば盆前、飲まば飯前。 死なば卒中(そっちゅう)。 解釈:どうせ死ぬなら痛みや苦しみのない卒中がよい。 類義:死なば卒中、飲まば朝酒。 死に馬に鍼(はり)刺す。 解釈:無駄なこと効果のないこと。死んだ馬に治療の鍼を刺すことなど無駄 だという意。 類義:死に馬にも鍼。 死にかけの念仏。 解釈:死にそうになってから人は信心する。人間丈夫なときは神仏を信心し ない。困ったときだけ頼ってくる。 類義:今はの念仏、誰も唱える。 死に別れより、生き別れ。 解釈:悲しさは死に別れより、生き別れの方が深い。 死人に口なし。 解釈:死んだ人に罪を被せること。また死んでしまった人を証人にしようと してもできないことのたとえ。 類義:死人に口なし、天をして言わしむ。死人に妄語(もうご)。 参考:Dead man tells no tales.(死人は何も話さない) 死人に妄語(もうご)。 解釈:罪を死人に被せてしまうこと。 類義:死人に口なし。死人に罪あり。 死ぬ死ぬという者に、死んだ例(ためし)がない。 解釈:死にたいと言ってる者ほど、勇気がなくて自殺などしない。 類義:死にたいと麦飯食いたい程、大きな嘘はない。 死ぬほど楽(らく)はない。 解釈:面倒臭いこの世に生きてるより、死んだ方が益しだという意。 類義:一番楽は棺の中。寝るほど楽はない。 反義:生きて極楽、死んで地獄。死ぬ者貧乏。死んで花実(はなみ)が咲く ものか。 死ぬ者貧乏。 解釈:生き残った者が恩恵を受け、死んでしまった者が損をする。 類義:死ぬ者が貧乏籤(びんぼうくじ)。死ぬものは損。 死ぬる子は眉目(みめ)よし。 解釈:早死にした子は惜しまれるという意。 類義:死にし子、顔よかりき。逃げた柄男は大きい。 死ぬるばかりは真(まこと)。 解釈:この世は嘘と作り事だらけだが、死だけは厳然たる事実である。 死ねば損、生くれば生得(いきどく)。 解釈:死んでしまっては元も子もない。生きていれば死ぬより得だ。 類義:死ぬ者貧乏。死んで花実(はなみ)が咲くものか。 芝居蒟蒻芋南瓜(しばいこんにゃくいもかぼちゃ)。 解釈:女の好きな食べ物。 類義:女の好きなは、芝居蒟蒻芋南瓜。 芝居は朝から。 類義:弁当は宵から。 芝居は無筆(むひつ)の早学問。 解釈:芝居見物をすれば、書物を読んだりするより、歴史上の事柄、物事の 道理などが短時間に理解できるという意。 類義:芝居は一日の早学問。 士は己を知る者の為に死す。 解釈:男子は、自分をよく理解し、価値を認めてくれる人のためには命を捨 てることも惜しまないということ。 類義:士は己を知る者の為に用いられ、馬は己を知る者の為に良し。人生意 気に感ず。 死馬(しば)の骨を買う。 解釈:つまらない者を優遇しておくと、後から優れた者が自然に集まってく るというたとえ。 慈悲が仇(あだ)となる。 類義:情けが仇。 四百四病(しひゃくしびょう)の外(ほか)。 解釈:恋煩い(こいわずらい)のこと。四百四病とは、仏教でいうあらゆる 病気のこと。その枠外にあるのが恋の病。こればかりは仏法でも手が付けられ ない。 類義:惚れた病に薬なし。 四百四病より貧(ひん)の苦しみ。 解釈:この世のあらゆる病気より貧乏の方が辛い。 類義:四百四病よりも貧の病が辛い。貧は病より苦し。 渋柿(しぶがき)が熟柿(じゅくし)に成り上がる。 解釈:時が経てば変化していくたとえ。 類義:息子が親父になる。嫁が姑になる。 渋柿の長持(ながもち)。 解釈:欠点がかえって長所になることもある。また、悪者が生き長らえるた とえ。 類義:憎まれ子、世に憚る(はばかる)。不味い物の煮え太り。 雌伏(しふく)。 解釈:後日活躍するために、しばらく他人の支配に服し、耐えていること。 参考:雄飛。 自分で自分の墓を掘る。 解釈:自ら破滅に繋がるような取り返しのつかないことをしてしまう。 類義:自ら墓穴を掘る。 自分で蒔いた種は、自分で刈らなければならぬ。 解釈:自分が原因で起きた悪い結果には責任を取らなければならない。 自分の頭の蝿を追え。 解釈:他人の世話を焼いたり、お節介をしたりするより、まず自分のことを きちんとやれ、というたとえ。 類義:己の頭の蝿を追え。人の世話するより、我が身の世話しろ。我が頭の 蝿を追え。 自分の子には、目口(めくち)が明かぬ。 解釈:可愛いわが子の欠点や行動を、親は見抜けないという意。 活用⇒自分の子には盲目。[守] 類義:親に目無し。 自分のぼんのくぼは見えず。 解釈:自分の欠点は分からないたとえ。ぼんのくぼとは、首の後ろの凹んだ 所で急所。 類義:自分の睫毛(まつげ)は目に入らぬ。灯台下(もと)暗し。 自分免許。 解釈:他人が免許を呉れないので、自分で勝手に免許皆伝と思い込むこと。 独りよがりの自惚れ(うぬぼれ)。 自暴自棄(じぼうじき)。 解釈:自分勝手や失望のために、自分自身を粗末に扱い、自棄(やけ)にな ること。 仕舞物(しまいもの)で籤(くじ)当たり。 解釈:最後の籤が当たること。籤は最初にやった方が得なようだが、そうで もなく平等であるという意。「仕舞」はお終いの意。 類義:残り物に福がある。 自慢高慢(じまんこうまん)馬鹿のうち。 解釈:自慢したり高慢な態度を執るのは、愚かな者と同じということ。 類義:自賛は推薦にはならぬ。 自慢は知恵の行き止まり。 解釈:自分のしたことを自慢するようになったら、もう進歩は無いという意。 類義:高慢は出世の行き止まり。自慢は芸の行き止まり。 死命(しめい)を制す。 解釈:他人の生死の決定権を自分が握ること。 四面楚歌(しめんそか)。 解釈:敵の真っ只中に孤立していること。周りは敵ばかりの状態。中国楚 (そ)の項羽(こうう)が漢(かん)の高祖(こうそ)の軍と戦って垓下(が いか)で包囲されたとき、四方の漢軍の中から、楚の歌が聞こえてきたので、 楚は漢に占領されたと絶望したという故事による。 下(しも)いびりの、上(かみ)諂い(へつらい)。 解釈:目下の者を苛(いじ)める人間に限って、上には媚諂う(こびへつら う)ものだ。 四(し)も五も食わぬ。 解釈:どうしようもなく、手の付けられない状態をいう。手に負えない。 類義:海千山千。酢でも蒟蒻(こんにゃく)でも。煮ても焼いても食えぬ。 一筋縄(ひとすじなわ)では行かぬ。 駟(し)も舌に及ばず。 解釈:「駟」は四頭立ての馬車で、昔の中国で一番早い乗物。「舌」は口の こと。一旦言ったことは、非常に早く伝わって、取り返しのきかなくなるとい う意。無闇に言葉を吐いてはいけない。 霜の多い朝は晴。 解釈:昔からの言い伝え。晴れた日は地上が温められ、水蒸気が天高く上り、 夜になると冷やされて霜になる。 霜を履(ふ)みて、堅氷(けんぴょう)至る。 解釈:霜の季節が来ると、次は氷の張る季節が来る。つまり、大事の前には 必ず前兆がある。前兆をまず見抜けという意。 類義:亡(ぼう)を見て存(そん)を知り、霜を見て氷を知る。 |