木は木、金(かね)は金。
解釈:物事は何でも正直にきちんと区別しなければならぬという意。
類義:石は石、金は金。
気は心。
解釈:少しではあっても誠意の一端を表すという意。少しでも人に尽くした
と思えば、その人の気が済む。
類義:気は心、目は眼(まなこ)。塵を結んでも志。
木は檜(ひのき)、人は武士。
類義:花は桜木、人は武士。
驥尾(きび)に附す。
解釈:蝿が名馬の尾に付いていれば、千里も行けることから、後輩が先輩の
後に従って事を成し遂げるたとえ。人と行動を共にするときに、謙遜して言う
言葉。
木仏金仏石仏(きぶつかなぶついしぼとけ)。
解釈:情に動かされぬ堅いばかりの人や、女の誘惑に感じない人のたとえ。
類義:石部金吉(いしべきんきち)鉄兜(かなかぶと)。木の股から生まれ
る。
季布(きふ)の一諾(いちだく)。
解釈:絶対の信頼がおける承諾。「季布」は中国漢の時代の名士。
類義:一諾千金(いちだくせんきん)。金諾(きんだく)。百金(ひゃっき
ん)の諾。
君(きみ)、君たらずとも、臣(しん)、臣たらざる可からず。
解釈:主君が主君としての道を尽くさなくとも、臣下は臣下の道を守って主
君に忠義を尽くさなければならない。
君の情熱は、不可能を可能にするだろう。[守]
類義:情熱があれば、不可能はない。愛は、不可能を可能へと導くであろう。
参考:Your passion will make the impossible possible.
君、辱めらるれば、臣、死す。
解釈:主君が辱めを受ければ、臣下は死を決してその恥をそそがねばならな
い。臣下は主君と生死苦楽を共にすべきだという意。
鬼面、人を嚇(おど)す。
解釈:鬼の面のような厳めしい見せかけで人を驚かすこと。こけおどしの意。
類義:鬼の面で小児を嚇す。鬼面、小児を嚇す。
鬼門。
解釈:陰陽道で、鬼が出入りするといって一般に忌み嫌われる方角艮(うし
とら)、すなわち北東の方角のこと。転じて危険、苦手、恐ろしいことや危険
な場所の意にも用いられる。
客と白鷺は、立ったが見事。
解釈:客の長居を諌める言葉。また、客に舞の余興を求める意味もある。
類義:風呂と客とは立ったがよい。
客の朝起き。
解釈:泊り客が宿主の主人より早く起きるのは、主人側が迷惑するという意。
類義:客の朝起きと昼の行灯(あんどん)、置き所に困る。客の朝起き宿の
迷惑。
杞憂(きゆう)。
解釈:あれこれと必要もない心配をすること。取り越し苦労。杞の国(中国
周の時代の国名)の人が、天が崩れて落ちるのではないかと寝食を忘れて心配
したという故事による。
九死(きゅうし)に一生(いっしょう)を得る。
解釈:危うく命拾いすること。
類義:死中に活を求む。十死一生。万死(ばんし)に一生を得る。
牛首(ぎゅうしゅ)を懸げて、馬肉を売る。
解釈:言うことと、行うことが大きく違うことのたとえ。牛の首の看板を出
して、実際には馬の肉を売ること。
類義:看板に偽りあり。羊頭狗肉(ようとうくにく)。
牛耳を執る。
解釈:団体や集団の首領になること。昔、中国の諸侯が誓盟(せいめい)を
する際に、牛の耳を割いてその血を啜(すす)り、同盟の中心者が耳を執った
故事による。「牛耳る」とも用いる。
九仞(きゅうじん)の功を一簀(いっき)に虧(か)く。
解釈:多年の努力が僅かなことで不成功に終わることのたとえ。九仞(一仞
は約1.6m)の築山(つきやま)も最後の一簀(もっこ。畚)の土がなければ完
成しない。
類義:百日の説法、屁一つ。
窮(きゅう)すれば通ず。
解釈:何事も追い込まれて動きがつかぬ状態になると、かえって活路を見い
出せるものである。
類義:案ずるより生むがやすい。
反義:窮すれば濫す。
窮すれば濫す。
解釈:追い込まれた状態になると、人は見境なく無闇に乱れてしまうという
意。思慮の浅い者は、窮乏を我慢できず悪い事でもしてしまうものだ。
類義:小人、窮すれば濫す。逃ぐる者、道を択(えら)ばず。
反義:窮すれば通ず。
窮鼠(きゅうそ)猫を噛む。The cornered mouse bites a cat.
解釈:逃げ場のなくなった鼠は、天敵の猫に噛み付く。絶体絶命になると、
弱者が強者を負かすことがあることのたとえ。
活用⇒絶体絶命の弱者は、強者に勝つ。The desperate weak defeat the strong man.
類義:窮鼠反って猫を噛む。
窮鳥(きゅうちょう)懐に入れば、猟師も殺さず。
解釈:困って逃げ場を失った者が助けを求めてくれば、どんな事情でも助け
るものである。
朽木(きゅうぼく)は雕(え)るべからず。
解釈:やる気を出さない者に教えようとしても、無理である。朽ちた木に彫
刻はできない。
類義:朽木糞牆(きゅうぼくふんしょう)。
笈(きゅう)を負う。
解釈:郷里を出て遠方に遊学すること。「笈」は書を入れて背に負う箱。
今日あって、明日ない身。
解釈:人の世のはかないこと。また、死期が迫っていること。
類義:今日ありて、明日知れぬ命。
今日考えて、明日語れ。
解釈:よく考えて話せ。軽率にしゃべらないようにせよ、という意。
胸襟(きょうきん)を開く。
解釈:胸と襟(えり)を開くことから、心の中を打ち明けることをいう。
狂人走れば、不狂人も走る。
解釈:人間はとかく他人に引きずられやすいものであることのたとえ。
類義:一匹狂えば、千匹の馬も狂う。雁が立てば、鳩も立つ。付和雷同(ふ
わらいどう)。
兄弟は鴨の味。
解釈:鴨の肉は大変味がよいことから、兄弟の間柄は実に楽しいものだとい
う意。
類義:兄弟喧嘩は雁の味がする。兄弟喧嘩は二の膳より御馳走。
兄弟は他人の始まり。
解釈:元々は仲のよい兄弟でも、結婚などすると妻子への愛情が深まり、お
互いの情愛も薄れてくるものだ。まして利害関係に関しては、他人のようにい
がみ合うことも多いということ。
類義:おとどい(兄弟・姉妹)は他人の始まり。兄弟は他人の別れ。
反義:兄弟は手足たり。兄弟は両の手。血は水よりも濃し。
兄弟は両の手。
解釈:兄弟は何時も助け合わなければならないという意。
類義:兄弟は左右の手の如し。兄弟は手足たり。血は水よりも濃し。
今日なし得る事を明日まで延ばすな。
解釈:今できることは、直ぐにやるのがよい。
参考:Never put off till tomorrow what you can do today.の訳語。
京に田舎あり。
解釈:賑やかな都にも、田舎の風情のある所が残っているものだ。
類義:都にも田舎。
京のお茶漬。
解釈:京都の人は根はけちだが、愛想がよく、客の帰り際に「お茶漬でも」
と勧めるところから、心にもないのにお世辞の旨い人をそしる言葉。
類義:遠州の何(なん)なら茶漬。大道湯漬(だいどうゆづけ)。福山の門
鑵子(かどがんす)。
京の着倒れ、大阪の食い倒れ。
解釈:京都の人は衣服に金をかけ、大阪の人は食物に奢る風があるという意。
類義:阿波(あわ)の着倒れ、伊予(いよ)の食い倒れ。大阪の食い倒れ、
堺の建て倒れ、尼崎は履いて果てる。尾張(おわり)の着倒れ、美濃(みの)
の系図倒れ。関東の食い倒れ、上方の着倒れ。
堯(ぎょう)の子、堯ならず。
解釈:親は立派でもその子が必ずしも立派だとは限らないということ。「堯」
は古代中国の伝説的聖君子。
類義:賢(けん)が子、賢ならず。大家(たいか)後無し。
今日の情(なさけ)は、明日(あした)の仇(あだ)。
解釈:人情が変わりやすく当てにならないこと。
類義:今日の見方は、明日の敵。
今日の後に今日無し。
解釈:今日という日は二度と来ないから、今日一日を大切に、心して過ごさ
なければならない。
活用⇒今日という日は、二度と来ない。The day of today never comes.
類義:昨日は昨日、今日は今日。今日の手後れ、明日へついて回る。歳月、
人を待たず。盛年(せいねん)重ねて来らず。今日の後に今日なし。
反義:明日は明日の風邪が吹く。
今日の一針(ひとはり)、明日の十針。
解釈:今日一針縫えば済むものを、明日はほころびが大きくなって十針も縫
わなければならない。手を打つべきときに処置しないと苦労することのたとえ。
類義:今日の手後れ、明日へついて回る。
参考:A stich in time saves nine.の訳語。
京の夢、大坂の夢。
解釈:夢は現実を超えて、様々の事を見させてくれるという意。あるいは、
京都の人の見る夢、大坂の人の見る夢、それぞれに違うという意にも用いる。
京は着て果て、大阪は食って果てる。
類義:今日の着倒れ、大阪の食い倒れ。
今日は人の身、明日は我が身。
解釈:災難は何時降りかかるか分らないものだから、用心しなければならな
い。
類義:浮世は回り持ち。今日の哀れは、明日の我が身。
器用貧乏。
解釈:手先が器用な人は気が多く、また他人に便利に使われて、一つの事に
集中できず、貧乏で終わること。またその人。
類義:器用貧乏人宝。器用貧乏、身が持てない。器量貧乏。才人、才につま
ずく。七細工八貧乏。
器用貧乏人宝(ひとだから)。
解釈:器用な人は、人に重宝に使われて大成せず、貧乏暮らしをするという
こと。
類義:器用貧乏人宝、隣の鈍(どん)に使われる。器用貧乏、身が持てない。
巧者貧乏人宝。細工貧乏、人しもべ。職人貧乏人宝。
狂瀾(きょうらん)を既倒(きとう)に廻らす。
解釈:押し寄せてきた荒れ狂う波を元へ押し戻すことから、傾いた大勢を元
の形に戻すこと。
類義:回瀾を既倒(きとう)に返す。
虚栄は嘘の母。
解釈:自分をよく見せようとすると、無理をするから、嘘をつくようになる
という意。
類義:外さ張る人、内詰める。見栄坊(みえぼう)の空言(そらごと)。
曲学阿世(きょくがくあせい)。
解釈:学問上の真理を曲げて、世間の人気におもねる説を唱えて、時勢に迎
合しようとすること。「阿」はおもねる意。
類義:鬚の塵を払う。
旭日昇天(きょくじつしょうてん)。
解釈:旭が勢いよく天に昇るように、勢力が盛んなこと。
活用⇒朝日のように盛んだ。It is as active as the morning sun.
類義:破竹の勢い。旭日東天。
玉石混淆(ぎょくせきこんこう)。
解釈:よい物(玉)と、つまらぬ物(石)とが入り混じっていて、区別がつ
かないこと。
類義:魚目(ぎょもく)珠(しゅ)に混ず。味噌も糞も一緒。
去年に不作なし。
解釈:農民は毎年、今年は去年より不作だと嘆いて、予防線を張るという意。
類義:商人(あきんど)の泣き言。
居(きょ)は気を移す。
解釈:人は地位や環境によって気持が変わり、よくも悪くもなる。
魚腹(ぎょふく)に葬らる。
解釈:魚の餌になるという意から、水死すること。
漁夫(ぎょふ)の利。
解釈:二者が争っている隙に、第三者が入って、利益を横取りすること。鷸
(しぎ)が蚌(どぶがい)と争っているところへ猟師が来て、両方を一度に捕
まえたという故事による。
類義:鷸蚌(いつぼう)の争い。漁父の利。犬兎(けんと)の争い。濡れ手
に粟。
清水の舞台から飛び下りる。
解釈:京都清水寺の舞台は高い崖の上に造られていることから、思い切った
大きな決断をするたとえ。
類義:清水の舞台から後ろ飛び。
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