愚か者に福あり。
解釈:愚かな者は人に憎まれず災難にも遭わず、かえって幸福に一生を過ご
す。
類義:果報はたわけにつく。馬鹿果報。
負わず借らずに子三人。
解釈:人の世話にもならず借金もなく、子も多からず少なからず三人あれば、
幸福であるということ。
類義:思うようなら子三人。子三人子宝。三人子持ちは笑うて暮らす。死な
ぬ子三人皆孝行。足らず余らず子三人。
尾張(おわり)の着倒れ、美濃(みの)の系図倒れ。
類義:京の着倒れ、大坂の食い倒れ。
終わりよければ、全てよし。
解釈:何事も締めくくりが大切で、途中にいざこざや失敗があっても、結果
さえよければ、高く評価される。
参考:All's well that ends well.の訳語。
尾を振る犬は叩かれず。
解釈:従順な者には、誰もひどい仕打ちができないものだということ。
類義:恐(いか)れる拳(こぶし)、笑顔に当たらず。尾を振る犬は、打つ
手なし。袖の下へ回る子は打たれぬ。杖の下に回る犬は打てぬ。
尾を振る犬も噛むことあり。
解釈:普段従順な者も、何かの拍子に思いがけず反抗することがあるから、
気をつけよという戒め。
恩が仇(あだ)。
類義:情けが仇。
温故知新(おんこちしん)(論語)。
解釈:古典や伝統を研究して、新しい知識や見解を得ること。また、古い物
事の中から新しい価値や意義を見いだすこと。
参考:「温故知新」は「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」と読
む。
温青(冫+青)定省(おんせいていせい)。
解釈:父母に仕えるには、寒い時は暖かく、暑い時は涼しくし、夜は寝床を
整え、朝はご機嫌を伺うことであるという意。父母に孝養を尽くす心がけのこ
と。
参考:「温青(冫+青)」は暖かなことと涼しいこと。「定省」は、寝床を
安定させること、安否を顧みて尋ねること。
女心と秋の空。
解釈:女の心は、秋の空のように変わりやすいものである。
類義:秋の日和(ひより)と女の心、日に七度変わる。女の心は猫の眼
(め)。
参考:男心と秋の空。男心と秋の空は、一夜に七度変わる。
女賢(さか)しうして、牛売り損なう。
解釈:女の利口なのは、目先の小さな事にとらわれて、大局を見失い、とか
く失敗しやすいものである。
類義:女が口を叩けば、牛の値が下がる。女の賢いのと、東の空明りとは当
てにならぬ。女の猿知恵。女の知恵は鼻の先。
女三人あれば、身代(しんだい)が潰れる。
解釈:娘が三人いると、嫁入り支度で財産がなくなるという意。
類義:女の子三人あれば、囲炉裏の灰もなくなる。娘三人持てば、身代潰す。
反義:娘三人は一身代(ひとしんだい)。
女三人寄れば姦しい(かしましい)。
解釈:女はお喋りだから、三人も寄り集まればやかましい。「姦」の字を
「かしましい」と読むところからできた諺(ことわざ)。
類義:女三人寄れば、囲炉裏の灰飛ぶ。女三人寄れば、着物の噂する。女三
人よれば、富士の山でも言い崩す(くずす)。
参考:Three women make a market.(女三人寄れば、市(いち)をなす)
女と坊主に余り物がない。
解釈:女と坊主に不要なものはない。どんなに醜い女でも、似合いの夫を見
つけるもので、一生独身で顧みられないことはないということ。
類義:女に捨てものなし。捩(ねじ)れ釜に捩れ蓋。破鍋(われなべ)に閉
じ蓋。
女の一念、岩をも透す。
解釈:女の執念深さのたとえ。また、女の決心の固さをたとえていう。
類義:女の一念岩をも透す、男の一念寝間(ねま)に糞(くそ)垂れる。女
の念は岩透す。
女の髪の毛には、大象(たいぞう)も繋がる。
解釈:大きな象も、女の髪の毛で作った綱で繋がれたら、もう動けない。女
の魅力が男を惹きつける力の強いことのたとえ。
類義:女の髪の毛一本、千人の男繋ぐ。
参考:One hair of a woman draws more than a team of oxen.(女の髪の毛
は、雄牛の群れをも繋ぐ)
女の心は猫の眼(め)。
解釈:女の心は、猫の眼のように変わりやすいものである。
類義:秋の日和(ひより)と女の心、日に七度変わる。女心と秋の空。女心
と秋の空、変わりまするぞ日に三度。女心は四月の空の如し。
参考:夫の心と川の瀬は、一夜に変わる。男心と秋の空。A women's mind
and winter wind change often.(女心と冬の風)
女の知恵は鼻の先。
解釈:女の思慮分別(しりょぶんべつ)は、目先の事だけで、見通しが深く
ないこと。
類義:女の知恵は後へまわる。女の鼻の先思案(しあん)。女の利発(りは
つ)、牛の一散。女は鼻の先。女分別。
女の目には、鈴を張れ。
解釈:女の目は、ぱっちりと丸くて大きいのが、愛嬌があってよい。「男の
目には糸を張れ」の後に続けていう。
女は三界(さんがい)に家なし。
解釈:女は広い世界のどこにも自分の定住できる家はない。生家(せいか)
にいるときは父に従い、結婚しては夫に従い、年をとっては子に従うものだか
ら、一生自分が主となれる場所がないという意。
類義:女の家なし。女に定まる家なし。女に三つの家なし。女の身は三界に
家なし。女は百まで家持たず。
女は化け物。
解釈:女は化粧によって美しく変わる。また、女の年齢が化粧によって隠さ
れること。
類義:女は魔物。
恩の腹は切らねど、情(なさけ)の腹は切る。
解釈:恩返しのために死ぬ人はないが、人情のために死ぬ人はいるという意。
類義:恩の死はせねど、情の死をする。
乳母(おんば)日傘。
解釈:乳母(うば)に抱かれて、日傘を差しかけられるような、大事に育て
られること。金持の家に生まれ、恵まれた育ち方をすることを表した言葉。
恩を仇(あだ)で返す。
解釈:恩を受けておきながら、ひどい仕打ちをすること。
類義:愛犬に手を噛まれる。後足で砂をかれる。恩は怨みで報ずる。恩を仇。
飼犬に手を噛まれる。陰にいて枝を折る。
反義:恩を以て、怨みに報ず。
恩を以て、怨みに報ず。
解釈:怨みのある人に対しても、怨みを返さず恩義で報いること。心の広い
様。
類義:仇(あだ)を恩にて報ず。怨みに報ずるに徳を以てす。徳を以て怨み
に報ず。汝(なんじ)の敵を愛せよ。右の頬を打たれたら、左の頬を出せ。
反義:恩を仇で返す。陰にいて枝を折る。
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