お里が知れる。 解釈:言葉遣いとか、一寸した振る舞いによって、その人の生まれ育った環 境が分るということ。「里」は生まれた家・実家の意。 参考:The shepherd even when he become a gentleman smells of the lamb. (羊飼いは紳士になっても、羊の匂いがする) 教うるは学ぶの半ば。 解釈:人に教えるということは、教える側にとっては勉強になるという意。 類義:教学は相(あい)長ず。 参考:Teaching others teaches yourself.(他人を教うるは、己を教うるも の) 伯父が甥(おい)の草を刈る。 解釈:目下の者のために目上の者が奔走させられること。 類義:甥の草を舅(しゅうと)が刈る。 お仕着せの長口上(ながこうじょう)。 解釈:型通りの言葉で長々としゃべること。 押し付けた縁(えん)は続かぬ。 解釈:無理矢理に結婚させた夫婦の生活は、長く続かないものだ。 押しの一手。 解釈:目的に向かって、強引に推し進めること。 遅い助けは助けにならぬ。 解釈:折角助けるならば、早めに助けるべきで、遅くては役に立たないとい うこと。 遅かりし由良之助。 解釈:時機に遅れたことを残念がって言う言葉。 恐れ入谷(いりや)の鬼子母神(きしもじん)。 解釈:「恐れ入りました」の洒落(しゃれ)で、恐れ入るの「入る」を地名 入谷にかけた句。 おだてともっこには乗るな。 解釈:甘言(かんげん)には注意せよ、という意。 参考:「もっこ(畚)」はワラ縄を網状に編み、吊紐をつけたもので、主に土砂な どを運ぶ用具。 お多福転けても鼻打たぬ。 解釈:鼻の低い者は、転んでも鼻に怪我をすることはないという嘲(あざけ) りの言葉。 類義:おでこ転んでも鼻打たぬ。 小田原評定(ひょうじょう)。 解釈:長びくばかりで結論の出ない相談。小田原城の北条氏直(うじなお) が、豊臣秀吉の攻勢を前に、臣下を集めて和戦何れを取るかの評定をしたが、 論議が長びいて決着せず、滅ばされてしまった故事による。 類義:狢(むじな)評定。 落武者は芒(すすき)の穂にも怖(お)ず。 解釈:戦いに負けて逃げる武者には、辺りの物全てが敵のように思われ恐ろ しい。何か怯えている者は、何でもない事にでもびくびくするという意。 類義:落人(おちうど)は草木にも心を置く。疑心暗鬼。木にも萱にも心を 置く。草木にも心置く。脛(すね)に疵(きず)持てば笹原走る。 落目に祟り目。 類義:弱り目に祟り目。 お茶を濁す。 解釈:お茶らしく色を濁して誤魔化すことから転じて、適当に、その場しの ぎで誤魔化すこと。 落ちれば同じ谷川の水。 解釈:最後に落ち着く所は、同じであること。 類義:同じ高嶺(こうれい)の月を見る。 夫の心と川の瀬は、一夜(いちや)に変わる。 解釈:男の愛情は変わりやすいものであるという意。 類義:男心と秋の空。変わり易きは川の瀬と男の心。 頤(おとがい)で蝿を追う。 解釈:すっかり痩せ衰えて元気のない様。 類義:顎(あご=おとがい)で蝿を追う。 頤(おとがい)を解(と)く。 解釈:顎(あご)が外れるくらい大口を開けて笑うこと。 類義:解顎(かいい)。 男心と秋の空。 解釈:男の心は移り気で、秋の空と同じように変わりやすいものだというこ と。 類義:夫の心と川の瀬は、一夜に変わる。男心と秋の空は一夜に七度変わる。 分らぬは夏の日和(ひより)と人心。 参考:女心と秋の空。女の心は猫の眼。 男に青菜(あおな)見せるな。 解釈:青菜は、茹でると量がぐっと減るので、茹でる前に男に見せない方が いいということ。 類義:青菜は男に見せな。つましい青菜見せな。 男は閾(しきい)を跨げば七人の敵あり。 解釈:男が外へ出て仕事をするときには、必ず多くの敵や競争相手があるも のだ。 類義:雨垂れは三途(さんず)の川。家を出れば七人の敵あり。男子家を出 ずれば七人の敵あり。男子門を出ずれば七人の敵あり。 男は度胸、女は愛嬌。 解釈:男には決断と勇気が大切で、女には愛嬌が大切であるということ。 類義:男は度胸、女は愛嬌、坊主はお経。 男は裸百貫。 解釈:男は裸でも百貫の価値がある。男は無一文でも、働いて富を作ること ができることからいう。 男は松、女は藤。 解釈:男は松のように強く一人立ちし、女は藤が松に絡まるように、男に頼 って生きていくということ。 類義:類義:蔦蘿喬松(ちょうらきょうしょう)に施(は)う。蔦と女蘿(じょら)は松柏(しょうはく)に施(し)く。 男は妻(め)から。 解釈:男の出世は、妻の善し悪しによって決まる。不品行な男も妻の心がけ 次第で身持ちが収まる。 類義:男は女から。女房は家の中の大黒柱。布は緯(きぬ)から、男は女か ら。 男やもめに蛆(うじ)がわき、女やもめに花が咲く。 解釈:妻と死別・離別した男は、家の中や身なりが汚くなるが、夫と死別・ 離別した女は、むしろ身奇麗にして男たちにももてはやされるものだというこ と。 類義:男後家(ごけ)にはボロ下がり、女後家には花が咲く。男やもめに雑 魚(ざこ)たかる。後家花咲かす。 落とした物は拾い徳(ひろいどく)。 解釈:落し物は、拾った人が自分の物にしてしまっても構わないという意。 類義:預かり物は半分の主。拾い主は半分。 大人は火の子。 解釈:大人は寒がりであることのたとえ。 参考:子供は風の子、大人は火の子。 同じ釜の飯を食う。 解釈:共に生活した非常に親しい仲。 参考:同じ皿で食べる(フランスの諺)。 鬼が出るか、蛇(じゃ)が出るか。 解釈:どんな展開になるか予想ができないことのたとえ。前途の困難が予測 しにくいときにいう。 類義:鬼が出るか、仏がでるか。くらがりに鬼をつなぐ。 鬼瓦も化粧。 解釈:どんなに醜い女でも、化粧をすれば少しはよく見えるということ。 類義:猿にも衣装。馬子にも衣装。 鬼に鉄棒(かなぼう)。 解釈:鬼に鉄棒を持たせれば怖いものがないように、強い者が更によい条件 を得て、より強くなること。 類義:鬼に鉄杖(かなづえ)。鬼に金棒、弁慶に長刀(なぎなた)。鬼に金 棒、仏に蓮華。鬼に金持たす。虎に翼。 反義:餓鬼(がき)に苧殻(おがら)。 鬼に衣。 解釈:鬼は元来裸なのだから、衣服はいらないことから、不必要なことのた とえ。また、表面は穏やかだが、内心は鬼のように恐ろしいことのたとえにも いう。 類義:狼に衣。鬼に着せたる衣。 鬼にもなれば、仏にもなる。 解釈:人は相手の出方次第で、敵にもなり、見方にもなるということ。 類義:思えば思わる。 鬼の居ぬ間に洗濯。 解釈:怖い人や気がねな人がいない間に、のびのびとくつろぐこと。 類義:鬼の來ぬ間に洗濯。鬼の留守に洗濯。鬼の留守に豆拾い。 鬼の霍乱(かくらん)。 解釈:普段極めて丈夫な人が、珍しく病気になること。「霍乱」は、日射病 や暑気たりのことをいう漢方医の言葉。 鬼の首を取ったよう。 解釈:大きな手柄を立てたかのように、得意がる様子をいう。 鬼の空念仏(そらねんぶつ)。 解釈:残忍・冷酷な者が、情け深そうに装うこと。また、不似合いなものの こと。 類義:狼に衣。鬼の空涙(さらなみだ)。鬼の念仏。 鬼の女房には、鬼神(きしん)がなる。 解釈:鬼のような男には、丁度似合いの鬼のような女が妻となる。似た者同 士が夫婦になること。 類義:鬼の女房に夜叉(やしゃ)がなる。似た者夫婦。破鍋(われなべ)に とじ蓋。 鬼の目にも涙。 解釈:冷酷・無情に人にも、時には慈悲の心が生まれることがあること。 類義:鬼も頼めば、人食わず。鰐の目に涙。 鬼の目に見残し(みのこし)。 解釈:どんなに隅々までも見逃さない過酷なやり方にも、手抜かりがあると いうこと。 類義:鷹の目にも見落とし。 鬼も十八、番茶も出花(でばな)。 解釈:醜い鬼のような女でも、年頃になれば女らしい魅力が出てくる。粗末 な番茶も最初の一二杯は美味しい。なんでも盛りは美しいものだということ。 類義:薊(あざみ)の花も一盛り(ひとさかり)。鬼も十七、茨(いばら) も花。鬼も十七、番茶も煮ばな。鬼も十八、柴茶(しばちゃ)も出花。南瓜女 (かぼちゃおんな)も一盛り。 鬼も頼めば、人食わず。 解釈:性来好きな事であっても、こちらから頼めば、かえって勿体(もった い)ぶってやらないものだということ。また、鬼のような非情な者でも、時に は情け心を起こすものだということ。 類義:犬も頼めば糞(くそ)食わず。頼めば鬼も人食わず。 鬼も角(つの)折る。 解釈:悪人でも、何かを機会にきっぱりと悪事を止め、善事を心がけるよう になること。 類義:鬼も発起(ほっき)。邪険(じゃけん)の角を折る。 己(おのれ)の頭の蝿を追え。 解釈:他人の世話を焼くより、まず自分のことをせよということ。 類義:人の蝿を追うより、己の蝿を追え。面々の蜂を払う。我が頭の蝿を追 え。我が蜂払え。我が身の蝿を追え。 己の欲せざる所は、人に施す勿れ(なかれ)(論語)。 解釈:自分が好まない事は、他人も好まないのだから、他人に対してしては ならない。 類義:我が身をつねって、人の痛さを知れ。 参考:Do to others as you would have others do to you.(自分にしても らいたいように、人にもせよ) 斧を掲げて淵に入る(いる)。 解釈:斧を持って淵に入っても、役に立たないことから、適材を適所に配さ なければ意味が無いことのたとえ。 斧を研いで、針にする。 解釈:たとえ難しい事でも、努力し続ければ、何時か必ず成功する事のたと え。 類義:石臼を箸にする。砂を集めて塔を積む。鉄杵(てつしょ)を磨く。 尾羽(おは)打ち枯らす。 解釈:鷹の尾と羽が痛んでみすぼらしくなることから、落ちぶれた姿になる ことのたとえ。零落すること。 帯に短し、襷(たすき)に長し。 解釈:中途半端で役に立たないこと。丁度いいものはなかなかないことのた とえ。 類義:次郎にも太郎にも足らぬ。長し短し。褌(ふんどし)には短し、手拭 (てぬぐい)には長し。 おぶえば抱かりょう。 解釈:背負ってやれば、抱いてくれという。一つしてやると、横着になって 更にその上を求めることのたとえ。 類義:負うたと言えば、抱かれる。負うてやろうと言えば、抱いてくれと言 う。千石取れば、万石羨(うらや)む。 思召しより、米の飯。 類義:心中より饅頭(まんじゅう)。 溺れる者は、藁(わら)をも掴む。 解釈:危急の際には、どんなに頼りにならない物にでも、頼るということ。 類義:せつない時は、茨(いばら)も掴(つか)む。 参考:A drowning man will catch at a straw.の訳語。 お前百まで、わしゃ九十九まで。 解釈:夫婦が仲睦まじく暮らし、共に長生きすること。相生(あいおい)、 偕老(かいろう)。 参考:続けて「共に白髪の生えるまで」という俗謡。 御神酒(おみき)上らぬ神は無い。 解釈:お神酒を供えない神様はない。酒飲みが、酒を飲む言い訳。 |