痛い上の針。 解釈:悪い事の上に更に悪い事が重なって起こること。 類義:痛む上に塩を塗る。泣き面に蜂。 痛くもない腹を探られる。 解釈:痛くもないのに、痛い個所はどこかと探り回されることで、やましい 事はしていないのに疑いをかけられること。 類義:食わぬ腹探られる。 板子一枚(いたごいちまい)下は地獄。 解釈:船乗りに危険はつきものだということ。「板子」は、和船の底にある 上げ板で、板子の下は船底。その下は海で、何時落ちるか分からない。 類義:一寸下は地獄。一寸の地獄。 痛し痒し。 解釈:痒(かゆ)いけれど掻けば痛いし、掻かなければ痒い。どうしたらよ いか選択に迷うときにいう。 類義:痛し痒しの痘瘡(とうそう)。 戴く物は、夏も小袖。 解釈:夏には必要のない小袖(絹の綿入れ)でも、貰えるものなら何だって 戴くという強欲のたとえ。 類義:元旦に御弔(おとむらい)。買う物は夏も小袖。 痛む上に塩を塗る。 解釈:疵口に塩を塗ると、一層痛みがひどくなるように、悪い事が起こって いるところへ、更に悪い事が重なること。 類義:痛い上の針。泣き面に蜂。踏んだり蹴(け)たり。弱り目に祟り目。 一衣帯水(いちいたいすい)。 解釈:帯のように狭い川や環境などをいう。 一瓜実(うりざね)に、二丸顔。 解釈:女の顔で一番美しいのは瓜の実のように中高でやや細長い顔、その次 は丸い顔であるということ。 類義:一瓜実に二丸顔、三平顔に四長顔、五まで下がった馬面顔。 一押し二金、三男。 解釈:女性の愛を勝ち取るための条件は、第一の押しの強さ、第二に金があ ること、第三に男前のよさである。 類義:一押し二金三暇四男五芸。 一か、八(ばち)か。 解釈:思い切ってやってみること。結果の予測はつかないが、運を天に任せ て冒険すること。一と八は丁、半それぞれの字の上の部分を取ったもの。 類義:一か六か。のるか反(そ)るか。 一工面、二働き。 解釈:ひたすら働くだけでは、うだつは上らない。世渡りに必要なのは要領 で、勤勉は二の次であるという意。 類義:一勘弁、二働き。稼ぐ男より、工面の男。 一芸(いちげい)は、道に通ずる。 解釈:一芸に秀でた者は、他の分野でも人より際立った素養を持つという意。 類義:一芸に達する者は、諸芸に達する。一芸に長ずれば、多芸に長ず。 一言居士(いちげんこじ)。 解釈:何事にも一言(ひとこと)差し挟まなければ気が済まない性質の人。 一合取っても武士は武士。 解釈:禄は少なくとも武士は武士。町人、百姓とは異なるという武士の誇り を言ったたとえ。大禄を取る者と武士に変わりはないと、小禄を食む者が気を 吐く言葉。 類義:一輪咲いても、花は花。 一事が万事(ばんじ)。 解釈:一つの事柄を見れば、それから他の全ての事を推察できる。 類義:一斑(いっぱん)を見て全豹を卜(ぼく)す。一事を以て万端を知る。 一を以て万を知る。 一字千金。 解釈:一字の価値が千金に値すること。特に筆跡や文章の優れていること。 類義:一字千金に換え難し。 一日千秋(いちじつせんしゅう)。 解釈:わずか一日会わないと、千年も会わないように思われる。思慕の情が 深いことのたとえ。 類義:一日三秋。一日千秋の思い。 一日(いちじつ)作(な)さざれば一日食(く)わず。 解釈:一日仕事をしなければ一日食事をとらないという意。労働の大切なこ とをいった言葉。 一日(いちじつ)の長(ちょう)。 解釈:一日先に生れる。少し年をとっていること。経験や技能などが人より 一歩抜きん出ていること。 一字の師。 解釈:詩や文章の誤り、不適切な文字などを指摘し改めてくれた人を敬って いう言葉。 一樹の蔭一河(いちが)の流れも他生(たしょう)の縁(えん)。 解釈:知らない者同士が、たまたま同じ木の陰に宿り、同じ川の水を飲むこ とがある。こうしたことは全て前世からの因縁であり、おろそかには思われな いということ。 類義:一樹の蔭一河の流れ一村雨の雨やどり。袖すり合うも他生の縁。 一誹(そし)り、二笑い三惚れ四風邪(しかぜ)。 解釈:くしゃみの数による占いで、一つなら悪口を言われている証拠、二つ なら笑われている、三つなら惚れられ、四つは風邪を引く前触れである。 類義:一に褒められ二に憎まれ、三に惚れられ四に風邪を引く。 一種二肥(こえ)三作り。 解釈:無闇に働くだけではよい農作物はできない。まず第一によい種子を選 ぶこと、第二に適当な肥料を施すこと、そして第三が管理をよくすることであ る。 一度ある事は二度ある。 解釈:一度事が起こると、また同じような事が続いて起こるものだ。 類義:朝ある事は晩にある。二度あることは三度ある。一災起これば二災起 こる。 反義:何時も柳の下に泥鰌(どじょう)は居らぬ。 一と言うたら二と悟れ。 解釈:何か一言言われたら、すぐ機転をきかせて次に言われることを悟れ。 類義:えへん煙草盆。かっと言えば啖壺(たんつぼ)。鑿(のみ)といえば 槌。 一度死ねば二度死なぬ。 解釈:死は一度きり。決死の覚悟を表す言葉。 類義:一度焼けた山は二度は焼けぬ。 一度はままよ、二度はよし。 解釈:悪事の一回目は良心が咎めるが、二度目からはなんとも思わなくなる。 良心が麻痺してしまうことをいう。 一難(いちなん)去って又一難。 解釈:次から次へと災難や困難が襲ってくること。 類義:虎口(ここう)を逃れて竜穴(りゅうけつ)に入(い)る。前門の虎、 後門の狼。 一に看病、二に薬。 解釈:病気の回復は薬も必要だが、心のこもった看病はそれ以上に大切だ。 類義:一に養生二に介抱。薬より養生。 一日一字を学べば三百六十字。 解釈:怠けず少しずつでも勉強すれば、やがては多くの知識が得られる。 一日の遅れは、十日の遅れ。 解釈:一日怠れば、結果として十日分もの遅れを生ずる。 市に虎あり。 解釈:一人が、町に虎がいると言っても信じる者は少ないが、大勢の人が言 えば本当と思えるようになる。根も葉もない事でも、大勢の人が言えば信じる ようになるものだ。 類義:一犬、虚に吠ゆれば、万犬、実を伝う。 一に養生二に介抱。 類義:薬より養生。 一人(いちにん)虚を伝うれば、万人実を伝う。 類義:一犬(いっけん)影に吠ゆれば、万犬(ばんけん)声に吠ゆ。 一念岩をも透す。 類義:石に立つ矢。 一念天に通ず。 解釈:物事は、それをなしとげようと思う堅い心があれば、その気持ちが天 に通じて、必ずできるようになるものだ。 類義:蟻の思いも天に昇る。石に立つ矢。念力岩をも透す。 一年の計は元旦にあり。 解釈:一年間の計画は元日に立てるべきだ。行動する前にまず計画を立て、 それに沿って事を進める方がうまくいくという意。 類義:一日(いちじつ)の計は晨(あした)にあり。一生の計は少壮の時に あり。 一の裏は六。 解釈:さいころの目の一の裏は六。悪い事が起こった後にはよい事があると いうたとえ。 類義:悪の裏は善。いい後は悪い。 一引き二才三学問。 解釈:出世するのには上の人の引き立てが大切であり、その次が才能、それ から学問ということ。 類義:一引き二運三器量。 一姫二太郎。 解釈:初めて生む子は、育てやすい女の子がよく、次に男児を生むのが理想 的ということ。 類義:一姫二太郎三太郎。一姫二太郎三にゃ鬼が出る。 一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)。 解釈:初夢に見るものの中で縁起がよいとされるものの順序。 参考:「俚言集覧(りげんしゅうらん)」の中に、「一富士二鷹三茄子四扇 五煙草六座頭」とあるように、一説では駿河(するが。静岡県中部)の国の名 物を列挙したものと解釈されている。 一枚の紙にも裏表。 解釈:一見、単純と思える事物にも裏表があり複雑なものだ。ことさら人の 心は、外見からだけでは見えにくい。 類義:光ある所に影あり。 一網打尽(いちもうだじん)。 解釈:一回網を打つだけで、周囲に群がる魚を残らず捕らえること。悪人の 一団を一挙にしかも一人残らず捕まえることのたとえ。 一目(いちもく)置く。 解釈:一目とは、一個の碁石を意味し、碁を打つとき、まず弱い方が先に石 を一つ置いてから始めるところから、優れた者に対し一歩譲ることをいう。 一も取らず二も取らず。 類義:虻蜂(あぶはち)取らず。 一文吝(おし)みの百知らず。 解釈:目先の損得に捉われて僅かな出費を惜しみ、後で大損することに気づ かない馬鹿馬鹿しさをいう。 類義:一文吝みの百失い。小利を貪って大利を失う。安物買いの銭失い。 反義:損して得取れ。 一文銭(いちもんせん)で生爪剥がす。 解釈:はした金を惜しんで、体を壊しても悔いないこと。けちんぼのたとえ。 類義:一文銭か生爪か。一文銭を割って使う。一文の銭を二文にも使う。 一文銭も小判の端(はし)。 解釈:少しの金も集まると大きな額になる。僅かな物も、みだりに侮っては ならないという意。 類義:塵も積もれば山となる。百里の道も一歩から。 一文高(いちもんだか)の世の中。 解釈:金持は馬鹿でも利口者に見え、幅が利く世の中である。 類義:商人(あきんど)は一文高。商人は金に頭を下げる。 一葉(いちよう)落ちて天下の秋を知る(淮南子)。 解釈:ほんのささいな前兆から、その後の運命を察知すること。落葉の早い 青桐(あおぎり)の一葉が落ちて秋の訪れを知る。「一葉の秋」ともいう。 類義:霜を履(ふ)みて堅氷至る。 参考:A straw shows which way the wind blows.(一本のワラで風の吹く 方向が分る) 一陽来復(いちようらいふく)。The eleventh lunar month. 解釈:陰暦十一月又は冬至のことで、陰が極まって陽がかえること。冬にも 終わりがくるように、よくない事が続いた後に、ようやくよい事がめぐってく ることをいう。 活用⇒寒い冬が過ぎ、温かい春が来る。After cold winter, warm spring comes. 一粒万倍(いちりゅうまんばい)。 解釈:一粒の種をまき、万倍もの粒を得るように、少ない元手で多くの利益 を得るたとえ。また、少ないからといって粗末にできないという意。仏教で、 一つの善根からたくさんの仏果を得られること。 一利を興すは一害を除くに若(し)かず。 解釈:益になることを一つ始めるより、まずこれまでの弊害を一つなくすこ との方が賢明だ。 一輪咲いても花は花。 解釈:沢山咲くばかりが花ではなく、たった一輪咲いても花は花である。小 さな存在でも本質的に変わらないことのたとえ。 類義:一合取っても武士は武士。 一蓮托生(いちれんたくしょう)。 解釈:死後、あの世の蓮(はす)の葉の上に一緒に座す意。よい事悪い事に かかわらず人と運命や行動を共にすること。 類義:蓮の台(うてな)の半座を分かつ。 一を聞いて十を知る。 解釈:一は初め、十は終わりを意味し、物事の一端を聞けば、全てが分かっ てしまう優れた才知をいう。 類義:一を以て万を察す。目から鼻へ抜ける。 反義:十を聞いて一を知る。 一を知りて二を知らず。 解釈:知識や意見が狭く浅いため真理を理解できないことのたとえ。 類義:一を執りて二を顧みず。 |