穴があれば入りたい。 解釈:恥ずかしくて、人に顔を見られるのがいやで、身を隠したいことのた とえ。 類義:穴へも這入りたい。 穴蔵で雷聞く。 解釈:必要以上、用心することのたとえ。 穴のはたを覗く。 解釈:死期が迫っていること、先の短い老人などのこと。「穴」とは墓穴の こと。 類義:穴ばたに腰をかける。棺桶に片足つっこむ。 穴を掘って、言い入る(いる)。 解釈:人に聞かれたくはないが、言わずにはおれないことなどを、穴を掘り、 その中に向かって言うこと。 姉女房は身代(しんだい)の薬。 解釈:年上の女房は、家庭内の切り盛りが上手で、財産が増えるという意。 あの世の千日、此の世の一日。 解釈:あの世の極楽で千日楽しむより、現実のこの世で一日楽しんだ方がよ い。 痘痕(あばた)も靨(えくぼ) 解釈:愛する者の目には、醜いあばたでさえ可愛いえくぼに見えるように、 贔屓目(ひいきめ)で見ると欠点も長所に見えるという意。 類義:愛してその醜さを忘る。愛してみれば鼻欠けも靨。惚れた欲目。 阿鼻叫喚(あびきょうかん)。 解釈:阿鼻(日夜絶え間なく剣樹・刀山などの苦しみを受ける地獄)、叫喚 (熱地獄で猛火に攻められたりして喚き叫ぶ)は共に、八大焦熱(しょうねつ) 地獄の一つで、その苦しみで亡者(もうじゃ)が泣き叫ぶ様子。また事故、災 害などの悲惨な状況の中で、多くの人々が救いを求めている様子の形容。 危ない事も怪我(けが)のうち。 解釈:危険な事は怪我ののもとであるから、はじめから近づかない方がよい。 類義:君子危うきに近寄らず。賢人は危うきを見ず。転ばぬ先の杖。 反義:虎穴に入らずんば虎子をを得ず。 危ない橋も一度は渡れ。 解釈:危険だからといって、恐れてばかりいたのでは成功はしない。時には 危険をも承知で行動することも必要である。 類義:危ない枝に上らねば、熟柿(じゅくし)は食えぬ。 危ない橋を渡る。 解釈:危険を冒して物事を行うこと。また法に触れるすれすれのところで仕 事をするときなどにいう。 類義:危ない枝に上らねば、熟柿(じゅくし)は食えぬ。虎穴(こけつ)に 入らずんば、虎児を得ず。 反語:石橋を叩いて渡る。 油の利いた口車。 解釈:多弁のこと。車軸に油を差すとよく回ることから、舌がよく回ること のたとえ。 油を売る。 解釈:人の目を盗んで怠ける意。また、長々と無駄話をすること。 甘い粉(こ)にむせる。 解釈:予想外の好機に遭い、喜び過ぎて失敗することのたとえ。 甘い汁を吸う。 解釈:苦労や努力をせずに、利益だけを得ること。 甘い酢では行かぬ。 解釈:普通の手段では、効き目がないこと。食えない奴をいう。 類義:甘口では行かぬ。一筋縄では行かぬ。 甘い物に蟻(あり)がつく。 解釈:利益のある所には、自然に人が群がり集まってくるたとえ。 類義:蟻の甘きに付く如し。窪(くぼ)い所に水溜まる。 余り茶に福あり。 類義:余り物に福がある。 余り円(まろ)きは、まろび易し。 解釈:あまりにおとしなし過ぎてもよくない。多少は激しさもあった方がよ いという意。古歌には「まるくとも一つ角あれ人心 あまりまろきはころびや すきぞ」とある。 余り物に福がある。 解釈:人が取り残した物や余ったような物に、思いがけない拾い物がある。 先を争うことの戒め。 類義:残り物に福がある。 阿弥陀(あみだ)も銭で光る。 解釈:全て金銭の威力で左右されること。尊い仏のご利益(りやく)でさえ、 お布施の多少で左右される。 類義:金(かね、=銭)の光は七光。地獄の沙汰も金次第。仏の光より金の 光。弥陀の光も金次第。 網呑舟(あみどんしゅう)の魚(うお)を漏らす。 解釈:網の目が粗いため、大魚を逃すこと。転じて、法律が大まかなため、 悪人を逃すことのたとえ。また、悪人が法の目をくぐって悪事を働いているの に、罰することができないたとえにもいう。 類義:大魚は網を破る。天に目なし。呑舟の魚。 反義:天道様は見通し。天に眼(まなこ)。天罰覿面(てんばつてきめん)。 網無くして、淵に臨むな。 解釈:網の用意がなければ、魚は捕れない。準備や用意が無ければ、事を始 めても成功しない。また努力もせずに、いたずらに人をうらやんでも仕方が無 い。 類義:網無(の)うて、淵を覗くな。網持たずの、淵覗き。網を持たずに、 海を覗くな。 網にかかった魚(うお)。 解釈:逃れようにものがれられないことのたとえ。 類義:網の魚。網の鳥。羅網(らもう)の鳥つりを含む魚の如し。 網にかかるは雑魚(ざこ)ばかり。 類義:皿舐めた猫が科(とが)を負う。 雨晴れて笠を忘る。 解釈:楽になると、苦しかった時の事も、その時受けた恩義も忘れてしまう こと。 類義:咽元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れる。 飴をしゃぶらせる。 解釈:相手によい思いをさせて油断させ、もっと大きな利を得ようとすること。 類義:飴をねぶらせる。 危ういこと、累卵(るいらん)の如し。 解釈:卵を積み重ねた不安定な状態のように、何時崩れるか非常に危険な様 子であるという意。 過ちて改めざる、是を過ちと謂う(論語)。 解釈:過ちは致し方ないとしても、その後、改めようとしないことこそ本当 の過ちである。 類義:過ちては、改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ。過ちをかざる 勿れ。 過ちては、改むるに憚(はばか)ること勿れ(論語)。 解釈:間違いや不始末をしたとき、躊躇(ちゅうちょ)せず速やかに改めよ という意。 類語:過ちて改めざる、是を過ちと謂う。過ちをかざる勿れ。間違いは勘定 に入らない。 参考:It is never too late to mend.(悔い改めるのに遅過ぎることはな い) 過ちの功名。 解釈:失敗が思わぬよい結果を生むこと。 類義:怪我の功名。 過ちは好む所にあり。 解釈:過ちはともすれば、自分の得意な事、好きな事に起こりがちであると いうこと。 類義:河童(かっぱ)の川流れ。弘法(こうぼう)にも筆の誤り。猿も木か ら落ちる。好きな事には騙され易い。善く泳ぐ者は水に溺れる。 過ちを観て斯(ここ)に仁(じん)を知る(論語)。 解釈:人の過ちをよく見てみると、その過失の内容によって、その人物が仁 徳のある人か否かが分るという意。 歩めば土付く。 解釈:何か事を起こせば、必ずそれに伴って煩わしい事が出てくるものであ るということ。 類義:歩く足には泥が付く。歩く足には棒当たる。 争い果てての乳切木(ちぎりぎ)。 類義:喧嘩過ぎての棒乳切(ぼうちぎり)。 新たに沐する者は、必ず冠を弾(はじ)く。 解釈:身の清廉潔白な人は、他から汚されることを嫌うというたとえ。髪を 洗ったばかりの人は誰でも冠の埃を払ってから被る。「沐」は洗髪のこと。 新湯は毒。 解釈:沸かし立てでまだ人が入らない風呂の湯は、刺激が強いから、年寄り や身体の弱い人は、後から入る方がよいという意。 有りそうで無いのが金(かね)、無さそうで有るのが借金。 解釈:外見からは人の懐具合は中々分からないが、案外借金している人は多 いものであるという意。 類義:有るは借金、無いは金。 在りての厭(いと)い、亡くての偲び。 解釈:人は元気なときは、欠点も目について疎ましく思われたりもするが、 亡くなってみるとよい点ばかり偲ばれて懐かしく思い出されるものである。 歩く足には泥が付く。 解釈:じっとしていれば何事も起こらないが、何かをすればそれに伴って必 ず煩わしい事は起きるものだという意。 類義:歩めば土付く。歩く足には塵が付く。歩く足には棒当たる。 歩く足には棒当たる。 解釈:何か事を起こせば煩わしい事が付きまとうという意。また、思いのほ かよい事に出会うこともあるということ。 類義:歩めば土付く。犬も歩けば、棒に当たる。 有る手から零(こぼ)れる。 解釈:豊かな人は、自分が施しをする気でなくても、何らかの余徳を人に与 えるものである。 類義:有る手からは漏れる。有る物は手から零れる。有れば零れる。 有る時は米の飯(めし)。 解釈:先のことを考えずに、物があるときに思う存分の贅沢をすること。 類義:有れば有るだけ、無いとき三昧(ざんまい)。 有る時払いの催促無し。 解釈:借金を返すのに、金のあるとき、都合のよいだけを払い、貸主からの 催促はしないという都合のよい返済条件。 淡きを食らい、薄きを着る。 解釈:淡白な味を食し、薄着をして、質素な暮らしをすること。 合わせ物は離れ物。 解釈:異なる物を合わせてできた物は、離れるときがある。夫婦別れもそう であるが、人間の身体も、死んで地・水・風・火の四つに分かれて、還元する という。 類義:逢うは別れの始め。生き身は死に身。合(お)うた物は離れ物。夫婦 は合わせ物離れ物。 慌てる乞食は、貰いが少ない。 解釈:慌てるとよい判断ができずに失敗したり損をしたりする。 類義:慌てる蟹は穴へ這入れぬ。 阿波(あわ)に吹く風は、讃岐(さぬき)にも吹く。 解釈:ある土地の風俗は、他の土地にも伝わる。また上の人の行いを下の者 が真似るという意。 合わぬ蓋あれば、合う蓋あり。 解釈:人でも物でも、気長に探せば必ず見合った相手があるものだ。 類義:蓼(たで)食う虫も好き好き。破鍋(われなべ)に閉じ蓋。 粟一粒は汗一粒。 解釈:農民の難儀のたとえ。粟一粒にも、これを作った百姓の汗がこめられ ている。 類語:粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)。 あんころ餅で尻を叩かれる。 解釈:旨い話が思いがけなく転がり込んで来ること。 類義:牡丹餅(ぼたもち)で腰打つ。牡丹餅で頬っぺたを叩かれる。 鞍上(あんじょう)人無く、鞍下(あんか)馬無し。 解釈:馬と乗り手が一体となり、無心に疾走する様。一般には巧みな操作を 称えていう。 案じるより、団子汁。 解釈:くよくよと心配するより、団子汁でも啜って待っていた方がよいとい う意を、語呂合わせにした言葉。そう心配するほどのこともないということ。 類義:案じるより芋汁。 案じるより念じろ。 解釈:くよくよ心配するだけでは苦境から脱することはできないが、心から 神仏にお願いせよという意。 案ずるより生むが易い。 解釈:事前にいろいろと心配した事も、思い切ってやってみると、存外想像 していたよりたやすくできるものである。 類義:案じる子は生み易い。思うより生むが易い。窮すれば通ず。 暗中、的を射る。 解釈:目的が定まらず、当たるか外れるか、分からないこと。 類義:闇夜の礫(つぶて)。 暗中模索(あんちゅうもさく)。 解釈:暗い中で物を探すように、手がかりが掴めないまま物事を探し求める こと。 用例:捜査は進展せず、暗中模索の状況である。 暗夜に灯火(ともしび)失う。 解釈:頼りを失い、これから先どうしたらよいか分からず、途方に暮れるこ と。 類義:川から上った河童。闇の夜に灯火を失う。 |