悪縁、契り深し。 解釈:よくない縁に限って結びつきが強く、中々離れられない。 悪妻は百年の不作。 解釈:悪い妻を持つと、一生の不作である。夫だけでなく、子孫にまで悪い 影響を及ぼすものである。 類義:悪妻は家の破滅。悪妻は一生の不作。悪妻は六十年の不作。 参考:良妻は最上の家具。 悪事千里を走る。 解釈:人の善行はとかく伝わりにくいが、悪い行いや悪い評価は、たちまち 世間に知れ渡るものであるという意。 類義:隠す事千里。 参考:好事門を出でず。Bad news has wings.(悪い報せは翼を持つ) 悪事身にとまる。 解釈:自分の犯した悪事は、結局は自分の身に戻ってきて、自分が苦しむこ とになるという意。 類義:悪事身にかえる。因果応報。自業自得。天に唾す。身から出た錆。 悪小なりとて為すこと勿れ。 解釈:悪事は、どんなに小さな事でもしてはならない。 悪女の賢者振り(ぶり)。 解釈:性質のよくない女が、物知り顔に利口振ったりすること。転じて、鼻 持ちならない偽善(ぎぜん)をいう。 悪女の深情け。 解釈:この場合の「悪女」とは、顔形(かおかたち)が美しくない女性のこ とで、美人に比べ愛情や嫉妬心が強い。この情の深さは迷惑なものであるとい う意味が込められている。 悪銭(あくせん)身に付かず。 解釈:不当な方法で得た金は有難みが薄く、つまらないことに使って忽ち失 ってしまうものだということ。 類義:あぶく銭は見に付かぬ。人垢(ひとあか)は身に付かぬ。 悪に強ければ善にも強し。 解釈:意志強固で気力の旺盛な者は、善にも強ければ、また反対に悪にも強 い。大悪人がいったん改心すると、ひときわ優れた善人になるという意。 類義:悪に強きは善の種。 反義:沈香も焚かず屁もひらず。 悪人あればこそ善人も顕れる。 解釈:世間に善人ばかりだったら、ことさら善人という必要もない。悪人が いるために善人が目立つのである。 類義:下手があるので、上手が知れる。 悪人の友を捨てて、善人の敵(かたき)を招け。 解釈:自分の力になってくれる友人でも、悪人では結局身のためにならない。 むしろ自分を憎んでいる人でも、それが善人ならば悪人の友人よりもよいとい う意。 類義:悪人よりほめられるより、善人に笑われよ。悪友の笑顔より善人の怒 り顔。 悪の裏は善。 解釈:悪と善は裏と表で、悪い事があれば次はよい事が背中合わせにやって くるものである。 類義:いい事があれば悪い事がある。善の裏は悪。一の裏は六。 悪の報いは針の先。 解釈:悪事を犯せば針の先を回るように、たちまちその応報が自分の身に戻 ってとるという戒め。 類義:因果は皿のふち。 悪は一旦の事なり。 解釈:不正は一時的に盛んになっても、結局は長続きせず、正義には勝てな いという意。 悪は延べよ。 解釈:悪いと思う事はひとまず延期せよ。そうすればその間に事情の変わる こともあり、考え方も変わり、悪事を行わないで済む可能性もある。 類義:善は急げ、悪は延べよ。 欠伸(あくび)を一緒にすれば、三日従兄弟。 解釈:欠伸が移りやすいことをいう。 参考:「三日従兄弟」とは、一寸した親しみを血縁的に表す言葉。 安坐(あぐら)で川。 解釈:安坐をかいたまま川を渡るように、何の苦労もせずに、楽に物事が運 ぶこと。好都合であることにいう。 挙足(あげあし)をとる。 解釈:片足を挙げた相手の隙(すき)を見て、その人を倒す。転じて、人の 言い間違えた言葉じりをとり、やりこめること。 挙句(あげく)の果て。 解釈:事の終末のこと。連歌(れんが)で初めの句を発句(ほっく)、最後 の句を挙句ということから。 開けて悔しき玉手箱。 解釈:期待していたのに、正体が分かり、予想が外れて失望すること。 類義:開けて見たれば鳥の糞(くそ)。 明けて通せよ、肥(こえ)担ぎ(かたぎ)。 解釈:つまらない者には、なるべく係わり合いにならない方がよいという意。 活用⇒素通りしてくれ、迷探偵。[守] 開け放しの根性よし。 解釈:人に隠すことができないような人は、心根(こころね)のよい人であ る。 参考:根性悪のむだ口きかず。 顎(あご)で蝿を追う。 解釈:蝿を手で追い払う元気さえ失ったような病人や力の弱りきった人のこ と。 類義:頤(おとがい)で蝿を追う。火を吹く力もない。 顎振り三年。 解釈:尺八を習うのに、顎を振る練習だけでも三年はかかる。簡単にみえる ことも、熟練するまでには大変な苦労があるものである。 活用⇒土練り三年、轆轤(ろくろ)七年。[守] 類義:櫂(かい)は三年、櫓(ろ)は三月。首振り三年。 朝ある事は、晩にある。 類義:一度ある事は、二度ある。 朝謡(うたい)は貧乏の相(そう)。 解釈:朝からのんきに謡などを歌っているのは、如何にも景気よさそうだが、 仕事が留守になってしまい、今に貧乏になるという戒め。 朝起き三文(さんもん)の徳。 解釈:早起きをすれば得をすることがある。勤勉に働くことを勧める言葉。 活用⇒朝起きは十点加算。[守] 類義:朝起きの家には福来る。朝の一時は晩の二時(ふたとき)に当たる。 早起きは三文の徳。宵寝朝起き長者の基(もと)。 参考:Early to bed and early to rise, makes a man healthy, wealthy, and wise.(早寝早起きは人を健康に、裕福に、そして賢くする) 朝起き千両、夜起き百両。 解釈:朝起きして働く方が、夜遅くまで仕事をするよりも、仕事の能率が上 るということ。 活用⇒朝起きは金、夜起きは銀。[守] 類義:朝の一時(ひととき)は、晩の二時(ふたとき)に当たる。早起きは 三文の徳、長起きは三百の損。 朝女朝坊主。 解釈:商家にとって縁起のよいこと。女や坊さんが朝買いに物に来ると、そ の日は客が多いという。 朝駆け(あさがけ)の駄賃。 解釈:朝のうちは馬が元気がよく、少しぐらいの荷物は物ともしないがこと から、物事の容易いことのたとえ。「行きがけの駄賃」をもじった言葉。 類義:朝飯前(あさめしまえ)。 朝酒は門田(かどた)を売っても飲め。 解釈:朝酒の美味さを言った言葉。 類義:朝酒、後を引く。朝酒は女房を質に置いてでも飲め。 参考:「門田」とは、屋敷の入り口にある田で、その家の田の中で最もよい 田とされる。 浅瀬に仇浪。 解釈:考えの浅い人ほど騒ぎたてるという意。「仇浪(あだなみ)」は、い たずらに立ち騒ぐ波。 類義:空樽(あきだる)は音が高い。痩犬(やせいぬ)は吠える。痩馬の声 嚇し。 参考:Deep rivers move in silence, shallow brooks are noisy.(深い川 は音を立てずに流れ、浅い小川はやかましい) 朝題目に宵念仏。 解釈:朝は日蓮宗の題目の「南無妙法蓮華経」を唱え、夕方は念仏宗の「南 無阿弥陀仏」を唱えること。無定見のたとえ。 類義:朝題目に夕念仏。 朝茶は七里帰っても飲め。 解釈:朝は必ず茶を飲むものだという俗信。茶は奈良時代に中国から伝来し、 薬として用いられ、また福があるともいわれた。 類義:朝茶は三里行っても飲め。朝茶は質を老いても飲め。朝茶はその日の 難逃れ。朝茶は福が増す。 明後日(あさって)紺屋(こうや)に、今晩鍛冶屋。 解釈:約束の期日が当てにならず、信用できないたとえ。紺屋は天候に左右 されることの多い仕事であり、鍛冶屋もとかく期日が遅れ勝ちであることから きた言葉。 類義:医者の只今。鍛冶屋の明晩。坊さんのおっつけ。 朝寝朝酒は貧乏のもと。 解釈:朝寝坊をしたうえに朝酒をするようでは決して財産は作れず、貧乏は 免れないという戒め。 類義:朝寝八石の損。 参考:朝起き三文の徳。朝起き千両。 朝寝、八石(はちこく)の損。 解釈:朝寝坊は万事につけて損であるという意。 活用⇒朝寝、千載一遇(せんざいいちぐう)の損。[守] 類義:朝寝する者は貧乏性(びんぼうしょう)。朝寝昼寝は貧乏の元。 反義:朝起き三文の徳。朝起き千両。 朝寝坊の宵っ張り。 類義:宵っ張りの朝寝坊。 朝のぴっかり、姑(しゅうとめ)の笑い。 解釈:当てにならないことのたとえ。朝天気がよいのと姑の笑顔は、すぐに 変わってしまうことからいう。 類義:朝日のちゃっかり姑のにっこり。朝間のてかぴかその日の雨だ。 朝の一時(ひととき)は晩の二時(ふたとき)に当たる。 解釈:朝は仕事がはかどるものだから、朝のうちに十分にやれということ。 「一時」は、今でいう二時間。 類義:朝起き三文の徳。朝起き千両夜起き百両。 朝腹の丸薬。 解釈:身にこたえないこと、容易いことのたとえ。丸薬は粒状の薬で、朝飯 前の空き腹に丸薬を飲んでも、何の足しにもならないことから。 類義:朝腹に茶漬。朝飯前のお茶漬。 朝比奈(あさひな)と首引き。 解釈:剛力の者と首に紐をかけて引っ張り合うように、到底敵わないことの たとえ。 参考:「朝比奈」とは、剛力無双と伝えられる朝比奈義秀(よしひで)のこ と。和田義盛(わだよしもり)の第三子で、安房(あわ)の国朝夷(あさひな) で成人したので朝比奈三郎(さぶろう)といった。 朝飯前のお茶漬。 解釈:簡単にできることのたとえ。お茶漬は手軽なものだし、朝飯前にはた いした仕事もしないということから。 類義:お茶の子さいさい。 朝油断の夕屈み(かがみ)。 解釈:朝のうちに怠けている者は、夕方になって困り果てるものである。 類義:朝の油断は、夕べのがっくり。 朝(あした)に紅顔あって、夕べに白骨となる。 解釈:世の中は無常で儚い(はかない)こと。朝は若々しく元気だった人も、 夕方には急死して白骨と化すという意。 類義:昨日の花は、今日の塵。昨日の淵は、今日の瀬。 朝(あした)に道を聞けば、夕べに死すとも可なり(論語)。 解釈:人としての道を悟ることができたならば、たとえすぐ死んでも心残り はない。道を知ることが、人間としての最大事であるということ。 反義:酔生夢死。 朝(あした)に夕べを謀らず。 解釈:事態が切迫していて先のことを考える余裕がないという意。 足駄(あしだ)を履いて、首ったけ。 解釈:足駄(雨の日に履く、歯の高い下駄)を履いても、首の辺りまで沈む ほどの深みにはまる。転じて、恋に陥り、夢中になるたとえ。 足駄を履く。 解釈:上前(うわまえ)を取ること。ピンはね。 朝(あした)、夕べに及ばず。 解釈:その日の夕方までも待っていられないほど、切迫した状態をいう。 類義:朝に夕べを謀らず。 味無い物の煮え太り。 解釈:つまらない物ほど量ばかり多いということ。不味い物に限って、煮た ときに量が増えるという意。 類義:阿呆の煮え太り。独活(うど)の煮え太り。 足の跡はつかぬが、筆の跡は残る。 解釈:足跡はすぐ消えてしまうが、筆跡は後世まで残るものである。文字や 言葉は心して書かねばならないという戒め。 足の裏の飯粒をこそげる。 解釈:大変な吝嗇家(りんしょくか。ケチ)。また不潔なこと。 味は塩にあり。 解釈:味付けの秘訣は全て塩加減にある。料理には塩は欠かせない。 足下(あしもと)から鳥が立つ。 解釈:身近なところで突然、意外な事件が起こること。また急に思いついて 物事を始めることにもいう。 類義:足下から煙が出る。寝耳に水。 足下から火がつく。 解釈:危険や災難が身辺から起こり、身に迫ること。 類義:足下に火がつく。頭に火がつく。 足下の明るいうち。 解釈:日が暮れて足下が見えなくならないうち。手遅れにならないうち。命 のあるうちにという意。 類義:足下の赤いうち。 足下の鳥は逃げる。 解釈:足下にいるから自分の物と思っていた鳥が逃げることから、身近な事 に手抜かりがあること。 類義:灯台、下(もと)暗し。 足下を見る。 解釈:人の弱点を見抜いて付け込むこと。疲労した足つきを見て、駕籠掻き が賃金を吹っかけることから。 類義:足下を見て付け上がる。 味を占める。 解釈:一度味わったよさが忘れられないこと。また興味を覚えて繰り返すこ と。 足を知らずして、履(くつ)を為(つく)る。 解釈:種類が同じ物は、その性質も似かよっていることのたとえ。人の足の 大きさには大差がないので、一々寸法を測らなくても、靴を作ることができる ということから。 |