明日ありと思う心の仇桜(あだざくら)。 解釈:人生の無常、変化の速さを諭したもの。桜は今美しく咲いているから といって、明日まで持つとは限らない。 参考:下(しも)の句「夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは」と続く。親鸞 上人作の道歌。 預り物は半分の主。 解釈:人の物を預かったら、半分は自分の物と思って差し支えないという意。 預かった物に対しては責任をもって保管しなければならないから、当然謝礼も 期待できるということ。 類義:預り主は半分。預け物は半分の主。落とした物は拾い徳(ひろいど く)。使い半分。 明日食う塩辛に、今日から水を飲む。 解釈:手回しがよすぎて、かえって無意味なこと。 類義:明日塩食わんとて、水も飲まず。 明日知らぬ世。 解釈:先のことが少しも分からない無常の世の中だという意。 類義:明日の事を言えば、鬼が笑う。定めなき世。 明日の事は明日案じよ。 解釈:明日の事、将来の事をあれこれ心配してもどうにもならないこと。そ の時になってから立ち向かえばよいという意。 類義:明日(あした)は明日の風が吹く。明日は明日、今日は今日。 明日の事を言えば、鬼が笑う。 解釈:先のことは前もって分かるものではないということ。 類義:来年の事を言えば、鬼が笑う。 明日の百より今日の五十。 解釈:明日になって貰える筈の百両より、今日の五十両の方が有り難い。大 きな約束事より、小さな現実の方がよいというたとえ。 類義:明日の親鳥より、今日の卵。後百より今五十。今日の一つは、明日の 十に勝る。死しての千年より、生きての一日。 明日はまだ手付かず。 解釈:明日という日はまだまるまる残っている。慌てることはないという意。 類義:明日(あした)は明日の風が吹く。 東男(あずまおとこ)に京女(きょうおんな)。 解釈:男と女の取り合わせがよいたとえ。男を選ぶなら元気がよくて粋な江 戸の男、女を選ぶならしとやかで優しい京都の女という、よい組み合わせの意。 類義:伊勢男に筑紫(つくし)女。越後(えちご)女に上州(じょうしゅう) 男。越前(えちぜん)男に加賀女。京女に奈良男。 畦(あぜ)から行くも、田から行くも同じ。 解釈:方法は違っていても結果が同じであること。目指している所は同じだ から、どの道を行っても着く所は同じである。 類義:畦走るも、田走るも同じこと。 畦付け半分。 解釈:畦塗りを念入りににするかしないかで、収穫が大きく左右されること。 火山灰地など水の漏れやすい所では、特に丁寧に畦塗りをするのが常である。 類義:田を作るより、畦を作れ。 遊びに師なし。 解釈:酒色の遊興や勝負事の遊びは、自然に覚えるものである。 類義:恋に師匠なし。 与えるは、受けるより幸(さいわい)なり。 解釈:人から施しを受けるより、人に恩恵を与えることができる境遇にある 方が幸福である。 参考:It is more blessed to give than to receive.の訳語。 当たった者の、ふの悪さ。 解釈:大多数の者が悪い事をしたのに、少数の者が罰せられたりする。当た った者が運が悪かったという意。 当たって砕けよ。 解釈:成功するか失敗するか、結果は分からないが、躊躇(ちゅうちょ)せ ずに思い切って決行せよという意。 類義:男は当たって砕けよ。 寇(あだ)に兵を藉(か)し、盗(とう)に糧(かて)を齎(もたら)す。 解釈:敵に兵隊や武器を提供したり、盗賊に食糧を与えること。つまり敵側 の利益になるように図ること。また、悪事を働く者に都合のよい口実を与えて やる意。 類義:賊に兵を貸す。敵に糧。 頭押さえりゃ、尻ゃ上がる。 解釈:一方が上手くいけば、もう片方が上手くいかないこと。両方揃って上 手くいくことは少ないという意。 類義:彼方(あちら)立てれば、此方(こちら)が立たぬ。右を踏めば、左 が上る。 頭が動けば、尾も動く。 解釈:上の者が行動すれば、これに付く者も自然と従うようになる。 頭隠して、尻隠さず。 解釈:悪事や欠点などを本人は完全に隠したつもりでいるが、肝心なところ が現れていることを知らないでいるたとえ。雉子(きじ)は隠れたつもりで草 むらの中に首を突っ込んで、尾が丸見えでも平気でいることからいう。 類義:柿を盗んで、核(たね)隠さず。雉子の草隠れ。 頭剃(そ)るより、心を剃れ。 解釈:形だけは僧侶でも、心に道心が無ければ何にもならない。形式主義へ の戒め。 類義:衣を染めるより、心を染めよ。 頭でっかち、尻つぼみ。 解釈:始めは勢いがよいが、次第に意気地がなくなり、終わりはだらしない こと。 類義:頭大きく、尻つぶされる。頭でかの、尻腐り。竜頭蛇尾(りゅうとう だび)。 反義:始めは処女の如く、後は脱兎(だっと)の如し。 頭の上の蝿を追え。 類義:己の頭の蝿を追え。 頭の濡れない思案。 解釈:どんなによい考えでも、遠い先のことは後回しにして、まず自分に直 接関係あるものから着実に考えを巡らすことが大事である。 頭禿げても、浮気は止まぬ。 解釈:人間は年を取っても道楽は直るものではないという意。 類義:雀百まで踊り忘れぬ。 仇(あだ)も情けも我が身より出る。 解釈:人が自分に対して抱く憎しみや愛情は、全て自分の心がけや行いから 出るものであるという意。 類義:因果応報(いんがおうほう)。身から出た錆(さび)。 中(あた)らずと雖も(いえども)、遠からず。 解釈:的中していなくとも、大体推測どおりであること。 当たる罰は、薦(こも)着ても当たる。 解釈:悪い事をすれば、どのようにしても必ず罰が当たるものだという意。 類義:当たる罰は、桶(おけ)を被っても当たる。 当たる物は風ばかり。 解釈:遮る物が何も無く、意気揚々とした様をいう。 類義:頭さ当たる物は、雨風ばかり。 当るも八卦、当らぬも八卦。 解釈:占いは当たるときもあり、当たらないときもある。気にすることはな い。また、試しにやってみよとの意にも用いられる。 類義:合うも不思議、合わぬも不思議。当るも不思議、当らぬも不思議。 仇(あだ)を恩にして報ずる。 解釈:恨むべき人を恨まずに、逆に情けをかけること。 類義:仇を情けにひきかえる。怨みに報ゆるに徳を以てす。恩を以て怨みに 報ず。 反義:恩を仇で返す。 彼方(あちら)立てれば、此方(こちら)が立たぬ。 解釈:両方同時によいことはない、つまり。両立できないこと。また二人の 主人に仕えることはできないこと。 類義:頭押さえりゃ、尻ゃ上がる。両方立てれば、身が立たぬ。 悪口(あっこう)は青銅に書かれ、恩恵は砂に書かれる。 解釈:人から言われた悪口は一生忘れないほど強烈なものだが、受けた恩は 砂に字を書くように忘れてしまうものだ。 暑さ寒さも彼岸まで。 解釈:秋の彼岸頃には残暑も衰え、春の彼岸になれば余寒の厳しさも薄らぐ という意。また気候の変わり目でもある。 類義:暑い寒いも彼岸ぎり。暑さの果ても彼岸まで、寒さの果ても彼岸まで。 暑さ忘れりゃ、蔭忘れる。 解釈:苦しいことが過ぎれば、受けた恩を忘れるという意。暑さが去ると共 に、日陰の有り難さを忘れること。 類義:雨晴れて、笠を忘る。魚を得て筌(うえ)を忘れる。喉元(のどもと) 過ぎれば、熱さを忘れる。 逢った時は、笠を脱げ。 解釈:道で人に会ったときは、礼儀正しく笠を脱いで挨拶せよ。また、好機 は逃がさないようにせよという意。 活用⇒明るくなったら、起きよ。[守] 類義:門に入らば、笠を脱げ。 有って地獄、無くて極楽。 解釈:お金と子供は、あればあったで苦労があるから、むしろ無い方が楽な ものだという意。 活用⇒有って土籠、無くて空籠。[守] 有っても苦労、無くても苦労。 解釈:お金と子供は、あればあったで苦労する。また、無ければ無いで苦労 するという意。 熱火(あつび)を子に払う。 解釈:自分の身の危険を逃れるために、わが子の方に火を払うような浅まし いことをするたとえ。自分の身のために、自分がかばってやるべき者に、その 災難を転嫁すること。 類義:熱き火は、子に払う。跳ね火、子に払う。 羹(あつもの)に懲りて、膾(なます)を吹く。 解釈:一度失敗したことに懲りて、無用な用心をするたとえ。熱い吸い物で 火傷をした者は、それに懲りてナマスを食べるにも用心をして、吹いて冷ます という意。 類義:蛇に噛まれて、朽縄(くちなわ)におじる。火傷した犬は、冷水を熱 湯だと思う。火傷した猫は冷たい水を恐れる。 当て事は向こうから外れる。 解釈:こちらが当てにしていることは、先方の都合で外れることが多いとい う意。 類義:当て事と越中褌(えっちゅうふんどし)は向こうから外れる。当て事 と褌。 後足(あとあし)で砂を掛ける。 解釈:世話になった人の恩を裏切るばかりか、別れ際に更に迷惑をかけるこ と。 類義:後は野となれ山となれ。飼い犬に手を噛まれる。 反義:立つ鳥、後を濁さず。 後から剥げる正月言葉。 解釈:「正月言葉」は正月中だけ使う特別な言葉。転じてお世辞、礼儀正し い言葉。余所行きの言葉や、うわべだけの追従(ついしょう)は、直ぐに正体 がばれるという意。 後薬(あとぐすり)。 解釈:病人が死んでから後の薬のこと。済んでしまって、後から処置しても 役に立たないことのたとえ。 類義:後の祭り。 後の喧嘩、先でする。 解釈:後でごたごたの起きないように、前もって十分に論議しておくという 意。 後の祭。 解釈:祭の終わった翌日という意から、時期が遅れ、手遅れのことをいう。 類義:後薬(あとすぐり)。証文の出し遅れ。六日の菖蒲、十日の菊。 参考:The day after the fair.の訳語。 後は野となれ山となれ。 解釈:目先のことさえ済めば、その後の事はどうなろうと構わないという意。 自分の行為が原因となって、どんな結果が生じようと構わないということ。 類義:末は野となれ山となれ。 反義:立つ鳥、後を濁さず。 参考:After us the deluge.(後の災厄) 後腹(あとばら)が痛(や)める。 解釈:産後の腹痛の意から、物事が終わったにも関わらず、なお出費がかさ んで苦しいことをいう。 後百より今五十。 類義:明日の百より、今日の五十。 後へも先へも行かぬ。 解釈:進むことも退くこともできず、身動きがとれなくなること。 |