1999年10月中旬の日記

気管支炎でひどく苦しんだ10日間でした。日記を更新するのも遅れ気味になって、いつもよりちょっと淡泊です。新型iMacは実物を見てみると、購買意欲が薄れてしまいました(旧型の色と質感の方が上品だと思います)。(1999年10月23日記)

10月11日(月) この世でいちばん大切なお友だちへ。
[更新情報]トップページのレイアウトを変更した。写真は10月9日(土)に大阪のスタジオSwitchで撮影してもらったもの。「真のTS」はホームページで写真を公開したりはしないのかもしれないけど(笑)。
[日記]長*さん(銀河の彼氏)の体調もすっかり回復(生命力の強い人だ)。朝10時半の新幹線で大阪をあとにする。長*さんは次の仕事先の浜松で下車。銀河は東京へ。
家に帰ってみると、この世でいちばん大切なお友だちからお手紙が届いていた(だれのことかは「銀河の事情」を最初から読んでいる人にはすぐにわかるはず)。つらい状況にあることはわかっていた。だからそのことはいい(覚悟はできていたはずだから)。気になったのは「お互い強く生きていきましょうね」という結びのことば。彼女はこんなことを言う子じゃなかったはずなんだ。
以前、彼女に「私はね、いつも強く生きていきたいって思ってるの」って言ったことがあった。彼女は意外な言葉を聞いたというような顔をして「ボク(当時の彼女は自分のことをボクって言ってた)は強いとか弱いとか、そんなことは考えたことがない。ただ単に生きてるだけ」って答えた。それを聞いて、ああ、この子は本当に強い子なんだってつくづく思ったんだ。
銀河にとって鏡のような存在。彼女を見ていると自分が見えてくる、そういう仲間。彼女がいるから銀河もがんばれる、そういうお友だち。心の底から信頼できる子だから、ここのところしばらく連絡を取り合っていなくても、安心していた。思い過ごしだったらよいのだけど、ひょっとしたらいま、彼女には銀河の力が必要なのかもしれない。とにかく、またしばらくは、一緒につるむことになるんだろうな。
いいよ、ひとりで歩いていくのがきつくなったら、もたれかかっても。あなたにはそうする権利があるんだから。
[BGM]The Selecter,"Too Much Pressure." ツートーン・ブームなんて、覚えてますか。パンクが登場してすぐのころ、イギリスではスカ(レゲエ直前期に流行ったジャマイカ音楽。近似のものとしてはビートルズの「オブラディ・オブラダ」)をベースにしたサウンドを売り物にする一連のグループが一時的に(ホントに一瞬だけ)ブームになったことがあった。白と黒のツートーンのファッションがトレードマーク。代表選手は(ライヴが超かっこよかった)スペシャルズとか(たしかホンダのCMにも出ていた)マッドネスなんだけど、個人的には(ワンランク落ちるけど)哀愁を帯びたメロディーが特徴的なセレクターも捨てがたかった。これはセレクターの80年のデビューアルバム。下手です。でも懐かしいなあ。
[読書記録]吉本隆明『私の「戦争論」』(ぶんか社)。元祖カリスマ思想家の吉本隆明。小林よしのりの『戦争論』や「新しい歴史教科書をつくる会」に対する批判としては、最も強力で説得力もある。さすがに一時期の論壇(60年安保のころなんだけど)で連戦連勝負け知らずだった人だけのことはある。で、読んでるうちにつくづく思ったんだけど、この人って徹底した近代主義者なんだね。別にそれでもいいんだけどさ。

10月12日(火) うなぎパイV.S.O.P.って知ってる?
[日記]長*さんが浜松から帰ってきた。救急車に乗ったことがギャグのネタになるまでに体調が回復した。うれしい。夜は久しぶりに新宿西口の『嵯峨野』(行きつけの居酒屋さん)でお食事。
長*さんが浜松に出張するときにはいつも、お願いして買ってきてもらうものがある。うなぎパイV.S.O.P.だ。浜松名物のうなぎパイ(うなぎエキスが入ったパイ。これじゃあ説明になってないか。ホームページまであるとは知らなかった)はご存じですよね。「夜のお菓子」というキャッチフレーズで知られているアレだ。そのうなぎパイのスペシャル・ヴァージョンとして、うなぎパイV.S.O.P.ってのがある。こっちの方のキャッチフレーズは「真夜中のお菓子」(笑)。普通のうなぎパイは、名古屋でも東京や大阪でも売ってるんだけど、うなぎパイV.S.O.P.は浜松の直営店にしかないレアものだ。その名の通り、ブランデー入りのうなぎパイなんだけど、芳ばしい香りがなんともたまらないんだ。
というわけで、真夜中に(笑)紅茶といっしょにうなぎパイV.S.O.P.をいただく。うーん、しあわせ。
[BGM]小川美潮『ウレシイノモト』。大昔にチャクラっていうグループのヴォーカルだった美潮さん、92年のソロアルバム。ムーンライダーズ系のサウンドにちょっとコケティッシュなヴォーカル。というわけで戸川純あたりと同じジャンルにされちゃうことが多いんだけど、ああいう屈折のしかたはしていないなあ。声質はむしろ矢野顕子に似ている。この時期の美潮さんはグレードの高いアルバムを連発してたんだけど、最近はどうしてるのかなあ。

10月13日(水) インターネットドラマ『グラウエンの鳥籠』の監督は。
[更新情報]プロフィールを作成した。写真は10月10日(日)に大阪のスタジオSwitchで撮影してもらったもの。「真のTS」はホームページで写真を公開したりはしないのかもしれないけどね(まだ言ってる、しつこいかな)。
[日記]10月1日から1年間の予定で始まったインターネットドラマ『グラウエンの鳥籠』が話題になっているらしい。毎日1分間の連続ドラマで、謎解きが中心のミステリー。主演は吉野紗香さんだ。
で、今日のネタはそのドラマ自体のことではない。ある雑誌の紹介記事の片すみにあった監督の「山川直人」って名前に聞き覚えがあったのでずっと気になっていたんだ。どうも知っている人のような気がするけど、思い出せない。のどに刺さった魚の骨がとれないでいる気分っていうか、足の裏に貼りついたごはん粒がとれないでいる気分でいたら、別の雑誌のインタビュー記事に山川直人監督が写真入りで登場していた。「ああっ、山川くんだ」。特徴のあるヒゲ。小さな目。昔(10年くらい前か)、大学の映画サークルに入っていた教え子(女性)に紹介してもらって、まだ駆け出しだったころの山川くんと知り合った。年も同じくらいだったし(向こうがひとつ年下)、出身大学も同じだったから、結構話が合ったっけ。いっしょに武道館に全日本プロレスを見に行ったこともあったな(三沢対川田の最初の三冠戦のときだったんじゃないかな)。山川くんは貧乏だったから、チケットは銀河が買ったんだ。ごはんもおごってあげたっけ。つい最近も、とあるライヴで5年ぶりくらいに同席したんだけど、山川くんは銀河のことに、気づかなかったみたい(笑)。
銀河は映画のことなんて全然わからないけど、売れてきてるのかな。だったらうれしいな。映画のことを話してるときの山川くん、とっても生き生きしてたから。『グラウエンの鳥籠』、どうかよろしくね。
[BGM]Virus 3,"Myo Kyawt Myaing." ビルマ(ミャンマー)で人気のラップグループって書いてあったんで、単なる好奇心でわけもわからずに買ってみたんだけど、ジャケットはラッパー風のファッションに身をつつんだビルマ人の写真だし、サウンドもなるほど(打ち込みとサンプリングがビシバシの)ヒップホップ。で、ビルマ語(なんだろう、たぶん)のラップだ。妙に面白い。と思ったら、ビルマ語のドゥーワップコーラスの曲もあるぞ。純粋に楽しい。思わぬ拾いものだった。
[読書記録]清水義範『青二才の頃 回想の'70年代』(講談社)。ヒマつぶしのつもりで買ったんだけど、著者が第一線の流行作家だけあって、これはとても面白かった。70年代(著者が名古屋の大学を卒業し東京で就職してすぐのころ)の風俗や流行の回想記なんだけど、当時ファッション業界に関わっていた筆者ならではの視点が興味深い。「万博」「よど号」「三島由紀夫」「モーレツからビューティフルへ」「田中角栄」「向田邦子」「オイルショック」「スプーン曲げ」「ビニ本」「紅茶キノコ」「ピンクレディー」「インベーダーゲーム」等々。扱われている話題をあげていくだけで涙が出そう(私の中学・高校・大学時代、つまり思春期ってやつがそのまますっぽり70年代なのね)。

10月14日(木) 長*さんとずっといっしょにいたいけど。
[日記]長*さんは亡くなったお父様の跡を継いで、お薬の会社を経営している。一人息子で独身だ。だから自分の跡継ぎのことも考えなければならない。親戚の人たちやお友だちが心配していろいろと縁談の話を持ってくるんだそうだ。そういったことを聞いて、今日は一日、気持ちが沈み込んでしまった。
戸籍上の性別が今のままでは、結婚なんてできやしない。たとえSRS(用語についてを参照)を済ませても、子供を産むことはできない。今は幸せだ。でもちょっとだけ遠い未来のことを考えた瞬間に、底知れぬ不安に押しつぶされそうになる。
月曜日から咳が止まらない。息をするのが苦しい。病院に行ったら気管支炎だと言われた。水曜、木曜と仕事を休む。

10月15日(金) 平ゆきさんのライヴに行った。夜は新しいお友だちと。
[日記]先週の金曜日は体調を崩して仕事を休んだ。土曜日から月曜日まで連休。火曜日はもともと仕事がオフの日。水曜日、木曜日は気管支炎で寝込む。というわけで、仕事に行くのは久しぶりだった。
午前中で仕事が終わり、同僚の女性と行きつけのとあるブランドのお店でお買い物。デニムのジャケットとデニムのスカート(ひざ丈のものと大胆なスリットが入ったロング)、キャメル色のニットのカーディガン、フォーマルなグレーのスーツ(ジャケットとロングスカート)、ゼブラ柄のサンダル。フォーマルなスーツを買ったのは、今後はどんな場にも(冠婚葬祭とかね)女性として出席することに決めたからだ(ちなみに男性用のフォーマルなスーツは一着も持っていない)。
買い物のあとで同僚の女性と食事。ホルモン療法(用語についてを参照)のことやGID(用語についてを参照)でメンタルクリニックに通っていることなどを話しているうちに、勢いでSRS(用語についてを参照)を望んでいることまで打ち明ける(職場の人間にSRSのことまで話したのははじめてだ)。彼女は別に意外なことを聞いたふうでもなく(お化粧をして女性用の衣服を身につけて仕事をしているんだから当然か)「私はあなたを女性だと思ってつきあってるんだし、いっしょにお風呂にだって入れるんだから」と言ってくれる。心底ありがたかった。
いったん自宅に戻り、今日買ったばかりのデニムのロングスカート(深いスリット入り)とキャメル色のニットのカーディガンに着替え、(デート用に)お化粧をし直す。今日は長*さんのお友だちの沖縄出身のラテン系シンガー(ウチナーラティーナがキャッチフレーズ)、平ゆきさんのライヴ。6月11日に引き続き2度目だ。5時半に高田馬場で長*さんと待ち合わせて簡単な食事を済ませ、会場の練馬文化センター(西武池袋線練馬駅)へ。ライヴは7時から。6月11日のライヴはラテン音楽を中心にヴァラエティー豊かな構成だったが、今回は沖縄色の強いオリジナル曲が中心。ピアノ、ベースギター、ドラム以外に(沖縄の三線ではなく)津軽三味線がバックについていたのが意表をついて面白かった(沖縄調のメロディーと津軽三味線のサウンドがみごとに調和しているのには感心した)。歌は抜群にうまいし相変わらず楽しいライヴ。あっという間の2時間を十分に堪能させてもらう。長*さんが心の底から楽しそうな様子だったのがうれしかった。
都営地下鉄で新宿に戻る。今日は家に帰らずに、ずっと長*さんといっしょにいたい。レンタルルームで2時間いっしょに過ごし、歌舞伎町の「シエン」(喫茶店)でお茶。夜中の1時を過ぎたころに「たかみ」(いわゆる女装スナック)へ。ここで新しいお友だちと知り合う。彼氏と同伴でいらっしゃった中村百恵さんだ。ちょうど数日前に「たかみ」の週末従業員の中澤清美ちゃんに、すごくカワイイTS(用語についてを参照)の子がいるという内容のメールをもらい、百恵さんのホームページを覗きにいったりしていたばかりだったので、突然出会うことになってビックリ。隣の席に座らせてもらってずっとお話をする(ふだんの生活のこととかSRSのこととか)。今日はお仕事の帰りだということでノーメイクだったんだけど、どう見ても女の人にしか見えない。こういうナチュラルに女性的な子を見ていると、自分の容姿に絶望してしまう。でも仲良くしてもらえてうれしかった。トランス系の飲み屋さんに行くのは気が進まないと言いつつ(9月26日の日記を参照)、こうやってときどき顔を出してしまうのは、ひとつには長*さんと朝までいっしょに過ごしたいってことがあるのだけど、もうひとつにはTSのお友だちが欲しいという切実な気持ちからなんだなって思った。
閉店後は長*さんと「上高地」(歌舞伎町の深夜喫茶)でお茶を飲んでから帰宅。
[BGM]平ゆき『フローレス』。沖縄色の強いメロディーの叙情歌謡。ヴォーカルはラテン音楽のトレーニングを受けた発声。そしてこれに(プロデューサーの藤田正さんの功績なんだろうけど)伴奏のショーロ(サンバ以前のブラジルのインストルメンタル音楽)のサウンドが実にみごとにマッチしている。何回もくり返して聴きたくなるような不思議な魅力がある。ここ数ヶ月のいちばんの愛聴盤のひとつ。

10月16日(土) ずっといっしょにいることができれば、それだけでいい。
[日記]午後6時ごろに新宿で長*さんと合流。大久保の居酒屋で食事をし、レンタルルームで2時間休憩。11時過ぎに帰宅。
長*さんは銀河との関係を、お母様をはじめ身近な人たちにはオープンにしてくれている。それ以外の人たちにも少しずつ認めてもらえるようにしたいって言ってくれる。うれしい。でも、ここのところ少しわがままを言いすぎたから、長*さんにムリをさせているような気がする。ごめんなさい。
ひっそりとでいい。パートナーとしてずっといっしょにいることができれば、それ以上のことはなにもいらない。
[BGM]西田佐知子『アカシアの雨がやむとき』。西田佐知子のベスト盤。元祖山口百恵とも言うべき蠱惑的な歌唱(ルックスも)。表題曲(1960年のヒット曲)は幼稚園に通っていたころ愛唱していた思い出の曲(記憶に残っているかぎりで最初に好きになった流行歌だ)。「コーヒー・ルンバ」「東京ブルース」「女の意地」といったヒット曲もいいが、「くれないホテル」がせつなくて強力。西田佐知子なんて知らないという方も、菊正宗のCMソング「初めての街で」なら耳にしたことがあるはず。いまでは関口宏夫人。
[読書記録]宮台真司『野獣系でいこう!!』(朝日新聞社)。出たばかりの対談・インタビュー集。宮台真司原理主義者または宮台真司依存症患者(笑)にとっては必携の一冊。刺激的な言辞がちりばめられている。個人的には小室直樹(政治学者)との対談がバツグンにおもしろかった。

10月17日(日) 第70回「TSとTGを支える人々の会」催しに参加した。
[日記]午後1時半から梅ヶ丘パークホール(小田急線梅ヶ丘駅)で「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の公開講演会。今日は松田博公さん(共同通信編集委員)のお話による「やさしいフーコー論」。といってもフーコーの著作や思想そのものの解説ではない。1984年にエイズで亡くなったフランスの思想家ミシェル・フーコー(構造主義の人ね)は、自らがゲイであることを公言していた。今日のお話は、そのフーコーの思想を血肉として運動をしている(らしい)ゲイやトランスジェンダー(用語についてを参照)の人々の紹介が中心。銀河には講演内容を要約する力はないので、くわしくは、11月10日に発売される『季刊 QUEER JAPAN』創刊号(勁草書房)に掲載される松田さんの「フーコーに出逢う旅」という文章を参照してください。
でもね、ひとこと言わせてもらうと、銀河にはいまいちピンとこない話だったなあ。フーコーがゲイだったからっていって、その思想がゲイの運動のバックボーンになるって発想がね。まあ、フーコーの書いたものってその多義性が特徴だから(つまり、いかようにでも解釈できるってこと)、そういうのもありなんだろうけど。たとえば「TS(用語についてを参照)は男の体で生まれXYの遺伝子を持ちながらも、自分は完全に女性だと言おうとしている。これはフーコーのいうような革命だ」というような趣旨の運動家の発言が紹介されていたけれど、正直なところ、こじつけもいいところだとしか思えなかった。そこらへんは今日の司会役だった伏見憲明さん(ゲイの文筆家)も指摘していらっしゃったけどね。
司会の伏見さんの著作は何冊も読ませていただいていたが、ご本人には初めてお目にかかった。しゃべりも達者だし(お金のとれるしゃべりだ)バランス感覚のある方で(話が極端な方向へ行くときちんと突っ込む)好感が持てました。
二次会は梅ヶ丘駅近くのイタリア料理屋。オシャレなお店だったので、いつもより散財する。久しぶりに代田早苗さんとゆっくりお話をすることができた。

10月18日(月) 今日は心の底から生徒たちに感謝したい気持ちだった。
[日記]朝4時ごろから咳が止まらなくなる。だが、これ以上仕事を休むわけにはいかない。重い体を無理矢理引きずるようにして職場へ。授業開始時間まで講師室のすみで横になっている。何年か前に高熱を押して授業に臨み、授業後に倒れて救急車で病院に運ばれたときよりもずっとましだ。そう自分に言い聞かせ、頭のなかで一万円札を数えながら(つまり、これからの授業の対価として受け取ることのできる金額を励みにして)教室へ。
いつものように教室のなかを飛んだり跳ねたりすることもできず、椅子に座ってときどきひどく咳き込みながらの授業。生徒たちが心配そうにこちらの顔をのぞき込むようにして、いつもよりもさらに熱心に授業に集中してくれている。その思いやりがありがたくて、授業内容の質を落とさないように神経を張りつめさせる。授業終了後、いつも以上に深々と頭を下げて感謝の意を表す。
緊張の糸が切れてぐったりとしていると、何人かの生徒たちが、すぐに帰らないでしばらく待っていてほしいと告げにくる。講師室で待機していると、10分ほどして20人ほどの生徒たちが現れる。お金を出しあって買ったのだという栄養ドリンクや咳止めの薬やのど飴の差し入れ。口々にこちらの体を気遣ってくれる。目に涙をためている女の子もいる。うれしくて涙があふれてくる。
生徒にものを教える仕事、つまりは多少なりとも人と心を通わせながらする仕事に就いていてよかった。つくづくそう感じる。どんなときでも生徒たちの前に出ると元気になれる。本当にありがたいことだ。
[BGM]後藤幸浩『琵琶七変化』。薩摩琵琶の若手ナンバーワンの演奏家(1960年生まれ)、後藤さんの1997年発表のセカンドアルバム。もともとロックやブルースのファンで、現在でも『ミュージック・マガジン』誌などでジャズを中心とした音楽評論の仕事もなさっているだけあって、伝統に根差しながらも視野の広さを感じさせるオリジナル曲は魅力的(時としてブルースっぽかったり、ケルト的だったり)。アコーディオンの田村亜紀さんも好演。ところで後藤さんも個人的な知り合い(とあるライヴを企画したときに田村さんといっしょに出演していただいた)。年齢が同じくらいで音楽の趣味も一致しているので、お会いすると超盛り上がります。

10月19日(火) 新型iMacをチェック、でも買わないよん。
[日記]たっぷり睡眠をとったせいか、体調が戻ってきた。夕方になって新宿に出て、長*さんと合流。食事をいただく前に、新宿西口のT-ZONEに寄ってみる。もちろん新型iMacをチェックするためだ。
ずらっと並んだ5色の新型iMacにはたくさんの人たちが群がっている。少し待って、実際にいじってみる。処理速度とかは旧型との差、あまりよくわからない。評判のiMovieっていうのもどうなっているのかよくわからなかった(使い方がわからなかったの)。でも音がよいのにはビックリした(ちゃんとしたオーディオの音になってるんだもの)。だけどね、たぶん銀河は買わないだろう。色と質感が気に入らないんだ。旧型iMacよりも鮮やかな色なのはたしか。でも本体の材質が変わったせいか、光沢がありすぎるんだ(ピカピカだ)。たとえて言うならば、カラー電球みたいっていうか。なんだか安っぽいぞ。旧型のつや消しの色の方がずっと上品だ。来週にも出るらしいグラファイトの上位機種だと印象は違うのかもしれないけれど。
インターネットに接続するのとテキストデータの作成が中心ならば、旧型で十分。もしも今からiMacを買うつもりなら、10万円を切ってお安くなった旧型の方がお勧めだ。長*さん、欲しそうだったけど、買わないかな。長*さんの事務所にもiMacがあれば便利なのに。
ところで近いうちに、長*さんの会社のホームページを作ります。このページからリンクするかどうかは未定だけど(笑)。
[BGM]ネーネーズ『明けもどろ〜うない〜』。現メンバーのネーネーズは解散することになるらしい。メンバーたちは家庭に戻ったりソロに転身したりと、それぞれ別々の道を歩くことになるという。今日知ってビックリした。11月14日の渋谷公会堂が東京でのラスト。ライヴ盤の収録も予定されている(広島大の学園祭の性同一性障害のシンポジウムと同じ日だ。広島行きは残念だけど取りやめにして、渋谷に行こうっと)。なおプロデューサーの知名定男は、20歳前後の新しいメンバーたちで新生ネーネーズを結成。すでに9月30日に宜野湾市(沖縄)のライヴハウス「島唄」で現ネーネーズとの共演を済ませているそうだ。

10月20日(水) 生理用品の試供品を手渡される。
[日記]年間授業時間数の調整の関係で、今日は夜の現役高校生のクラスがお休み。体調も回復に向かっている時期なので、ちょうどよかった。
午前中の仕事を終えるとそのまま、長*さんと合流するために新宿へ。西口で女性だけを選んで何かを配っているキャンペーンガール(らしき人)を発見。近づいていくと楽勝でその何かを手渡される。どうせティッシュだろうと思いながらよく見ると、ティッシュではなくて生理用品(ナプキンね)の試供品が入っていた。街頭で配られている生理用品のサンプルをもらえるかどうかが、ちゃんとパス(用語についてを参照)しているかどうかのバロメーターになるという話は聞いたことがあるが(たとえば、静菜ちゃんのホームページここを参照)、実際に遭遇したのは初めてだ。女性用のテレクラのティッシュとか女性専用エステのチラシなんかは100パーセント確実にもらえるのだが、チェックは甘いみたい(とりあえず女性に見えれば手渡してくれる。特に男の人が配ってるときなんかは、かなりチェックが甘い)。それに対して、生理用品をもらえるかどうかはかなり難度が高いらしい(ホントの女の人じゃないと手渡してくれないらしい)。素直にうれしかった。
今日はパウダリーファンデだけの5分間メイク。リップもつけていなかった。服装は男物(!)のシャツにパンツルック。やっぱり、あまりフェミニン過ぎない方がパスしやすいのかな。
[BGM]Eric Justin Kaz,"If You're Lonely." 小沢健二もパクったイーストコーストのシンガー・ソングライターの72年のデビュー盤。高校時代の愛聴盤だった。ウェストコーストのシンガー・ソングライターの多くがカントリーの影響を受けているのに対して、このアルバムに参加したミュージシャンはジャズやソウル系の人たち。ゴスペル調のコーラスがつく曲もある。都会風のサウンドに内省的な歌詞。いま聴いても新鮮。


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