2000年4月中旬の日記

4月14日から銀河の自宅で、長*さんとの同居生活を開始しました(幸せな毎日です)。新年度の授業も始まり、新鮮な気分の日々を送っています。(2000年4月23日記)

4月11日(火) ダイエット開始から10日目の中間報告。
[日記]4月1日から開始したダイエット。10日が経過した。スタート時に68.5キロだった体重が、今朝の段階で67.0キロ。1.5キロ減だ。1ヵ月で2キロを目標にしている(1ヵ月で体重の5パーセント以上を減量するのは危険)ので、もうちょっとゆっくりとしたペースでもよさそう。今日からの10日間は現状維持を心がけることにしよう。
三食きちんと食べる日と、一日のうち一食(昼食か夕食)を代用食(ドリンク・タイプとビスケット・タイプの2種類)に置き換える日を、交互にくり返している。ケーキやアイスクリーム(大好き!)などは基本的に我慢していない。そのほかに各種サプリメント(脳に働きかけて過食を抑えるサプリメント、「飲む化粧品」という異名をとるピクノジェノールが配合された栄養強化サプリメント、コレステロールを除去する効果のある食物繊維サプリメント、糖分や脂肪の吸収を阻害するサプリメントなど)を毎日決められた分量ずつとっている。
ダイエットを始めていちばんよかったのは、食生活が規則正しくなったことだったりする(笑)。これまでは朝食抜きとか、一日に一食だけなんて日がざらにあったけど、きちんとサプリメントをとるためには、規則正しく決まった時間に食事をすることが必要だからだ。なんだか久々に健康的な毎日。
[BGM]Kepa Junkera,"Tricky!" バスク(スペインとフランスにまたがるビスケー湾沿いのバスク語が話されている地域)の伝統的な楽器、トリキティシャ(ボタン式ダイアトニック・アコーディオン)の名手であり、バスク音楽の改革者でもあるケパ・フンケラ。これはピーター・バラカン氏の選曲による日本独自のベスト・アルバム。バスクの伝統的なダンス音楽の感覚を活かしながらも、アイルランドやスコットランドやマダガスカルなどの音楽の要素を大胆に取り入れている。個人的にアコーディオンが大好きってこともあるけど、ご飯を食べているときのBGMとして最適かな。
[読書記録]ハラルト・シュテュンプケ『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』(平凡社ライブラリー)。長らく絶版のままだった天下の奇書が、平凡社ライブラリーで文庫化されている。1941年にハイアイアイ群島で発見された鼻で歩く哺乳類(鼻行類)ハナアルキ(原著の出版直前の57年に海底に沈没したハイアイアイ群島とともに絶滅)についての学術的報告書(?)。一級品の理論動物学入門書と言ってもよいだろう。で、このおもしろさは実際に本を手にとってみないとわからないし、種明かしをするのも野暮だから、これ以上は何も書きません。

4月12日(水) 今日から現役生クラスの授業開始。夜は人と会う。
[日記]今日から夜の現役生(高校3年生)クラスの授業が始まった(浪人生のクラスは19日から)。毎週水曜日は昨年同様、千葉県の某校舎への出講となる。例年、新年度の初回の授業は気合いが入りすぎて少々重たい感じになりがちなので、今年は少し肩の力を抜いて気楽な気持ちで臨んでみた。成果は上々。予備校講師を職業として17年目(!)にしてようやく、贅肉をそぎ落としたムダのない授業ができるようになった実感を抱く。
授業終了後は青山へ向かう。取材の打診があった某マスコミ関係の方とお会いするためだ。ひとりでは不安なので、事情にお詳しい三橋順子さんにお願いして同席していただく。場所は、いかにもマスコミ関係者御用達といった感じの小洒落たお店。今日は相手側のお話を伺うのが目的だったのだが、意外に波長が合って、11時過ぎまであれこれと話し込む(取材を受けるかどうかは別にして、いくつかのテーマで意見交換をした)。実は、順子さんとゆっくりお話をしたのも今日が初めて。トランス(用語についてを参照)を開始してからの経歴が似通っていて、同じ場所に出入りしたりもしていたのだが、微妙に時期がズレていたこともあり、ご一緒する機会がほとんどなかったのだ。これまでのすれ違いを埋めるかのようにいろんなことを親切に教えていただけて、大変ありがたかった。

4月13日(木) LightWayTextで授業用補助プリントを作成。
[日記]毎年担当している成績上位者クラスのテキストが大幅に改訂されたので、今年度は授業準備がかなり大変になりそう。今日は一日、授業中に生徒に配布する補助プリント作りに専念した。プリントの原版作成には、LightWayTextっていうシェアウェアのエディター(ダウンロードはここ)を利用している。テキスト書類作成用としては、普段はMac用の定番エディター、 Jedit3.0(株式会社まつもと)を愛用しているのだが、授業で配布する補助プリントを作るのには、レイアウト機能の使い勝手のよいLightWayTextが便利だ。
ちなみに(Windows版のWordとの書類のやりとりが容易だというので)Word98も所有しているのだが、あまりにも重すぎてめったに使わない。どうしてもワープロ・ソフトじゃなきゃ困るって状況には当分ならないんじゃないかな。
[BGM]Adewale Ayuba,"Fuji Time." ナイジェリアの大衆ダンス音楽、フジ。そのフジの若手人気スター、アデワレ・アユバの96年アメリカ録音盤がこれ(録音当時30歳)。フジはヨルバ人のイスラム教コミュニティーから生まれた音楽。基本的には各種のトーキング・ドラムを始めとするパーカッションと歌だけというシンプルな構成なのだが、複雑なポリリズムにコブシの効いたヴォーカルが乗って、最高にファンキー。個人的にはナイジェリアの音楽のなかでいちばん好きだ。ひとつ上の世代のフジ・ミュージシャンたちがキーボードやトランペットやシンセ・ドラムなどを取り入れて現代化を図っているのに対し、アデワレ・アユバはパーカッションと歌だけの構成にこだわる。ヴォーカルには若さが露呈することもあるが、パーカッションの躍動感は絶品。

4月14日(金) 長*さんとの同居生活がスタート。
[日記]今日から銀河の自宅で、長*さん(銀河の彼氏)と一緒に暮らすことになった。本当はもっと早く同居生活をスタートさせるつもりだったのだが、部屋の片づけも含め、いろいろと環境を整えるのに時間がかかってしまった。銀河の自宅は2LDK(62平方メートル)の広さがあるので、本来なら2人で住むのには十分なのだが、大量の本やCDで半分倉庫と化していたのだ。
近所のロイヤル・ホストで夕食をとって、一緒に帰宅。「この部屋は本とCDのために家賃を払ってるようなもんだな」というのが長*さんの第一声。本棚と机の配置換えを手伝ってもらう。これまでもほぼ毎日一緒に過ごしていたわけだし、同居するから何かが大きく変わるってこともないんだろうけど、長*さんがリビング・ルームで寝転がっている自分の家っていうのは、やっぱり新鮮な気分。
ところで、このホームページも満1年を迎えた。ときには「なんで日記を毎日書くって決めてしまったんだろう」と悔やみながらも(笑)、これからも同じ調子で続けていくことになると思います。
[読書記録]田口ランディ『癒しの森 ひかりのあめふるしま屋久島』(ダイヤモンド社)。インターネット上でのエッセイストとして活躍中で、最新作『もう消費すら快楽じゃない彼女たちへ』(晶文社)が一部で話題になっている田口ランディ。97年のこの著作は、屋久島がテーマ。屋久島に対する彼女の個人的な思い入れと客観的な記述とのバランスが絶妙で、文章構成力の巧みさに感心する。屋久島関連の書籍としてはまず最初にお勧めしたい一冊だ。

4月15日(土) 第80回「TSとTGを支える人々の会」催しに参加した。
[日記]池袋にある行きつけの某ブランドのお店でいつもお世話になっていた店員さんが明日から本社勤務になるということなので、挨拶がてら立ち寄り、春物のスカートやジャケットを買う。その後、長*さんと合流して、第80回「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」催しが開かれる都内某所へと向かう。開始時間の午後6時10分ぎりぎりに会場に到着。今回のテーマは「トランスジェンダーのボイストレーニング―その仕組みと具体事例」。内容から考えて、おそらく参加者が多くなるだろうなと思っていたが、その予想通り、いつもは6割から7割の入りの会場が満員。補助椅子が多数出る盛況となった。
話し手を努めてくださったのは、城本修先生(広島県立保険福祉大学教授/医学博士/言語聴覚士)。MTF(用語についてを参照)が女性的な声を出すためのトレーニング方法について、アメリカで市販されているMelanie Anne Phillips(彼女の主宰しているWebサイトTransgender Support Siteここを参照)のテープや本をもとに、ご自身がアメリカでトランスジェンダー(用語についてを参照)の音声訓練に立ち会われたご経験なども交えながらのお話だった(発声器官の男女差から始まり、女性的な声の出し方を理路整然とわかりやすく、具体的に紹介してくださった)。先生が実際に発声しながら説明してくださるのに合わせて、参加者もその場で声を出して試してみる。理論と実践のバランスのとれた大変中身の濃い講義だった(たぶん、今日からすぐにやってみることができるという意味では、銀河の参加した昨年の9月以降の「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催しのなかでは最も実践的な内容だったと言えるだろう。例えば戸籍に関するテーマなんかも有益なんだけど、今すぐの話というよりも「明日のためにその1」とか「明日のためにその2」っていう内容だからね)。
城本先生のお話の後、継続的なトレーニングの結果、女性的な声を獲得された当事者おふたりの体験談。会場のタイムリミットが迫っていて、閉館のアナウンスが流れるなかでのスピーチとなったのがちょっとお気の毒だった。
二次会も40人ほどの参加で盛り上がる。静岡の安藤ゆりかさんが銀河の自宅に泊まっていかれることになっていたのだが、ちょうど昨日から長*さんが同居することになったため、ちょっとゆりかさんには申し訳なかった。長*さんが眠った後、朝方までトランス(用語についてを参照)関連のさまざまな話題について、ゆりかさんと意見交換をする。楽しく過ごせてうれしかった。

4月16日(日) 2人暮らしは順調な滑り出し。
[日記]ゆりかさんと朝方まで話し込んだ後、5時間ほど睡眠。9時半頃起き出して、長*さんも含め3人で近所のファミレス。その後、長*さんの事務所へ。買い物に行くゆりかさんと別れ、午後から世田谷区内の長*さんの知り合いのステーキ屋さんで食事。事務所に戻る長*さんと別れ、銀河は美容院に寄ってから帰宅。お掃除をしながら、長*さんの帰宅を待つ。特記することは何もない一日だけど、2人暮らしは順調な滑り出し。
[BGM]"Money No Be Sand." 1950年代終わりから70年代初めにかけてのナイジェリアとガーナのミュージシャンたちの演奏を集めた一枚。この時期はアフロ・ポップ黎明期。基本的にはラテンやロックやソウルのコピー・バンドなんだけど、あちこちに(おそらく無意識のうちに)ちりばめられたアフリカ的フレーズが興味深い。圧巻はビートルズの「ドント・レット・ミー・ダウン」のパーカッシヴなコピー(演奏はガーナのシャーロッテ・ダダ)。何もない一日にピッタリの和みのサウンド。

4月17日(月) 長*さんは整理整頓が大好きだから、とても助かる(笑)。
[日記]都内の某校舎で、夜の現役生(高校3年生)クラスの授業の第1回目。12日(水)の千葉県の某校舎のときと同じで、順調なスタート。授業終了後は長*さんと新宿西口の「嵯峨野」(行きつけの居酒屋さん)で食事をしてから、帰宅。
一緒に暮らし始めてみると、いろいろとおもしろいことに気づく。銀河は汚れているのは嫌いだから、掃き掃除や拭き掃除は一所懸命にやるけど、ちらかっているのは平気だから、部屋のなかはすぐに本や書類やCDで足の踏み場もなくなる(使った道具を元の場所に片づけるなんてことが苦手なのだ)。一方、長*さんは散らかっているのが大嫌いだ。一緒に暮らし始めてからのこの数日、暇さえあれば家のなかのお片づけをしてくれる(とても助かる)。雑巾がけをしている銀河の隣で、出しっぱなしの本やCDの整理をしてくれる長*さん。結構いいバランスなのかもしれない。
[BGM]"FUJI DUB Lagos-Brooklyn-Brixton." ナイジェリアの大衆ダンス音楽、フジ。その若手人気スター、アデワレ・アユバ(13日の日記の[BGM]で取り上げた)。このアルバムはアデワレ・アユバの曲をイギリスのDJたちがリミックスした一枚。パーカッションの複雑なポリリズムにダブ風、テクノ風の味付けがなされ、頭がクラクラするような麻薬的サウンドに仕上がっている。

4月18日(火) 授業準備が大変で泣きそうになる。
[日記]明日から大学受験科(浪人生クラス)の新学期が始まる。毎年担当している成績上位者クラス(東大コースとか早慶コース)のテキストが大幅に改訂されたので、今年度は授業準備がかなり大変。90分1コマの授業の準備に7時間から8時間はかかりそうな気配だ(昨年度までは4時間から5時間で済んだ)。担当授業は11コマだが担当テキストは3種類なので(あちこちの校舎のいろんなクラスで同じ内容の授業をくり返すことになる)、1週間あたり21時間から24時間の授業準備が必要になる。
ところで、1週間の始まりになる水曜日は、その3種類のテキストすべての授業がある。だからぼんやりしていると、前日の火曜日は大変なことになる。今日も授業準備に追われる(泣きたくなった)。結局、全部終わったのは朝方の4時半(半分徹夜状態だ)。

4月19日(水) いよいよ新学期。浪人生クラスの授業が始まる。
[日記]今日から大学受験科(浪人生クラス)の新学期。朝方まで授業準備に追われたので、睡眠不足気味のまま今日の出講校舎(千葉県の某校舎)へ向かう。昨年度まで、仕事の時にはスカートよりもパンツ・ルックの方が多かった。それはもっぱら、その方が機能的だという理由によるものだったのだが、職場でのトランス(用語についてを参照)が公認されたこともあり(12月6日の日記12月15日の日記を参照)、新学期からは意識してスカートをはく回数を増やすことにした(昔からの銀河を知る職場の人たちに対して、以前は事情があって男性としての生活を余儀なくされていたけれど、本当は女性なんだということをアピールするためでもあるし、生徒たちに対しても、最初の印象が肝腎だからね)。
今年度の生徒募集がうまくいき入学者が予想以上に多かったこともあって、校舎はここ数年でいちばん活気にあふれている印象。午前中の90分授業2コマは、睡眠不足がたたって少々滑舌が悪かったりもしたが、肩の力を抜いてリラックスして臨んだため楽しくこなすことができた(この仕事を始めたばかりの頃に感じていた「仕事が楽しい」という感覚、仕事がルーティン・ワークと化すにつれて薄れてきた感覚が、本当に久しぶりによみがえってきた)。空き時間はもっぱら講師室のソファーで睡眠。夜の現役生(高校3年生)の授業(今日が2週目)も順調。
[BGM]Radio Tarifa,"Rumba Argentina." ラディオ・タリファはスペインのグループ。スペインの南の端のジブラルタル海峡に突き出した小さな岬、ケープ・タリファに由来するグループ名で、このタリファという土地の架空のラジオ局というアイディアなのだそうだ。スペイン、ギリシャ、北アフリカ、アラブのさまざまな民族楽器を駆使し、これらの地中海沿岸地域の音楽が今のような形に分化する前の混沌とした状況を、現代的に再現するというのが、この盤の試み。そういった意味では例えば、山内雄喜のハワイ音楽に対する取り組みなどと同種のものだ。山内の音楽同様、どこにもない空想の音楽なんだけど、確かなコンセプトと演奏力によってリアリティが強化され、なによりも聴いていて楽しい音楽を創出している。個人的には最も好きなタイプの音楽だ。

4月20日(木) 久々に医学部進学コース(大好き!)の授業を担当。
[日記]木曜日の出講校舎は埼玉県の某校舎。午前中に90分授業を2コマ、午後いちばんの時間帯に90分授業を1コマ。計3コマを担当する(去年よりも1コマ増えた)。ここ数年間、私大志望者のトップレベル・クラス(早慶コース)を中心に担当していたのだけれど、今年度は久々に私大志望者クラスと国立大志望者クラスが半々の割合だ。
今日の3コマ目は医学部進学コースの授業。医学部志望者って一応は理系なんだけど、頭のなかがまるっきり文系の生徒が多くて、話をしていて面白い(授業を担当していていちばん楽しいのが医学部進学コースなのね)。そう言えば、5年ほど前まではずっと医学部進学コースを担当していて、何人もの生徒たち(真っ直ぐでいい子ばかりだった)を埼玉医大に押し込んだんだけど(本当に「押し込んだ」って感じだった。英語ができない子たちに特別に特訓授業を組んであげたりして)、彼らは今頃どうしてるのかなあ。
いったん自宅に戻り、8時頃、新宿で長*さんと合流。長*さんが昔から行きつけだった新宿1丁目のスナックが今週で店をたたむので、最後にもう一度立ち寄ることにしたのだ(長*さんは明日も行くらしい)。ママがさっぱりした気性の人で居心地のよいお店だっただけに、残念。


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