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     志木第九の会           第5回定期演奏会 ポスターとメッセージ
 

 

 
            第五回定期演奏会に寄せて            
 
志木で「四季」を聴こう!

  5年前、私どもの第一回定演は「天地創造」でした。その演奏終了後、誰かが「今度は志木で四季を演(や)ろう」と語呂合わせで冗談を言ったのが、はからずも実現してしまいました。

 今回の定演での基本的なコンセプトは、従来と全く変わっていません。「曲のもつ感動を聴いて下さる方々に、心を込めてお伝えすること」   三澤音楽監督の音楽に取り組む姿勢です。

ハイドンの「四季」とは

 オラトリオ(聖譚曲)は、本来、神やイエス・キリストの事跡を内容とするもので、ハイドンは「天地創造」では、旧約聖書「創世記」を題材にしていますが、この「四季」は、舞台はオーストリアの農村で、登場人物は農夫シモン、その娘ハンネ、小作人ルーカス、そして合唱は農夫と農婦たちで、自然の恵みへの感謝、自然への畏れ、そして神への感謝・信仰の大切さを説いています。

 ハイドンは、「天地創造」と同じくスヴィーテン男爵に台本の執筆を依頼しました。前作では両者の琴瑟相和して作曲が進められましたが、「四季」では必ずしも一枚板とはならず、例えば第3番(春)では畑仕事に精を出す農民の姿を歌うシモンのアリアの伴奏に、スヴィーテンが当時流行していたオペラの一節を用いるように進言したのに、ハイドンは「私の作ったアンダンテがあります」と言って、かの(驚愕交響曲)の第2楽章の有名な旋律を採用しました。

 壮大な夏の日の出   太陽への賛歌。しかし、日中の暑さは厳しく、涼を求めて日陰へ。そこに突然の雷雨。嵐の止んだ夕べ、晩鐘の音に交じってコオロギや蛙の鳴き声が聞こえてきます(第18番)が、ハイドンは楽譜の校正刷りにわざわざ「スヴィーテンが言うので仕方なく書いた」などと書き加えました。

 勤労の成果が実る収穫の秋、若い恋人たちの愛も実ります。猟犬を先頭に、田畑を荒らす鳥獣狩りにでかけます。角笛の音、歓声が森にこだまし、獲物をとらえたあとは、豊作を祝う大宴会。ブドウ酒を浴びるほど飲んで、歌って、踊って、やがて酔い潰れて眠りにつきます。

 万物が雪と氷に閉ざされる冬の夜、小屋に集まった一同は、ハンネが結婚式で着る衣装のために糸を紡ぎ、幸せを祈ります。つれづれにハンネが語る、間抜けな領主が賢い田舎娘に言い寄った挙げ句、お金や時計をだまし取られた話に一同大笑い、冬の夜は更けて行きます。

 このあたりが、いわゆる”世俗オラトリオ”の世俗たるゆえんですが、さすがに終局になるとオラトリオらしく、シモンが「すべて幸福や希望が冬によって奪われ、残るのは徳のみ、徳だけが永遠に至高なる目的に人を導く」と説き、神の許しを乞う合唱が壮大なフーガとして展開され、永遠の信仰を誓います。心のよりどころを失った現代人への篝火のように………。

   ハイドン畢生の大作、オラトリオ「四季」をお楽しみください。  (伸)
 
 

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