イタリア・ドライブ'97 (5) シチリア編 (1)

[6月10日](火)

11:00頃

ホテルをチェックアウト、バーリ空港へ向かう。空港でレンタカー返却。

13:00発

AZ1802便。

14:15

パレルモ着。エイヴィスで新たに車を借りて出発。

16:30〜

チェファルーの街とカテドラル見物。バールで遅い昼食。

20:30頃

パレルモに帰って、ホテル・ヴィラ・イジェア着。ルームサービスで軽い夕食。

小さな空港

 バーリの空港は搭乗ゲートがたったの2つしかない小さな空港。レンタカーを返し、出発まで1時間以上あるのに見るべきところもなし。アリタリアの発券窓口で帰りのリコンファームを済ませ、キャッシュマシンで少々お金を引き出す。

 ポスターなど見ていると次の週、バーリを中心としてこの地域で国際体育大会らしき催しがあるらしい。ははーん。街をあげての警戒態勢はこのお客さんを迎える準備だったのだな。

 搭乗ゲートは複数の便で共用な上に案内ディスプレイは消えていて、アナウンスと係員の呼び出しだけが頼りである。ちょっと聞き逃していて係員に「パレルモ?」と聞くと、「そうだよ。早く行って。」と急かされた。

久しぶりのプロペラ機

 滑走路を小走りに行くと、両側2列の小さなプロペラ機であった。運転席のドアも開け放しで前がよく見える。しかしまだ新しい機らしく、きれいで不安感はない。「ブーン」とプロペラ機らしい唸りをあげて舞い上がる。

赤い荒れ山のシチリア島

 小型機なのでイタリア半島南部を比較的低空で横切って行く。やがてヴェスビオ火山とナポリの街が見える。一昨年訪れたソレント半島の真上を通ると、遠くにイスキア島、真下にはカプリ島が、きらめくティレニア海に浮かんでいる。

 やがて降下を始めると、コックピットの窓には赤い禿げ山が近づいてくる。緑の濃いプーリアに比べると如何にも荒れ山という印象。これでも島の南側に比べれば緑は多いほうなのだが。

また同じ車だった

 借りた車はまたローヴァー618だった。ただし今度はワインレッドメタリック。妻はこっちのほうがキレイと喜んでいた。ぼくとしても3日間で慣れてきたのでかえって良かった。

小さな街チェファルーの巨大聖堂

 空港からパレルモを通り越して、海岸沿いの高速19号を東へ進み、カターニャ方面と分岐して20号でさらに行くと、海に突き出した巨大な岩山の麓に、寄り固まるような街チェファルーが見えてくる。

チェファルーのカテドラーレ 街の中心には岩山を背にして、ひときわ巨大な聖堂がそびえている。12世紀に建てられたノルマン時代の聖堂の典型的なものである。内部は壮大な三廊式で、周囲の壁面とヴォールトに施された豪華な金地モザイクが見事である。

 後陣に描かれたパントクラトール(全能)のキリスト、聖母、四大天使、十二使徒、多数の聖人と予言者、その上の交差ヴォールトには智天使と燭天使。それらが上部開口から直接注ぐ午後の日差しに金色に輝いて、息をのむほどに美しい。

見逃した肖像画

 夕方、なんか腹が減ったと、昼食をとっていないのに気がついた。海のそばのパールでパニーニとチーズのリゾット。リゾットは今回最高の味だったとは妻の意見。ぼくはそれだけお腹が空いていたのじゃないかと思うが。

 幸せになって出発してから気がついた。ここのマンドラリスカ博物館には見たかったアントネッロ・ダ・メッシーナの「男の肖像」があったのだ。もう引き返しても閉館の時間だろう。うーん、まあいいか。

大都市はやっぱし道に迷う

 パレルモはシチリア最大の都市である。目指すホテルはちょっと外れの港に面したところにあるのだが、一方通行に阻まれて意図しない方に進むと、たちまち現在位置を見失う。なんとか港を手がかりに、ようやくそちらに進入できる道を見いだして到着した。

 なんだかんだ1時間以上も街中をうろついてしまった。

格式ホテルのお局オババ

 ヴィラ・イジェアは赤ミシュランでは黒い4つ屋根印だが、とりあえずパレルモでは最も格式ある(古い?)ホテルとされている。

ヴィラ・イジェア・グランドホテル レセプションで3人の女性が並んでいた。見た感じ20代、40代、60代。到着して、別に深い意味もなく若いコに話しかけると、明らかに困ったように横目でオババの顔色を伺う。すかさず、老お局オババは慇懃な笑顔を浮かべ「ワタシが承りましょう」と若いのを静かに押しのける。不気味である。

 どうやら到着客の対応はオババが仕切るという、力関係があったようだ。若いコは電話、両替、セイフティボックスなど専門に「あんた、行きなさい」と指示されて、初めて動くという具合。なんか怖いぞ。

 港に面したなかなか良い部屋でした。

恐ろしく早い出前(ルームサービス)

 チェファルーで遅い食事をとってしまったので。今宵はルームサービスで済まそうと、電話をする。なんでもござれという割には、いざ頼むとサンドイッチはない、ピザは出来ないという。「いったい何があるんだい」とキレそうである。するとまかせてくれというので、諦めて「OK。簡単で良いからね。」

 この様子じゃ時間かかるかもよと、風呂でも入って待つかと服を脱ぎ始めたら、ものの3分でやってきた。妻は慌ててバスルームに入る。「やー。こんばんはー。はい。おいしいよー。きれいでしょー。あー(チップ)。ありがとさんー。おやすみ、さようならー。」

 一気にイタリア語で陽気にまくし立てて置いて行ってしまった。パンツ一丁にバスローブ引っかけて唖然。

 なんてことない、アンティパストの盛り合わせにパン、クッキー、グリッシーニなどをどっさり付けただけ。早いはずだ。食事時で忙しかったのだろうが、こちらもその勢いに負けたって感じ。

 ま。でも・・・。美味しかったです。はい。

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