ボラボラ島記(2)
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7月13日(水)
7時のモーニングコールの時には快晴となっており、水面に映る朝日が眩しい。ルームサービスをとり、テラスで食事。船着き場のすぐ隣なので、宿泊客が到着したり、ダイビングに出かけるモーターボートが行き来したりで多少落ちつかない。
やはり船着き場のすぐ隣りというのは若干マイナスだったようだ。しかし、いろいろな国から到着する客が観察できて、それなりに楽しい場所でもあった。
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取りあえずどんなにきれいな海なんだか見てみようと、午前中はグラスボートに乗ることにした。
宮城育ちの妻は子供の頃、夏休みには毎年お祖父様と松島で乗ったものだわと懐かしがっていたが、案の定、ボートには欧米人の老夫婦ばかり。いい若いもんの乗るものじゃないのではないかいと、多少不安になっていたら、日本人のカップルが乗り込んできた。
このT夫妻は昨日の到着便でも一緒で、この後も何かと顔を合わせることになり、最終日にはすっかりお友達になってしまうのだが、埼玉のお医者さんで新婚旅行とのことだ。
船は1時間程かけてラグーンをあちらこちら移動し、途中でダイバーが潜って餌付けショーをやってみせる。主な珊瑚はブレーンコーラルといって、文字どおり灰色の脳味噌みたいなものだが、済んだ海と熱帯の魚たちは掛け値なしに美しい。
ダイビングをやっていれば良かったねぇと思ったのは初めてだった。
欧米人の爺さん婆さんは大はしゃぎで、極彩色の魚群が見えるたびに大歓声である。聞けば彼らはホテル滞在者ではなく、ラグーン内に停泊している巨大な客船でタヒチの島々を巡るクルージングツアーをしているとのこと。高齢者にはそんな旅行も良いかもしれない。
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さて午後、妻は幾分船酔いしたので(情けない奴)ちょっと昼寝。僕はヒナノビールを持ってテラスで文庫本を開く。
3時頃からシュノーケリングセットを借りて(無料)マティラビーチでぷかぷかと水面散歩。ビーチの小屋に余り物のパンが置いてあって、それを持って魚と戯れるという趣向になっている。
パンはすぐに海水に溶けて、色とりどりの魚たちがわらわらと集まってくる。中でも黄色い縞模様の蝶々魚はかなりずうずうしく、片手で掴んでも夢中でパンを食い続け、あげくには手や足までに吸い付いてくる。
「うーん。これは南の島における上野公園の鳩ぽっぽのようなものであるな。」
しまいにはうっとおしくなった僕はこう結論付けて、パンを全部放り出したのだったが、妻は最後まで、可愛いー、綺麗ーを連発していた。
夕方、またテラスでビール&読書。改めて水平線が真っ赤に染まるのを眺めてしみじみ美しいと思う。
夕食はバンブーハウスというレストランに行く。頼むとホテルまで送迎してくれるので楽ちんだ。ロブスター、パスタなどが取りあえず美味い。妻がテッカドンという名前をメニューに発見し、何もここまで来てそんなものと思ったが、ちゃんと醤油と山葵を添えたマグロ乗せご飯が出てきて美味かったらしい。
次の日、車を借りて島巡りをするか、4WDサファリツアーというのを頼むか迷ったが、どうもこの島、車で走っても何にもなさそうだ。ということで、予約デスクで後者を頼んだ。
レセプション棟からコテージに帰る途中、ビーチサイドでタヒチアン・ダンスショーをやっていたが、昨夜バイタペの町で見てしまったのでパス。テレビのない静かな部屋で早々と就寝する。
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