夏の釧路湿原をゆく(1)

昨年の田口ランディさんお勧めの屋久島探検に続いて、ミレニアムの今年は北の大地、釧路湿原を3泊4日(8月18日〜8月21日)で探索しました。釧路湿原は昭和42年に「天然記念物」、昭和55年に ラムサ−ル条約登録湿地、昭和62年に国立公園に指定されています。面積は26861haあり、「広大な水の大地」です。我が家が住む庭瀬(岡山市内)から新大阪まで新幹線、新大阪から関西空港駅まで特急、そこから空路で釧路空港まで、乗り継ぎを含めて約5時間の旅でした(関西国際空港〜釧路空港:約2時間)。 到着した8月18日は空港のトヨタレンタリース釧路でヴィッツを借りていざ宿泊先へレッツゴー!。宿泊はYahooの検索が大ヒットした 丹頂の家です。
写真は白樺の向こうに見える「丹頂の家」です。なにはともあれこのの名物ご主人(佐藤吉人さん;トーさん)を紹介します。
宿屋の親父業18年の「こわしの佐藤」、「NPO法人釧路湿原やちの会事務局長」、「女房と4人の子供の父親」などの顔を持つ「面白い、それでいて真面目なフーテンの寅さんをこよなく愛する」47歳のオッサン(後で風貌はでますよ)です。それから、トーさんはパソコンが好きでHPに、鶴居村(鶴見台)の毎日の様子や釧路湿原の様子をアップしています。実は後で解ったのですが、我が家の大バーベキュー大会の様子湿原散策の様子 もリアルタイムでアップされていました。(*^_^*) 夜の名物行事は釧路湿原を取り巻く自然や人間の面白い話題です。

[第一話]鶴になった男
高橋良治さん(昭和9年生まれ、66歳)。現在は釧路公園緑化協会タンチョウ自然公園園長です。NHKスペシャルで吉川栄治賞を受賞されました。釧路湿原の親が見放した丹頂の卵を、人工孵化させた、育ての親です。実は日本三大名園のひとつの岡山の後楽園の丹頂鶴「ロック」は高橋さんが、人工孵化させたものでした。高橋さんが、後楽園に来た時に名前を呼ぶと「コー」と鳴いたのは有名は話しです。後楽園では、元旦に鶴鳴館の芝生に丹頂を放ち、琴の演奏をします。さて、人工孵化は根気がいる作業ですが、卵を割って出る前には「親(高橋さん)」の声を聞かせながら、卵を回転させるのがポイントとのことです。でも一番大変なのは、飛ぶことを教えることでしょう。「人間が鳥に飛ぶことを教えることができるのだろうか?」のNHK番組ナレーターの一言と、「手前が飛べないってのは悪くもあり、どうすることもできない」という名文句があります。さて、鶴はどうなったかって?高橋さんが地上を走り回り、しっかりと釧路の大空を飛びました。人は優しく深い愛情があれば、丹頂の親にもなれるんです(*^_^*)

自然と人情溢れる大地

釧路湿原付近の地図を見てみましょう。丹頂も湿原も 釧路市に近いんですよ。自然と上手く付き合えた良い例かもしれません。今回は、川、馬、徒歩で釧路湿原の自然を探索しようと計画しました。川は塘路湖から細岡までをラフト(大きなゴムボート)で下ることにしました。これは、カヌー屋R(:0154-37-6080)に頼みました。他にカナディアンカヌーも選択できます。乗馬(全くしたことがない!牧場をパカパカと歩く程度かな?)は鶴居道産馬牧場(пF0154-64-2931)に頼みました。徒歩は湿原散策をトーさんが事務局長をしているNPO法人釧路湿原やちの会(пF0154-64-2811)に頼みましたo(^-^)oいずれも予約が必要ですので、ご注意下さい。

1)カヌーで下ろう(その1)(8月19日)
丹頂の家の朝の名物行事は、朝6時からの早朝散歩です。朝食前に一時間位かけて、ト-さんの解説を聞きながら宿の回りの自然観察をします。眠い目を擦りながらどうにか時間に間にあいました。といのもトーさんは時間厳守で、誰であろうと媚びることなく、時間が来たら出発です。 「何処にでも自然はあり、僅か数メートルの間でもいいから、その空間の移ろいを見て感じることの大切さ」を強調していました。誰にでもいつでも何処でも出来る自然観察です。 たとえば、写真の蟻の石はどうでしょうか?「蟻が朝活発に活動していたらその日は天気が良い」のです。蜘蛛が巣をしっかり張っていても同様です。先人の知恵みたいなものでもあります。 見ようとすれば、色々なものが見えて来ます。看板は鶴居村にある、冬に雪が降っている時でも「鶴がいる鶴居村」というのが解る標識です。

蟻の石 世界に一つの鶴の標識

アザミの満開の牧草地は丹頂の飛行コースにあたります。周囲には電柱も多く鶴にとっては危険です。北海道電力の粋な計らいで、電線を低くして色を付け、より安全にしたそうです。 ここの方たちは中々やるもんです。そうそう、この土地は鶴見台の「鶴のおばあちゃん」として知られた渡辺トメさん(81歳)の所有です。鶴居村には、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの伊藤さんが有名ですが、このおばあちゃんを知らなければ鶴の業界ではモグリと言われるそうです。何十年来、僅かな報酬で冬に給餌(冬しかしない)をし、訪問者の便所掃除をもくもくとやって来たそうです。「人は打算だけで生きてはいけない」ことを 身をもって示してきた方です。

鶴居村にアザミが満開 牧草地とデントコーン畑




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