楽器購入ガイド

サイドギター編

Rickenbacker 325V59 & 325V63

 先ず、ジョンの使っていた代表的なモデル、リッケンバッカー325V59及び63から見ていきましょう。 選択肢としては比較的多いものですが、安く手に入るものから挙げていくことにします。

 安価なコピーモデル

ファンクラブやマイナーなブランド名で何種類か出ています。 ファンクラブのものはビグスビーのアクセントヴィブラートも付いていて後述するメジャーメーカー製のコピーに近いものですが、Vo,Tone等のノブがシルバートップであったり、ピックガードが白の2枚ものが付いている割にトレモロアームがビグスビーという63か59かどちらをコピーしたのか分からない感じです。ただ、ブリッジやピックガードから受けるイメージはどちらかというと63に近い感じですが、メジャーメーカー製のものが発売された当時リッケンバッカーにもジョンと同じ仕様のものが無かった為、恐らくよく似た320をコピーしてジョンレノンモデルとして売られていた流れで、325というよりは320のコピーにビブラートユニットを取り付けたものといった方がいいかも知れません。 マイナーブランドのものは、普通バランサー及びトレモロアーム(ビブラートユニット)が付いておらず、ヘフナーのものに似た感じのテールピースが付けられています(初期のファンクラブの物も同様)。 ファンクラブの物で4万円強でした。

 メジャーメーカー製のコピーモデル

 以前から幾つかのメーカーより発売されていました。 それぞれ見た目は上記のファンクラブの物同様63のイメージの方が強いと思います。 では、それぞれ特徴を見ていきましょう。 (現在は何れも製造されておらず中古での入手が可能なのみです。)

1.グレコ RG750 
 これは、1981年頃に出ていた物で、確かネックがフルスケールになっていました。 テールピースはトレモロアームの無いGRECOのGの字をかたどったリッケンバッカーの物に似せた物でした。 そのテールピースの部分のボディが斜めに削られていなかったことと、ピックアップが少し違っていたのと3つのピックアップ間が本物より少々開き気味でしたが、あとは比較的良くコピーされていました。 リッケンバッカーから出ていたフルスケールのジョンレノンモデル(但し、本家の方が後の発売だった気がします)のコピーという感じです。価格は当時75,000円でした。 後年、後述のフェルナンデスのものとアリアプロUのものを合わせたような仕様(ビグスビービブラートユニット付きで、ピックアップがアリアのものと同様など)に変更して販売されていました。

2.アリアプロU RG750B
 上のグレコとほぼ同時期に発売されていた物で、こちらはジョンの物と同じショートスケール。 やはり320のコピーだったらしく、細かいところがかなり本物と異なっていました。 大きく違うところを挙げると、糸巻きに角張った物が使われている。 ピックアップのカバーがトースター状になっておらず周囲以外は黒い中身が露出したタイプが使われていた。 テールピースがグレコの物と同様トレモロアームのないリッケンバッカーの381等の物に似せたRの代わりにProUのPの字をデザインした物。 Vo等のノブもシルバートップ。 ステレオアウトプットになっていた、などです。 価格はやはり75,000円でした。

3.フェルナンデス RG75
 こちらは1990年には未だカタログに載せられていたモデルで、見た目はファンクラブの物とよく似ています。 というよりジョンの物のビブラートユニットをビグスビーのもの(59のタイプ)に、ノブをシルバートップの物に、それぞれ付け替えた様な外観です。 こちらも75,000円でした。

 Rickenbacker 325V63リイッシュー

 ジョンが使っていた物のリイッシューモデルです。 以前は無かった物ですが、 ジョンのシグネチャーモデルを経て割に最近出された物です。 これによりジョン役の人はコピーモデルでなくリッケンバッカー社製の本物を手に入れられる様になりました。 流石に本家だけあって、ビブラートユニットやノブ類も一見したところでは殆どジョンの物と変わらない再現性です。 ヴィンテージではジョンのモデルが無かった(前述のように一番似たモデルが320だった)こともあって、今のところこれが手に入る63モデルとしては最高のものでしょう。 製造中止の為新品では入手出来なくなりましたが、中古で150,000位から有ります。
 現在下記の325C58と同シリーズの325C64も出荷待ちとなっていて、やはりVシリーズよりも忠実に再現されているということなので出荷が待ち遠しいところです。

 Rickenbacker 325V59リイッシュー

 こちらはジョンがデビュー前から使っていたモデルです。 ジョンの物のオリジナルはビブラートユニットにコフマンバイブローラというものが使われていたりピックガードが1枚のものだったりと、幾つか違いがあります。 ジョン自身も各種パーツを何度も取り替えたり色を塗り替えたりして使っていましたが、 デビューしてからのイメージに一番近い仕様は、 黒色にビグスビービブラートユニット、ゴールドの1枚ピックガード、アルミ製のノブ、丸みを帯びたタイプのブリッジなどが挙げられると思います。 ですから、63と違いこちらはコピーバンドでよりビートルズらしく見せるためには、少々改造が必要になってきます。 改造に必要な各パーツ類は、東京、大阪のビートルズを得意とする楽器店で手に入る様です。 又、上記各コピーモデルを59のイメージに近づけるなら、 ビブラートユニット付きのものはノブ、ピックガード、ロッドカバー、ブリッジの交換で、ビブラートのないものは加えてビグスビーユニットも追加することで、かなり近いものになりそうです。
 2002年には325C58というモデルが出荷されました。これは、ジョンの1本目のモデルの入手時の仕様を忠実に再現されていて、コフマンバイブローラも付けられていますし、ボディ等の造りもVシリーズでは改造しても再現出来なかった部分がジョンのものと同様になっている様で、各部をジョンがやった様に改造していけば1本目のリッケンバッカーがほぼ完璧に再現出来る様です。

 更にジョンのギターに近づけるためのTips

 これは、ここでお話しするよりも北海道のコピーバンドThe MendipsのTuckさんのところに行って見て貰った方がいいでしょう、ということでより詳細な改造についてはTuck's Gear-The Mendips-使用楽器-Tuckのビートルズギター・コレクションを見てみて下さい。 かなりマニアックに改造されていて参考になる筈です。 では、行ってらっしゃーい、戻ってきてね。


Epiphone Casino

 次にジョンがビートルズの中期以降ソロになっても使っていたエピフォンカジノを見てみましょう。 

 安価なコピーモデル

 ファンクラブからノーウエジアンブランドで出ています。 40,000円程度ですが、ぱっと見て本物と違うところは、Fホールが若干太いのが目立つ位で、比較的良くできています。 後述のエピフォンのリイッシュー(現行モデル)の実売価格がこれに数万円足した程度だということを考えると、一概に安いとも言えませんが...。

 Epiphone Casino リイッシュー

 何種類か出ていて、一番安い物(現行モデル)が定価95,000円で出ています。 "ヴィンテージモデル"(オールドでなく)として定価360,000円の物も有り、こちらは当時のものがかなり忠実に再現されている様です。 色に関しては1966年頃のライヴで見られるのはオリジナルのままサンバーストでしたが、ルーフトップなど後期のイメージは色を剥がしたナチュラルの印象が強いので出来れば両方揃えられると言うこと無いでしょう。 

 Epiphone Casino ヴィンテージ

 2 - 30万から5 - 60万円といったところでしょうか。 ジョンのものはビブラートユニットも付いておらず、ピックアップセレクターの周りに黒い縁取りが有り、後にそのセレクター下のノブが黒いものに替えられていました。


Gibson J-160E

 コピーモデル

 以前は、国産でもコピーモデルが有った様です。 その他、コピーモデルというよりライセンス生産の部類ですが、エピフォンブランドでJohn Lennon EJ-160Eというモデルが発売されています。 これはイメージ的にはそれっぽいですが細部は異なっていて、まず一番初めに気付くのがヘッドの形状でしょう。 カジノの様な形のもので、Epiphoneというブランド名とギブソンのものに似て異なるインレイの他、ロッドカバーにもエピフォンのEマークが付いています。 ボディの方では、ブリッジのパールドットが省かれています。 定価は113,000円でした。

 Gibson J-160E リイッシュー

 300,000円程で、当時のものが正確に再現されている様です。 限定で、ジョンがビートルズ時代に使っていた仕様から色を塗り替えた仕様の3タイプをセットにしたものも出ていましたが、かなり高価な様です。

 Gibson J-160E ヴィンテージ

 これも、ヴィンテージの常で状態のいい物程高いです。2 - 30万円台から100万前後のものもあります。

 スクランブルエッグのけんごさんからJ-160Eに関して以下のように詳細な情報を頂きました。

1. アジャストカバー.....ジョンの1本目のJ-160E(1962年前半製)は上だけがネジ止めで下はマジックテープで固定されている。これは61年〜62年だけの仕様らしい。しかし62年後半になると元の2本ネジに戻っている。リイシューの1964 J-160E(以下64)はここを再現していたがジョン・レノン・リミテッド(以下リミテッド)はネジ2本止めでサイン入り。カバーを止めているネジはオリジナルはプラスのはずだがリミテッドにはマイナスネジが付いていた(64はプラスネジ)。

2. ブリッジ.....元々は純白のセラミックのアジャストブリッジ仕様。今のは牛骨なのか?プラスティックなのか?ちょっと黄色め。オリジナルはアジャスト部分のネジの頭にカドがあまりない。

3. サウンドホール中のシール.....64、リミテッド共サウンドホールの中に赤いシール(シリアルナンバー入り)が貼られているが昔のは裏板の縦ブレイシングのところに青いインクで「J160E」とスタンプしてある。色は濃かったり薄かったり、中には無いものもあったり(ジョンのものも見えにくい)、たまにボディが流用されたのか間違いなのか「J45」なんてスタンプされたものもよく見る。

4. ネック形状.....64、リミテッド共、今のはちょっとカマボコ形で太め。当時のは結構細めでU字形。

5. フィンガーボード.....リイシューはインレイのアヴァロン(セル)の模様が均一。

6. フレット.....リイシューはほんのちょっと太いような気が??そして柔らかいような気がする。

7. エンドピン.....当時の物はクリーム色のプラスティック。リイシューもクリーム色のプラスティックだがプラスのネジ頭が見えているタイプ。

8. ピックガード.....当時の物は角が面取りされていて少し丸い。セルロイドのパターンと色も少し違う。

9. ペグ...............当時のものはシングルライン2コブクルーソン・デラックス。リイシューは2種類とも1コブのダブルラインギブソン・デラックス。

10. ヘッドデザイン........オリジナルは4つのうち下の2つのカドのほうがどちらかと言えば大きめで「Gibson」ロゴが上気味に付いている。厚みはリイシューの方が若干厚めのように感じる。

11. ピックアップカバー......リイシューは面取りがされていない。オリジナルは角が丸い。

12. テンション.....スケールもネック角も同じなはずなのにちょっと新しいモデルの方がテンションがキツイような気が.......。

13.  鳴り.....鳴りについては新しいものもこれからどんどん変わっていくんだろうと思いますが、当時のは3プライのベニヤ構造で(今のもそうですが)全体の鳴りは抑えられているけれど部分的に(多分ハウリングに関係ない帯域)すごく出るところがあって、それがバンドの中に(特にマイク録りで)混ざるとあのレコードで聴「鈴のような音」になります。これは、ほんとに「アレ」とおなじ音がします。前に持ってた64リイシューではあの音になりませんでした。'63物(プラスティックブリッジサドル)もまた違います。
(脚注:リイッシューに関しては、現在は当時(60年代前半迄)の様に良く乾燥させた良質の木材が無くなってしまった為、あまりいい材料で作れず、リイッシューをいくら弾き込んでも当時の音の様にはならないという主旨の意見も他の方から頂いています。)

14. シリアルナンバー.....オリジナルはヘッド裏。年代的に8あたりから始まる5ケタのナンバー。

 

ポール役編 ジョージ役編 リンゴ役編


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