すっかり日も沈んだ真夜中騎士達は起きた。
「スティイ。帰るか?」
テイトルが言った言葉にスティイは何も答えなかった。
「スティイ起きてるか?」
「起きてるさ。」
起きてるのに返事をしないスティイに、テイトルは呆れ顔になった。
「今、王から伝書鳩が来た・・・。」
「何!」
テイトルが身を乗り出して手紙をみようとした。
書かれている文はこうだ。
『族退治ごくろう。城では万事変わりはない。
ところで本題だ。
君たちの腕をかって『災害の子』を捜してほしい。
城に連れて来てくれたら、給料を2倍にしよう。
では宜しく頼んだ。
追伸 期限は無いし、いつでも帰ってきてもいいぞ。
フィズエル国国王 ファルア』
「王はどういうおつもりなのだ?」
スティイの言葉にテイトルも頷き言った。
「『災害の子』なんて、右腕見りゃわかるけどさ。災害を国の中に入れたいのか?王は。」
そして、テイトルがまた言った。
「給料2倍は魅力だけどさ。」
フィランセはうるさい話し声で起き、テントから出てきた。
「もうちょっと静かにはしゃべれないの?」
「すまない。起こしてしまったか。」
スティイがフィランセに詫びた。
「いったい何の話をしていたの?」
すっかり目の覚めたフィランセは2人に聞いた。
「これを見れば分かるぜ。」
テイトルはそう言って、王からの手紙をフィランセに見せた。
フィランセはそれを見て一瞬驚き、そして別の質問した。
「この仕事やるのか?」
「まだやるとは決まっていない。が、たぶんやる事になるであろう。」
「でなきゃ、たぶん給料今までの半分になっちまう。いままでも、やりくり大変だってのに。」
またフィランセが心に突き刺さるを言ってきた。
「給料って安いんだ。」
「どうせ、日給銀貨5枚だよ!」
テイトルは不機嫌そうに言った。
「大出世すれば、金貨50枚とかになるんだがな。」
スティイが暗い面持ちで言った。
「銅貨よりはマシじゃないか。」
フィランセの言葉に一瞬は明るい面持ちになった一同であった。
そうこうして、夜はふけていった・・・。
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