「月は瞬けるの?」

 

       Divine     Arf                          
 神聖闘機 seed 

 

 

 

第十一話    「麗人」

 

 

 

 

部屋でたたずむ一人の女。

窓からは、蒼い蒼いモノがまるで、宝石のように輝いている。

それが太陽の反射だとは誰もが思えないほどに・・・・・

 

青い光が、女を照らし出す。

 

明かりが消された部屋で、女の顔は光に包まれていた。

何かを見つめる瞳には強い決意が見え隠れしている。

 

だが、何故だろうか?その瞳の奥のほんのわずかな輝きは、
彼女の心の迷いを映し出していた。

 

そして彼女自身、それに気付いていながら・・・

・・・同時に・・・・それに抗えないことにも気付いているようだった。

 

手の中のモノを、幾度と無く弄びながら、女は窓の外を見つめ続けた。

まるで故郷に、永遠の別れを告げる冒険者の様子で。

 

静かな時間と場所に扉の開く音が、妙に響く。

 

プシュー

 

「・・・様、宜しいでしょうか?」

丁寧な言葉遣いで、紅い服の女性が入ってきた。

部屋に明かりが差し込み、中の女はそちらの方を向いた。

 

逆光で、扉の所にボディのシルエットがくっきり浮かぶ・・・・・

・・・・・その代償として、その顔は全く見えない、どんな表情であるかも・・・・・

だが、それだけでも十分に誰であるか?伺い知れる。

 

例え声を聞かなくとも・・・・・彼女がフレイヤであることを・・・・

 

(!!)

フレイヤ、一歩中に入ると、

部屋の中の女の持っている物に目を留め、顔を緊張させた。

 

「何を!!」

フレイヤのいつもの雰囲気からはあまり感じられない程に焦りが見えた。

 

 

女の手の中で、まるで瞬くようにして、
ナイフは青い輝きを変化させていた。

 

フレイヤが入ってきたことに対して、何の反応もせずに、

女は、その手の中で弄んでいたモノを切り裂いた。

 

駆け寄るフレイヤの目の前に、まるで羽のようにして、緑が舞い散った。

 

その歩みを遅くして、フレイヤは部屋の床に舞い落ちる緑を見つめた。

次に顔を上げて、女の顔を見たとき、
フレイヤの口から秘密の名前が零れ出た。

 

「エメラルド様・・・・」

 

青い光に照らし出されたエメラルドは、

まるで心の未練を断ち切るかのように、

その長い髪をばっさりと切り落としていた。

 

その淡い緑の髪は、

短くなったため?

それとも窓から差し込む青い地球の光のせい?

 

まるでルナの民の若者のように、
青く輝いていた。

 

 

「イシス・フレイヤ。」

囁くようにして紡ぎ出された言葉は、
静かな部屋に良く響いた。

フレイヤの耳にも同様にして・・・・

 

「何でしょうか?」
フレイヤは、先ほどの動揺、焦りを一片も感じさせず、
エメラルドに真っ直ぐ見つめた。

その作り物のような美しさが、よく映える。

 

「私は・・・・ルイータは・・・

・・・これより・・・・

・・ただ人の平和を願う一人の人間に成ろうと思います。そして・・・」

 

「性別も関係なく・・・ですね?エメラルド様。」
エメラルドの言わんとしていることを察し、フレイヤ言葉をつないだ。

そして、敢えて「エメラルド」そう呼んだ。

 

それは彼女を試すための言葉であったが、
エメラルドが気付く様子はなかった。

但し、フレイヤが期待した、
捨てきれないエメラルドの想い、
いやエメラルド=ダルクの記憶は、

既に彼女の中で整理されていた。

 

それは彼女にとって「終わったこと」だった。

 

故に、エメラルドは、フレイヤの問いにこう答えた。

「あなたが最初のルイータの復活を知る者になりましたね・・・・・」

 

エメラルド=ダルクは消え、

エメラルド=キッスは死に、

ルイータ=カルが生まれた。

 

これから彼女を指す言葉は、「ルイータ」と成る。

吹っ切れている、いや表面的にではあるが吹っ切れているルイータを、

フレイヤは少しの驚きと共に見つめた。

 

互いの視線が交差し、一瞬の間が起きた。

 

 

フレイヤ、何の罪悪感も無く恭しく礼をしながら言うのだ。

「心よりのお祝いを申し上げます、ルイータ=カル様。

ようこそ、月へ。」

 

 

窓からの地球の光は、もう届いていない。

変わりに大きな、大きな山、そして砂と窪みで出来た地が見えていた・・・・

それが彼女がいるべき、そしていなければならないと言う、

大地だった。

 

 

太陽を直接反射し、

白い光が、ルイータとフレイヤのいる部屋に射し込まれる。

 

 

二人の足下に、緑色の髪の毛が、

まるで心が、未練と哀しみが、

姿を見せられたら、こうなるのかも知れないと思えるほどに、

広く、多く落ちていた。

 

 

「あれが月ですね・・・」
分かり切ったことをルイータは尋ねた。

「そうです・・・カル様。あれが私たちの救いを必要としているモノのいる所です。」

まるで言う言葉が、ずっと用意していたように、フレイヤは言った。

その手は、広げられまるでルイータを招くように月を示した。
上級の執事のように礼節に忠実に・・・・

ルイータは、それをただ見つめていた。

 

理解もできたし、考えもできた・・・・・でも、彼女はそうしなかった・・・・・

もう、後戻りが出来ないことを思うと、彼女の心は千切れるような痛みを感じていたのだ・・・・

 

それの原因は分かっていたが、辛さを増すだけだったので、

ルイータはついさっき・・・捨てた。

 

そして、床に広がる緑が・・・・そのなごりとなった・・・・


 

「アークを発動する。」

イスに座る男が絶対の意志を感じさせて言った。

部屋は、その言葉の意味を知っているのか?微かに震えたような気がした。

 

「何故です?」
その男に対峙し、直立不動の姿勢を崩さずにリヴァイは聞いた。

彼にも目の前の男、ロキと呼ばれたこの男が持っている、
絶対的な意志を感じたからだ。

だから、前回よりも譲歩するような問いを発した。

 

「リヴァイ・・・君は聞かなかったのか、あの「宣告」を?」
静かにロキは尋ねた。

その言葉は嘲笑とも取れる内容だったが、声は諭すように優しい。

「宣告?」
その声音の意味も分からずに、リヴァイは鸚鵡返しに聞く。
彼の記憶の中に、彼らの二人の間で話題になるような「宣告」等無かったからだ。

「蒼と白の天使・・・・・逆十字を背負う悪魔・・・・そして、堕天使・・・・・」
まるでスフィンクスが人間に問題を出したときのように、ロキはリヴァイにキーワードを言う。

「!・・・・・・エル・・・L−seed?」
リヴァイは、最近地球を騒がしているモノの名を出した。

彼の組織、「モーント」に於いても、
その存在が何者なのかを知り得ることが出来なかった。

ただ、二つ分かったことは、

あの機体を駆る者が男であるという事、

そして、「モーント」と同一視されやすい為に、
リヴァイが非常に不快に思っているテロ組織「ノア」の者ではないと言う事、だけだった。

 

「あのEPMの放送局で彼が語ったことを言っているのか?」
顔に正に不可解と言う文字を張り付けながら、リヴァイはロキに尋ねた。

 

「あのL−seedというArf、確かに強い。」

 

「Arf・・・か・・・」
ロキは単語を呟く、リヴァイは敢えてそれを無視し話を続けた。

仮にその意味を尋ねたところで、
この目の前にいる男から正当な回答が得られることは無いだろうから。

 

「あのEPM、いやφの・・・・
・・バインの全兵士の中でもおそらく並ぶ者が無いほどに優秀な男、
レルネ=ルインズをあそこまで追いつめたのですからね・・・」

そこで一呼吸起き、リヴァイは断言するように言った。

「だが、あの男が言ったことは、正気の沙汰とは思えません。

机上の空論ではない・・ただの狂気としか言えない。」

リヴァイは、その端正な顔を曇らせる。
彼の頭の中では、「ノア」の無差別テロの様子が浮かんだ。

φ、EPMだけではなく、街を破壊し、民衆を混乱に落とす、彼らの手口。
非常に残酷で、ずさんで、効果が薄い・・・その様な手口をリヴァイは非常に嫌っていた。

彼の脳裏に色々なモノが浮かび上がってくるからだ・・・・・

 

「L−seed・・・・・

そして、Justice・・・・全ては始まりかけている・・・

いや、もう始まっている。」

ゆっくりとまるで詩を紡ぎ出すように、ロキは言う。

その瞳は、まるで哀れみを浮かべた聖者のように哀しみに満ちあふれていた。

だが、その中に抑えようのない歓喜をリヴァイは見つけていた。

 

「ルイータがいない以上、
「アーク」の発動、WA(ダブルエース)の発進は認められません。」
リヴァイは、見たくもないモノから瞳を引き剥がすようにして反らした。

 

「Justice。
我々が今、動かなければ全ては、彼らの思うままに進むだろう。」

「Justiceとは何かを知っているですか?」
リヴァイは業を煮やして聞く。

どうせ、答えが得られない問いだなと思いつつも・・・

 

 

「世界組織Justice、それは人類が文明を持ったときより存在し、

全てを見守り、全てを滅ぼし、全てを救う者。

あらゆる文明の突然の消滅、崩壊。
あらゆる要人の暗殺、失踪に関与していると言われている。

今に至るまで人類が自己崩壊を犯さぬように、人類そのものに厳しい処置を行ってきた。」

「・・・・・・狂信者ですか・・・」
リヴァイは吐き捨てるように言った。

ただのテロリストと変わらない、そう意味を込めた言葉。

実際、その存在自体も怪しいものだ、リヴァイはそう感じずにはいられない、
だが、この男、ロキが言うとそれが真実に思えるのも事実だった。

 

「違う・・・彼女は何も信じていない。」
ロキは、ゆっくりと、しかしはっきりと首を振った。

 

 

「ただ、心は慈愛の極みに包まれて、憎しみはなく、哀しみによる裁定を下す者達。」

 

 

そう言い終わった時の表情は、リヴァイが今まで見た中で、最も精気に満ちたものだった。

茶色の瞳はまるで黄金のように輝き、
その髪はまるで一本一本に血液が通っているかのように、生き生きとしていた。

リヴァイは言い知れぬ不安と寒気を感じながら、
ロキを見つめる以外出来ない。

 

固まるリヴァイにロキは、

 

「アーク発動だ、リヴァイ。」

 

ゆっくりと言葉をかぶせた。

 

我に返ったリヴァイが否定を口にするために、

その口を開いたとき、

それを制して、ロキは言い放った。

 

「あの機体が・・・・私の思う機体だ。」
それはかつてロキがリヴァイに告げた一方的な契約。

 

リヴァイは黙るしかない・・・・かに見えた・・・
だが、彼にしても、ロキ同様に決して譲れないものがある。

それを譲っては、彼はリヴァイでは無くなってしまうのだ。

 

「ルイータが居なければ、「モーント」は成り立たない。
衛星と月の者達も決して納得はしないでしょう・・・違いますか?」

リヴァイは正論を言う、あくまで彼の為の正論だったが・・・・

ロキは、その眉を少しも動かさずに、リヴァイに事実を告げた。

 

予想は出来ていた、このリヴァイに彼は「モーント」を動かせと言うのだろう・・・・
そうすれば自分は全身全霊を持って断る、そう決心する。

 

だが、ロキの言葉はリヴァイの全ての予測を狂わせる。

 

「ルイータは来ている。」

リヴァイの目が限界まで見開かれた。
そして、対照的にロキは目を閉じた。

その端正な顔は、
悲しみ、動揺、喜び・・・・・・すべてが合わさり「困惑」と言う感情を露わにする。

 

**********

 

「君が・・・・エメラルド=キッスですね?」
リヴァイは、一片の柔らかさもなく、声すら硬化させて言う。

ぬか喜び。

ロキとの会話は、残酷な喜びの時だった。

そして、その元凶が彼の前に立っている。

 

 

髪は短く、肩までも無い。
短いために緑色の髪が、やけに生える。

「いいえ・・・ルイータ=カルです。」

 

リヴァイの目の前の女はそう言い切る。

だが、その姿は全くリヴァイの心を理解していずに、
ただ自らを偽ることで現実から逃げようとしている・・・そんな哀れさがあった。

だからなのか?

リヴァイは彼女を受け入れることにした。

 

この偽ルイータ=カル・・・・エメラルド=キッスを彼は受け入れることにした。

ただ今は、ルイータの代わりとして、

ただの人形として・・・・・

リヴァイは彼女を受け入れた。

 

それが彼の血が感じたのか、それとも彼の優しき心が彼女の心を察したのか?
それは今はまだ明らかになることはなかった・・・・・

リヴァイ自身でさえもそれを理解するには、まだ早すぎたのだ。

 

ただ、これだけは言える。

二人は出会った。

 

この瞬間こそが、全ての始まりと言えるのかも知れない・・・・・

 


 

彼女はメールを開く瞬間が好きだ。

それは自分の全てを偽らなくても良い相手との会話の始まりだから・・・・・

 

 

「・・・・・だから、BCは頑張ることにします!
(今決めたの・・・(笑))

どんなに困難があっても、動き出さなきゃ何にも始まらないものね!

昔の人は良い事言ってた・・・「やってやれないことはない!」

 

改めてうぃっちちゃんに宣言しちゃいます!

私、BCは、ぜったいぜったいぜったいぜったいぜったい!!
あの人の心を捕まえるために頑張ります!

あ、頑張るじゃなくて、捕まえます!だね・・・・・・・・・」

 

「フフフ・・・」

部屋で一人の女性が軽く笑っている。

それが文庫本サイズの小説でも読んでいるのならば、彼女の美しさと相まって、
まるで一枚の絵画のような趣を創り出すことであっただろう。

しかし、今、彼女が見ているのはパーソナルコンピュータの画面、
お世辞にも「趣」とは言い難かった。

ただし、彼女の美しさに陰りがあることは全く無いが。

 

イスの背もたれを覆い、床に着きそうな程に長い髪を揺らしながら、
彼女はその美しい顔から漏れる笑いを堪えるの必死だ。

 

滑稽とも取れるその姿も、

彼女、フクウ=ドミニオンがすれば、

やはり一風変わってはいるが絵画的な雰囲気に取られないこともない。

 

「全く、相変わらずね、BCちゃんは・・・フフフ。」

心底、らしいと言えばらしい、
彼女のメールフレンドの言葉にフクウは、まだ笑いを抑えるのに苦労していた。

おそらく彼女の普段を知る者がこの場にいれば、
彼女は気が触れたのではないかと思うほどに、それは異様な光景ではあったが・・・

月読に配属される前、いや現在に至っても、
「アイスレィディ」の異名を持ちEPM内外に恐れられた彼女の姿は・・・そこには見えもしない。

 

 

「うぃっちちゃんも、その学校の昔の同級生へ頑張って想いを伝えてね!

一緒に結婚式しよ〜よ!(ちょっと暴走気味?!)

でも出来たら良いよね?

それじゃあ、また(は〜と)!

BCより」

 

「ういっち」である時のフクウにとって、
「最も」と言って良いほどに心を開ける存在の「BC」に、

多少の羨望を感じながら彼女はメールを読み終えた。

 

ありきたりな言葉だが、「天真爛漫」と言うに相応しい彼女は、
よく暴走というか何というか、裏表のない心をそのまま言葉にしてぶつけてくる。

フクウの人を見る目は、正確に「BC」の人間性を見抜いていた。

その答えは、正に先ほど言ったとおり・・・・・「天真爛漫」である。

 

フクウが自虐的につけたHN「うぃっち」も彼女にかかれば、
「格好良い!」の一言ですまされる。

思いのぶつけ合いでは、辛さしかなかったフクウに、
楽しさを見つけさせてくれたBC。

だからフクウは、「BC」に大きな好意を持っていた。
優秀だからこそ、見えてしまう人間の汚い部分を、「BC」からは何らも感じることが出来なかったのだ。

彼女たちのメールのやり取りは、数年来続いている。

フクウは、学校を卒業し月読に配属されるまでは辛く過酷な任務に従事していた。

それは今では彼女自身の心と体の傷となり残っている・・・・
そんななか、彼女を支えたのが彼女だったのだ。

「BC」と言う顔も本名も知らない人間。

 

彼女は自分と違い何と生き生きとして、そして素直でいるのだろう・・・・・・

自分が得られない何かを持つ彼女に・・・いやもしかしたら彼かも知れないが・・・
フクウは多少の嫉妬を交えながら、このやり取りを続けていた。

 

フクウは、メールに時には誰かを重ね、時には自分を重ねて、
その日、その日をわずかに前進しながら過ごしていた。

心と体がすり切れそうになった時、いつも脳天気なメールでフクウを笑わせてくれた。

主に「うぃっち」ちゃんはどう思う?的なメールではあったが、
時に見せる暴走はフクウの一服の清涼剤となり、

それはフクウの学校時代の同級生レイアルンが隊長の「月読」に配属されるまで続き、

そして現在も続いている。

 

フクウにとって、レイアルンでさえも、それに満たないほどに多くの心を伝えた相手。

 

長い髪、目元のほくろ、そして美しい容姿・・・

・・そんな外見という鎧に包まれたフクウを知っているのは、

本当に数少ない人間である。

 

彼女の仲間、そして、彼女の姉のような存在、そして・・・・BC・・・・

 

フクウは笑いを抑えると、少し部屋を見渡した、
そんなことは無いのだろうが、誰かに見られていないか、確かめたのだ。

 

確かめ終わると、ゆっくりとパソコンに向かい、キーボードを叩き始めた。

踊るようにして、フクウの白く細い指が幾つもの言葉を紡いでいく。

 

尽きることのない「安らぎ」を乗せて、言葉を紡いでいく。

 

その音は、止まることのない音楽のように・・・・・・・

 

**********

 

コンコン

 

「ふくうぅ!!そろそろ行くよぉ!」

ホウショウは扉の前でノックが必要ないほど大きな声で呼ぶ。

 

「ふくぅってばーーー!!」
再度の叫びに、部屋の中で動きが感じられた。
その音はかなり焦っているように取れる。

 

それを知ってか、ホウショウはそれ以上黙り、扉に背をもたれさせた。
背が低いホウショウは、まるで廊下に立たされている小学生のように見えて、
少し微笑ましかった。

「どうしましたの?ホウショウ?」
見ていたのか?口元に微笑みを浮かべて、デュナミスがホウショウに声をかけた。

相変わらずの豪華な服に、煌びやかな金髪が生える。

 

「あ!デュナー!フクウが出てこないの・・・」
デュナミスと会えてニコニコとしながらも、フクウが出てこなくて困ったと言う眉をする。

その様子に、デュナミスの微笑みは増すばかりだ・・・・・

 

 

「フクウが・・・・珍しいですね・・・今日は、確か・・」

「ホウショウとエメラルドお姉ちゃんを探しに行くんだよぅ。」
ホウショウは、頬を少し膨らませて言う。

「あら?レイアルン隊長はもう出かけたはずですけれども?」
数刻前に扉から出ていく三人の姿を思い出す。

「たいちょーは、カイとプリンと一緒にお屋敷に行くって言ってたよ。」
ポニーテールの髪をピョコピョコさせて、ホウショウが言う。

「・・そうでしたわね・・・・」
顎に手を当てて、デュナミスは一人ごちた。

 

その時、ホウショウの背中から支えが除かれた・・・
つまり、戸が開いたのである。

 

ポスッ

 

「ホウショウ。ごめんなさい、待たせたわね。」
ホウショウをしっかりと抱え、上からのぞき込むようにしてフクウは言った。

両腕を抱えられたホウショウは真上を見上げて、頬を最大に膨らましてフクウを見ている。

フクウの髪が顔に当たり、それがこそばゆかったが・・・嫌ではなかった。

 

「待ったよ〜」

 

その言葉に、デュナミスの微笑みは・・また大きくなる・・・


 

「・・・・・ねぇ、早く行こうよ!」
フィーアは満面の笑みを浮かべて、振り返った。

相変わらずのラフで活動的な服装の彼女は、それに全く持って似合っている笑顔で話しかける。

振り返った視線の先には、当然のように、一人の男が歩いていた。

 

「・・・・頼むから、静かにしてくれないか?フィーア。」
マナブは、顔を苦笑気味にして答えた。
やれやれ・・・そんな字が顔に貼り付いている。

 

 

あれから一週間が経った。

初めての戦闘の恐怖と初めての失恋は、彼の心に傷を残しはしていたが、
その精神はかなり落ち着いていた。

 

マナブ自身、もう二度と笑うことが出来ない・・・そんな風に思っていた。

けれども、
七日目の朝、彼がフィーアに相変わらずとも言える起こされ方をされたとき、

笑っている自分に、笑える自分に気付くのだった。

 

人間の心の鈍感さに、

(時だけが全てを解決できる・・・・のか)

そんな風に思った。

一抹の寂しさがマナブの心に吹き込んだが、
この事が越えられないものではないと言う、実感を得た。

 

それはそれで、やはり哀しい事なのかも知れない。

 

死の恐怖と失う辛さを、同じ日に体験した彼が、
そう思えるようになれると言うことは・・・・・・人間とはなんと寂しいのだろうか?

だが、同時にそれはヒトの強さなのだ。

忘れれると言うことは、強さなのだ。

 

しかし、それすらも凌ぐモノがある事をマナブは、この時まだ知らなかった。

それは本当の恐怖と辛さを知らない者には、
一生かけても分かり得ないことでしかない。

今は、マナブもその一人。

 

「マナブと久々のお出かけだもの!急がないと日が暮れちゃうよ!」

彼女の頭上で太陽の光が燦々と降り注いでいる。

「わかったわかった・・だから大声を出さないでくれないか?」
逆光気味のフィーアの顔を、まぶしい顔をしてマナブは見つつ言う。

彼女の声は、既に回りに自分たちの名前を知らせるにいたり、
その上、マナブがこれから大学の授業に行くと言う事、

そして、それが遅刻であると言うことを人々に伝えていた。

人々の失笑がマナブの耳に微かに聞こえていた。

 

「フィーアね、大学終わったら何か食べたいな。」
フィーアは遅れて後ろを歩くマナブに駆け寄ると、マナブの腕を取り言う。

 

フィーアの心の中には、

エメラルドが創り出したマナブの心の隙を利用しよう・・・

そんな考えは一片も無い、と言うより思いつかないと言うのが正しい。

 

フィーアには、ただの一人の想い人だけの事しか分からない。
それ以外の事象は、彼女にとって何らの興味あるところではないのだ。

フィーアは、フィーア自身でマナブに近寄りたい、そう思っている。
ただ、それはあまりにも純粋すぎて、傍目からは非常に危なっかしく見えた。

 

それを彼女に注意する者のはいず、

例え存在したとしても、フィーアは

「良いの!」

そう一言で片づけてしまうことだろう。

 

 

「オール・オア・ナッシング」

フィーアのすべてはマナブのために存在する。

 

 

 

「だ・か・ら!急ごう!!」

「おいおい!何時に行っても授業が終わる時間は一緒だぞぉ!って、引っ張るな!!」

マナブの腕はがっしりとフィーアの脇に抱えられ、
まるで綱引きをするようにしてフィーアがマナブを引きずっていく。

その顔は笑顔に包まれていた、
マナブと一緒にいれるからだけではない、

マナブが元気になったからなのだ・・・・

 

そして、引きずられるマナブの顔は、前のような嫌な物では、決して無い。

 

マナブに笑顔の価値を気付かせてくれたフィーア。

マナブの中で、何かの車輪が小さく動いた。

それは大きくて、
そして長い間止めたままにしていたために錆び付いてしまってはいたが、

確実に動き始めていた。

 

そして、それはあまりに大きいために、動き出したら止まることはないのだ。
錆もいつかしか意味を為さないほどに・・・・・

 

フィーアが、考えてもいない事は、先にも言ったが、
エメラルドが失われたマナブの心は、今、空白の中にあった。

 

その心に、フィーアの笑顔がはっきりと浮かび上がっている。

 

打算等を考えない彼女だからこそ、

シンプルにストレートにマナブの心に届いたのだ・・・・

 

なんの障害物のない心に・・・・・・

 

**********

 

「マナブ様はどうしたのかしら?」
サライは自分の部屋で電話を持ちながら、研究をするメルとヨウに尋ねた。

「え?いないんですか?」
メルはびっくりしたように言う。
最近、理由は知らないが、マナブが部屋に閉じこもりがちなのは知っていた。

「・・・人を行かせたんだけど、部屋にはいないみたいね。」
サライは電話を置きながら言う。

「今日は出撃予定日じゃないですか?!」
思い出したようにヨウは声を上げる。

Justiceにおいて、L−seedの出撃は何よりも優先されている。

 

「あ・・・」
メルがふと声を漏らす、何かを思いだした風に。

「知っているの?メルさん。」
サライにそう言われたとき、メルはしまったという顔をした。

「・・・・はい・・・・確か・・・フィーアちゃんとお出掛けに・・・・」
まるで悪戯を不承不承に白状し始める子供のように。

(フィーアちゃん、ごめんね・・・)
メルは次に来るであろう、サライの呼び戻しを命ずる言葉を覚悟した。

 

「フィーアと・・・・」

 

Justiceにおいて、L−seedの出撃は何よりも優先されている。

 

「・・・なら・・・良いわ。」
サライは、呆気なく出撃を延期した。

その思っていることを、表情からは読みとれないほどに不思議な顔でサライは言った。

**********

「休講なかったか?・・・・・フィーア。」
座るイスの前に人の影が射したとき、相手を確かめもせずにそう言った。

 

 

「カスガさん・・・ですよね?」

 

 

フィーアではない、
その声にマナブは少し瞳を大きくすると、ゆっくりと振り返る。

 

 

振り返るのを待たずして、出された言葉は、

「授業は出た方が良いですよ・・・・・」

涼やかな声には、一度聞いたら忘れない音楽のような響きがある。

 

「・・・・・・・・月読の・・・・方ですよね?」
マナブは、ゆっくりと声のする方に向くと、
返事の代わりに問いかけた。

 

目の前の女性の長い髪が上下に揺れた・・・・

**********

 

「これが・・・エメラルド=ダルクの家か・・・いや、家の跡か・・・・」

焦げ付き黒くなった柱が、あちらこちらに飛び出ている。
上質の家具達の見るも無惨ななれの果てが、よりいっそうの哀れさを感じさせた。

言いようのない無力感が彼の中に渦巻いて、それが叫びとなる。

「・・・・チクショウ!!!!」
レイアルンは唐突に叫んだ。

その瞳には心に燃える怒りがありありと現れていた。

彼がここまで感情を剥き出しにすることは希である。

 

彼の後ろには、なぎ倒された木々、そして住宅が一本の道を造っていた。

それはあの「紫のArf」の通り道。

誰も止められなかった、悪夢の残した傷跡だ。

 

「観客の避難を最優先にした、隊長の判断に誤りはなかったと思われます。」

レイアルンは、後ろから聞こえた声に、少し顔の表情を緩めた。
それは彼なりの優しさだったが、

後ろに立つ二人の女性には、その背中だけで彼の表情がどんなものであるのか?
十分に分かっていた、そして、自分たちに振り返ったときに、

彼が微笑んでいることもはっきりと予想している。

彼らの隊長はそう言う男だ。

 

だから、彼女たちは彼について来ている。

 

「カイ。観客の中にけが人はいなかったかい?」
振り返ったレイアルンは笑みを浮かべて言う。

そして、後ろに立つ女性達。

プリンとカイも、また笑みを浮かべていた。

二つの笑みの意味は違いはしたが、
優しさから来るものである点は全く同じであった。

 

 

「はい、大丈夫です。迅速な対応で一人のけが人もだしませんでした。」

「それは良かった。」

屈託のない笑みを浮かべる自分たちの隊長に、
あのプリンでさえも頬を若干紅くする。

これを無意識に行えるのが、レイアルンの隊長に選ばれた理由なのだろう・・・・

 

「隊長、ここら辺の人に聞いて回ったが、やっぱり見てる人はいないな。」
プリンが報告を始めた。

彼らは、感傷や怒りを生むためにここにいるのではない、
あのエメラルドと言っていた女性の身元の確認を調べていた。

あの緑色の髪を持った美女の記憶は、月読全員の中にも新しい。

 

 

「そうか・・・・あの戦闘最中だからな・・・・」

「ああ、でも隊長。一つだけ情報があるぞ。」

「なんだい?」

「あの紫のArfに潰された車があったよな?覚えているか?」

「ええ、覚えているわ。アシュクさん。」
カイの脳裏に、事件後駆けつけようとしたときにすれ違いざまに見た、黒い高級車が浮かぶ。
まるで巨人に潰されたように、真ん中からひしゃげて、それはレッカー車の上で、
赤黒く焦げていた。

「あれがどうかしたのか?」
レイアルンが幾分緊張して面もちで先を促す。
プリン自身も同様に顔を少し引き締めた。

「あれがもう一台・・・あったらしい。」

プリンの言葉に、三人は可能性を思う。

 

彼女が生きており、そしてエメラルド=キッスではないかという、微かな可能性を。

 

もっとも、それを知ったところで、
もうどうなる話でも無いことに、彼らは気付いては居なかったが・・

 

それぞれが思い思いに考えを巡らし、静かな時が場を支配する。

そして、数分後、レイアルンは二人に告げた。

 

「大学に行っている、フクウの連絡を待とう・・・」

 

**********

「えっと・・・」
マナブは目の前にいる美女の名を思い出そうと頭を巡らす。

「フクウ、フクウ=ドミニオンです。」
その様子を見て、フクウは微笑を浮かべて名を名乗る。

 

「どうしたんですか?こんなところで。」
マナブは当然の疑問をぶつける。
慰問部隊と言えども、軍人の彼女が大学のキャンパスの中を散歩しているとは考えにくい。

「今日は公演の中日でお休みですから・・・実は私、ここの卒業生なんですよ。」
さらりとフクウは嘘を付いた。

(大丈夫・・・笑顔も完璧・・・・相手に敵意を感じさせない、そして持たせない・・・)

卒業生というのは全くの嘘。
だがその頭の中にはこの大学の教授の名前から、
果てはどの講義が単位を取りやすいか?までがインプットされている。

そして中日というのも、
みんなのでこの街の探索に出かける為に、公演を急遽キャンセルしたものだ。

レイアルンとカイ、プリンはダルク邸周辺へ。

アミとデュナミスはダルク家に関する資料検証を。

そしてフクウとホウショウはエメラルドが通っている大学へ。

それぞれが既にその任務をこなしている。

 

諜報能力が最も高いフクウは、公演の日エメラルドと一緒にいた男。

マナブ=カスガの探索を任せられていた。

今頃、ホウショウは大学の事務室でエメラルドに関する情報を収集していることだろう。

ホウショウだけを行かせるのは、
少し、いやかなり不安はあるが、思いの外早くにキャンパスで目標を見つけてしまったフクウは、
早速、目標との接触を試みていた。

 

 

「そうなんですか・・ドミニオンさんは何学部だったんですか?」

「私ですか?経済学部ですよ。」
何のつかえも無くフクウの口から、偽りの言葉が飛び出てくる。

「ああ、俺と同じだ・・・先輩ですね。」
これも予定通り、マナブがどの学部であるかなどは基本中の基本で知っている。

「ふふふ、そうなるのかしら。」
そして、用意された言葉をフクウは言う。

全て予定通り、会話の取っかかりから、流れに至るまで、フクウのシナリオ通りに進んでいる。

そして、ここからが本題となる。
幾分、心臓を落ち着かせて、フクウは言葉を切り出した。
十分に練られた質問を。

 

 

「あら?今日は恋人さんはいらっしゃらないのですか?」

 

 

完璧な言葉、これに対するマナブの答えで、この任務のほとんどが終わる。

フクウはもちろん、その顔に笑顔を浮かべることを忘れない。
何人もの人間を欺き続けたその極上の笑みを。

マナブの体は注意して見ていないと分からないほどに微かに震えた。

 

幾秒後に、出された答えは、

 

 

「優しさは二つあるんですよね?」

 

フクウの極上の笑みが、そのまま固まる。

 

「すべてを受け入れる優しさと・・・・・・・

 

すべてを失える優しさと。」

 

マナブは座ったままで、フクウの顔を仰いだ。

逆光でマナブにはフクウの表情はよく見えないが、
フクウからはマナブの表情がはっきりと見えた。

その心の中まで、はっきりと・・・・

フクウは想う。

自分の手の届かない想い人は、

喜びでみんなを包む。

 

だが、彼は、

 

マナブは

すべての哀しみをみんなから奪っていこうとしている。

 

フクウの類い希なる人物鑑定眼は、

それが血によるモノか?彼ゆえのモノか?までは分からないが・・・

彼に眠る「哀しみ」を感じてしまう。

感じてしまうのだ・・・・・

 

マナブは受け入れているエメラルドの消失を、心の底で予想していた消失を・・・・

 

二人の回りの温度は下がり、
時すらも「凍結」してしまったようだ・・・・・

 

フクウは、マナブの瞳から自分の瞳を取ることが出来ない。

何て、不思議な色をしているのだろう?この男性は。

決してかつての自分のように自虐的でもない、そして安い自己犠牲でもない、
ただどんなことにも哀しみを感じられる。

 

それも「優しさ」と言うことに、フクウは今、気付く。



 

「マナブぅ!!」

「あ!フクウ!!」

二つの元気な声がキャンパスに響く。
大きな声に回りの人も足を止めて何事かと見る。

二人の美女が走っている。

一人は馬のしっぽをなびかせて、もう一人は天使の翼をはためかせ。

 

 

二つの太陽が現れて・・・・時はすぐに溶けだした。

ただ、二人の瞳は動かずに・・・・・・


 

蒼と白のL−seedの前に二人。

 

今日の出撃までには、もう一時間もない。

マナブの顔は一度の死線を感じたためか、いつもよりも険しい。

 

フィーアはそのマナブの姿を、
まるで子供の成長を見守る母親のように眩しく感じ、

同時に寂しさを覚えた。

 

二人はL−seedを見上げたまま、ただ立っている。

 

「マナブ・・・また、乗るの?」
最初に沈黙に耐えられなくなったのは、やはりフィーア。

「・・・・L−seedにか?」
マナブは分かり切ったことを、敢えて聞いてみた。
マナブにも、数日前からフィーアの様子が変なことに気付いていた。

ただ、それ以上に彼の中でも、
何かが変わってきていることには、まだ気付いてはいなかったが・・・・

 

「うん。」
フィーアは小さく頷いた。
その顔には彼女にしては珍しく、不安を全面にだしていた。

マナブの冗談ともとれる答えにも、その顔が笑顔に包まれることはなかった。
実際は無理に笑顔を作ろうとして、失敗を繰り返しているだけなのだ・・・・

 

 

もう、マナブの前で強がるのは止めた。

 

自分が心配をしているのが、マナブに分かって何故悪いんだろう?

妹だからじゃない、一人の女として、マナブに自分が不安であることを知って貰いたい。

 

フィーアはそう決心していた。

あのL−seedが危機に陥った戦闘の記録を見て、
部屋に閉じこもるマナブの姿を見たとき、

 

フィーアの中で何かが弾けた。

もう、こんな思いをマナブにさせたくない。

 

自分が、マナブを支える。

 

例え妹であっても、私は一人の女なのだから。

 

「乗らなければならない。俺は今、それしか生きる目的がないんだ。」

「フィーア・・・・」

(心配だよ)その言葉が、まだ出せない。

 

 

「行って来る。」
マナブは、しっかりと歩き出した。

今のフィーアは、その背中が見えなくなるまで見送ることが、限界だった。

数分後、L−seedの瞳に輝きが灯る。

 

「マナブ・・・フィーア、心配だよぉ・・・」


L−seedが大空に放たれて、数秒もしないうちに、
オペレーターのメルは、全世界に向けて放たれた宣言を受け取った。

サライに確認を取り、操作をする。
数秒後、

「映像、音声出します!」
メルの言葉が妙に基地の空間に響いた。

 

モニターは静かに光を映し出す。

 

「僕はルイータ=カル。

ここに月、衛星都市独立支援組織「モーント」の総帥の就任を宣言します。

全ての人類の為に僕は、血が流れない平和を求めましょう。

人は争い無しできっと生きていけます・・・・」

 

そこに映し出されたのは、ルイータ=カルと言われる人間。

男物のスーツをきちんと着こなし、
その肩にも満たない髪は、青色に染まって・・・・

性別不問の美しい人間がそこにいた。
その瞳には、大きな優しさと理想に燃えている。

 

多くのルナが、彼女の勇姿を瞳にしっかりと焼き付けていく。

 

けれども何故だろう?

その言葉が、マナブの語るものと似ているように感じられたのは・・・・

その方法は違うのに・・・

 

全てが違うのに・・・・・・

 

とてもよく似ている。

 

NEXT STORY


次回予告

箱船は朝を迎えた・・・・


後書き

本当に厳しかったです。
でも、その分文量は最大です。

今回、L−seedの設定上、重大な変更を敢行するための布石を打ちました。
それが吉と出るか凶と出るか・・・・・・春神自身も不安と期待が9:1です。

と言うことで、更新意欲を喚起するような、感想を!!

こいつは誰だ!この組織なんだ?と言う質問がある方は、
「神聖闘機L−seed」設定資料集にどうぞ。

ご意見、ご感想は掲示板か、こちらまで。l-seed@mti.biglobe.ne.jp

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