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魔術師の研究室へようこそ
WELCOME TO LABORATORY OF WIZARD
魔術師の部屋には、ぐつぐつ煮立つフラスコ、怪しい革表紙の書物の山、甘い香りを放つ巨大な香炉、植物の根や動物の剥製、アルコール漬けなど、お決まりの品物が当然のように山をなしている。
部屋の窓から外の景色が覗くが、まるで速く走る列車の光景のように右から左へと流れて行き、ある時には画家のパレットのように色が独立して流れ星のように窓の玻璃に散らされているかのよう。
一際目立つのは、部屋の真ん中に置かれた、ばかばかしいほどおおきな地球儀だが、おなじみの国々の代わりに何匹か魚が青く塗られているはずの絵の中を泳いでいて、彼らは覗いている人間の目を意識してポーズを取ったり、片目をつぶったりしている。彼らがポーズを取っている間は、大陸達はさまざまな姿で繋がり、色とりどりの高原や砂漠、山脈が魚鱗の代わりに浮かび上がる。
巨大な肱掛椅子の向きを正面にすると、とがった白いフェルト帽をかぶり、青い長衣を肩から足元まで被っている若い男が背凭れに寄りかかって、薄暗いランプの青白い光に目を注いでいる。彼の横には、ちょうど地球儀の陰になるところにたっぷりした頭巾で顔を覆う人影があり、薄暗い影の中で猫の目のように虹彩だけ青く凄みを帯びて光っている。彼女は細身に赤い長衣を纏っているが、袖口で深く腕を組み、助手は師匠の足元に立って静止し、ものをいわない。
椅子が再び軋み、その陰気な顔をした青年が振り向く。その物腰は大袈裟で芝居がかっており、偉そうである。
「今晩は、わたしは大魔道師スネカザル・ボワスレータ(仮名)である。これから、テラ・インコグニタなる暴走・変人集団について説明しよう。」
未踏の大地:テラ・インコグニタ
TERRA INCOGNITA
「今から500年ほど前、ある不愉快な男が世界地図の端っこのしみを眺め、大金持になることを夢見たことからはじまる。(ちなみに彼は死ぬまでアメリカをインドと信じていた。)彼が地球の大きさを小さく見積もるよう自己暗示をかけたのは、冒険家特有の楽観主義と無謀というレッテルを貼って見ることも出来るが、自分がそれほど世界について知らない生き物だと考えるのは耐えられなかったからと考えることも可能だ。そして時代の支柱であったキリスト教の聖書は別の大陸など許していなかった。
結局このジェノヴァ人は大金持になれなかったし、スペイン王は持ちかえった金を無計画に使って金融恐慌を引き起こし、梅毒を撒き散らし、原住民達は強制労働とあらゆる非人道的行為、旧大陸の疫病でばたばた倒れていった。
それ以前も、それ以後も、世界地図の隅っこを誰も知らないことをよいことに、地図描きたちができる限りおおきな陸地を描いて、そこにいっぱいになるようにTerra Incognitaとラテン語で記していた。怪獣やら、頬を膨らませる風神などで埋め尽くした絵を見るのはたのしいが、探検が続けられて未知の世界が少なくなっていっても、古い地図を売りつけるために成果を無視しようとした事実は消せない。」
火にかけられたフラスコが部屋の向こう側で沸騰し、中から液体が飛び散ると、しずくが見る間に虹色にきらめくルーン文字へと、その後、色とりどりの豪華な羽の色をした蝶に変わり、ゆっくりとした羽音で歌を奏でながら、あたりを飛び回る。
「きたないはきれい。きれいはきたない。しかしそれよりだいじなのは、悪魔の愛。」
魔法使いは慌てて立ち上がり、後を助手に頼む。
彼女は、袖から腕を抜くと、右手に明かりできらきら金色に光る短い杖を持っている。先端に巻きついた緑色の蔦が伸び上がると、蛇に変わって口を開け、二股になった赤い舌を閃かせる。彼女は杖を翳しながら、伸び上がるようにして、辺りに華麗な幻像を展開する。そして意外なほど柔らかい声で説明を続ける。
「今日は。(何時の間にか外は夜から昼になっていた)わたしは大魔道師の助手のセアラ(仮名)と言います。話を続けますね。
人間の憧れは未知の大いなる南極大陸という形で最後まで地図上に現れていました。ドレイク提督が自分の名前をつけた海峡を見つけ出すまで、チリの南端は、この大陸に繋がっていると信じられていました。クック船長はこの大陸を探すためにどこまでも南下して、結局オーストラリアやニュージーランドがどこにも繋がっていないことを知ったのです。
南極大陸は、昔の人の夢に比べるとお話にならないくらい小さい陸地でした。地球のほとんどが陸ではなく、海で占められていることで人間の心模様がどのように変化したか。また、閉じた地球の表面を超えるという想像を絶する思考が、心象というものに究極的には衝撃、或いは虚無をもたらしたのではないかと危惧するのは、文明の病と言えます。
テラ・インコグニタはある意味で傲慢にも未知で不可解なものを理解しうるものにしようと試みているのかもしれません。彼らは単純で、世間知らずかも知れない。理想というものは押し並べて老人達の言う諦念に通じるのかも知れません。それでも」
スネカザルが戻ってきて、再び椅子にどっかり座る。セアラの杖の先にいる蛇がしゅうしゅうと魔法使いの虚傲を冷やかすと、セアラは小声で蛇を叱責する。魔法使いは気づかない振りをしつつ、右手の指を鳴らすと、
「魔法の準備が出来たぞ」
空間が不意にいくつも切り裂かれて不可思議な虹色の泡が裂け目から顔を出す。泡が扉の形を取って固まり、扉のそれぞれの上に象眼された金文字で行く先を教えている。
リンク
LINKS
セアラ
「以下に魔法の道は通じています。道中お気をつけて。どうぞ。
道を間違えた方はこちらへ。Gooの検索サイトに通じています。」
スネカザル
「SOL NIGER氏のアヤシイ世界への門には、氏がネロ・ウルフのように人嫌いなので特殊な呪文を使わないと立ち入ることが出来ない。」
セアラが慌てて後を引き取る。
「そんなわけで、呪文をどうぞ。」
あるいは「聖域」に入るのに別の方法をとることもできます。詳しく知りたければこちらに進んでください。」
セアラ
「ブランドック・ダーハ卿の宴会場はドン・キホーテのように騎士物語が大好きなので、その関連の記事を集めています。」
スネカザル
「オリジナルの記事もあり、物語は夏目漱石を気取って、アーサー王物語に題材をとっている。」
セアラ
「しまうまの顔さんの宝庫は、T-RPGの世界、グローランサの知識とアイデアを集めています。彼はとくにルナー帝国の一地方、カルマニアにこだわりをもっています。」
スネカザル
「泥沼へ行くかい?」
セアラ
「太公望の弟子さんの釣り堀は釣果がすくなくても愛?があるので是非遊びにきて欲しいそうです。」
スネカザル
「しかし、ここに行って腕が落ちたらお気の毒。」
セアラ
「ケミンティーリの孫さんの祠はWhitewolf社Storyteller Gameの代表作、World of Darkness(暗闇の世界)のVampire the Masquerade(仮面舞踏会) 及びDark Age(暗黒時代)を扱っています。」
スネカザル
「そこまでは良いとしても、彼は猟奇的な趣味で邪悪な中東のカルト、セト教団や中南米で活発なサバト、吸血鬼の禍禍しい饗宴を主に取り扱うつもりらしい。花火で火傷をする子供は多いというのに。」
セアラ
「次は、ちょっとわたしの口からは」
スネカザル
「トリックスターの広場(掲示板)は、ありとあらゆるこよーて、くすぐるのがすきなごーんと、糞ったれ(すまない、本当にそういう意味らしい)おいれんしゅぴーげる、狐のるなある、ゆーるまる、まるかびあん、ろきなどなどアタマのおかしい哲学者、そして哲学者じみたアタマのおかしい人が集まるところ。
ここで起こることには一切責任を持ちたくない(!)ので、インスピレーションを求めるにしても、十分に用心し、起こることにあまり気を遣わないようにしよう。」
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