GLN 宗教を読む

宗教を読む / 聖書の宗教

◆人は神の子か
 『仏教とキリスト教』によると、
「キリストが、自分自身を「神の子」であり、「メシア(救世主)」であると認識していたかどうか.は、 疑問です。キリストを「神の子」であるとする信仰は、彼の死後間もなく、 弟子たちのあいだで芽生えてきたものです。 そして、キリスト教というのは、じつをいえば、このイエス・キリストなる存在を 「神の子」と信じることからはじまるものです。
 
 ついでに言っておきますと、ユダヤ教徒は、あたりまえのことですが、キリストを「神の子」 と認めてはいません。ユダヤ教徒からすれば、キリストはたんなる田舎者のラビ(先生) にすぎないのです。つまり、キリストを「人間」と見ているわけです。
 また、イスラム教から見れば、キリストは、マホメットの直前に出現した、一人の「預言者」 なのです。すなわち、アッラーの神(イスラム教の神はアッラーです)は、この世に多くの 預言者を遣わして、人類に悔い改めるようにと警告されました。 『旧約聖書』(イスラム教徒も『旧約聖萱を認めています)に登場するイザヤ、エレミヤ、 エゼキエル、ダニエルといった預言者がそれです。 しかし、人類はいっこうに悔い改めようとしません。 そこでアッラーは、イエス・キリストを預言者としてこの世に遣わされたのです。 けれども、人類の大半は、そのキリストの預言を無視しました。 そこで、ほんらいであれば神は全人類を殲滅(せんめつ)されてよいのですが、 慈悲深いアッラーは最後にもう一度だけ人類にチャンスをあたえられました。 すなわち、最後の預言者としてマホメットを選ばれ、マホメットを通して人類に『コーラン』 を啓示されたのです。これがイスラム教の考え方です。 ここでは、イエス・キリストは一人の預言者とされています。
 
 したがって、イエス・キリストをどう見るかで、三つの宗教が区別されます。
 ユダヤ教から見れば……「ただの人間
 キリスト教から見れば……「神の子
 イスラム教から見れば……「預言者」 となるわけです。」
 
* 預言者とは
(1)預言を語る力をそなえている者。特に古代イスラエルで、神の召命を受け王政を厳しく批判した民族的指導者。(2)イスラム教で、ムハンマド(マホメット)の称。
 
* 預言とは
 神や死霊の意志を媒介し、人々に伝えること。また、その言葉。 とくに、超越神によって示された世界の意味・救済の意味などを人々に述べ伝えることをいう。 (以上、goo 辞書)
 
* 他力本願から自力(本願)へ
 プロテスタント教会では、「万人が司祭である」、つまり万人祭司と云う平等主義 を採っているようである。
 これは、カトリック教会の聖職階層制に対するプロテストの意味がこめられている。
 〔以上、因みにの項参照〕
 
 教皇(きょうこう)とは、 「ローマ-カトリック教会の最高位の聖職者。使徒ペテロの後継者として全教会を統率する。 バチカン市国元首。枢機卿(すうききよう)の互選により選出される。ローマ教皇。法王。きょうおう。」
 ペテロ [Petros]とは、 「イエスの弟子。ガリラヤの漁師であったが、イエスに選ばれ最初の弟子となる。 イエスの死後、エルサレム教会の基礎を固め福音の宣教に尽力。 ローマでネロの迫害により殉教したという。十二弟子の筆頭とされ、 カトリック教会では初代教皇とされる。ペトロ。ペトルス。」(以上、goo 辞書)
 
 ところで、イエスについては、 「イエスからキリストへ」 に記述したように、告知するものから告知されるもの、 つまり「人間イエス=神の子」として認知されることとなった。
 
 このことから導き出せる構図は − 
 @もともとイエスは、人間であった。
 Aイエスは、預言者として「神の国」のことについて布教していた。
 Bそして、神(ヤハウェ)の預言者イエスは、処刑されたことにより神(ゴッド)の子となられた  − 神=イエス・キリストの誕生。
 C人間ペテロはイエスの使徒として、イエスの後継者となった  − やがてペテロは、その功績により教皇に推され、イエス・キリストと同格のように 慕われるようになった。即ち、神≒教皇のようにみなされるようになった。
 Dプロテスタントよって、万人祭司のことが主張されるようになってきた。
 E遂には、神≒人間と云う構図になってきている。
 
 さて、世界宗教の第一義は、絶対他力=他力本願である。 人は、絶対的に神に帰依することで、神からの救済=幸福が約束されるからである。 その構図は、上位神→下位人間である。
 しかし、上記のように、神≒人間と云う構図になると、他力本願ではなく、 人自身たる神によるところの、神自身の救済 − 自力(本願)と云うことになろう……。
 
 以下、〔人は神になれるかの項参照〕

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