左側の丸いのが ”茹でて作るプディング” (これが、
”底抜け珍道中” のお話の中に出てきたプディングの調理法です)
「小麦粉をまぶした布で生地を包んで紐で結わえ、
フタをして何時間も弱火で煮る。
(プディングの紐は鍋の柄に結びつけておく)」
というのが基本です。
右側のは ”蒸して作るプディング”
「中身を入れた型を布で包み、鍋にフタをして、
やはり何時間も蒸す。湯は型が4分の3くらい浸るようにする。
(型の下に台を敷くこともある)」
こちらは大変に用途の広い製法で、
有名なイギリスの クリスマスプディング なども、この方法で作ります。
プディングは、どちらかというと蒸しケーキのような甘いものが多いのですが、
小麦粉の生地に肉類やモツ類を入れた、
パイかタルトのような形状の主食系の物もありますし、
ローストビーフに必ずついている「ヨークシャープディング」は、
焼きジャガイモの代わりに鎮座ましましている「パンケーキ」みたいなもの。
それじゃ、とりあえず小麦粉系関連食品という事で妥協しようと思うと、
「えんどう豆のプディング(Pease Pudding)」
(イギリス人の一番の好物だと言われる
”塩漬け牛肉とにんじんとおだんご煮”の、伝統的なつけあわせ)
に至っては、干しエンドウをゆでてつぶして、
バター混ぜてピュレにしただけ!(おいおい)
とりあえず、イギリス人が、食事や食後の甘いものとして食べたり、
パンの代わりにする付け合わせなどで、
小麦粉かでんぷんの多い材料が使われた調理品で、
(これについては例外が山ほどありそうですが、無視!)
「みんなにプディングと呼ばれているもの」 が、プディングです。
(要するに、”イギリス人がプディングと読んでいる品物が、
全部プディングだ” というのが、プディングの一番正確な定義のようです)
ちなみに、料理の本にはいろいろなプディングが載っていまして、
ずーっと見ている内に、何となく、「ああこういうタイプのものを、
イギリスではだいたいプディングと呼んでいるのだな」
という認識のワクがわかるのですが、
これを言葉で定義するのが大変に難しいです。
とりあえず、作例を並べていきますので、
興味のある方はチャレンジしてみてください。
(注) イギリス料理は、マトモに作ろうとするとけっこう難しいです。
調理法が「中世か?!」というくらい伝統的な方法論の場合があるし、
(つまり、かまどやでかいオーブンがないと作れない・・・とか、そのテのことです)
味的にも素材勝負の所があって、
味付けが 「塩とバターだけ」 なんて事はザラで、
「これ、材料がクソな場合、どうにもフォローが効かないじゃないのっ!」
と叫ぶ事になります。
まぁ、日本料理の刺身と同じ事で、
魚を買って4日ほど自宅の冷蔵庫に入れておいて、
そろそろクタッとなったやつを刺身にして、
「これが日本のお刺身なのよ、どう?おいしいでしょ?」
なんて聞いてもそれはムリ・・・とか、そういう世界なので、
あまりよその国のことは言えないのですが、フランス料理やイタリア料理よりは、
ポイントを見抜く慣れとかカンどころが必要なようで、
(おいしく作ろうとした場合には)
ちょっと難しそうだという事を覚悟しておいてください。
ちなみに、「おいしく作った場合には、確かにこれはすごくおいしいだろう!」
という料理が多いです。 野性的で、実質的で、自然の恵みを生かした、
家庭や個人が作るタイプの(外食用でない)料理が多いのがイギリス料理の特徴です。
「イギリスでは、おいしいものはレストランでは食べられない」
というのはそういう事なのかもしれません。
外食よりも、家庭で食事をとる国のようです。
聞いた話では、料理自慢の奥さんのいるご家庭に招かれる事ができれば、
とってもおいしいイギリス料理にありつけるのだそうです。
さもありなん!
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