Devilish Angel

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悪魔のような、天使が舞い降りた。




目の前で、腕組みをして立っているベジータは、記憶にある生前の彼と全く同じ姿だった。
逆立った黒髪、鋭利な漆黒の瞳、引き締まった小柄な体をぴったりと包む青い服。
――ただ、外見で唯一違うのは、頭の上に輪が浮かんでいることだった。


「……ベジータ…」
なんでおめえがこの世に?と、悟空が続けようとしたところで、ベジータの方からおもむろに唇を開いた。
「俺が現世にいられる時間は限られている。俺と何をしたいか、今決めろ。貴様と会う為にわざわざあの世から来てやったんだからな」

相変わらずの尊大な言動に苦笑いしてしまう。
でも、今はそんな彼らしい態度すら懐かしく愛おしい。

悟空は考える。
ベジータが生前拘り続けていた自分との勝負を、今ここで決めてしまうか。
それとも、彼の家族にももう一度顔を合わせておこうか。

……だが。
今こうしてベジータを目の当たりにした瞬間から、悟空の中で獣じみた欲が湧き起こっていた。
彼を自分以外の誰にも会わせたくない。
拳をぶつけ合うより、別のことを彼としたい。
…出来れば、このまま彼をこの世に留めておきたい位だが。


「……おめえは、嫌かも知んねえけど」
そう前置いて、悟空は答えを口にし始める。
「もう一度、おめえを抱きてえんだ。オラのもんにしてえ。おめえも、あの世に戻りたくねえって位に…」
言って、悟空は自嘲する。
何故、互いに敵意と嫌悪しかなかったはずの感情がここまで変化したのか。
何故、同じ血と性を持つベジータに訳もなく欲情してしまうのか。
理由はわからないが、今の自分にとって、ベジータを抱きたいと言うのは最も正直な答えだった。

「………フン、そうか…」
ベジータが苦笑する。
肯定とも否定ともとれない返事に、悟空は些か不安と後悔を覚える。
だが、折角の、二度とないであろう機会に、自分の欲求を抑えることなど出来なかった。


「…あの世に戻るな、以外なら、望みに応えてやってもいいぜ」
妖艶に微笑みながら、ベジータが腕を悟空の首に回してくる。
生前はあまり積極的にセックスに応えてくれなかったのにと感慨する間もなく、遂に理性が決壊する。
…もう、我慢出来ない。
衝動的にぐっとベジータを抱き締め、彼の唇を深いキスで塞ぐ。
「…ッ、…ん、ふ…」
塞がれたベジータの唇からくぐもった悩ましげな声が洩れる。
その声に助長され、内から込み上げる情欲に従い、悟空は無意識に超化していた。





ベッドに横たえたベジータの全身を、隈無く丁寧に愛撫する悟空。
硬質な髪や柔らかい頬、掌にしっとりと吸い付く肌の感触も、以前と同じままだ。
だが、左胸の内からは…鼓動が伝わってこない。
「…………」
わかってはいたが、悟空は眉を寄せずにはいられなかった。
生きた人間と殆ど変わりないように見えるのに。
「…っ、早く、しろよ…。俺を…存分に味わいたいんだろ…?」
悟空の思いを見透かしてか、ベジータがもどかしげに腰を揺らした。
その仕草に再び欲情した悟空は、ベジータの両脚を開かせ、勃ち上がった中心の蜜で濡れた奥の窄まりに指で触れた。


「あ、あァ…ッ、ン…っ、…カカ、ロットぉ…!」
甘く切ない喘ぎに混ざって呼ばれる、もう一つの自分の名。
本当の名だとは認めたくはないが、ベジータなら、ベジータの声なら心地好く感じる。

「もっと…オラを呼んでくれ…、ベジータ…」
「ッ、ん…カ、カァ…カカロ…ット…!」

ベジータの最奥に熱い楔を穿つ度に、悟空は思う。
この律動が、自分から放たれる精が、彼に命を与えられたらいいのに。
なのに、自分の下で揺さぶられる彼の頭の輪は消えないし、心臓の音も聞こえてこない。

「…ッ、ベジー…タ、一緒に…イくぞ…!」
「ん…っ、ふ…あ、あ、ンッ、ああアァぁ…ー…ッッ…!」
それでも悟空はベジータをいとおしげに抱き締め、渾身の愛液を彼の中へ溢れこぼれる程に注いだ。





白く弾けた意識が明瞭になり始め、悟空は腕の中のベジータがまだいたことに少し安堵した。
…やはり、頭の輪はついたままだったが。

「……あの世で待っているぞ。だが、間違っても後追いはするなよ。もしそうしやがったら、今度こそブッ殺してやるからな」
気だるく穏やかな笑顔に似つかわしくない物騒な言葉を残して、ベジータはすうっと姿を消した。
「……、ベジータ!」
こちらが別れの言葉を言う前に、あの世に戻ってしまった。
この世に滞在出来るタイムリミットを待たずして、自ら消えたようにも思えた。
名残惜しい気持ちを、余韻と共に振り切りたがるのが実に彼らしい。

悟空は切なげな笑みを溢しながら、まだベジータの匂いが残るシーツに顔を埋めた。






chamago様 / Zaccafe.

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