第5巻”(ビニール製の女の子の人形)
先日、ある骨董屋さんから電話があった。「戦車の形をした学生服の
看板を見てみないか?」ということで、早速伺うことにした。
その看板は、大正時代のものらしく作りも良いのだが、
どうもグッとくるものがない。文字は手書きで素人ぽい
竹久夢二の楽譜のタイトルに使われているような書体であった。
私の趣味にあわない気がしたのでガッカリしながら店内を見回していると、
小さな人形に目があった。かなり痛んでいるようだったが、
手にとって見ると何とも軽い、着物の裾をまくってお腹の当たりを見ると、
ブリキと紙でできているマァーと音の出るものが付いていた。
汚れていたので気が付かなかったが、人形の顔も体もすべてがビニール製だった。
目にはガラスのものがはめ込まれて、眉は人形師による手書きらしく、
良い顔をしている。昭和30年代のものらしい。
メーカーは不明、かなり量産されたのであろうが、私は初めて見るものだった。
この人形についてご存じの方は教えてほしい。