1.初めての乗車・急行ムグンファ号、そして慶州 ホテル内のレストランで朝食(といっても喫茶店のモーニングサービスと同じコーヒーとトースト、7千ウォン、ホテルだから高い)を済ませた後、昨日購入した乗車券で慶州 (경주・キョンジュ)に行くため、釜山9時10分発の急行列車・ムグンファに乗った。釜山駅の改札口はホームごとに設けられており、列車出発15分前から改札が始まる。案内パネルに漢字表記が加わったのも14年前と違うところだ。日本人や中国・台湾人は助かる。改札を済ませ駅舎からは最も遠いホームに降り、車両番号を確認して乗車。工事中の釜山駅のそのホームには屋根はなかった。座席は右側窓席で海が見えるラッキーな席であった。天候も前日に引き続いて晴の絶好の旅日和。尚、座席番号は奇数が窓側、偶数が通路側だ。3人がけ座席の窓側から2人がけの窓側までA、B、C、D、Eの順となる日本の新幹線の席番の付け方とは異なる。通路を他の客らが通り過ぎ、その内一人が通ったあと、ニンニクかキムチを食べた人の匂いがしてきた。次の釜山鎭(부산진・プサンジン)、その次の釜田(부전・プジョン)を過ぎ、日帝時代に建てられたと思われる日本式の瓦屋根の家のそば、下町的な雰囲気の踏み切りを通過して、非電化単線の線路をムグンファは走り続ける。次の駅に到着する直前の車内自動アナウンスは、韓国語、英語、日本語、中国語の順で行なわれる。日本語のアナウンスを聞くと、まだ昨日韓 |
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国に来たばかりだというのに何となく懐かしさを感じさせられる。都市部を離れれば田園地帯、日本と同じく田植えのシーズンだ。手で植えてる光景が目に入った。機械は田んぼの片隅に置かれているだけで機械を使っての田植えを見ることはなかった。14年前に見た茶色く首が長めの牛を使った農耕は見られなかった。列車が慶州に到着したのは11時13分、釜山から約2時間だ。列車の出口を出た直後も、車内で嗅いだニンニクやキムチの匂いの塊に遭遇した。しかし韓国人は毎日のようにそれらを食べているのであまり気にならないらしい。駅出口へ向かう客らの中には期待していた日本人はいないようだった。旅行のシーズンオフ、やはりSARSを恐れているのか。 |
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2.慶州駅から佛國寺まで一苦労、二苦労 駅を出るとここは新羅(신라・シルラ)時代の都だった古都・慶州の街(日本で釜山やソウルはよく知られているが、慶州を知らない人が意外と多い)。すぐバスに乗って佛國寺(불국사・プルグクサ)へ行くつもりだったが、バス停がなかなか見つからない。タクシーの運転手が「プルグクサ」と |
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言って乗せようとしていたが、バスのほうが安いしタクシーによってはボッタクリがあるので「버스(ポス=バス)」と言ってタクシーは断り、近くの観光案内所でバス停の位置を確認した。「불국사에 가는 버스의 타는 곳은 어딥니까?(プルグクサエ ガヌン ポスエ タヌンゴスン オディムニカ?=佛國寺へ行くバスの乗り場はどこですか?)」と韓国語で尋ねたが、案内所のお姉さんは日本語で答えてくれたので助かった。バス停へは道路を横断して行くのだった。約5分ぐらいしたら佛國寺へ行く11番のバスが来て、乗ることが出来た。幾ら払うのかわからず運転手に「불국사까지 얼맙니까?(プルグクサッカジオルマムニカ?=佛國寺までいくらですか?)」と尋ねたが答えてくれず、どうもバス代は均一料金らしく、前の客の真似して千ウォン札二枚を料金箱に入れたら釣りが出てきた。座席に着きバスは発車。ガイドブックに出ていたとおり、韓国のバス走行は猛スピードだ。前方の席に金髪の外国人女性2人がいたので、おそらく彼女らも佛國寺へ行くんだろう。慶州の郊外に出て、広い駐車場近くのバス停に到着。金髪外国人が降りようとし、佛國寺だと思って自分も降りようとしたら、運転手は「불국사가 아니에요.(プルグクサガアニエヨ=佛國寺 | |
ではありません)」と言った。金髪外国人も席に着いた。再びバスは走り出し、何分かするとまた広い駐車場が見えてきて二人の外国人が降りようと立ち上がり自分も立ち上がろうとした。ところがここも佛國寺ではないようだ。斜め後ろの席にいた若いカップルが身振り手振りで降りることをやめさせた。彼らは日本語は話せない。その内の男性が、「같이(カチ=同じ)」と言っていたので彼らも佛國寺で降りることがわかった。暫くすると本当の佛國寺バス停に到着、「Get off」と言ったので彼らに続いて降りた。勿論彼らに「감사했습니다.(カムサヘッスムニダ=ありがとうございました)」と言って感謝の気持ちを表した。そのカップルは日傘の相合傘でどこかへと消えていった。前の席の金髪外国人もそこで降りた。慶州駅前から約30分であった。 |
3.人がいっぱい、佛國寺 佛國寺は新羅時代に建立された古く大きな寺であるが、再三火災に遭い、現在の建物は1974に復元された。ハングルで「불국사 입구(プルグクサイプク=佛國寺入口)」と表示してある看板を見て、土産物やアイスクリーム、ジュースなどを売っている傘付きの露天商が並んでいる道に入った。舗装された坂道を登る。急な斜面ではないが暑いからきつく感じる。周りは公園になっている。何分か歩くと瓦屋根の建物が見えてきた。更 |
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に歩くと「佛國寺」と書かれた看板が取り付けられた日本の寺の総門に相当する一柱門(일주문・イルチュムン)があることがわかり、瓦屋根の建物は入場券売り場だった。そこで一安心。入場券(3千ウォン)を買い一柱門をくぐり、暫く歩くと次の門が見えてきた。橋を渡り石段を登った所にあるその門は天王門(천왕문・チョヌヮンムン)と称し、山門に相当するようだ。右側と左側に2体づつ、合計4体の色鮮やかな像が置かれていた。それぞれ東 | |||
一柱門 | 天王門 | 紫霞門 | |
西南北を守護している四天王である。何となく中国の像に近いように思える。新羅は中国と陸続きだから当然のことだろう。しかし南東の海を渡れば日本であるから、日本の寺の山門にある仁王像(それらは左右1体づつ)にも似ているようだ。天王門を過ぎると、松林、更に向こうにガイドブック等の写真に出ている紫霞門(자하문・チャハムン)、安養門(안양문・アニャンムン)がある回廊の建物が見えてきた。その中に入るにはそれら |
の門を通ることは出来ず、左脇の入口から入る。まず極樂殿(극락전・クンナクチョン)前を通り(ここは誰もいなかった)、大雄殿(대웅전・テーウンジョン)(金堂に相当する)の前へ。ここはかなりの人だ。記念撮影する家族連れもいる。前には2本の石塔(釋迦塔(석가탑・ソッカタプ)と多寶塔(다보탑・タボタプ))があり、大雄殿の中では信徒達 | ||||
極樂殿 | 釋迦塔(手前)と多寶塔(向) | 大雄殿 | 回廊隅の法鼓 |
が五体投地のお祈りをしていた。熱心な信徒がお祈りをしているのにも拘らず仏像の写真をとっている男性二人組みがいた。話し言葉でわかったが日本人だった。自分は、京都の寺の「仏様の写真を撮ってはいけません」という貼り紙を思い出して撮影は避けた。大雄殿の裏に講堂に相当する無説殿(무설전・ムソルジョン)があり、その中では土産物を売っている。その北に毘盧殿(비로전・ピロジョン)、そしてその東に觀音殿(관음전・クヮヌムジョン)がある。觀音殿は佛國寺で最も高い所に位置している。觀音殿へ登るための西側の石段はかなり急だ。そして出る時の南側の石段も片足づつ交互に脚を動かして降りることは出来ず幼児式の降り方となる。 |
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色鮮やかな毘盧殿 |
4.石窟庵で感動 佛國寺を一通り回った後、再びバス停へ行き、今度は白い大仏で知られる石窟庵(석굴암・ソックラム)へ行くためのバスに乗った。出発は1時40分。出発時刻近くなると運転手がバス代を回収しに来る。1150ウォンだ。ガイドブックに比べ100ウォン高い。値上げしたんだ。そしてバスは出発。カーブだらけの山道を登る。車が右側通行であること以外、風景は日本の山道と変わらない。20分後に石窟庵の駐車場にある停留所に到着した。大鐘閣 (대종각・テージョンガク)の横を過ぎ入場料(3千ウォン)を払い、ハイキングコースのような曲がりくねった林道を歩く。開けた所に来 |
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ると、遥か上のほうに庵があるのが見える。そこへは左側が入口である急ででこぼこの石段を登って行く。その庵へは向かって左側の入口から入る。すると、奥に写真でしか見たことがない大仏様が鎮座しているではないか!感動!この庵が石窟庵であることがこの時わかった。薄明るく照らされた仏像はガラス越しでの拝観であった。撮影は禁止 | ||||
大鐘閣 | 石窟庵入口の門 | 下方から見た石窟庵 | 石窟庵 | |
である。ここから降りるのには登ってきた石段道とは別の道を使う(開けた所から見ると右側)。駐車場に戻るが、帰りのバスの出発の3時まであと30分程ある。暑いから缶ジュースで喉を潤した。尚、韓国の缶ジュースは250mlかそれより小さい物で600〜800ウォン、日本で出回っている350mlの缶はなかった。 |
5.遅い昼食、再び釜山に戻る |
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バスで再び佛國寺バス停へ行き、道路を渡り、赤を基調とした食堂・土産物店が立ち並んでいる所へ行き、端にある「新羅食堂(신라식당・シルラシクタン)」に入った。店のおばあちゃんが日本語で「暑い」と言ったので「ええ、暑いですねえ」と返答し、山菜ピビムバブ(산채비빔밥・サンチェーピビムバプ)と、暑いし参拝お疲れ様ということでビール(맥주/麥酒・メッチュ)を頼んだ。遅い昼食だ。料理はすぐ運ばれてきて、5〜6種類程あっただろうかキムチや野菜系のおかずがついていた。それらの器は白い陶器だったがご飯は金属製の器によそわれていた。ご飯を数種の山菜と目玉焼きが入った大きな器に移し、コチュジャン(고추장=唐辛子味噌)を加えて混ぜて食べていると、タクシーの運転手が店の客として入ってきた。常連客らしい。ピビムバプと青唐辛子を注文していた。その運転手も日本語が話せる人で、「韓国料理は辛いから旨いんだよ」と言って生の青唐辛子を味噌に付けてポリっとかじっていた。勘定を済ませ(8千ウォン)、「안녕히 계세요(アンニョンギゲセヨ=お元気にいらして下さい(さようなら))」と言い、運転手や店のおばあちゃんらが「안녕히 가세요(アンニョンギ | |
ガセヨ=お元気に行って下さい)」。 バス停に戻ると、11番バスがすぐ来て、경주역(キョンジュヨク=慶州駅)とフロントガラスに貼られた経由パネルに書いてあることを確認して乗車。この時1150ウォン均一であることが初めてわかった。日本円換算だと約115円で名古屋市営バスの200円と比べればずっと安い。バスが慶州駅に着いたのは4時過ぎのこと。歩道には出店が並び、キュウリなどの野菜類やブドウを超小型にしたようなブツブツの真っ赤な野イチゴ、エンジ色のサクランボ、小型カボチャを縦長にしたような黄色いマクワウリなどが売られていた。釜山に戻るための急行・ムグンファ出発時間の6時 |
52分まで随分時間がある。駅前の喫茶店は営業しておらず、食事はしたばかりであるし、街中を散歩しようにも今日はとにかく暑いし佛國寺を歩き回って疲れたのでそんな気はしない。このため駅舎内の待合室のベンチを立ったり座ったり、駅前広場片隅のベンチで缶ジュース飲みながらの喫煙で時間を潰した。そこにはサクラの木が植わっていて、サンランボが沢山なっていた。4月前半頃はここ・慶州でも満開なのだろう。サクラは日本の国花だから、日韓友好を表現しているように思えてならない。尚、韓国の国花はムクゲ(アオイ科、TOPページにあり)で7〜9月に咲き、形は同じアオイ科のハイビスカスによく似ている。6時40分頃、やっと釜山行きのムグンファの改札が始まった。慶州駅は、駅舎と岸式ホームが接し、接した所に改札口があり、改札口を通って岸式ホームに出て階段を降り地下の通路を通り、目的の列車に乗るための | |
慶州駅前でのサクランボ |
島式ホームに上がる構造。東京や名古屋を離れるとよく見られるJR駅の構造に似ている。14年前に行った時の釜山駅もそうだった。ソウル駅もその構造の痕跡を残しているようだった。なお現在、慶州駅は岸式ホームは使用されていないようだ。乗車は2本あるうちの駅舎から遠い方の島式ホーム。それにしても韓国の駅のホームは低い。20〜30cm位だろうか。やがてジーゼル機関車に引かれた急行・ムグンファの姿が見え始めて慶州駅にさしかかって到着。5両か6両編成だった。立席乗車券だからどこから乗っても良い。後ろから2両目に乗車した。ホームが低いから急な3段ステップを登って、デッキ、そして客車内へ。席は空いていなかったので、デッキのステップに腰掛けた。釜山まで2時間もこのままでいるのかと思えばウンザリ。レールのつなぎ目を通る音がうるさい。特にポイントのところがそうだ。ところが二つ目の蔚山(울산・ウルサン)駅で多くの客が降りていき、席が空いた。そして座ることが出来た。立席乗車券では空いている席があればどの空席にも座ることが出来る。よかったよかった。次の佐川(좌천・チュアチョン)から6人ほど乗ってきたものの海雲臺(해운대 | |
釜山に戻るムグンファの車窓から見た水田。日本の光景そっくり。 | |
・ヘーウンデー)でも降りる客が多く出てさらに余裕が出てきた。次の東萊(동래・トンネー)に来ると温泉マークと모탤(モーテル)と書かれた建物が多く見え(温泉マークがある建物はガイドブックによれば韓式旅館だということなのだが)、ラブホテルが多い名古屋の金山を思い出した。まもな |
く釜山だ。雲ひとつない夜空を見ると半月が輝いていた。「天の原、ふりさけ見れば、春日なる、三笠の山に、いでし月かも(古今和歌集)」という阿倍仲麻呂の和歌ではないが、きのう日本を離れたばかりだというのに、なつかしく思えてならない日本で見ていた月、そして今日本にいる知人らがおそらく同じあの月を見ていることだろう、と考えてしまう。 釜山到着は8時54分、ホテル内のレストランでプルコギ定食(불고기정식・プルゴギジョンシク)を食べ た(遅い夕食)。ご飯は箸ではなく匙を使って食べる。しかも茶碗は置いたままにしなければならないという日本との違いがある。部屋に戻ってTVで韓国時代劇「武人時代」(高麗時代)を見ながら、近くのセブンイレブンで買った缶ビール(OB)と眞露のチャミスルで一杯やって疲れを癒した。OBビールは日本のビールに比べアルコール度数も味も軽い。アルコール度数は4.4%。 |
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おにぎりだけでなく、眞露やビールもコンビニで手に入る。 |
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