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スズメバチ類越冬状況調査


スズメバチの発生量は年次変動が大きく,効果的な駆除対策を実施するためには発生量の予測が望まれていますが,まだその方法は確立されていません.生活衛生センターでは1989年からスズメバチ類の越冬状況調査を実施し,越冬数と発生量の関係について調査してきました.調査は11月から翌年の3月にかけて,市内の公園や緑地の雑木林に散在する朽ち木や倒木を対象に行いました.

91頭のスズメバチが越冬していたアカマツの倒木 集団越冬するコガタスズメバチ

1989年〜2006年までの18年間に延134地点で調査を実施し,6,333頭のスズメバチが見つかっています.内訳はコガタスズメバチが6,216頭,98.2%を占め,以下キイロスズメバチ 72頭,1.1%,ヒメスズメバチ 23頭,0.4%,クロスズメバチ 20頭,0.3%,オオスズメバチ2頭の順になっています.

調査対象が朽ち木や倒木に限られるため,主に土中など他の場所で越冬するモンスズメバチやオオスズメバチなどの種類がほとんど含まれず,このような種構成になっています.

単独で越冬するのが普通ですが,越冬に適した場所が少ない都市環境下では,1ヶ所に集中して越冬する傾向がみられ,1本の倒木から97頭が見つかった例や,一つの越冬室から31頭もの個体が見つかった例もあります.

越冬期間中の平均死亡率(最近10年間の平均)は6.3%で,過湿により真っ白なカビが生えて死亡した個体や,コメツキムシの幼虫などに捕食されてバラバラになった個体が見つかります.

越冬するのは翌年巣を創設する女王(新女王)だけですが,例外的に,スズメバチネジレバネに寄生された働きバチも越冬することが知られています.ネジレバネの平均寄生率(最近10年間の平均)は6.3%で,ネジレバネのメスが通常1頭ないし2頭寄生しています.ネジレバネに寄生された個体は明らかに小型のものが多く,大半が働きバチであると考えられます.


越冬状況調査の実施地点