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初めてチャイロスズメバチの営巣を確認しました!(1992)


チャイロスズメバチの営巣が名古屋市で初めて確認されました.巣の発見は全くの偶然からでした.1992年9月8日,東山総合公園(動植物園)管理事務所より,モンスズメバチの駆除要請があり,9月9日午前に駆除作業を実施しました。その際,付近を通りかかった人から,近くにもスズメバチが営巣しているので駆除してほしい旨要請があり,駆除を実施した後,巣を持ち帰って調査したところチャイロスズメバチと判明しました.


赤い矢印付近に営巣 巣箱の外観(駆除後) 巣箱と取り出した巣盤(駆除後)

営巣場所は千種区田代町地内のアベマキ,コナラを中心とする雑木林内の遊歩道脇です.直径17cm程のアベマキの地上2.8m付近に架けられた巣箱に営巣していました。モンスズメバチの営巣場所からは直線で100m程離れています.鳥の巣箱の内部と下部に営巣しており,巣箱内に6層,巣箱の下部に2層の計8層からなり,育房数は2,441房でした.巣箱底部は働きバチによって削り取られ無数の穴があいていました。

本種はキイロスズメバチやモンスズメバチの巣に女王が単独で入り込み,相手の女王バチを殺して巣を乗っ取ることで知られています(社会寄生性).

駆除時には全てチャイロスズメバチの働きバチばかりになっており,いずれの巣を乗っ取ったのかは不明でした.しかし東山公園の周辺では,モンスズメバチの駆除依頼が多いことや,巣の形状からモンスズメバチの可能性が高いと思っています.

私は駆除に立ち会えませんでしたので,翌日(9月10日)午前および9月14日午前に現場を調査しました.駆除の際薬剤により死亡して地上に落ちたまま放置されていた個体を回収するとともに,14日には駆除際回収もれとなった働き蜂16頭を捕虫網で捕獲しました。成虫数の内訳は下表のとおりです.既にオスバチと新女王バチを産出していました.


中日新聞 1992年11月14日