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成虫の羽化数 |
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1個の巣から何頭の成虫が羽化したかを知るにはどうしたら良いのでしょう? スズメバチの幼虫は蛹になる時に1回だけ糞をします.糞は黒い固まりとなって育房の底に塗りつけられています.育房は何度も子育てに利用されますが,糞には明瞭な境界あり,細かく分けることができます.この糞を数えることにより,羽化した成虫の数を知ることができます. 今回調査したコガタスズメバチの巣は2006年12月21日に駆除したもので,駆除時の状況は次のようになっています.女王バチは通常11月中旬頃までに死亡していなくなります.今まで最も遅くまで生存が確認されたのは11月28日ですが,この巣にはまだ女王バチが生存しており,従来の記録を大幅に更新しました. 育房数は544房とほぼ標準的な大きさの巣でしたが,育房の状況から判断すると,この巣は何らかの理由で営巣開始が遅れ,2層目が作られる頃には既にオスバチを産出する時期(9月上旬頃)になっていたものと思われます.そのため2層目からは全く働きバチは羽化していませんでした. |
駆除月日 | 営巣場所 | 巣の大きさ タテ×ヨコ |
巣盤数 | 育房数 | 成 虫 数 | ||
女王バチ | 働きバチ | 計 | |||||
12月21日 | アラカシ | 22cm×17cm | 4層 | 544房 | 1頭 | 14頭 | 15頭 |
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巣の外観 | 巣の内部の様子 | 巣盤(上:1層,中左から 3層,2層,下4層) |
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3層目の巣盤 | 取り出した糞の固まり(一部) | 巣内の働きバチ(左)と女王蜂(右) |
巣を分解し糞の固まりの数を数えると以下のようになりました.1層目は既に利用されておらず巣材で閉ざされていましたが,表面を削り取って育房数を数えると208房ありました.糞の数は全部で314個確認できたので延べ314頭働きバチが羽化したことになります.巣盤の周辺には成虫が羽化していない育房が少数ありましたが.これを無視して単純に計算すると,1つの育房が平均1.5回利用されたことになります.中心部の育房は,多いもので3回利用されていました. 2層目は156房中98房で羽化が確認できました.利用はいずれも1回で98頭が羽化したことになります.育房の大きさから判断すると全てオスバチが羽化したものと思われます.3層目は152房中75房で羽化が確認できました.3層目も利用はいずれも1回限りで75頭が羽化したことになります.育房の大きさから判断すると全て新女王バチが羽化したものと思われます. |
巣盤 | 1層 | 2層 | 3層 | 4層 | 計 |
育房数 | 208房 | 156房 | 152房 | 28房 | 544房 |
羽化育房数 | ? | 98房 | 75房 | − | |
延羽化数 | 314頭 | 98頭 | 75頭 | − | 487頭 |