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■ Braindish4 〜眠れる神脳塔(かみのうとう)〜 ■

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Unpa part1
 女格闘家アンパは足を引きずりながら廃墟をさまよっていた。
「腹減ったぜ・・。まいったな。この辺は廃墟ばっかりじゃないか。食い物はありそうにないな」
ついこのあいだまでは海岸線を歩いていたので、なんとか食い物は手に入った。海岸の岩場に群がっているフナムシを塩焼きにしたり、ホウボウを獲って鍋にして食べた。一度なんぞ巨大なカニが獲れて食いきれなかったことさえあった。それを思い出すとよだれが出てくる。
 廃墟の縁に近づくと砂漠が見えた。陽炎で良く見えないが、地平の先までずっと続いているようだった。近くに古びた看板がかろうじて残っており、オアシスの位置が書かれていた。
「オアシスに行けばなんか食べ物もあるかなー」
腹を空かせたアンパは当てどもなく砂漠へ足を踏み入れた。

Unpa part2
 砂漠では容赦なく太陽の光が当たる。アンパは頭がボーとして、もはや何も考えられなくなってきた。・・・いや、もともと筋肉女のアンパは考え事をすることはないが・・・。ともかくアンパは歩き続けた。
 ザザー、ズルズル。突如アンパの足元の砂が流れ始め、アンパはすり鉢状の斜面をずり落ちていった。流砂か? と思うまもなく砂あらしのように砂粒が飛んできた。腕で目を覆いつつ、砂の飛んでくる方をちらりと見てみた。なんと巨大な蟻地獄だ。アンパはニヤッとすると自ら斜面を駆け下って攻撃を加えた。
「どりゃー」
蟻地獄の鋭い爪をかわして、強烈な一撃を加えた。さしもの巨大蟻地獄もくらっときてしまった。すかさず、
「うりゃ、うりゃー、でぃ」
とアンパは連続技でたたみかける。数分後、蟻地獄はあえなく息絶えた。
「ぐえ、ひでぇ味だな」
蟻地獄にかぶりついたアンパは顔をしかめた。それでも空腹には耐えられず食べ続けた。一通り食い終わると元気が出て砂漠を渡る気力が沸いてきた。

 さらに砂漠を歩き続けたアンパは古びた塔を見つけた。門の所に看板が掲げられており、”修行僧は塔の上の祭壇を目指せ、勇者は地下の闘技場を目指せ”と書かれていた。
「へー、闘技場かぁ。こいつぁいいや、あたいの相手になる奴がいるかな」
アンパは手首をポキポキ鳴らしながら門をくぐった。
 アンパは地下への階段の少し手前で男が倒れているのを見つけた。話しかけてみると、どうやら記憶を失っているようだ。頭もおかしくなったらしく、何やらぶつぶつ呟きながら歩いていってしまった。アンパは肩をすくめると階段を降り始めた。

Unpa part3
 アンパは地下一階を歩き続けた。薄暗い通路には所々蝋燭がともっていた。しかし通路は複雑に入り組んでいて迷路のようになっていた。
「どうなってんだい。いつになったら闘技場に着けるんだ」
アンパはまた腹が減ってきた。
 しばらく歩いていると頭に何かぶつかってきた。
「いてー」
鳥かコウモリのようであった。何羽かパタパタと飛んでいる。アンパが近くの石を拾って投げつけたところ、パシッと音がして1羽が落ちた。腹が減っていたアンパは羽をむしってがぶりと食いついた。結構いい味なのでもう1羽落とそうと思ったが、鳥達は仲間がアンパに食われるのを見てみんな逃げてしまった。

 アンパは鳥を追いかけている内に下り階段を見つけた。下へ降りてみると、そこも地下一階同様、薄暗い通路が続いていた。またしても迷路のような通路を何時間もさまよった。
「腹減ったぜ。何か食えそうなものは無いのかよ」
その時足がチクッと痛んだ。良く見ると足に何か絡み付いている。タコを逆さに
したような感じの生き物だ。アンパはそいつの足をブチッと引き抜いて食ってみた。
「へー、結構いい味してるな」
近くにも同じような生き物が居たが、みな胴体に足を引っ込めてしまった。胴体は固い殻で被われていて歯が立たない。アンパは殻を壊そうとして思いっきり殴りつけたがびくともしなかった。
「くそー、なんとか殻を壊す方法はないかな」
アンパはとりあえずその生き物を持てるだけ拾い集めた。

Unpa part4
 アンパは地下二階の迷路をしばらくうろついていたが、そのうち下り階段を見つけた。降りてみるとそこは街であった。いたるところにシャンデリアが輝き、まるで地上のような明るさであった。腹の減っているアンパはパブへ直行し、そこでガツガツと猛烈な勢いで料理を食った。
「ちょっとお客さーん、勘弁してくださいよ。もう材料無いですよ」
「材料? それなら上の階で獲ってきたのがあるぜ」
アンパは殻に引きこもっている生き物を渡した。
「こんなもの本当に食えるんですかい?」
コックは文句を言ったが、とにかくつぼ焼きにしてみることにした。火にかけてしばらくすると香ばしい匂いが漂ってきた。
「こりゃ、良い匂いだ。味見してみようかな」
「あたいの獲ってきたヤツだ。勝手に食うなよ」
アンパはつぼ焼きを美味しそうに平らげた。その後このパブはつぼ焼きをメニューに加えたが、食当たりが続出して評判が下がってしまった。この料理は強靭な胃袋を持ったアンパだからこそ食えたのだ。

Unpa part5
 満腹になったアンパは腹ごなしに闘技場に出てみた。どうせ1回戦はろくな相手は出てこないだろうと予想していたが、・・・その通り、出てきたのはスライムであった。
「いくら何でもこんな弱いの出すなよ」
アンパはスライムをけっ飛ばした。するとスライムは2つに分裂した。アンパは躍起になってけり続けたが、スライムは分裂するだけで全然死なない。
「だぁー、食ってやる」
ヤケクソになったアンパはスライムを食ってしまった。ゼリーのような甘い味がした。
 次の対戦相手は5才くらいの小さな女の子だった。
「あたち、さんさんよ。よろしゅくね」
「ここの闘技場にはまともな相手は居ないのかよぉ」
アンパはすっかりやる気無くしてしまった。が、この少女はフリーズ魔法でアンパを身動きできないようにしてしまった。さらにサンダー魔法でアンパを気絶させた。
 アンパはしばらく気を失っていたが、審判が気付け薬をかがせたので気がついた。
「魔法なんてインチキだろーがぁ。あたいは格闘技をやりたいんだ」
アンパは文句を言ったが審判は取り合わなかった。

Unpa part6
 闘技場で負けたアンパはカジノのバーでやけ酒を飲んだ。ぐてんぐてんに酔っ払った挙げ句に大暴れし、バーは壊滅状態となった。さらにカジノのハンマーシャークの台は壊すし、スロットマシンのレバーは折るし、とにかく店員も手のつけられない状態であった。最後は酒瓶片手にルーレットに乗っかって自分もぐるぐる回って酔いつぶれてしまった。
 アンパは壊れたスロットマシンの横にほうり投げられ、そこで大いびきをかいて眠り続けた。


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