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一日目(自宅〜七合目 東洋館)
2004年8月5日,ついに決行の日がやってきた。
おりしも,日本南岸を超低速で西進するという,異常な動きの台風の動向のせいで,
天候をにらんで決行日の延期を余儀なくされた上に,当初予定だった日程に東京地方が
ほぼ完璧な晴れ状態という状況を目の当たりにし,元の日程で決行すればよかった
のではなかろうか,という不安がふつふつと湧いてきた上,8月4日の天気予報で,
翌日は午前中雨の可能性あり(富士五湖地方)という予報を見たりしたので,
期待3割:不安7割の,それこそ心中一杯いっぱいの気分で迎えた決行当日だった。
いつも通りの時間に目覚め軽い朝食を摂る間,再度,天気予報と高速道路状況を確認。
富士五湖地方の天候は相変わらず「午前中雨→午後からやや回復」のままなので
回復時には多分雲の上にいるだろうと天候を読んだ。
それよりも,問題は道路状況だった。中央高速方面に行く際にいつも乗る首都高
入り口の先からいきなり数キロ渋滞の赤い帯。その先にも渋滞はあるにはあるのだが,
まだ,振り返れば自宅周辺の景色が見えるところでノロノロ運転に入ったりしたら
娘の士気にかかわると思い,急遽初めて通る道を使って最初の渋滞をパス可能な
入り口へ向かうことにした。
予定通り,9:00頃自宅を出発。最寄の入り口ではなく,最近新しくできた橋を
渡って,お台場方面に一般道を行き,小さな入り口から乗る。
(ETCゲートがなかったらどうしようかと心配になる位,小さい入り口だった。
幸いにも,ETC専用ゲートは存在した。)
これでスルッと第一渋滞をパスできて,ご機嫌で娘としゃべくりながら走るも,
レインボーブリッジにさしかかった時点で,早速次の渋滞へ。これが長かった。
娘もさすがにこの時間では寝にくいらしく,過去の富士登山行では夕方に走った
など話しながらもじっと我慢の時間。
ようやく流れ始めて,「なんか疲れたなぁ」と思った頃に,ようやく新宿を
クリアし,一路,中央道へ。料金所をETCでぶっちぎりつつ,あせる気持ちで車を
進めるが,相模湖を過ぎたあたりから雨が降り出した。
一応,予想の範囲ではあったけれど,かなりの暗雲とガスをみるにつけ
「どうか五合目より上は晴れてますように」と,娘に不安を悟られないように
祈っていた。
いつもの休憩場所の談合坂SA近くに着くも,トイレも大丈夫そうだったので,
そのままノンストップで大月から河口湖方面へ入り,11:00頃,唯一の谷村PA
で休憩。
この時点では,まだ,半袖+短パンのような夏仕様の格好でもいいのだが,
この先,河口湖ICを出て,富士スバルラインを五合目へ向けて登って行くに
つれ,気温がぐんぐん下がってきて,途中で寒く感じるのは必須なので
(過去の経験より),このPAで登山用アンダー+長袖シャツに着替える。
五合目で,気圧慣らしの昼食の予定だったが,どうにも小腹がすいて
きたとの意見が一致して,ポテトチップ一袋を二人で食す。
準備もできたところで,あらためて出発。河口湖ICもノンストップ(ETC)で
通り過ぎ,一路,スバルライン方面へ。
息子との富士宮口登山時の富士山スカイラインのように,通行止め,なんてことも
頭をよぎったのだが,わざわざ空いている平日を選んでおいて,おまけに
すっきりしない天気なので,そんな心配はなく,無事に料金所で2300円(往復)を
支払い,緑の中の道路をズンズン登っていく。
2〜3合目あたりでガスに包まれた時には,ちょっと冷やっとしたが,
毎回こんなもんだったなぁと,気にせず進む。
周囲の木々の背がなんとなく低く見え出した頃,視界をさえぎる雲間から
ちらちらと青空が見え始め,空の明るさも増してくる。
「御庭」を過ぎて,道路わきの駐車スペースが目立ち,もうすぐ五合目という
あたりで,突然警備員に車を止められる。
五合目の駐車場に入るための交通整理だとはピンときたが,こんな日でも
混んでいるのかとちょっとびっくり。ただし,前の車も5台ほどなので,
日曜のスーパーの駐車場に比べれば全然ましだと思い,ガスに隠れる駐車場の
様子を思い浮かべながら,娘と一緒に,周囲の壁の意味不明の落書き?の品評を
行っていた。
と,唐突に「行ってよし」の合図が出て,最後のトンネル(シェルター)を抜けると
そこは,バス,バス,人で大賑わい。 12:20着
とにかく,無事に駐車スペースを確保した我が愛車の中で,登山準備を開始。
周囲の様子を見てみると,乗用車の客は,7割位が観光客の様子。
着替え終わって,少し上に位置する山小屋?群まで行くと,やはり軽装の
観光客でごった返しているが,中央の広場ではこれから登るツアー団体も
準備している。天気も無事に回復し,山頂方面も時折垣間見れるようになって
きている。
まずは,恒例の小御嶽神社にての今回の登山の無事の祈願後,
待望の昼食を摂る。
娘はスパゲッティ,父親は牛丼定食,しめて
\1,800 の富士山価格。
でも,クーラーよりも涼しい生の風を感じながらの食事は,なかなかのものである。
目的通り,ゆ〜っくりと食べて,トイレ(食堂利用者は無料)も済ませた後,
今回の目玉の,金剛杖を買って(\1,000),準備完了。ただし,買ってから
気づいたのだが,今回の金剛杖は昨年のものより長いサイズだったようで,
昨年\800で買った短めのものよりかなり重く感じた。
このため,娘ではとても持って歩けないことになり,結局,父親が持って
歩くはめになった。まあ,はなっから娘は持つ気はなかったようだが...
ただ,長いサイズが幸いし,後の焼印押しが楽になったのも事実である。
(怪我の功名・・・)
新しいツアー2団体ほどが出発しそうなのを見て,まぎれるのも嫌なので
そそくさと出発することにした。
13:25 五合目発(2305m)
六合目に向かう最初の下り坂を,恒例の「なんで登山で下るんだ!!」の
文句と共に,スタスタと歩いていく。
登りにかかる分岐点の泉ヶ瀧も,昨日来の雨のおかげか一応滝の姿をしている。
(いつもなら,ちょろちょろ水が流れる水溜り程度なのだが)
ここから先がようやく登山道らしくなってきて,この急坂が結構しんどいのだが
娘は早いペースですたすた歩いて行き,途中休憩中の団体も追い抜いていく。
「これはちょっと速すぎるのでは?」とも思ったが,今日のゴールも
近いことだし,疲れて早寝してくれた方がよさそうに思えたので,
とりあえず好きにさせておくことにした。それにしても速い。
木々の間を抜けていき,富士登山の安全放送が聞こえてきたら,
水が大量に滴り落ちるトンネル(落石よけシェルター)をくぐり,
六合目・安全指導センターはすぐそこ。
13:50 六合目着(2400m)(24.7℃ 773hPa)
ここで長めの休憩をと思ったが,先に休んでいた2団体が続けて
出発してしまい,この先狭くなってくる登山道をふさがれては
厄介だと思い,続けて出発し,すぐに団体を追い抜く。
これから先は,七合目前の岩場まで,稲妻状のつづら折れの
坂道がしばらく続く。
娘も昨年通った道なので,角々で深呼吸休憩をしながら
順調に高度を上げていく。
天候も,うす曇で風もさわやかと,絶好の登山日和になってきた。
昨年よりきれいになった落石よけを下に見る頃,頭上には
山小屋群が見えてきて,1時間近く歩いた後ようやく岩場にさしかかり
↑ 14:57 花小屋着(2700m)(23.7℃ 765hPa)
ここで一息ついて焼印を押し(\200),この後は順次山小屋をたどることになる。
15:03 花小屋発
↑ 15:07 日の出館着(2720m)(23.7℃ 7??hPa)
焼印(\200)
15:03 日の出館発
15:18 七合目トモエ館着(2???m)(23.7℃ 7??hPa)
焼印(\200)
15:25 七合目トモエ館発
15:30 鎌岩館着(2???m)(23.7℃ 7??hPa)
このあたりまで来て,娘のペースが良すぎ,予想以上に
早く着いてしまいそうなことに気づき,休憩を長めに
とる作戦に出た。(泊まる山小屋が除々に見え出したのだ)
焼印(\200)
15:40 鎌岩館発
15:45 富士一館着(2800m)(22.5℃ 724hPa)
長い休憩作戦はよかったのだが,そのせいで,せっかく抜いてきた
団体に追いつかれてしまった。
また,その団体のガイドさんの話を聞いていると,なんと我々と同じ
山小屋に泊まるというではないか。 それも全部で5団体!!
500人泊まれるという小屋だが,娘に狭い思いをさせないかが
かなり心配になってきた。
焼印(\200)
16:00 富士一館発
↑ 16:07 鳥居荘着(2950m)(22.5℃ 719hPa)
焼印(\200)
16:10 鳥居荘発
そして,ついに,今夜の宿,東洋館に到着
↑ 16:20 東洋館着(約3000m)(21.9℃ 718hPa)
到着直後は,先に着いた団体のチェックインがまだ終わって
いなかったので,小屋前の椅子に座って,しばしボーっとしていた。
暇になった娘が,小屋前に座る親父に焼印を押してもらいに
行こうとするのを押しとどめ,小屋入り口が空きだした頃を見計らって
その親父に「今晩,予約してるんだけど,手続きを待ってるんだ」と
話を持ちかけ,上手く『じゃ,焼印でも押しておこうか』と言ってもらい
ただで押してもらうことに成功。ちょっと,得した気分だ。
(宿泊者だから普通に頼んでも無料だったような気もするが...)
その後,小屋の中に入れてもらい,登山靴を脱ぐことができて
ほっと一息。宿泊費(一泊二食付 \7,350(税込み)×2)を支払い収まって
寝床に案内される。
続々と到着する団体がどこへともなく収まっていくのが不思議だったが,
個人の予約客は一番奥のエリアに布団を割り当てられており,団体は
その手前の区画だった。
自分達の荷物の片付けはあっと言う間にできてしまい,暇になった
娘が団体のエリアを覗きに行ったところ,「枕が両方に置いてある」
と言うではないか。
枕が両方,つまり頭と足を交互において寝る体制,これが山小屋
名物のギューギュー詰め仮眠の姿なのだ。
個人客 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
団体客 ↑↓↑↓↑↓↑↓
それで個人客が一番奥のエリアだった理由がわかった。空きベッド
があり,なおかつ一人1枚の布団で寝ている姿を団体客に見せる
訳にはいかないためだ。
よく,富士山の山小屋でこのベッドへの詰め込みで充分な仮眠が
取れなかったとの文句を雑誌やネットなどで見かけるが,団体ゆえの
苦労だったのかも知れない。
まあ,今回は空いていたからだろうけど。(そういえば,初登山で
夜中に飛び込んだ時は,二人で1枚の布団だったなぁ。それも見知らぬおっさんと)
することもなく,寝床でぼーっとしていると,ようやく「夕食」の
お声がかかった。入り口の大広間に行くと,長いテーブルがずらっと
置かれ,そこに詰めて座らされる。ちょっと狭いが仕方ない。
食事は,うわさ通りのハンバーグ。それも弁当ではなく定食の形を
とっている。
この食事,なかなか美味しく,食べ放題のご飯をしっかり
お代わりしてしまいました。食べながら,他の団体はその後の行動の
説明を受けているので,ラジオ気分で一緒に聞きながら食事をする。
(娘は箸を止めて,その説明に聞き入ってました...)
団体は,早くは22:30,遅くとも0:30頃には山頂での御来迎を目指して
出発してしまうらしい。朝まで寝ている予定の我々は,夜中は静かに寝られる
ということになる。(個人客では朝まで寝ている人が結構多かった)
この時に,朝食用のおにぎり弁当も一緒に配られる。
食事も終わり,一旦寝床に帰るが,まだ明るいので外で景色でも見物しようと,
お散歩にでる。(と言っても,小屋の前の山道だけど)
夕日に照らされる景色もなかなかのもので,ジュース&ビールを買って
乾杯する。
実は,高いところでお酒を飲むと回りやすいとの話をよく聞くので
試してみたかったのだが,日帰り登山の山頂などで試して,ひどく
回ってしまった日には,下山の安全の保障がされないので,これまでの
富士登山では我慢していたのだが,今日はこの後寝るだけだから,
ちょっとばかり酔っ払っても問題ないし,早寝しやすくなるかもとの
思惑もあったのだった。
3000m付近でのビール飲酒,その結果は...特に変わらない。
「ビールが少ないのか??」とも思ったが,高価なのと,娘の目と,
夜中の頻尿が困るので,ここはぐっとこらえた父親であった。
気温も20度弱で涼しく,ビールがそれほど美味しく感じなかった
というのもあるが...
飲み終えてしまうと特にすることもないので,トイレに行って(外にあるので),
寝床に戻った。
↑ なんかあるぞ? ↑ なんと従業員用のお風呂が...
窓の外が暗くなってきて気づいたのだが,よく考えると,このベッド付近には
明かりがない。つまり,即消灯状態なのだ。
まだ18:00過ぎ,寝れな〜い。でも周りには寝てる人もいるようだし,
(実際にはすることもなく横になていただけみたいだが),私語も迷惑そう
なので,仕方なく我々も横になってボーっと時の過ぎるのを待つ。
時折,うつらうつらして,ふっと目が覚めると,まだ20:00頃。
おまけに隣に遅れて入ってきた夫婦が,ゴソゴソして私語も多く気になって
寝られない。娘も起きているようで,真っ暗で声を出さずにできる遊びは
ないかと真剣に考えたが思いつかず,仕方なしに二人で足の指を絡まして
遊んだりしていた。
(父親一人なら,音楽&ラジオと色々することがあったのだが,娘が...)
そうこうしているうちに,21:00を過ぎた頃から,ようやく眠気が襲ってきて
他の客の出て行く音に時々目覚めながら,時々ラジオを聴いたりして,
寝起きを繰り返した。
ふと気づくと,窓の外が白んでおり,御来迎予想時間まで30分もない
ことに気づき,急いで娘を起こして,カメラを持って小屋の外にでる。
直後に小屋の人が他の人を起こして回って,小屋の前には御来迎待ちの
人が並んでいた。
今までの経験で,「御来迎 = 寒い」
というのが身にしみていたので
重い思いをして上着を持ってきたのだが,この時は,結構暖かかく,
17〜8℃くらいありそうで,少々驚いた。
こんなんだったら,防寒服をもっと減らせたのに,と悔やんでも後の祭り。
今後の計画の際の参考にしたい。
ちょっと雲が邪魔をして遅れ気味だったが,無事に御来迎を見る
ことができた。
見終わっても,5:00過ぎだったので,もう少し寝ることにし,布団に戻る。
ぐっすり二度寝できたので,6:00頃に再度起きだし,出発準備をする。
朝食の弁当1人前を二人で食べて,お隣で寝ていたご家族に別れを告げて
いざ出発!!
6:22 東洋館発
計画/準備へ 二日目(七合目 東洋館
〜 山頂 〜 下山まで )