『鳥インフルエンザ問題の今後(66)』



台風11号が近付いて朝から大雨である。
関係する現地の方々は大変だろうが、情報的には静かになった感じだ。マスコミも衆議院選挙をひかえてトリフルどころでないそうで助かったと云えるのかどうか。

もう云い疲れたが、農水省の勧める理想的な管理と設備のもとでの、高病原性、低毒タイプの全国に先駆けての発生は、国の対策の総て(分類、防疫管理指導など)が間違い、乃至は全く機能しなかった正に言い逃れの出来ない何よりの証拠である。
と同時に、国が標榜する《清浄国論》が完全に崩れ去った瞬間でもある。
 それでも今日までのところ当局がその非を認めた形跡すらない。無いどころか逆に、発生のあったウインドウレス形式の鶏舎の優位性を打ち出した。驚いたことにそれに日本農業新聞が追随し(65参照)一般消費者までが簡単にそれに乗ってしまった。日本で云われる食の安全など取ってつけたような底の浅いものであることを暴露した形である。

これまで、鳥インフルエンザに対しても、徹底した防疫管理と設備で他の弱小の追随を許さない経営振りをホームページなどでも喧伝し、国も又それに全幅の信頼を置いて、イセ養鶏が残ることによって、その他の弱小の被害は、すべからくそのバイオセキュリティの不徹底に起因するとして切って捨てようとしていた国の方針は根底から覆されたことになる。
それをあろうことか、鶏の管理、況んやウインドウレス鶏舎の何たるかも知らず、外界から隔離されているというイメージだけしか持たない素人集団の委員会がその素人感覚で、現実に効果の無かったその飼養形態を苦しまぎれとはいえ逆に持ち上げてしまうというヘマをしでかした。そしてそんなことは一目瞭然なのに、それを批判も出来ずに日本農業新聞はこともあろうに、ウインドウレスの機能など先刻承知の《生産者》に知ったかぶりの提灯記事を書いて生産者も勉強しろ、とのたまった。これでこの新聞の生産者の立場の理解度など実は皆無に近いと改めて思い知ったのである。

今回の発生で、改めてサーベイランスを続けなくてもウイルスの拡散は決定づけられた。繰り返すようにこれ以上考えられない理想的設備、経営体からの拡散である。いまさらウインドレス に閉じ込めたつもりでも鶏は息もすれば産卵も排泄もする。どこが隔絶されているのだ。それを決めた委員会の連中は、自分達も普段息をしないで済むインベーダーなのだろう。 変なテレビ映画ではないがこの国はとっくにエイリアン達に乗っとられているのかも知れない、いやそうに違いないと思えて来る。正に別サイトの《とき》様(笹山登生の政策道場笹山登生の掲示板)の云われる通りの状況である。

ここまで来ると事実上、国や清浄国支持の学者達に反論の余地は無い筈だがそこはこれまでも、今度のように黒を白だと言い張る常習者達だ、一筋縄でいかないことは分かって居る。しかし所詮は無理な言動はいずれ破綻を来すのは明白だ。
業界団体も議論し陳情を重ね、言質を取り続けて生産と自らの使命を守る、その目的を達成するに遺憾なからむことを期せよ である。

H 17 8 25 . I,SHINOHARA