『鳥インフルエンザ問題の今後(65)』



業界第一の規模を誇るIさんの今回の事態で、一見優遇措置ともいえる農水省の、飼育規模と鶏舎形態による差別化で業界の怨嗟の声が沸き上がったが、そのIさんにも、これから鶏舎内の陽性鶏の廃鶏処分をどうするのか、取り敢えずの鶏糞処理はと云った難問が山積しているだろうから頭の痛い話である。

もともと業界人でウインドウレス鶏舎だから密閉されているとか、ウイルスの閉じ込めが可能だとかまともに考えて居る人が居る訳はない。ウイルスなんかどうやっても捕まりっこないのは分かって居るが、ここまで追い込んだ農水や委員会の詭弁が捕まえられないのはおかしいではないか。
(日本農業新聞の今朝の提灯記事には呆れる。曰く「鳥インフルエンザの特性やウインドーレスと開放型鶏舎の違いを、総ての《生産者》や消費者が十分理解しているとは言えない。農水、厚労の両省は、引き続き丁寧な説明をしていく必要がある(農政経済部・小管真)」ことほどさように鶏飼いは馬鹿にされているのである。一度その記者さんにウインドレスの説明とやらを願いたいものだ。永年の読者であるのが恥ずかしい。)

この記事に見られるように、本質的な問題を鶏舎問題にすげ替えてごまかすやりかたを業界とすれば絶対看過してはならない。このような記事も許してはならない。

改めて言うまでもない。理想的な鶏舎で、理想的な管理をしてきた理想的な経営が真っ先にやられた事実こそが問題なのである。ウインドウレス鶏舎のどこが良かったのだ。あえて農水の言い分を補足すれば、優等生のウインドウレス鶏舎でさえやられた。旧式の解放鶏舎は推して知るべきである。皆つぶしてウインドウレスにすべきだ。と云って居るに等しい。こんな無茶な論法がどこにある。今回ウイルスが出たのは外ならぬウインドウレス鶏舎なのだ。こんなすげ替え論に引っ掛かるなら記者も業界も論外である。

理想的な経営のもとでの最新式ウインドウレス鶏舎でさえやられた事実に基づけば、これ以上やりようはない。清浄国論の旗を降ろして、ワクチンの認可に踏み切れ、と云うのが唯一の方向であり業界の望む方向でもある。教育になぞらえれば、理想的な教育方針のもとでのダントツの優等生も歯が立たなかった。残念ながら教育方針を変えざるを得ない。と云うところなのに、農水の論法や、くだんの記事では、優等生でこのザマだ。他の劣等生はすべて放校すべしと云うに等しい。
業界団体、しっかり頼む。

H 17 8 24. 篠原 一郎