【青森県六ヶ所村レポート】(議会報告12号、1996.10)

六ヶ所村は下北半島の付け根、太平洋に沿って南北に細長い村で、人口は11,500人。産業は漁業・酪農・野菜類の畑作で、冬場の出稼ぎが多かった村です。
1971年、六ヶ所村から三沢市に至る臨海部に、大規模なむつ小河原地域開発構想が発表され、巨大石油コンビナートの計画が持ち上がりました。村民の強硬な反対を押し切って、土地買収が行われました。村民は1972年、村議・村長をリコールしたましたが、不成立。開発推進派の市長が当選。
その後、工業用水・港・道路の未整備のため、進出する企業はなく、村民は尚、出稼ぎせざるを得なかったということです。

1985年、県議会と村議会はここに核燃料サイクル施設の受け入れを決定しました。1989年、推進派前市長に対し、凍結派と白紙撤回派の3人が戦い、核燃凍結の現市長が当選しました。しかし、一変して推進となったそうです。
この選挙で家族までも対立し、傷ついてしまいました。

このサイクル施設は、ウラン濃縮工場・低レベル放射性廃棄物埋設センター・再処理工場・高レベル廃棄物貯蔵施設の4つから成り立っています。
これらの施設に伴って村に支払われた電源立地対策交付金は、この10年間で191億円。運動公園・道路改良・ゴミ処理場・文化交流プラザ・診療所・特養ホーム・障害者施設・産業振興施設等々。これらの施設が完成してしまうと、交付金も来なくなってしまいます。六ヶ所村は今、国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致に必死です。

また、低レベルの廃棄物は、全国の原発から集められ、ドラム缶にコンクリートで固められて地下に埋めています(写真)。最終的には、300万本。高レベル廃棄物は、270℃のガラス固化体として、30〜50年かけて100℃に冷却し、いずれ、政府が最終処分地を他に見つけるというので、保管してあるとのことです。

低レベル廃棄物
低レベル廃棄物はドラム缶にコンクリートで固め、地下に埋める

9月末に浦安市で開かれた非核自治体草の根交流大会のために来日したイギリスのスチュアート・ケンプ氏によると、イギリスは廃棄物の問題とプルトニゥムが核兵器やテロに悪用される危険から、原発はこれ以上造らない方針をとっているといいます。そして、エネルギーを30%削減しようとしているのだそうです。

電気の莫大な使用は、過疎地への過重な負担を強いるとともに、核の危険性と引き換えであることを認識し、節電を実行しなければならないと思いました。巻原発の「住民投票NO」の結果も、それにつながる地元住民から我々への直接のメッセージです。

プルサーマルって何?
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