プルサーマルってなに?

 今回は、六ヶ所村では外から覗いただけの、例のまっ青なプールを直に目の前にしました。発電に伴って発生する使用済みの核燃料は英仏の再処理工場に運ばれ、原発での再利用が可能なウラン、プルトニウムと、人類には危険な核のごみ(高レベル放射能廃棄物)に分離されますが、後者については処理方法が決まっていません。今のところ、高レベル放射能廃棄物はガラスと混ぜて安定化し、ステンレスの容器に詰めて、プールに沈め、30年から50年冷却しており、処分場がきまれば、地下数百メートルの安定した地層に数百年保管するということです。

政府は2000年1月の国会に「高レベル放射性廃棄物処分法案」を提出しましたが、法律に基づき設置される新法人が具体的な処分地を探す見通しです。青森県はなし崩しに処分地にされることを懸念しています。また、処分コストも軽視することはできません。

   最近まで、「核燃料サイクル」いうのは、使用済みの核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を高速増殖炉で燃やしながら、さらに燃やした以上の燃料をあらたに作り出すというもので「くんでも尽きないエネルギーシステム」と思われてきました。
しかし、高額という経済的理由と技術的難しさから、フランスなどこの計画から撤退する国が相次いでいます。
日本も1995年の敦賀の「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故から高速増殖炉の実用化が遠のきましたが、1997年、軽炉でMOXを燃すプルサーマルの早期導入を国策としています。

 視察した、関西電力の高浜原発もその一つですが、ここで、使うはずだったMOX燃料の検査データがイギリスの核燃料会社によりねつ造されたことがわかり、急遽フランスの会社で製造した、MOX燃料を使用することになった模様です。  その上、1999年茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オーでおきた臨界事故以来、新潟県巻町で、原発阻止を訴えた町長が再選されたり、三重県知事によるの芦原原発計画の白紙撤回などの動きがあり、政府は、原発計画を縮小せざるをえなくなってきています。

 こんな時代の転換期にもかかわらず、最近の朝日新聞によれば、自民党の原発推進派が「原発域振興法案」なるものをまとめ、自・公・保の了解がえられれば、議員立法として国会に提出するといいます。時代錯誤も甚だしいことだとは思いませんか?
その一方で、250人の超党派の議員が「自然エネルギー発電促進法案」をまとめたということです。
 いまこそ、エネルギーについて、根本的な安定した議論を行い、原子力以外の自然の代替エネルギーの利用を考えるべきで、こちらのほうがよっぽどまともではないでしょうか?

 しかし、その前に私たちのできること、それは電気の使用量を控えることです。そこから始めていきたいと私は思うのです。

【青森県六ヶ所村レポート】(議会報告12号、1996.10)
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